【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
↑new ↓old
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
↑new ↓old
イルカ先生が日帰り任務に出た。よりによって今日。
三代目のおつかいのようなもんだから大丈夫ですよ。俺だって忍なんですからね。
溜まった洗濯しといて下さいね。できたら掃除もしといて下さいね。あ、机の上の巻物はそのままにしといて下さい、明日使うんで。お昼は俺がいないからって抜いたりしないで下さいね。…ちゃんと留守番してて下さいね。
そうやってどっかの母親みたいなことをつけつけと言って、先生は出立していった。
それを見送ったあと、休むことなく洗濯を済ませ洗い物をして巻物はそのままに部屋を片付けて掃除機をかけ洗濯物を干し忍犬達を呼び出して順番にシャンプーをしてやる。
こうして体を動かしていないと何か…追いかけてくる不安に取りつかれそうになってしまう。
おつかいとはいえ、任務に変わりはない。途中どんな事態になるかなんて誰にも分からないのだ
抜け忍に遭遇するかもしれない。木の葉の忍が交戦してる所に行き合うかもしれない。通りすがりに助けた夫婦が渡りの間者かもしれない。
不安な要素などいくらでも思いつける。
(…イルカ先生もいつもこんな気持ちで俺を待ってるんだろうか)
そう考えると、多忙でいてくれて良かったとまで思ってしまう。
アカデミーと受付と三代目の手伝いで、イルカ先生の毎日は目まぐるしい。そんな毎日なら、俺の息災を気にかけてる時間も少ないだろうから。
こうなる事を見越してイルカ先生は色々用事を言い付けてってくれたんじゃないだろうか。
あの人の優しさはいつも、ストレートではないけど的確だ。
そういえばこんな風に誰かの任務帰りを待つなんて、父さんの帰りを楽しみにしてた子供の頃以来かもしれない。
今までの女とはそんな付き合い方をしてこなかった。
こんな…帰還ひとつで、ここまで気持ちを揺らされるような付き合いは。
木の葉の白い牙の息子も腑抜けたもんだ。
……いや。
俺は初めからずっと腑抜けだった。
規則を守らないヤツはクズだと一度は仲間を見捨て、その意志を翻した時には間に合わず、結局は仲間を助けられなかった。
感情など不要だと言いながら揺らされ、そして仲間を守らないヤツはクズだと言いながらも、大切な仲間をいつもこの手から取りこぼしてしまっていた。
ぶれることなき芯がないから、守りきるだけの力がないから、いつも守れることなく失ってしまう。
父も、仲間も、師匠も、そして自分さえも。
俺は弱い。
どんな二つ名が付こうとも、俺はいまだに弱いままだ。
どれだけ武功をあげたとしても積み重なるのは後悔ばかりで。
死にたがりと呼ばれた事もあったが、そんな確固たる意志も持ってなかったのだから、それすら買い被りだ。単に何かを守るために生きようとまでは思ってなかっただけなのだから。
そういう意味では子供たちの方がよほど強い。
それぞれ方向は違うし、サスケに至っては正しいとさえ言えないものの、少なくともぶれることなく真っ直ぐ夢に向かって走っている。
俺はただ生き残っただけだ。
大切なものを失うことを恐れ、自分の命を盾に隠れて大切なものを作ることから逃げてた、ただの弱虫だ。
…仲間を守ると言いながら、里を守ると言いながら、俺が本当に守っていたのは俺自身だった。
その頑なな鎧を叩き壊し、生身の俺を抱きしめてくれたのは、イルカ先生。
その広げた腕の中は既に大事なもので抱えきれないほどになっていたのに、さらに俺という問題児にまで手を伸ばしてくれた。
いったいアンタの腕はどこまで伸びるんだろうね。
できれば俺でおしまいにして欲しいけど、これからもきっとイルカ先生の腕は伸び続けるんだろう。その腕はアカデミーを越え、里をも越えて、いつか五大国を包み込んでしまうんじゃないかな。
ナルトにはあちこちでしているイルカ先生大好きアピールをいい加減やめてもらわないと。
そのうち公でも裏ルートでも、イルカ先生を欲しがるヤツが増えそうで困る。ま、絶対に渡さないけどね。
俺のは先生の伸びる腕とは根本的に違う。
大事なものを大事に大事に抱え込むために、俺の腕はあるのだ。
やっと見つけた、見つけてくれた、俺のイルカ先生。
俺が初めて、心の底から欲しいと切望した人。
イルカ先生が俺の人生に現れてくれた事は、ホントに奇跡としか言い様がない。
だから俺は感謝する。
木の葉に生まれた事に、イルカ先生が同じ時代に生まれ、俺を見つけてくれた事に。俺と寄り添って生きていこうと決めてくれた事に。
神様なんて信じてないけど、これだけは膝を突き、こうべを垂れて感謝したい。
「…おい、浸ってるところ悪いが、そろそろ仕度せんでいいのか」
いつの間にか本当に膝を突いていたらしい。そこにパックンが前足を乗せ覗き込んでいる。
仕度。
そうだ、ケーキと花を取りに行かないと!
まだごちそうの準備もしてない!
俺は影分身を二体出した。一体はパティスリー木の葉とやまなか花店へ、もう一体はパックン達のおめかしを。
この日のために錦の国の店で、案山子とイルカ模様の正絹の忍犬用ベストと蝶ネクタイを特別に誂えたのだ。(俺は王様みたいなゴージャスなマントが良かったけど、渋い顔の忍犬達に却下された)
そして、それぞれに花やプレゼントをくわえさせ、イルカ先生に渡してもらう。
それから本体の俺はキッチンでごちそう作りだ。
これまた特注で誂えた案山子とイルカ模様のチノクロスのエプロンを付ける。
あの店にはもうデザインの仕様書があるので、注文すれば何でも作って木の葉に送ってくれるのだ。
俺が描いた左目に縦傷の入った案山子と鼻傷のあるイルカのラフ画を元に、トップデザイナーに作ってもらったキャラクター「カカシくんとイルカちゃん」。
今回は同じデザインで、任務用の外套とリュックと脚半とボクサーショーツとトランクスもプレゼントにしたし、それぞれに簡単な護身用の術式も組み込んである。特に下着類には念入りに…先生にはナイショだけど。
しかもこれらはみんな、お付き合い記念に頑張った自分へのご褒美プレゼントにした、外套やボクサーショーツともおそろいになるのだ。
あの外套の裏地には、地模様でカカシくんとイルカちゃんが織り込んであるので、とってもお気に入りだ。いつ任務でダメになってもいいよう、スペアも十着用意した。
いやぁ、ホントにいい店を見つけたなぁ。
冷蔵庫を開けると、牛肉のブロックを取り出した。
スープは昨日丸鶏から丁寧にとってあるし、牛肉も浸け込んであるから、あとは焼くだけだ。
今日は忍犬を全員呼び出すために俺の生家に来てるのでオーブンはないから、先生がお風呂に入ってる間に庭で火遁で焼いておこう。
犬たちの分もあるから、うちのフライパンじゃとてもじゃないけどムリだもんな。
忍犬達のは何も味付けをしてないので、さっと炙るくらいでいいだろう。
アスマに教わったところ、初めは強火で焼き目を付けて、あとは中火でミディアムレアくらいに仕上げるのがいいって言ってたな。
…強火ってどれくらいだろう。火遁の豪…いやプチ火球くらい?うっかり庭を焼き払わないよう気を付けなくては。
アイツ特製のマリネ液をもらったから、きっと美味いだろう。ヒゲ熊のくせに料理上手なんて生意気だ~よね。
まぁ、今回は助かったけど。
イルカ先生の料理はいつも野菜が少ないから、ここはたっぷりチーズフォンデュで摂らせよう。
前に、子供なんてチーズさえ乗っけときゃペンペン草だって食いますよ!なんて笑って言ってたけど、あれきっと自分もだよね。
ひたすら野菜の皮むきをし、薄いコンソメ味に茹でる。
ホントは和食が好きなんだけど、今日は特別な日だから。
愛情をこれでもかってくらいたっぷり込めて、イルカ先生に詰め込んでやろう。
と、イルカ先生の式が飛んできた。
「もうすぐ大門に付きます!無事です」
いつもは付けないビックリマークに、イルカ先生も楽しみにしてくれてたんだなぁ、と嬉しくなる。
帰ってきた影分身を消してケーキを冷蔵庫にしまい、忍犬達のできばえを確認してから、花や結界を張って隠しておいたプレゼントをくわえさせる。
いや、まだ早いか。風呂に入れてからまずはごちそう責めだから、とりあえず犬達は寝室で待機だ。
パックンに全員待機のハンドサインを送ると、忍犬達は花やプレゼントをくわえたままゾロゾロと寝室へ向かっていった。…みんなが呆れたような顔を見合せてたのは気のせいだろう。
あ、風呂もそろそろ沸かしとかなきゃ。
…なんだかソワソワして座ってられないんだけど。
もう報告は終わっただろうか。
急いで家に走ってくるんだろうか。
気配を探ると、こちらに向かってくるイルカ先生を感じた。
俺は小走りで玄関に行き、サンダルを引っかける。
もうすぐ。
イルカ先生が敷地に足を踏み入れる。
もうすぐ。
イルカ先生が引き戸に手をかける。
俺は両腕を広げた。
ガラリと勢いよく引き戸が開く。
「ハッピーバースデー イルカ先生!」
「うぉわ!た、だいま…です、カカシさん」
イルカ先生がビックリしてから、顔を綻ばせる。
嬉しそうな、でもちょっと照れくさそうな、色んな感情をごたまぜに浮かべて笑ってくれた。
俺は、その笑顔ごと腕の中に抱きしめる。
無事帰還した安堵と、いとおしさと、感謝と、俺を満たしてくれる全ての気持ちを込めて。
……それから。
アンタを欲する世界から、アンタが抱え込んでた世界から、アンタを隔絶するために。
「おかえり、イルカ先生」
俺だけのイルカを、この腕の中に。
【完】
スポンサードリンク