【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
↑new ↓old

しばらくはたけ家から足が遠のいていたら、任務帰りにサクモさんから式が届いた。
大門の見える森の中、白い手裏剣がシュルシュルと回りながら俺に向かってくる。

「なんだよそれ。手裏剣の式なんて珍しいなぁ」

ツーマンセルを組んでた、二つ上だけど同期の中忍が声をかけてきた。

「あぁ、ちょっとな」

サクモさんは俺が小さい頃、カブトムシやら鷹やら色んな式を作って遊んでくれたもんだ。
未だにサクモさんには俺がその頃のままに見えているんだろうか。
俺はほろ苦い気持ちで、そっと手裏剣を掴んでポーチにしまった。



次の日の昼間。
俺は四代目の家の庭で串に刺さった肉を食っていた。
本当に珍しいことに、サクモさんとカカシが同時に休みだからとバーベキューに誘ってくれたのだ。
他にもアスマ兄ちゃんやゲンマ兄ちゃんなどの待機組や、奈良のおじさんや妊娠中のクシナさんも来ている。
主催は四代目だけど、忙しいから後から合流するそうだ。
ホントは行きたくなかったけど、せっかくの四代目とサクモさんのお誘いだし、みんながいるからさすがにカカシも何もしてこないだろうと、参加することにしたのだ。

バーベキューの準備を手伝ったり、奈良のおじさんやおじさんのミニチュア版みたいなシカマル君と将棋を指したり、みんなでワイワイ騒ぐのは楽しかった。
アスマ兄ちゃんが火遁の調節を間違えて肉を炎上させた時は大笑いしちまった。しかも額宛を外してたゲンマ兄ちゃんの、自慢の髪までチリチリに焦がしちゃって、庭中を追っかけ回されてた。
カカシと並んで、クシナさんのだいぶ大きくなったお腹の音を聞かせてもらった時は、ちょっと感動した。
ここんとこずっと沈んでた気持ちが、今日一日で澄み渡るように晴れていった。大声で笑うって大事なんだなぁ。

夕方、俺が庭の水道で馬鹿デカい鉄板を洗ってると、サクモさんが隣で手拭いを洗い出した。

「…カカシとケンカでもしたのかい?」

あぁ、やっぱり気付かれていた。
はっきりと答えたくなくて、鉄板をゴシゴシこする動作に紛れて軽く頷いた。

「あの子の愛情表現はちょっと分かりにくいからね。どうか気長に付き合ってやってほしい。カカシは昔からイルカ君のことが大好きだからね」

そんなの。
俺だって。
俺だってずうっと。
ずうっとサクモさんのことを。

サクモさんの言葉で、唐突に色んな想いが溢れ出した。
今までずうっと身体の中で渦を巻きながら、膨れ上がって出口を探してたのが、喉の先にそれがあることに初めて気が付いたかのように。

「俺は!……俺は、サクモさんが、好きです」

サクモさんはほんの一瞬、手拭いを洗う手を止めたけど、俺を見て優しく微笑んだ。

「私もイルカ君が大好きだよ。君はとてもいい子だ」

それは俺の作ったメシを前にした時と、全く同じ微笑みで。
優しくて優しい……優しいだけの残酷な微笑み。
そこには熱の欠片も無かった。

―――カカシが俺を見つめる時のような熱は。





俺は挨拶もそこそこに四代目の家から逃げ帰り、布団の中に飛び込んでひたすら泣いた。
分かってたことだ。サクモさんが俺に向ける「好き」は、俺のものと全然違うってことは。
だけどそう感じるのと、その事実を目の当たりにするのとは、予想を遥かに超える違いだった。
それに思いもよらないタイミングで伝えてしまったこともショックだった。
……この痛さは全部カカシのせいだ。
カカシは悪くないけど、カカシのせいだ。
あんな真っ直ぐに気持ちをぶつけてくるから、俺まで引きずられて真っ直ぐにぶつけちまった。
サクモさんに言うつもりなんか無かったのに。
失恋するつもりなんか無かったのに。
あのままずうっと、優しくて優しいだけの恋をしてたかったのに。



いつの間にか泣き疲れて眠ってしまったらしい。
だけど起きたのは、べったりと背中に張り付いてるヤツのせいだ、きっと。

「カカ…」
「振り返らないで。そのままでいて」

声がいつもより低い。
それに身体が……
首の後ろに唇の感触があるのに、足先まで絡めて俺を抱き込んでる。
何よりガタイが違う。
これは十四才なんかじゃない、大人の体格だ。成人した男の。

「…カカシ、何やってるんだよ」
「だってイルカ、失恋しちゃったんでしょ?俺、見てたもん。…だから慰めてるの。子供の身体じゃ、小さくてちゃんと抱きしめてあげられないから……でも大人に変化したら、父さんにそっくりになっちゃったんだ」

……だから見ないで。
大人の男の低い声で、子供のようにひどく頼りなくカカシが囁く。
そしてぽん、ぽんと。
カカシの大きな手のひらが、俺の頭を優しく叩いた。それからゆっくりと、ほのかな温かさを伝えるように撫でる。
それはまるで子守唄のように俺を包み込み、また涙が溢れてきた。
でも今度はとても静かで。
燻った想いの残り火まで浄化するような、静かな涙だった。
――そして俺は、いつしか深い眠りに誘われていった。



スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。