【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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「オビト、リン……」
( …………… )
□ □ □
「父ちゃん、母ちゃん、俺…絶対上忍になるよ。二人みたいなスゲェ上忍になって、父ちゃんと母ちゃんみたいに木の葉を守るんだ」
(イルカくん…… )
□ □ □
「オビト、リン、……先生、クシナさん…」
(カカシくん……… )
□ □ □
「父ちゃん、母ちゃん、今日も任務に行ってきます!」
(イルカくん、大きくなったわねぇ)
すっかり一人前の下忍の顔になったイルカくんが、今日も私の所に挨拶をしてから出かけていく。
□ □ □
「オビト、リン、先生。俺、暗部の部隊長になったんだ。これでもっと頑張れば、いつかみんなのところに行った時、胸を張って会えるかな…」
(カカシくん…そうじゃない。そうじゃないのよ)
□ □ □
私は慰霊碑。
私の前面には、里のために亡くなった人たちの数多の名前が刻まれている。
亡くなった人たちの名前が、見送った人たちの想いを込めて一文字、一文字と刻み付けられている。
だからこうして私の所には、様々な想いを抱いた人が、様々な想いを告げていくことが多い。自分の中にぽっかりと空いた、その人の形の穴を埋めるかのように。
そして私はそれを黙って聞いている。
毎日毎日。
何年も何年も。
その中でもここ数年、特に気になる子たちがいる。
カカシくんとイルカくん。
カカシくんははたけさんのところのお子さんで、イルカくんはうみのさんのところのお子さん。
共通点は同じ忍びの家に生まれ育ったという事だけで、あとは年齢も環境も性格も全く違う。
だけど。
―――似ている。
二人の根底には、同じものが流れているのだ。
この子たちは、未だ過去に囚われている。
一見とても前向きに生きてるように見えるかもしれないけど。
「里のために」
これをお題目に唱えて自分の目的にすり替え、自分自身の人生を生きようとしていない。
こんなこと、里は望んでいないのに。
少なくとも皆の名前と想いを抱えた私は、ちっとも望んでなんかいないのに。
□ □ □
ふ、と。
カカシくんが目の前に現れた。
下弦の月を背負い、白い面を着けたまま。
だけどその身体は夜目にも明らかに深手を負っている。
カカシくんはよろりとこちらに来ると、倒れ込むように私に寄りかかった。
息が荒い。
じわじわと私の前面に血が移り、地面に流れ落ちていく。
こんな状態で、なぜ私の所になんか…
「……ける、よ」
(あぁ、誰か)
「…や……っと、み…なのそば、に…」
(お願い誰か。
誰かこの子を助けてあげて!
お願い誰か。
寂しいこの子を、寂しいまま逝かせない…)
「大丈夫ですか!」
(イルカくん…!)
「来るなっ」
カカシくんがさっきの弱々しい呟きとは別人のような、鋭い一喝と殺気をイルカくんに浴びせる。
そして私ごと結界を張って近寄らせないようにしてしまった。
「もう…いいんだ……やっと、」
ビシビシッという空気の振動が私の体にまで響く。
イルカくんが、無理やり結界をこじ開けて入ろうとしていた。
「何がい、いんですかっ…と。よし、抜けた!」
自分の手に余る結界を抜けて見るからに消耗し、犬のように息を荒げたイルカくんが駆け寄る。
「今三代目に緊急の式を飛ばしました。俺はうみのイルカ、中忍です。応急処置をさせて頂きますので失礼します」
「…余計なことをするな」
「黙って。体力を消耗しますから」
「………」
「よし、とりあえず止血はしました。今チャクラもお分けしてるので、じき体温も上がると思います。造血丸は飲めますか?あとは医療班に…」
「アンタの…あったかいね」
「大丈夫ですよ。あなたもすぐにあったかくなりますよ」
イルカくんがニコリと笑って見せた。
その言葉通り、冷えきっていたカカシくんの体温がじわりと上がって、無機質な私の表面に伝わる。
「医療班です!負傷者はこちらですか!」
慌ただしく数人の医療班に運ばれていったカカシくんを、頼りなげなイルカくんの背が見送っている。
(…大丈夫、きっと助かるから)
□ □ □
「ここで待ってれば、アンタに会えるかなと思って」
私の前に立ったイルカくんの斜め後ろに、カカシくんが姿を現した。
今日は私に語りかけた後も帰らず、そばのポプラの枝に寝そべっていかがわしい本を読んでると思ったら…イルカくんを待ってたのね。
「その面は…もうお怪我は?」
「だいじょーぶ。おかげさまでね。だから今日はお礼しに来たの」
「お礼なんて…当たり前の事をしただけですから」
「当たり前の、ねぇ。アンタさぁ、誰でもあんな風に助けちゃうの?手負いの暗部なんて敵よりタチ悪いよ?」
「里のために傷付いた方を放っとくことなんてできません」
「ふうん?」
「ですから、どうぞお気になさらずに。お元気になられて何よりです。それでは…」
「待ってよ。じゃあこれは俺からのお礼の気持ち」
「え、ぅ?んんん~!」
(カカシくん!何やってるの君は?!)
「ちょっ、なっ!あんた…?!」
「お礼にちょっとした教訓。気軽にホイホイ暗部に近付いちゃダメだ~よ。こんな風に襲われちゃうよ?」
「バッ…!そんな訳あるか!」
「あるよ。だってなんかアンタ隙があるんだもん。もっと気を付けないとダメだからね?」
「そんなんお前くらいだ!………初めてだったのに」
「え?」
「この駄犬暗部!バカヤロー!」
「…え、え?……あ、待ってよ!…って、行っちゃった。……くくっ、足早いなぁ」
(カカシくんが、笑った。
あんな楽しそうな笑顔、初めて見た…)
□ □ □
「オビト、リン……俺は、また。また守りたいものを守ることができなかったよ…俺はほんとに役立たずだ。いつまでたっても…」
………また。
「三代目…じっちゃんの火の意志は、アイツらにちゃんと受け継がれてるよ……でもさ、俺…じっちゃんに直接聞かせてやりたかったなぁ…」
またしても。
この子たちの笑顔が消えてしまった。
そして私に刻まれる名前が増えていく。
刻まれた想いも、また。
□ □ □
「ここで待ってればお会いできるかなと思いまして」
「イルカ先生」
「サスケも、ナルトもサクラも…みんな居なくなっちまいましたね…」
「…そーね。不甲斐ない先生でゴメンね」
「そんなことありません!あなたは今でもアイツらの先生ですよ…。で、言いたいことはそれだけですか」
「それだけ、って?」
「もっと他にもあるんじゃないですか?俺にはありますよ…駄犬暗部さん」
「覚えてたの…」
イルカくんはカカシくんに背を向けると私の前にしゃがみこんで、前面の文字をなぞる。
いつもとは違う場所を。
もっと真ん中の下辺りの――カカシくんの血が流れた辺りを。
あの時イルカくんは、医療班に連れられたカカシくんを見送った後、桶に汲んできた水で一生懸命に血を洗い流していた。
ぼろぼろと泣きながら、時折二の腕で目をこすりながら。
まるで綺麗に血を洗い流しさえすれば、カカシくんが助かると信じてるかのように。
「…あの時ね、カカシ先生が泣いてるみたいに見えたんですよ」
「俺が?面をしてたのに?」
「そうですね。なんででしょうね…でもそう見えたんです。一人は寂しい、って。だから誰かの…ここに眠る人の傍にいきたいって」
「…………」
「だから!この人を絶対一人で死なせちゃダメだって思って」
「………」
「それで、ずうっと気になってて!あんた暗部でその後とか分かんねぇし!」
「……うん」
「そしたらいきなりキ…するし!しかも再会したと思ったらあの子たちの上忍師だって。銀色の髪なんかそうそう居ないからすぐ分かりましたよ。それでカカシ先生、スゲェ楽しそうで!やっとあんたも一人じゃなくなったなぁって思ってて」
「…うん、そーね」
「それで…あの、ですね。カカシ先生、また一人になったじゃないですか。だから、その…ずっと考えてたんですけど…」
「うん?」
「俺。……じゃダメですか、ね」
「え、」
私に当てられたイルカくんの手の部分が熱くなる。
すごく僅かにだけど震えてもいる。
私には分かる。
(カカシくん、また苛めちゃダメ!
イルカくんは真剣なんだから真面目に!)
と。
そこに伸ばされたカカシくんの手が重なった。
細かく震えるイルカくんの手を宥めるように、ゆっくりと力をこめて。
二人分の熱がそこから広がり、冷たい私の体をじんわりと温める。
「…あったかいね。あの日からずうっと、俺はあったかいままでいられたんだよね」
「カカシ先生…」
「あの時はゴメンね。俺みたいのと関わってもロクなことないから」
「俺は!…関わっていたいんです。関わっていきたいんです、カカシ先生と。このまま何の繋がりも無くなっちまうと思ったら、もう…我慢できなかった」
「あー、もう。そんな可愛いこと言われたら、俺の方が我慢できないでしょ」
「か、可愛いっ?」
「ほら、いつまでもここにしゃがんでたら冷えますよ。もう行きましょ」
「え、行くってどこ…」
目の前で煙が上がったかと思うと、二人の姿は消えていた。
後に残るのは、舞い散る大量の木の葉。
カカシくん、余裕ぶってたけど木の葉が多すぎるわよ。
きっと緊張して力が入り過ぎたのね。
あぁほら、次に現れた子が葉っぱまみれの私を見て不審がっている。
この子は確か…
(大丈夫。あなたの子供は無事産まれる。
子供だったあなたが父親になり、
新しい木の葉の子が産まれ。
―――そうやって命は繋がっていくのよ)
□ □ □
どんな形でもいい。
里という大樹に芽吹いた木の葉の一枚一枚の子たちには、幸せであってほしい。
それが私の、ここに眠る人たちの願い。
その新しい絆が生まれたこの日の、なんて尊いことか。
私は今日を、九月二十四日をきっと何度も思い出す。
目の前でそっと繋がれた絆を。
私に伝えられた二人の熱を。
カカシくんとイルカくんが、私の前で初めて私以外と見つめあった光景を。
―――だからそんなに騒がないでちょうだい、イッカクさん。
あなたの可愛い子が、やっと家族を手に入れた日なのよ?
まだまだ家族とは言えないかもしれないけど、共に歩む人と手を繋いだ日なんだから。
奥様を見習ってほしいものだわ、まったく。
あー、ヒルゼンさんもよ。
あなたが落ち着かないからみんな騒ぎ出しちゃったじゃないの。
カカシくんとイルカくんなら大丈夫。
あの二人を信じて見守ってあげましょうよ。
今までそうしてきたように、これからもずっと。
ここに眠る人、みんなで。
【完】
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