【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
↑new ↓old
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
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「え、ダブルなんですか? ツインじゃなくて……?」
五代目代理として親書を届けがてらの公式な表敬訪問で、イルカ先生と吹雪の里に来た日の夜。
ホテルのフロントで、チェックインの手続きをしていたイルカ先生が素頓狂な声を上げた。
「誠に申し訳御座いませんが、当ホテルは全てダブルかシングルのお部屋となっております」
「え……と、それではシングルを二部屋に変えて頂けますか」
「申し訳御座いません、本日はシングルの方は満室に近い状態で……。お一つしか空きが御座いませんので、ダブルとシングルのお部屋をお一つずつという形になってしまいますが……」
少し離れた所で窓の外の雪景色を眺めていた俺は、「それで構いません」と言いかけたイルカ先生の隣に立つと、やり取りに割って入った。
「ま、いいじゃないダブルの部屋で。男同士だから問題ないでしょ」
そして忍にしか聴こえない程度の小声で、イルカ先生にすばやく囁く。
「里長が自ら予約して下さった部屋みたいだから、クレームに取られかねない騒ぎは起こさない方がいいんじゃないかな。……部屋はこのままでお願いね」
「かしこまりました。それではお部屋の方にご案内致しますので」
最後の言葉はフロントに向けて言うと、男性がホッとしたように答える。
俺も内心、ホッとしていた。
予約をしたのは里長だが、実際には俺が決めたようなものだからだ。
何度かの護衛任務などで面識のある里長に、今回の訪問はホテルを用意しておこうと言われて「こちらのスノウホワイトホテルは素晴らしいと評判ですね」と答えていたのだ。そう言えば、恐らくこのホテルの最低でもエグゼクティブかジュニアスイートを用意してくれると踏んでいた。なにしろ五代目の代理として来ているのだから。
そのクラスの部屋になると、シングルはまずない。そして俺はもちろん、このホテルにはツインルームがないことを知っていた。
たとえ繋ぎとはいえ、いずれ火影の名を継ぐことになるのは分かっていたので、俺は焦っていた。
親しい友人からなかなか進展しないイルカ先生との関係になんとか突破口を見つけておかないと、火影になってしまえばこの人は勝手にわきまえて離れてしまうだろう。
――今ならまだ間に合う。
追い詰められた俺は、木の葉を離れた場所の解放感と、美しい吹雪の里の非現実感の力を借りて、既成事実を作ってしまおうと目論んでいた。
「うわあ……綺麗ですね!」
案内された部屋に入ると、イルカ先生は開口一番に歓声を上げた。
嵌め殺しのピクチャーウインドウには、一面の雪景色の中に煌めく夜景が広がっている。ここ吹雪の里は里長が代替わりしてから、観光に力を入れていた。過酷な環境で名産物のない状況を逆手にとって、一年中雪化粧の街を売り物にしたのだ。
まるで絵本の中のような非現実的な美しい景色に、イルカ先生は子供のようにガラスに張り付いてはしゃいでいる。そんな姿を俺も、そしてポーターも頬を弛めて見ていた。
「ほらカカシさん、こっちに来て見て下さいよ!」
俺はポーターにチップを渡して追い出すように礼を言うと、イルカ先生の隣に並んだ。
「ここはあまり被害のない場所だったとはいえ、ここまで復興できるなんて凄いですね! 木の葉もきっと……」
そう呟いて雪景色を見つめるイルカ先生は、やっぱり里の事で頭の中の大半が占められている。その隙間に俺は割り込めるだろうか。
そんな事ばかり考えている俺を、貴方は軽蔑するだろうか。
こんな手段しか取れない、自己中心的で卑怯な俺のことを。
だが少なくとも若き吹雪の里の里長は、多少の理解を示してくれるだろう。先ほどもイルカ先生を見てからこちらを見て、意味ありげに会釈をしてきた。
彼が一般人の女性を口説きおとして、半ば強引に伴侶にしたのを俺は知っていた。護衛中に相談を受けて、アドバイスをしたのは俺だったから。そしてそれを民に認めさせるための成果が、この美しい夜景だったのだから。
……他人には「誠意を尽くして気持ちを伝えろ」なんて言っておきながら、自分はこれだからねぇ。
俺は秘かにため息をついた。
「ホントに綺麗だぁね。でも冷えたでしょ。先にお風呂で温まってきて」
「とんでもない! 任務中に上官を差し置いて入れる訳ないじゃないですか!」
任務中って、ほとんど観光みたいなもんじゃないの……。でも言い出したら引かない彼の性格と、任務への忠実さはよく知っているので、ここはおとなしく先に入ることにする。
たぶんこのあと、もうひと悶着あるだろう。本当に譲れないのはそっちなんだから。
風呂から上がると、案の定イルカ先生は道中使った寝袋を出して、寝る支度をしていた。
「あ、上がりましたか、じゃあ俺もサッと入っちゃいますね……ってカカシさん、それ何ですか?」
「これ、このホテルのパジャマみたいだよ」
「そんな長いシャツみたいのが? へえ~、ズボンもないんですか?」
「そうみたい。ま、部屋はあったかいしね」
「そりゃそうですけど……あぁ、カカシさん脛毛が目立たないからいいけど、俺が着たら絶対マヌケですよこれ」
そう言いながらイルカ先生が、俺の前に膝を突いてしげしげと脛を検分し始めた。
それは先生の顔と俺の股間の位置的にというか、視覚的に色々とマズイ。今はまだ警戒される訳にはいかないのだ。さりげなく備え付けの冷蔵庫に水を取りに行く素振りで、イルカ先生の視線から逃れた。
すると先生は立ち上がり、「じゃあ俺も入ってきますね」とバスルームに消えた。
それを見届けると、寝袋を元通り先生の荷物に押し込んでから、ダブルベッドの枕を少しだけ離す。そして部屋の照明を落とし、ベッドに潜り込んでイルカ先生をじっと待った。
待つのは得意だ。
でもこんなに緊張して狙った獲物を待つのは、生まれて初めてだった。
バスルームのドアがガチャリと開き、ぺたぺたという足音と「あれ、カカシさんはもう寝ちまったのか?」と独り言が聞こえる。「あっ、寝袋がない」という声が十分に近付いたところで、俺はむくりと起き上がった。
「まだ寝てな~いよ、横になってただけ。やっぱり髪の毛ちゃんと乾かさないで来たね。ほら、拭いてあげるからここに座って」
とイルカ先生の手を引っ張ってベッドに座らせる。意外にも先生は逆らわずに、おとなしく座ってくれた。
イルカ先生は髪を下ろすと、凛々しい顔つきが柔らかくなって、ちょっとあどけなさが加わる。俺とお揃いのパジャマがなんだか彼シャツみたいに見えて、余計に愛らしさを引き立てていた。
俺は襟元に覗く素肌から無理やり視線を剥がし、イルカ先生が首にかけてたタオルを取ると、髪を挟んでぽんぽんと叩いて水分を取っていく。
「そんな女じゃないんですから、ガーっと拭いてくれていいですよ」
「せっかくの綺麗な髪がもったいないでしょ。アナタはホントにガサツなんだから」
「こんな風に拭いてもらうの、子供の時以来ですよ。母ちゃんはもっと乱暴にやってましたけどね。カカシさんは優しいなぁ」
くすぐったそうに笑うから、思わず抱きしめたくなる。
でもここで想いを告げても、返ってくるのは柔らかい拒絶か、時間を下さいという言葉だけだろう。それでは困るのだ。
考える時間こそ、最もイルカ先生に与えたくないものだった。
イルカ先生の頭も身体も、俺でいっぱいになってほしい。それこそ、どんな感情でも構わない。
だから今は――
「さあ、もう寝ましょう。明日はまた忙しいでしょ」
俺は力を入れすぎないよう、でも断固とした態度でイルカ先生をベッドに引き入れた。
「え、でも俺は寝袋……」
「できる時には身体をきちんと休めるのも仕事の一部でしょ。これだけ広いんだから遠慮しないで」
「……じゃあ、すみませんけどお隣失礼します」
「うん、おやすみ」
「おやすみなさい」
イルカ先生の呼吸が深く、ゆっくりに変わった。本格的に眠りに入ったのだろう。
俺は寝返りを装って、イルカ先生の傍にすり寄った。
ふた呼吸おいて両腕を伸ばし、寝惚けたふりをしながら先生を抱きしめる。
まだ先生は目覚めない。
俺はイルカ先生の匂いを、胸いっぱいに吸い込んだ。
今ならまだ引き返せる。この腕を離せば済む話だ。今までどおり、親しい友人のまま。
でもそれが限界だから、こんな卑怯な手段でも手に入れようとしてるのだ。ズボンのないタイプのシャツパジャマに感謝しながら、掌をそっと腿に這わせていく。
――もう、後戻りはできない。
片腕と脚を絡ませてしっかりと固定してから、ゆっくりと股間の柔らかい膨らみを撫でる。形をなぞるように指を動かし、やわやわと揉みしだく。
眠っているイルカ先生の息が早くなり、んん……と小さな呻き声を上げた。そのタイミングで下着の中に手を入れ、芯を持ち始めた中心に触れた。そして今度は、快感を引き出す意図をあらわに手を動かした。
不意に腕の中のイルカ先生が、身体を固くする。ハッキリと目が覚めたのだろう。
そして何をされてるのかに気づいて、身をよじり出した。
「カカシさ……ん」
戸惑いを含んだ小さな声で、イルカ先生が呼びかける。
俺が寝惚けて女と間違ってると思ったのだろう。暴れずにそっと脱け出そうとしているのは、できれば俺が起きる前に、何も無かったことにするためか。
静かにもがくイルカ先生をしっかりと押さえつけ、握っていたモノの先端を強めに擦る。
「ぅ……ぁんっ、俺……です、イルカ、です」
分かってるよ。
だってイルカ先生以外とこんな事したいと思わない。
右手の動きを更に早めながら耳朶を柔らかく噛み、首筋に舌を這わせてしゃぶり、食んで味わう。
「カ、カ……んぁ、やめ……」
完全に硬度を持った脈打つ熱の塊に、指を這わせて擦り上げ、細やかな動きで翻弄する。
ぬるりと濡れた感触が、もうイルカ先生も引き返せないことを伝えてきて、俺はにんまりとした。
「イルカ、センセ……」
もう寝惚けたふりはいらない。
誰を相手に欲情してるのかハッキリとさせると、イルカ先生の目が真ん丸に見開かれた。
何かを言おうと開いた口に舌をねじ込んで、言葉も理性も何もかも奪い取ってやる。今はアンタの良識なんていらない。質問も拒絶も聞かない。
絶対に気持ちよくさせてみせるから。
だからお願い。俺のところに堕ちてきて。今は、身体だけでいいから。
あとから憎んでも軽蔑でも。
イルカ先生の中を、俺でいっぱいにして――。
途切れた意識を繋ぐように急激に目覚めると、イルカ先生がこちらに背を向け、胎児のように丸まって眠っている。それが全身での拒絶に見えて、伸ばす手を一瞬躊躇った。
半身を起こして顔にかかった黒髪をかきあげ耳にかけてやると、涙の跡が残る目元が見える。夕べ流した涙は、愉悦と痛みと、後は……友情と信頼を裏切られたという思いだろうか。
艶やかな髪に触れた手が離れがたく、そのままそっと髪をすく。
その頬に口づけを落とす権利も、耳元で愛を囁く権利も、今の俺にはない。
……非道い事をしてしまった。
でも謝っても後悔はしない。忍らしい策略で始めてしまったけど、目が覚めたら一番に言おう。
ずっと――ずっとこうしたかった、と。
貴方は怒るだろうか。軽蔑するだろうか。
それとも……
イルカ先生が身じろぎ、眉をしかめながら、うっすらと目を開ける。
答は、もうすぐ。
【完】
五代目代理として親書を届けがてらの公式な表敬訪問で、イルカ先生と吹雪の里に来た日の夜。
ホテルのフロントで、チェックインの手続きをしていたイルカ先生が素頓狂な声を上げた。
「誠に申し訳御座いませんが、当ホテルは全てダブルかシングルのお部屋となっております」
「え……と、それではシングルを二部屋に変えて頂けますか」
「申し訳御座いません、本日はシングルの方は満室に近い状態で……。お一つしか空きが御座いませんので、ダブルとシングルのお部屋をお一つずつという形になってしまいますが……」
少し離れた所で窓の外の雪景色を眺めていた俺は、「それで構いません」と言いかけたイルカ先生の隣に立つと、やり取りに割って入った。
「ま、いいじゃないダブルの部屋で。男同士だから問題ないでしょ」
そして忍にしか聴こえない程度の小声で、イルカ先生にすばやく囁く。
「里長が自ら予約して下さった部屋みたいだから、クレームに取られかねない騒ぎは起こさない方がいいんじゃないかな。……部屋はこのままでお願いね」
「かしこまりました。それではお部屋の方にご案内致しますので」
最後の言葉はフロントに向けて言うと、男性がホッとしたように答える。
俺も内心、ホッとしていた。
予約をしたのは里長だが、実際には俺が決めたようなものだからだ。
何度かの護衛任務などで面識のある里長に、今回の訪問はホテルを用意しておこうと言われて「こちらのスノウホワイトホテルは素晴らしいと評判ですね」と答えていたのだ。そう言えば、恐らくこのホテルの最低でもエグゼクティブかジュニアスイートを用意してくれると踏んでいた。なにしろ五代目の代理として来ているのだから。
そのクラスの部屋になると、シングルはまずない。そして俺はもちろん、このホテルにはツインルームがないことを知っていた。
たとえ繋ぎとはいえ、いずれ火影の名を継ぐことになるのは分かっていたので、俺は焦っていた。
親しい友人からなかなか進展しないイルカ先生との関係になんとか突破口を見つけておかないと、火影になってしまえばこの人は勝手にわきまえて離れてしまうだろう。
――今ならまだ間に合う。
追い詰められた俺は、木の葉を離れた場所の解放感と、美しい吹雪の里の非現実感の力を借りて、既成事実を作ってしまおうと目論んでいた。
「うわあ……綺麗ですね!」
案内された部屋に入ると、イルカ先生は開口一番に歓声を上げた。
嵌め殺しのピクチャーウインドウには、一面の雪景色の中に煌めく夜景が広がっている。ここ吹雪の里は里長が代替わりしてから、観光に力を入れていた。過酷な環境で名産物のない状況を逆手にとって、一年中雪化粧の街を売り物にしたのだ。
まるで絵本の中のような非現実的な美しい景色に、イルカ先生は子供のようにガラスに張り付いてはしゃいでいる。そんな姿を俺も、そしてポーターも頬を弛めて見ていた。
「ほらカカシさん、こっちに来て見て下さいよ!」
俺はポーターにチップを渡して追い出すように礼を言うと、イルカ先生の隣に並んだ。
「ここはあまり被害のない場所だったとはいえ、ここまで復興できるなんて凄いですね! 木の葉もきっと……」
そう呟いて雪景色を見つめるイルカ先生は、やっぱり里の事で頭の中の大半が占められている。その隙間に俺は割り込めるだろうか。
そんな事ばかり考えている俺を、貴方は軽蔑するだろうか。
こんな手段しか取れない、自己中心的で卑怯な俺のことを。
だが少なくとも若き吹雪の里の里長は、多少の理解を示してくれるだろう。先ほどもイルカ先生を見てからこちらを見て、意味ありげに会釈をしてきた。
彼が一般人の女性を口説きおとして、半ば強引に伴侶にしたのを俺は知っていた。護衛中に相談を受けて、アドバイスをしたのは俺だったから。そしてそれを民に認めさせるための成果が、この美しい夜景だったのだから。
……他人には「誠意を尽くして気持ちを伝えろ」なんて言っておきながら、自分はこれだからねぇ。
俺は秘かにため息をついた。
「ホントに綺麗だぁね。でも冷えたでしょ。先にお風呂で温まってきて」
「とんでもない! 任務中に上官を差し置いて入れる訳ないじゃないですか!」
任務中って、ほとんど観光みたいなもんじゃないの……。でも言い出したら引かない彼の性格と、任務への忠実さはよく知っているので、ここはおとなしく先に入ることにする。
たぶんこのあと、もうひと悶着あるだろう。本当に譲れないのはそっちなんだから。
風呂から上がると、案の定イルカ先生は道中使った寝袋を出して、寝る支度をしていた。
「あ、上がりましたか、じゃあ俺もサッと入っちゃいますね……ってカカシさん、それ何ですか?」
「これ、このホテルのパジャマみたいだよ」
「そんな長いシャツみたいのが? へえ~、ズボンもないんですか?」
「そうみたい。ま、部屋はあったかいしね」
「そりゃそうですけど……あぁ、カカシさん脛毛が目立たないからいいけど、俺が着たら絶対マヌケですよこれ」
そう言いながらイルカ先生が、俺の前に膝を突いてしげしげと脛を検分し始めた。
それは先生の顔と俺の股間の位置的にというか、視覚的に色々とマズイ。今はまだ警戒される訳にはいかないのだ。さりげなく備え付けの冷蔵庫に水を取りに行く素振りで、イルカ先生の視線から逃れた。
すると先生は立ち上がり、「じゃあ俺も入ってきますね」とバスルームに消えた。
それを見届けると、寝袋を元通り先生の荷物に押し込んでから、ダブルベッドの枕を少しだけ離す。そして部屋の照明を落とし、ベッドに潜り込んでイルカ先生をじっと待った。
待つのは得意だ。
でもこんなに緊張して狙った獲物を待つのは、生まれて初めてだった。
バスルームのドアがガチャリと開き、ぺたぺたという足音と「あれ、カカシさんはもう寝ちまったのか?」と独り言が聞こえる。「あっ、寝袋がない」という声が十分に近付いたところで、俺はむくりと起き上がった。
「まだ寝てな~いよ、横になってただけ。やっぱり髪の毛ちゃんと乾かさないで来たね。ほら、拭いてあげるからここに座って」
とイルカ先生の手を引っ張ってベッドに座らせる。意外にも先生は逆らわずに、おとなしく座ってくれた。
イルカ先生は髪を下ろすと、凛々しい顔つきが柔らかくなって、ちょっとあどけなさが加わる。俺とお揃いのパジャマがなんだか彼シャツみたいに見えて、余計に愛らしさを引き立てていた。
俺は襟元に覗く素肌から無理やり視線を剥がし、イルカ先生が首にかけてたタオルを取ると、髪を挟んでぽんぽんと叩いて水分を取っていく。
「そんな女じゃないんですから、ガーっと拭いてくれていいですよ」
「せっかくの綺麗な髪がもったいないでしょ。アナタはホントにガサツなんだから」
「こんな風に拭いてもらうの、子供の時以来ですよ。母ちゃんはもっと乱暴にやってましたけどね。カカシさんは優しいなぁ」
くすぐったそうに笑うから、思わず抱きしめたくなる。
でもここで想いを告げても、返ってくるのは柔らかい拒絶か、時間を下さいという言葉だけだろう。それでは困るのだ。
考える時間こそ、最もイルカ先生に与えたくないものだった。
イルカ先生の頭も身体も、俺でいっぱいになってほしい。それこそ、どんな感情でも構わない。
だから今は――
「さあ、もう寝ましょう。明日はまた忙しいでしょ」
俺は力を入れすぎないよう、でも断固とした態度でイルカ先生をベッドに引き入れた。
「え、でも俺は寝袋……」
「できる時には身体をきちんと休めるのも仕事の一部でしょ。これだけ広いんだから遠慮しないで」
「……じゃあ、すみませんけどお隣失礼します」
「うん、おやすみ」
「おやすみなさい」
イルカ先生の呼吸が深く、ゆっくりに変わった。本格的に眠りに入ったのだろう。
俺は寝返りを装って、イルカ先生の傍にすり寄った。
ふた呼吸おいて両腕を伸ばし、寝惚けたふりをしながら先生を抱きしめる。
まだ先生は目覚めない。
俺はイルカ先生の匂いを、胸いっぱいに吸い込んだ。
今ならまだ引き返せる。この腕を離せば済む話だ。今までどおり、親しい友人のまま。
でもそれが限界だから、こんな卑怯な手段でも手に入れようとしてるのだ。ズボンのないタイプのシャツパジャマに感謝しながら、掌をそっと腿に這わせていく。
――もう、後戻りはできない。
片腕と脚を絡ませてしっかりと固定してから、ゆっくりと股間の柔らかい膨らみを撫でる。形をなぞるように指を動かし、やわやわと揉みしだく。
眠っているイルカ先生の息が早くなり、んん……と小さな呻き声を上げた。そのタイミングで下着の中に手を入れ、芯を持ち始めた中心に触れた。そして今度は、快感を引き出す意図をあらわに手を動かした。
不意に腕の中のイルカ先生が、身体を固くする。ハッキリと目が覚めたのだろう。
そして何をされてるのかに気づいて、身をよじり出した。
「カカシさ……ん」
戸惑いを含んだ小さな声で、イルカ先生が呼びかける。
俺が寝惚けて女と間違ってると思ったのだろう。暴れずにそっと脱け出そうとしているのは、できれば俺が起きる前に、何も無かったことにするためか。
静かにもがくイルカ先生をしっかりと押さえつけ、握っていたモノの先端を強めに擦る。
「ぅ……ぁんっ、俺……です、イルカ、です」
分かってるよ。
だってイルカ先生以外とこんな事したいと思わない。
右手の動きを更に早めながら耳朶を柔らかく噛み、首筋に舌を這わせてしゃぶり、食んで味わう。
「カ、カ……んぁ、やめ……」
完全に硬度を持った脈打つ熱の塊に、指を這わせて擦り上げ、細やかな動きで翻弄する。
ぬるりと濡れた感触が、もうイルカ先生も引き返せないことを伝えてきて、俺はにんまりとした。
「イルカ、センセ……」
もう寝惚けたふりはいらない。
誰を相手に欲情してるのかハッキリとさせると、イルカ先生の目が真ん丸に見開かれた。
何かを言おうと開いた口に舌をねじ込んで、言葉も理性も何もかも奪い取ってやる。今はアンタの良識なんていらない。質問も拒絶も聞かない。
絶対に気持ちよくさせてみせるから。
だからお願い。俺のところに堕ちてきて。今は、身体だけでいいから。
あとから憎んでも軽蔑でも。
イルカ先生の中を、俺でいっぱいにして――。
途切れた意識を繋ぐように急激に目覚めると、イルカ先生がこちらに背を向け、胎児のように丸まって眠っている。それが全身での拒絶に見えて、伸ばす手を一瞬躊躇った。
半身を起こして顔にかかった黒髪をかきあげ耳にかけてやると、涙の跡が残る目元が見える。夕べ流した涙は、愉悦と痛みと、後は……友情と信頼を裏切られたという思いだろうか。
艶やかな髪に触れた手が離れがたく、そのままそっと髪をすく。
その頬に口づけを落とす権利も、耳元で愛を囁く権利も、今の俺にはない。
……非道い事をしてしまった。
でも謝っても後悔はしない。忍らしい策略で始めてしまったけど、目が覚めたら一番に言おう。
ずっと――ずっとこうしたかった、と。
貴方は怒るだろうか。軽蔑するだろうか。
それとも……
イルカ先生が身じろぎ、眉をしかめながら、うっすらと目を開ける。
答は、もうすぐ。
【完】
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