【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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「イルカ先生……」
「何でしょうか。今忙しいんですけど」
「忙しいって………」

メシ作ってる俺の隣に立って、俺の尻を揉んでるだけじゃないの!

そのセリフはぐっと呑み込んで、小皿に取った味見用の鶏肉を口に運ぼうとすると、横合いからかっさらわれた。
忙しいなら手を出すなよ!
尻を揉むのに集中してるかと思いきや、肉の誘惑には積極的に負けていく方針らしい。ああでも、鶏肉も尻肉も同じ肉のカテゴリなんだから、集中のベクトルは同じなのかと思い付いてため息が出た。
その感想も呑み込んで、俺の呑み込めるものは行き場のない感情だけなのかと、ラブソングの歌詞のような思いが浮かぶ。
……ん? ちょっと今の言い回し格好いいんじゃないか?

「……味はどう?」
「ひゃんとおいひいれす!」
「そう、それは良かったデスネ」

イルカ先生の口も手も止まらない。
もぐもぐもぐもぐ
もみもみもみもみ
今度は煮物の鍋から直接いった。
もぐもぐもぐもみもみもぐもぐもみもみもぐ

「あああああもうイルカ先生!」
「ふぁい?」
「肉ばっかりつまみ食いしない! あと人の尻を揉むなっっっ!」
「ふぁ~い」


………。


………………もみ。

「イルカ先生!!!」
「あ、味噌汁が沸騰しそうですよ」
「~~~~~ああもう!」

イルカ先生がにっこりと笑った。





正直、イルカ先生がこんな変わり者だとは思ってなかった。
――いや。
変わり者だとは分かっていたかもしれない。
俺みたいな取っ付きにくい事この上ない上忍とも、階級を越えて親しく友人付き合いをしてくれるんだから。
だが惚れた欲目でもカバーしきれない部分というのはあるものだ。その欲目フィルターが無ければ、ただの変質者と言われてもおかしくないイルカ先生の尻揉み攻撃には、最近本当に、心底困り果てていた。
もしかしたら勘違いしたり、深読みされているとは重々承知の上で言うが。

俺たちは付き合っていない。
ただの友人関係なのだ……少なくとも、イルカ先生側からは。

俺たちはこうしてお互いに自宅を訪れ合って、手料理をふるまう程度には仲がいい。
例の意見の食い違いの後イルカ先生が謝罪に来てくれて、俺も大人げない対応を謝罪し、和解の印に呑みに行ってから急速に親しくなっていったのだ。
その間に模範的中忍の顔はくるくると表情を変え。
気が付いたら、その表情を俺だけに向けてほしいと切望するようになっていた。
夏には七班の子供たちも交えて花火もした。
冬にはきっと鍋を囲むだろう。
俺にしてみれば、ここまで距離を縮めた人間など一人もいないんだけど。イルカ先生にとってはきっと、俺も親しい人間のうちの一人なんだろう。
俺はそのワン オブ ゼムからなんとか抜け出したいと、色々画策しているところだった。

だけど、欲しかったのはこういう特別じゃないのだ。
気軽にボディタッチをしてくれるのは嬉しいが、少なくとも尻を揉まれたいと夢見たことはなかった。



そもそも何故、イルカ先生が俺の尻を執拗に揉むようになったのか。
きっかけは本当に些細なことだった。
イルカ先生の家で晩飯を食おうと約束した日、任務で汚れた俺が『シャワーを浴びてから行くから遅れます』と式を送ったら、『よかったらうちで入って下さい』と返事が来たので厚意に甘えることにして。
風呂から出たら着替えがないのに気が付き、バスタオルを腰に巻き付けて台所にいる先生のところに向かったら、イルカ先生が「うわぁ……へぇ~!」と感嘆の声を上げながら、まじまじと俺を上から下まで眺めた。

「カカシさんって細身に見えて、すんごい鍛えてるんですね! ほわぁ、カッケーなぁ……あの、ちょっと触ってもいいですか?」

好意を持ってる相手に真正面から手放しに賞賛され、照れながらも気をよくした俺は、うっかり承諾してしまったのだ。
「それでは失礼して……」と腕から始まり、胸、腹、背中とぺたぺた触っていったイルカ先生の手が、あまりにも自然に尻まで到達した時には動揺を隠すのに必死だった。
当然バスタオルの上からだし、イルカ先生の手にはもちろん性的意味合いはない。
「へぇ~、たいしたもんだなぁ」とか「おお、ここもスゲェ」などと純粋に感嘆の声を上げながら筋肉を触っているだけだ。
だがこの頃の俺は自分の気持ちを自覚してたので、素手で撫で回されるのは、ちょっとした自制心の訓練みたいなものだった。
複雑な術式を思い浮かべながらじっと耐えてるうち、イルカ先生の手が尻から腿に移動した時はホッとしたが。
なぜかその手は尻に舞い戻ってきた。
そしてぺたぺただった手つきに力が入り、撫でるというより掴むといった感じになって。
しまいには、ぎゅむっ ぎゅむっと尻の肉を揉まれた。
さすがにこれには俺もびっくりして、思わず「ぴゃわ!」と素っ頓狂な声が出て飛び上がってしまった。
イルカ先生もつられて「ぴょえっ?」と素っ頓狂な声を上げてビクッとして、二人で猫みたいに飛び上がったことに、顔を見合わせてちょっと笑い合った。

「すみません、つい調子に乗って触りまくっちまって……」
「い~よ、そんなたいしたもんじゃないし」
「いやカカシさんのは凄くいい筋肉ですよ。無駄が一切ない実用的な筋肉で、さすが上忍ですね!」

――と、ここまでなら微笑ましいエピソードとして、心にしまっておけたのだが。

後日、たまたま受付と上忍待機所を結ぶ廊下ですれ違った時に『それ』は起きた。
同僚らしき人と並び、向こうから資料を片手に歩いてくるイルカ先生を発見して、思いがけなくも出会えた嬉しさに俺はいそいそと近付こうとしたが。イルカ先生は同僚と資料を見ながら何か話しているので、邪魔かなと会釈だけにとどめておくことにした。
すると先生が俺に気付き、「あ、カカシさん、お疲れさまです!」と声をかけてくれたので、俺も「ど~も」と軽く返してすれ違った。
そのすれ違いざまにイルカ先生のハレンチな手が伸びてきて、一瞬ぎゅむっと俺の尻を揉んだのだ。

「………っっっ?!!」

こういう時のためではないが、忍の感情抑制能力が如何なく力を発揮して、なんとか声は出さずに済んだが。
あの時は間違いなく、俺の髪は全部逆立っていたと思う。
とっさに尻を片手でガードして振り返ると、イルカ先生もこちらを見ていて、にっこりと笑顔を返して去っていった。

そう、にっこりだ。
ナルトみたいに悪戯小僧の『にしし』という笑顔ではなく、『にっこり』。まるで、こんにちはと挨拶でもするように。

それからというもの、イルカ先生は執拗に俺の尻を狙ってくるようになった。
こういう言い方だと誤解を招きかねないが、事実彼は俺の尻を狙っているのだからしょうがない。性的な意味で尻を狙ってるなら、それはむしろ俺の方であるべきだが、今のところまだそこまでの高望みもしていない。
巨乳をこよなく愛する真っ当なイルカ先生が俺を恋愛対象と見るはずもなく、大勢の友人知人の中から特別になりたいという、ささやかな願いを持っていただけなのに。
イルカ先生は俺ではなく、俺の尻を特別と認識してくれたらしい。
人目がない場所や、廊下での接触のように他人に気付かれないような状況で、イルカ先生は必ず俺の尻をぎゅむっと揉む。
居酒屋でカウンターに並んで腰掛けようとすると、すかさず椅子の上に手を置いて、座ろうとした俺の尻を揉む。
一度、あからさまに尻を向けないように、壁に背中と尻を付けてすれ違ったこともあったが。会釈だけして去っていくイルカ先生を見送ってホッと背を離したとたん、ぎゅむっとやられた。
どうやら影分身を派遣してきたらしい。わざわざ俺の尻を揉むためだけに。
影分身イルカ先生は目的を達成すると、いつもの笑顔を俺に向けてから、煙を上げて消え去った。

そういう訳で、尻揉み攻防戦は今のところなんと全敗していた。
仮にも上忍なんだから避けろというだろうが、悪戯心や殺気のない攻撃に反応するのは難しいものなのだ。
警戒してても避けられないのは、俺もどこかでこの状況を喜んでいるのか、尻を揉まれることを望んでいるのかと悩みもした。
いっそのこと「きゃあ、えっち!」とでも悲鳴を上げればいいのかと思ったが、どうもイルカ先生はそういう反応を期待している訳ではないらしい。あの爽やかな笑顔は、悪戯目的のものとはどうしても思えなかった。
単に俺の尻を揉み、にっこりと笑いかけて満足している。
それがあまりにも当たり前のように、挨拶とでもいうように揉んでくるので俺も毒気を抜かれるというか、なんとなく聞けないままでいた。
――イルカ先生はなんで俺の尻を揉むの? と。





次の休みの日、俺は演習場にいた。
忍犬たちと鶴翼砂塵の術という、新しい連携術の練習をするためだ。
この古めかしい名前はパックンが付けてくれたのだが、いかんせんこの術は全員土埃まみれになるので、この後の全犬洗いまでたっぷり時間が取れる時じゃないとできない。
陣形とタイミングの確認をして何度も演習を繰り返した後、演習終了を言い渡して皆で草地に寝そべった。

程よい疲労感と晴天下の開放感と、ここならイルカ先生の尻揉み攻撃に見舞われる心配もないという安心感と。
そして今日は受付の後中忍の飲み会だと言ってたイルカ先生と会えないという寂しさから、ため息が漏れる。

「なんじゃ、悩み事か」

大の字になった俺の顔をパックンがぺろりと舐めた。
ため息一つで主人の機微が分かるとは、さすがはパックン。色恋沙汰の相談をするのも主人の沽券に関わるとは思うが、さすがに参っていたので有り難く相談に乗ってもらうことにした。

「……ふぅむ、要するに何故イルカ先生とやらがお主の尻を揉むのか、理由を知りたいのじゃな」
「嫌がらせにも悪戯にも思えないし、かといってセクハラっぽい感じもしないんだよね」
「人間同士のコミュニケーションに尻揉みなぞあったかのう……」

パックンと二人(?)でうんうん悩んでると、他の忍犬たちも面白そうな匂いを嗅ぎ付けて集まってきた。

「そいつに尻の匂いを嗅がれてるのか?」
「強そうな匂いする?」
「匂いは嗅がれてないよ。尻を揉まれてるだけ」
「分かったワン! 匂いを嗅ぐ代わりに揉んで、オスかメスか調べてるんだワン!」
「人間はオレたちみたいに鼻が利かないからな~!」
「イルカ先生は俺がオスって知ってると思うよ」
「じゃあ美味しいオヤツをくれって言ってるんじゃないかなぁ」
「きっとそうだワン! 人間同士で口を舐めるのは番だけだろ? だからカカシの口を舐める代わりに尻を揉むんだワン!」
「でもオレたちが舐めるのはオヤツが欲しい時以外もあるぞ。カカシ落ち着けよって言ってるんじゃないか?」
「それか甘えたいとか? カカシに遊んで欲しいんだよ」

八匹の犬たちが一生懸命にアドバイスしてくれるのは嬉しいが、やっぱりどこか的外れなのはしょうがない。
苦笑しながらみんなを順番に撫でていると、オレもオレもとたちまち犬の山に埋もれてしまった。
胸の上に陣取って俺の顔をペロペロ舐め回していたシバが、ふと動きを止めて首を傾げた。

「カカシはこんな風に舐められるのは嫌か?」
「そんな訳ないでしょ。親愛の表現なんだから嬉しいよ」
「じゃあ、イルカ先生に尻を揉まれるのは?」
「う~ん、嫌……ではないかな」
「それなら揉まれてもいいじゃん。なんで理由がいるの?」

するとみっちり詰まった犬山に顔を突っ込んできたパックンも、重々しく頷いた。

「ワシもそう思うぞ。カカシよ……お主の知りたいのは尻を揉む理由か? それともお主の尻を揉みたがる、イルカ先生の気持ちか?」

俺はパックンの言葉をよくよく考えてみた。
そして考えた結果、やっぱりイルカ先生に聞いてみようと結論を出した。





その日の夜中、俺は中忍寮への帰り道でイルカ先生を待ち伏せていた。
前の中忍の飲み会の時に居酒屋で居合わせて一緒に帰ったことがあったので、たぶんかなり呑んでいるだろうと思っていると、果たして鼻唄を歌いながらよろよろと歩いてくるイルカ先生が街灯の下に現れた。
こんな状態では質問にちゃんと答えてくれないかもしれないが、酔って本音を聞けるかもという期待もあった。

「あれぇ、かかっしゃんじゃないれすかぁ!」

俺を見付けたイルカ先生が、ご機嫌な様子でよろよろと近付いてくる。
口調からしても、案の定かなり酔っているようだ。そして俺の目の前に立つと、むふんと笑って尻に手を伸ばしてきた。
酔っているせいか、今日は小細工なしの真っ正面からの尻揉み。
ぎゅむっ ぎゅむっ ぎゅむっといつもよりしっかり揉んでいる腕を俺が掴むと、イルカ先生が「なんだ?」とでもいうように見上げてきた。

「……ねぇイルカ先生、なんで俺の尻を揉むの?」

酔っ払った頭にも届くよう、簡潔にゆっくりと訊ねる。
怒ってる訳ではないと伝えるためにも、口布を下ろし笑みを浮かべて。
だがイルカ先生の頬はたちまちぷうっと膨らみ、唇がきゅっと尖った。

「俺のことぉ、誰の尻でも揉むようなぁ、尻軽男らと思ってたんれすかぁ?」

それはちょっと尻軽の使用法が違うんじゃないかな。
むしろ俺が誰にでも尻を揉ませる場合に使った方が正しいと思います。
というか、俺の質問からだいぶずれた答だよね……分かってはいたけども。

「しょれともぉ、かかっしゃんはぁ、俺以外にも尻を揉ませるようなぁ、尻軽男なんれすかぁ?!」

そう、そういう風に使えば、まだ意味合いが近い……
じゃなくて!!

「こんなことイルカ先生にだけしか許してないよ!」
「良かったぁ、しょうれすよね!」

イルカ先生がいつものように、にっこりと爽やかに笑った。

「らってかかっしゃん、俺が尻を揉むと……すっごくかあいい顔するから」

………………はい?

「俺がぁ、初めて尻を揉んだ時ねぇ、かかっしゃんちょっと緊張してぇ、しょれからねぇ、すんげぇかあいい声で『ぴゃわ!』って言ってましたよねぇ。あれが忘れられなくてぇ。ああ、俺らけがかあいいかかっしゃんを知ってるんらって思ったら、もう、こう……堪ららくなっちゃってぇ」

そう言ってイルカ先生は、にへぇっと笑み崩れた。
この上なく幸せそうな顔で。
じゃあ、あの爽やかな笑顔は、挨拶じゃなくて……

「独占欲が満たされた、から?」
「そおれぇす! シャリンガンのカカシは強くてカッコいいけどぉ、かあいいかかっしゃんはぁ、俺だけのもんなんらぁ」

イルカ先生はそう宣言すると、ふうっと大きくため息をついた。

「れもぉ、かかっしゃんがイヤならやめます。らって、俺……嫌われたくない」
「嫌じゃないよ! なんで俺の尻を揉むのか知りたかっただけ!」
「じゃあ、かかっしゃんの尻を揉んでいいのはぁ、俺らけ?」
「イルカ先生だけだよ!」

…………あ。
つい尻揉みを許可してしまった。

だが好きな人にこんな風に独占欲を見せ付けられて、ノーと言える男がいるだろうか。
その独占欲が涌き出る根源の気持ちを、イルカ先生はまだ自覚してないみたいだけど。それはきっと、俺の胸にじんわり広がるこの温かさと同じような気がする。
言いたいことを言って安心したのか、俺の肩にぽすんと頭をもたせかけて、すよすよと寝息を立ててるイルカ先生を俺はぎゅうっと抱きしめた。
そしてそのまま瞬身して、イルカ先生の寝室へと飛ぶ。
起こさないようにそっと額宛を外し、髪をほどいてベストを脱がせて先生を布団の中にしまうと、胸の辺りをぽんぽんと優しく叩いた。するとイルカ先生がうっすらと目を開ける。

「かかっしゃ……?」

俺は安心させるように微笑み、イルカ先生の頬を、鼻を、ペロペロと舐め回した。
忍犬たちが俺によくやるように。
イルカ先生は怪訝な顔で俺を見ていたが、その焦点が徐々にぼやけ、また安らかな眠りに戻っていった。

明日の朝目覚めた時に、イルカ先生はこのことを覚えているだろうか。
そしてこのことに、どんな意味があるんだろうと考えてくれるだろうか。
……そうであるといい。
俺がイルカ先生がなんで尻を揉むのか散々悩んだように、イルカ先生も俺がなんで先生の顔を舐め回したのか、色々と悩んでくれるといい。
イルカ先生は堪え性がないから、きっとすぐに聞いてくるだろう。
でもすぐには教えてあげない。
今までイルカ先生が尻揉み攻撃をやってきたように、今度は俺が顔舐め攻撃をしてやろう。俺はなかなかの忍スキルを持ってるから、そう簡単には避けられないんじゃないかな。
それでいっぱい考えて、いっぱい悩んで。
その頃にはイルカ先生にも、俺の答を受け止める気持ちの準備ができてると思うんだよね。

――ねぇイルカ先生、覚悟してね?

俺は先生の寝顔に心の中で話しかけると、くふふと笑った。





【完】

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