【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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あ~、まただ。
またヤツの気配がする。
中庭のベンチで一人さみしくコンビニ弁当を食ってた俺は箸を止めて辺りを見回したが、あちこちにポプラや銀杏、桜の木があるだけで見渡す限り人の姿はない。
だがヤツはいる。
絶対にいる。
本気で身を隠すつもりがあるなら真後ろに立ってても、なんなら真ん前に立ってても気付くことはないだろう。ヤツにはそれだけのスキルがある。
だが散々ストーキングされ続けた俺には、ヤツ相手に特化したセンサーがあった。
この揺らぐようなごく薄いチャクラは、声をかけてもいいのか迷ってるといったところか。
俺はため息をついた。
すると薄い気配がびくりと揺れ、とたんに完全に消えてしまった。
まったく、なんでこんなに手がかかるんだ。
俺は口の中の焼き鮭をごくんと飲み込むと、宙に向かって声をかけた。
「カカシさん」
「はい」
音もなくベンチの前にカカシさんが立っている。
どこかから現れたのでも降り立ったのでもなく、まるで俺がベンチに座った時からずっとそこにいたかのように。
改めて目の前の男の能力に舌を巻くが、それを駆使したストーキングに悩まされ続けてきた身としては素直に褒める気にはなれない。
それでも俺は尻をずらして隣を空けた。
「昼飯はまだですよね。一緒に食いましょう」
「ぇ、た……たまたまたま通りかかっただけだし!」
たまが多すぎだろ。
だいたいな、わざわざ人が飯食ってる時に来てるんだから、そのつもりでいたんじゃないのか。
手甲から伸びた白い指を超高速で動かして口ごもっているが、何も術が発動しないところをみると、どうやらヒナタがよくやるみたいにもじもじしてるだけらしい。
「何も持ってないなら買ってきたらどうですか。待ってますよ俺。あ、それか食いかけで良ければこれを半分に……」
「ううん大丈夫! ちゃんと持ってきたから!!」
カカシさんは慌てて巻物ホルダーから巻物を取り出すと広げて、今度は本当に印を組み「口寄せ!」と噛み切った親指を押し当てた。
するとぼふんと煙が上がり、垂れ耳の犬が一匹現れた――手裏剣柄の風呂敷に包まれた弁当箱をくわえて。
それを受け取ったカカシさんが「ありがと」と言うと、犬はちらりと俺を見てからまた煙を上げて消えた。まさか弁当のためだけに忍犬を呼び出したのか。垂れ耳の犬は何か言いたげな目をしてたが、声をかける前に消えてしまった。
ほわほわと漂う煙の名残を目で追ってると、目の前からも何か言いたげなもじもじが押し寄せてくる。こんなに重圧を感じさせるもじもじもすげぇな。これは何かの術の応用なのかなと感心したが、さっさと座ってくれないと昼休みが終わっちまう。
空けたスペースを叩いてどうぞと促すと、カカシさんは俺の手を避けるようにベンチの反対側の端っこの方にぎゅうぎゅうと座った。
なんなんだこの距離は。
そんなに俺から離れて座りたいのか。
俺のことが嫌いなのか。いや、それはあり得ないと思うけど。
だって俺たちお付き合いしてるからな!!!
自分でもこんなストーカー上忍と付き合うなんて、何を血迷ったかと思うけどな。
もしかしたら俺に対するこの捨てられた仔犬感に、じわじわと毒のようにやられたのかもしれないけどな……。
付き合い始めてからもう半年近くになるのに、カカシさんは未だに打ち解けてくれない。
俺をストーキングしてた期間の方が遥かに長いし、風呂を覗かれたり夜中にふと目覚めるとじっと見下ろされてたり、その頃の方がむしろ物理的に距離は近かった気がする。
とにかく男がいったん付き合うと決めたんだから、ストーカーでも上忍でもコイツは俺の恋人なんだ。
恋人なら恋人らしく、恋人っぽいことをするべきだろう――たとえば、中庭でランチデートとか。
「あなたのために早起きして作ったお弁当なの。美味しくないかもしれないけど」とか「これがイチオシだか食べてみて! はい、あ~ん」とか……。
一瞬だけ妄想彼女との妄想デートにトリップしてから、目の前の現実に戻る。
「……あの、じゃあ食いましょうか」
「………はい」
すると膝の上が急にずしりと重くなる。
見下ろすといつの間にか俺のコンビニ弁当が、どっしりした風呂敷包みにすり替わっていた。
「何ですか、これ」
「その……イルカ先生に食べてもらいたいな……って思って、今朝作ってきたから」
じゃあ初めから昼飯一緒に食おうって言えよ! 俺が誰かと飯食いに行ったら、この立派な弁当はどうするつもりだったんだ!
……あ~、でもそっか。それが言い出せなくてずっと隠れてたのか。さっきの忍犬もなかなか呼び出されなくて焦れていて、それがあの物言いたげな目だったのかもしれない。
そう考えるとカカシさんも、可愛いところもあるような気がしないでもなくもない。
そう思ってもこの微妙な空気を打破するような気の利いたことを言えるはずもなく、俺たち二人はたまたま相席になった気まずい他人同士のようにもそもそと弁当を食った。
とりあえず美味い。
何これすんげぇ美味い。箸が止まらん。
「これ全部めちゃくちゃ美味いですよ! すごいですねカカシさん!」
するとカカシさんがほにゃりと笑った。
「良かった。イルカ先生に喜んでもらおうと思って、好きな物ばっかり作ったから」
そうか、俺のことを思いながら作ってくれたのか。
カカシさんの顔は額宛と口布で5分の一くらいしか見えないが、その全てが嬉しいと伝えてくる。
うん、やっぱり可愛い人だ。
俺のために早起きして作ってくれたところは、さっきの妄想彼女と同じだ。いや、苛酷な任務の後に早起きして作ってくれただろうことを思うと、妄想彼女なんぞより遥かに上回る。
シャイで健気で可愛い恋人。
違うのは俺と同じゴツい男ってことだけだ。
今まで一度たりとも食べ物の好みを聞かれたことなんかないが、そこはお互いのために追及しないでおこう。ストーカーを恋人にすると、こういうところが便利なんだなぁ。
だが、いい加減このままじゃいけない気がする。
俺からもっと歩み寄らないと、カカシさんとは永遠にこのベンチの空いた距離のままで終わってしまうんじゃないだろうか。
「あのですね、今度デート! しましょうか!」
「でっっっデデデデートっっっ⁉」
カカシさんが座った姿勢のまま三十センチくらい飛び上がった。さすが上忍、すげぇ身体能力だな。
髪の毛も心なしかさらに逆立ったように見えるが、これは気のせいかもしれんな。いつもこういう髪型だもんな。
「そうです、デートしましょう」
「デデデデートって木の葉噴水広場で待ち合わせて、お揃いのTシャツとか着て、水族館のイルカショーを最前列で見てたらイルカ先生の白いTシャツが濡れて乳首がちょっと透けちゃって、映画館のカップルシートで忍の恋人を観て、カフェ ド コノハで森の妖精のキャラメルパンケーキを一口あ~んってしてあげたりする、そんな感じの?」
「………ええ、まぁ、そんな感じのです」
ずいぶん具体的なデート例だな。
ていうか今まで何も言ってこなかったけど、やっぱり色々考えていたのか。
若干痛々しいプランだし、何回分かのデートが凝縮されてるし、下心までうっかり漏れてるがデートプランには変わりない。
とりあえず二人でスケジュールをすり合わせ、カカシさんの強力なプッシュもあって初デートは水族館に行くことに決まった。
「じゃあちょっと先になっちゃいますけど、来週の土曜日に」
「ん」
言葉少なに返事をしたカカシさんの目尻は、喜びのあまりかほの赤く染まっていた。
そしてデート当日。
水族館は里外にあるので、俺たちは各々であらかじめ里を出る申請を出しておいた。目的地も理由も同じだから、庶務の人は今頃何か察してることだろう。
そういやお互い忍服じゃない姿で外で会うのは初めてだなと思うと、カカシさんじゃないけどなんだかそわそわしてくる。まぁ、なんと言うか、カカシさんがうっかり下心を漏らしてくれたおかげで、いつもの白いTシャツを着るのは回避できた。
今日は貴重な休日デートを丸一日満喫するために、朝の七時に待ち合わせだ。
場所はもちろん木の葉噴水広場の前。
朝から初デートにふさわしい快晴で、晴れて良かったなぁなどと空を見上げるが、肝心のデート相手が来ない。絶対に俺より早く来てると思ってたんだが、何か突発の任務でも入ったのだろうか。
三十分くらい経ったところで、その可能性に確信を持ち始めた。
一時間が過ぎると、式も何も連絡がないことに不安を覚える。何か不測の事態でも起きたんじゃないだろうか。たとえば怪我とか。カカシさん、と小さく呼んでみてもやはり返事はない。
待ち合わせから二時間近くも過ぎるとさすがに落ち着かなくなってきたが、任務中かもしれない相手に式を送るわけにもいかない。何か情報がないかといったん受付に顔を出してみようかと思い始めた時、不意に目の前にぼふんと煙が上がった。
「ごめ……なさ……ちこく」
マントに身を包み、面をした人が息を切らせながらいきなり謝り出した。
「カカシ……さん?」
「あっ、そう……俺。あの、ごめんね遅れて。昨日の夜に終わるはずだったんだけど、すぐ次のに呼び出されて。間に合うと思ったんだけどね、ちょっとしくじっちゃって病院に寄ってて、先生に連絡しなきゃって焦って式を送ったら、間違えて後輩に送っちゃって後輩が……」
「カカシさん怪我は⁉」
さっきからうっすらと漂う血臭には気付いていたので、慌ててマントをめくろうとするとスッと避けられた。
「ううん、俺じゃなくて仲間だったから……あの、ごめんね、こんな汚い格好で……せっかくのデートなのに」
「いいんですよそんなの! 仲間の方は大丈夫なんですよね。じゃあ一回戻って着替えてから……カカシさん⁉」
カカシさんがふらりと倒れかかってきた。
それなのに俺を汚すまいという気遣いなのか、無理やり体をひねって俺を避けて倒れようとするので、素早く移動してカカシさんを抱き止めた。
「あー、ちょっとチャクラが……」
「アンタ何やってんですか! デートなんかしてる場合じゃないだろうが!」
「ん、ごめ……だってせっかくの初デート」
任務を二つ掛け持ちした上に、きっとヤバいことになってチャクラをたくさん使って仲間を助けながら完遂してきたんだろう。それでもデートをしたくて急いで待ち合わせ場所に……。
「デートはいつでもできますから。楽しみが先延ばしになっただけじゃないですか。ね、また今度にしましょう」
俺は子供に言い聞かせるように優しく語りかけるとぽんぽんと背中を叩き、カカシさんを抱えて瞬身の印を切った。
カカシさんは入院するほどのチャクラ切れではなさそうだったので、場所を聞いて自宅とおぼしきマンションに連れ帰った。
さすがに一度の瞬身ではぐったりした大人一人を運び切れず、何度か繰り返して辿り着いたそこに鍵を借りて中に入る。
その間もしきりに謝り続けるカカシさんをなだめ、部屋に入ってから着替えさせようとすると拒否された。
「だって……その、困る、から」
「何か見られるとまずい装備があるんですか?」
「そうじゃなくて、イルカ先生に服なんて脱がされたら、え~と……ムラムラしちゃう?」
「チャクラ切れのくせにバカなこと言ってんじゃねぇ! ほらさっさと脱ぐ! そんでさっさと寝る!」
まだグダグダもじもじしてるカカシさんを一喝して面とマントを引っぺがすと、色濃い隈のできた顔と前面が赤茶けたプロテクターが現れた。
さっき感じた血臭を遥かに上回る量だが、きっと里内の待ち合わせ場所に来るために消臭薬をかけてきたんだろう。
カカシさんが気まずそうな顔をしたのでそのことには一切触れず、暗部の装備をパパっと外すとインナーとズボンをぐいぐいと脱がせてベッドに放り込む。
やけに脱がせにくいと思ったら、暗部服は黒いせいか分からなかったが血塗れだったようで重い。固まりかけてがびがびの服をまとめると、小脇に抱えた。
「服は廃棄処分でいいんですよね。装備は一応このままにしておきます。夜になったらまた来ますから、鍵はこのまま借りていきますね。もし来なくても良いようなら式を下さい。……さ、今日はゆっくり休んで下さいね」
手裏剣柄の布団に鼻先までもぐり込んだカカシさんは目を合わせず、返事もなかった。
俺はにこりと微笑みかけ、布団の上からぽんぽんと胸の辺りを叩くと、カカシさんが目を閉じたのを確認してからそっとマンションを出た。
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