【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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「イルカ先生、遅いと思ったらこんなとこでしゃがみこんで。どうしたの?」
波間を跳ねるイルカのイラストの入ったエプロンを着けたカカシが、イルカの横に立った。
イルカは縁側の正面の花壇の前で何かを検分していたようだったが、後ろを振り仰いだ。
「ここ、初雪草があったはずなのに、丸ごと無くなってるんですよ。ほら、穴が空いてる」
「ああ、いのから貰った?」
「そうです。夏の植物なのに初雪草って涼しげでいいでしょって。先生もせっかく庭付きのお家に住むなら、庭で楽しめるものを植えなきゃねってくれたんですけど」
「抜かれてるのはこれだけ? ちょっといい?」
カカシは厳しい顔つきになり、イルカの横にしゃがみこんで穴の周りの土に手を置いた。
「結界をすり抜けてこれだけ抜いて行くなんておかしいな。しかも土が周りに零れ散ってない。これは抜いたっていうより、地中からそのまま抜け出したみたいだな……ん?」
穴の周囲をつぶさに見ていたカカシが、一枚だけ落ちていた初雪草の葉に気付いて拾い上げた。
それをためすがめつすると匂いを嗅ぎ、う~んと唸る。
それから道路と隔てる生け垣の方をじっと見つめると、「ああ、そういうこと」と呟いた。
「イルカ先生、初雪草ってこれだよね?」
「あっ、そうですけど、あれ? こんな緑の線なんて入ってなかったけどなぁ」
「だろうね。どうやら初雪草は厄介な奴に見初められたらしいよ」
「初雪草が見初められた? 俺たちを狙った侵入者じゃないんですか?」
カカシは葉の根元を持ってくるくると回しながら苦笑した。
「侵入者は侵入者だけど、この世ならざる者……物の怪だね。葉に残されたこの気、任務でもたまにこういう物に遭遇することがあるから。あの葉っぱ、綺麗だったからねぇ」
「ああ、受付でも聞きますよ。そっか、物の怪かぁ。いのには何て言おうかなぁ。本当は枯らしたんでしょって絶対怒られる」
心底参ったという顔で頭を抱えたイルカに、カカシは声を上げて笑った。
「それなら俺からも言っとくよ。さ、ごはんが冷めちゃうからもう入ろう? ケーキもちゃんと買ってきたし、後でプレゼントも見てね」
カカシはイルカの肩を抱き、母屋へと促して立ち上がった。
ごはん、ケーキ、プレゼントの三点セットに、イルカはとたんに目をきらきらと輝かせた。
「そうですね! へへ、楽しみだなぁ」
花壇に背を向け、そわそわと走り出しそうなイルカの様子にカカシは目元を和らげる。
並んで歩き出してから、一度だけついと振り返った。
あの強固な結界を抜けるには、たとえ物の怪といえども相当な力を使ったはずだ。
それに葉に残された気からは、色濃い妖気が感じられた――とても植物のものとは思えないほどの、恐らくは初雪草の有り様を根底から変えてしまったであろう強い妖気が。
物の怪はきっと、そうしてまでも初雪草が欲しかったのだろう。
――分かるよ。俺も同じ状況なら、きっと同じ事をする。
カカシは隣で漂う匂いを嗅ぎながらメニューを一生懸命当てようとしているイルカを、ぎゅっと抱き寄せた。
その力が強すぎたのか、イルカが少し驚いたように見返す。
そしてカカシの目の中に何かを見たのだろう、一瞬真剣な表情になってからぱっと微笑んだ。
それは闇に染まり始めた庭を明るく照らすような笑顔で。
カカシはその笑顔が自分に、今この時、自分だけに向けられていることに奇跡のような感謝の想いを抱いた。
溢れる感情にたまらず抱き寄せると、がっしりと抱き返される。
「カカシさん」
柔らかく優しい唇が紡ぐのは、自分の名。
見知らぬ物の怪もこんな気持ちを知れただろうかと片隅で思いながら、カカシはその唇に唇を合わせた。
誕生日を祝福する言葉を共に乗せて。
【完】
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