【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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イルカが父王との話し合いを終え宮廷の娯楽室を通りかかると、きらびやかに着飾った騎士が二人出てきた。
「まったくカカシにも困ったものだ。貴婦人達を置き去りにして、どこへ雲隠れしたのやら」
「顔隠しゲームなど気軽にやればいいのに。ユウヒの御令嬢の膝に顔を乗せるくらい、どうってことないだろう。貴婦人達のお相手を務めるのも騎士の立派な責務だというのに、毎度毎度…」
「私には心に決めた花があるので、などと言うから貴婦人達が余計に騒ぐのだろう。あれだけの美貌で近衛隊長だからな。…これはイルカ王子殿、ご機嫌麗しゅう」
イルカに気付いた二人が足を止め、脇に避けて頭を下げる。
イルカも軽く会釈を返すと、話題に出ていた名に胸をざわめかせながら、行き先を中庭に変更した。
色とりどりの薔薇が咲き誇る中庭に足を踏み入れ、迷路のように設えられた道をイルカは躊躇わず進んでいく。
薔薇の迷路は第一王子であるイルカの為に、庭師のテンゾウが丹精込めて作り上げたものだ。
中心地への正しい道のりはイルカとテンゾウと、あとはイルカが自ら手を引いて連れて行った彼一人しか知らない。
ここは、かつてはイルカが一人になりたい時のお気に入りの場所だった。
今は薔薇の迷路の奥に、二人だけの秘密の想いを隠している。…テンゾウは恐らく気付いているだろうが。
ちょうど中心にあたるところは、小さなガゼボ(四阿)になっていた。
その十字架を戴く尖った屋根の下に、イルカの尋ね人がベンチにゆったりと寝そべっていた。
白銀の髪が穏やかな夕陽を受けて煌めく様は、そこだけ宗教画のようだ。だが今は怠惰な猫の如く、惰眠を貪っている。
その閉じられた左の瞼には縦に大きく傷が走っているが、決して造詣の美しさを損なうものではなかった。
「…思索の時間のお邪魔ならば退散致しますよ、イルカ殿」
目を閉じたまま男が問いかける。
イルカは悪戯っぽい顔でクスリと笑うと、男の側に立った。
「いえ、お美しい貴婦人の膝を断って、己の腕を枕にしてる愚か者の顔を見に来たのですよ、カカシ」
カカシは目を開けると、熟練した武芸者の隙の無い動きで立ち上がり、マントの裾を払うと恭しく頭を下げる。
「私の求める花は大輪の薔薇ではないのです。凛と立ちながらも淑やかに頭を垂れ、清楚な中に艷やかな香りで私を誘ってやまない、一輪の白百合だけなのですよ。それがどなたのことか……」
そう言いながら頭を上げたカカシの瞳には、沈んだ紅い焔が宿っている。
「…貴方は分かっているはずです、イルカ殿」
飄々としたカカシの纏う空気が一変した。
イルカの腕を掴んで引き寄せると、片手で頭を抱えて荒々しく口づけをする。
「んんぅ……っ」
カカシを押しやるようにしていたイルカの両手が、口づけが深くなるにつれ、次第にしがみつくように変わっていく。
湿った音を立ててイルカの口の中を堪能していたカカシが、名残惜しむように幾度か唇を啄むと、顔を離してイルカの黒い瞳を覗き込んだ。
「イルカ殿…第一王子を廃嫡し、王位継承権を捨てて第二王子のナルト殿に譲り、修道院の協力の許に街で子供の為の学校を作るそうですね」
「なぜそれを…!」
「以前から王に相談されていたのですよ。そして昨夜、内々ではありますが近衛隊長を辞させて頂きました。ですから私はもう国王の騎士ではないのです」
「ど…うして……」
イルカは目を見開き、呆然と呟いた。
「例え王位継承権を捨てたとしても、いずれ貴方を政治の駒として使おうとする不届き者がいるかもしれないでしょう。或いは…命を狙う者も。それは国王の本意ではないので、私が常にお側で護衛に当たります。その為には近衛隊長の座は邪魔なだけですから」
カカシは何か吹っ切れたように、爽やかに微笑んだ。
「もう逃がしませんよ。ですから私を諦めるのを諦めて、どうか貴方のお側に置いて下さい」
カカシは柔らかい芝の上に膝を突くと、頭を垂れてイルカに乞い願った。
「どうか私に刀礼の儀式を」
イルカは驚いた。
刀礼の儀式とは騎士の叙任式の事で、本来ならば教会で国王か司祭が行うべきものだ。例え戦場で簡略化した儀式を行うとしても、それは主君だけが執行できる。
それは神に奉仕する全ての者を守護する事を神に誓い、主君に忠誠を誓った一人前の騎士として認められる為の、神聖な儀式なのだから。
「カカシはとうの昔に済ませたではありませんか!」
「私はイルカ殿、貴方に忠誠を誓いたいのです。国王ではなく、貴方だけに。ですから今の私の刀礼の儀式を執り行えるのは国王でも司祭でもなく、貴方だけなのですよ」
カカシは腰に帯びていた剣を鞘ごと外し、両手で捧げ持った。
「さぁ、イルカ殿。私の命と誓いをお受け取り下さい」
カカシの覚悟の重さに圧され、イルカは一歩後ろによろけた。
だがその足を踏みしめると姿勢を整え、目を閉じて天を仰ぐ。
(神よ、この者の輝かしき人生を滅茶苦茶にしてしまう、
私の罪深い想いをお許しください。
……あぁ、それでも私は魂が震えるほど嬉しいのです…!)
そして何かを祈るように呟いてから開いた目には、静かな決意が宿っていた。
そしてカカシを真っ直ぐに見下ろし、厳かに両手で受け取る。
―――剣と、その覚悟を。
イルカが剣を捧げ持ち、跪くカカシに刀礼の儀を問う。
「貴方に神に仕える覚悟はおありか」
「この胸に確かに」
「貴方に…私の許に仕える覚悟はおありか」
「この胸に確かに」
カカシに向けて発するイルカの詞の語尾が、僅かに震えている。
イルカは鞘から剣をすらりと引き抜いた。
そしてカカシの無防備に差し出された項に当てる。
「ならば我が名とこの剣を以て、神の御名の許に我が騎士となる事を許す」
「有り難き幸せ」
イルカは剣を鞘に納めると、立ち上がったカカシの腰に佩かせてやった。
そして胸に拳を当てて俯いたカカシの額に、祝福のキスを贈る。
「これで私は貴方だけの騎士だ」
ゆっくり顔を上げたカカシが、熱を帯びた声で囁く。
「……後悔するかもしれませんよ」
カカシを見つめるイルカの目が潤み、黒曜石のような煌めきを帯びる。
カカシは一瞬、痛みに耐えるような顔をすると、イルカを力強く抱き締めた。
「悩み苦しむ貴方と共に居られなかった事こそが、私の後悔でした。なぜ私にただ一言、共に在れと仰ってくれなかったのですか…!貴方のお側に置いて頂く事を許された今、何の後悔がありましょう」
イルカがカカシの背中にゆっくりと腕を回し、しっかりと抱き返した。
「ならばこの先も私の側に居なさい。私より先にその命果てる事は決して許しません。私と共に在り、共に果てる事を誓いなさい」
「神の御名に誓いましょう。我が白百合の主よ」
イルカの頬に幾つもの滴が零れ落ちる。
カカシはそれらを唇で優しく受けると、イルカの艶めく黒髪を撫で、額にそっと口づけを落とした。
「カカシ…お前は本当に愚か者だ」
「ですが幸せです。愛に生きる者は、愚かですが幸せなのです」
薔薇が宵闇に染まり始めた中庭に、終課の祈りの時を知らせる教会の鐘が鳴り響く。
…まるで、二人の新たな門出を祝福するように。
作画 Papersong Bubbles ichkaさん
「まったくカカシにも困ったものだ。貴婦人達を置き去りにして、どこへ雲隠れしたのやら」
「顔隠しゲームなど気軽にやればいいのに。ユウヒの御令嬢の膝に顔を乗せるくらい、どうってことないだろう。貴婦人達のお相手を務めるのも騎士の立派な責務だというのに、毎度毎度…」
「私には心に決めた花があるので、などと言うから貴婦人達が余計に騒ぐのだろう。あれだけの美貌で近衛隊長だからな。…これはイルカ王子殿、ご機嫌麗しゅう」
イルカに気付いた二人が足を止め、脇に避けて頭を下げる。
イルカも軽く会釈を返すと、話題に出ていた名に胸をざわめかせながら、行き先を中庭に変更した。
色とりどりの薔薇が咲き誇る中庭に足を踏み入れ、迷路のように設えられた道をイルカは躊躇わず進んでいく。
薔薇の迷路は第一王子であるイルカの為に、庭師のテンゾウが丹精込めて作り上げたものだ。
中心地への正しい道のりはイルカとテンゾウと、あとはイルカが自ら手を引いて連れて行った彼一人しか知らない。
ここは、かつてはイルカが一人になりたい時のお気に入りの場所だった。
今は薔薇の迷路の奥に、二人だけの秘密の想いを隠している。…テンゾウは恐らく気付いているだろうが。
ちょうど中心にあたるところは、小さなガゼボ(四阿)になっていた。
その十字架を戴く尖った屋根の下に、イルカの尋ね人がベンチにゆったりと寝そべっていた。
白銀の髪が穏やかな夕陽を受けて煌めく様は、そこだけ宗教画のようだ。だが今は怠惰な猫の如く、惰眠を貪っている。
その閉じられた左の瞼には縦に大きく傷が走っているが、決して造詣の美しさを損なうものではなかった。
「…思索の時間のお邪魔ならば退散致しますよ、イルカ殿」
目を閉じたまま男が問いかける。
イルカは悪戯っぽい顔でクスリと笑うと、男の側に立った。
「いえ、お美しい貴婦人の膝を断って、己の腕を枕にしてる愚か者の顔を見に来たのですよ、カカシ」
カカシは目を開けると、熟練した武芸者の隙の無い動きで立ち上がり、マントの裾を払うと恭しく頭を下げる。
「私の求める花は大輪の薔薇ではないのです。凛と立ちながらも淑やかに頭を垂れ、清楚な中に艷やかな香りで私を誘ってやまない、一輪の白百合だけなのですよ。それがどなたのことか……」
そう言いながら頭を上げたカカシの瞳には、沈んだ紅い焔が宿っている。
「…貴方は分かっているはずです、イルカ殿」
飄々としたカカシの纏う空気が一変した。
イルカの腕を掴んで引き寄せると、片手で頭を抱えて荒々しく口づけをする。
「んんぅ……っ」
カカシを押しやるようにしていたイルカの両手が、口づけが深くなるにつれ、次第にしがみつくように変わっていく。
湿った音を立ててイルカの口の中を堪能していたカカシが、名残惜しむように幾度か唇を啄むと、顔を離してイルカの黒い瞳を覗き込んだ。
「イルカ殿…第一王子を廃嫡し、王位継承権を捨てて第二王子のナルト殿に譲り、修道院の協力の許に街で子供の為の学校を作るそうですね」
「なぜそれを…!」
「以前から王に相談されていたのですよ。そして昨夜、内々ではありますが近衛隊長を辞させて頂きました。ですから私はもう国王の騎士ではないのです」
「ど…うして……」
イルカは目を見開き、呆然と呟いた。
「例え王位継承権を捨てたとしても、いずれ貴方を政治の駒として使おうとする不届き者がいるかもしれないでしょう。或いは…命を狙う者も。それは国王の本意ではないので、私が常にお側で護衛に当たります。その為には近衛隊長の座は邪魔なだけですから」
カカシは何か吹っ切れたように、爽やかに微笑んだ。
「もう逃がしませんよ。ですから私を諦めるのを諦めて、どうか貴方のお側に置いて下さい」
カカシは柔らかい芝の上に膝を突くと、頭を垂れてイルカに乞い願った。
「どうか私に刀礼の儀式を」
イルカは驚いた。
刀礼の儀式とは騎士の叙任式の事で、本来ならば教会で国王か司祭が行うべきものだ。例え戦場で簡略化した儀式を行うとしても、それは主君だけが執行できる。
それは神に奉仕する全ての者を守護する事を神に誓い、主君に忠誠を誓った一人前の騎士として認められる為の、神聖な儀式なのだから。
「カカシはとうの昔に済ませたではありませんか!」
「私はイルカ殿、貴方に忠誠を誓いたいのです。国王ではなく、貴方だけに。ですから今の私の刀礼の儀式を執り行えるのは国王でも司祭でもなく、貴方だけなのですよ」
カカシは腰に帯びていた剣を鞘ごと外し、両手で捧げ持った。
「さぁ、イルカ殿。私の命と誓いをお受け取り下さい」
カカシの覚悟の重さに圧され、イルカは一歩後ろによろけた。
だがその足を踏みしめると姿勢を整え、目を閉じて天を仰ぐ。
(神よ、この者の輝かしき人生を滅茶苦茶にしてしまう、
私の罪深い想いをお許しください。
……あぁ、それでも私は魂が震えるほど嬉しいのです…!)
そして何かを祈るように呟いてから開いた目には、静かな決意が宿っていた。
そしてカカシを真っ直ぐに見下ろし、厳かに両手で受け取る。
―――剣と、その覚悟を。
イルカが剣を捧げ持ち、跪くカカシに刀礼の儀を問う。
「貴方に神に仕える覚悟はおありか」
「この胸に確かに」
「貴方に…私の許に仕える覚悟はおありか」
「この胸に確かに」
カカシに向けて発するイルカの詞の語尾が、僅かに震えている。
イルカは鞘から剣をすらりと引き抜いた。
そしてカカシの無防備に差し出された項に当てる。
「ならば我が名とこの剣を以て、神の御名の許に我が騎士となる事を許す」
「有り難き幸せ」
イルカは剣を鞘に納めると、立ち上がったカカシの腰に佩かせてやった。
そして胸に拳を当てて俯いたカカシの額に、祝福のキスを贈る。
「これで私は貴方だけの騎士だ」
ゆっくり顔を上げたカカシが、熱を帯びた声で囁く。
「……後悔するかもしれませんよ」
カカシを見つめるイルカの目が潤み、黒曜石のような煌めきを帯びる。
カカシは一瞬、痛みに耐えるような顔をすると、イルカを力強く抱き締めた。
「悩み苦しむ貴方と共に居られなかった事こそが、私の後悔でした。なぜ私にただ一言、共に在れと仰ってくれなかったのですか…!貴方のお側に置いて頂く事を許された今、何の後悔がありましょう」
イルカがカカシの背中にゆっくりと腕を回し、しっかりと抱き返した。
「ならばこの先も私の側に居なさい。私より先にその命果てる事は決して許しません。私と共に在り、共に果てる事を誓いなさい」
「神の御名に誓いましょう。我が白百合の主よ」
イルカの頬に幾つもの滴が零れ落ちる。
カカシはそれらを唇で優しく受けると、イルカの艶めく黒髪を撫で、額にそっと口づけを落とした。
「カカシ…お前は本当に愚か者だ」
「ですが幸せです。愛に生きる者は、愚かですが幸せなのです」
薔薇が宵闇に染まり始めた中庭に、終課の祈りの時を知らせる教会の鐘が鳴り響く。
…まるで、二人の新たな門出を祝福するように。
作画 Papersong Bubbles ichkaさん
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