【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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カカシはいつになくそわそわしていた。
今日は付き合ってから初めて『イルカ先生の家にお呼ばれ』しているのだ。
待ち合わせ場所の木の葉第二公園の入り口で、柱に立ってみたり足元の小石を蹴ってみたりと落ち付きなくうろうろして、とても一流の忍とは思えない姿を晒していた。
特別な訪問をお呼ばれって言うのよとサクラが力説してたけど、この使い方で合ってるんだろうか。弛む口に口布の存在に感謝しながら駆けてくるであろうイルカを一刻も早く見たくて辺りを見回していると、不意に聞き慣れない声がした。

「カカシさんちゅうのはあんたか」

問いかけと言うよりは断定口調の声に振り返ると、そこには誰もいなかった。

「そっちちゃう、もっと上。こっちや。おっちょこちょいな兄さんやなぁ。ほんまに上忍か?」

……上? と目線を上げると、入り口のポプラの枝から一匹の猫がカカシを見下ろしている。
茶色と黒と赤と白と、他にも何だかよく分からない色が絵の具のパレットにぶちまけられたような色柄で、尻尾は短く、ぽんと付けたような斑の毛玉が尻に乗っかっている。

「えっと、今喋ったのはお前かな?」
「せやで。なんや、忍犬使うてるくせに喋る猫が珍しいんかいな」

斑の猫は馬鹿にしたように口を歪めた。
そして得意げにヒゲを揺らめかせると、入り口の柱に音もなく降り立つ。

「オレは天道。テントウ虫の天道や。可愛いオレに相応しい名やろ? イルカ兄さんが迎えに行け言うから、わざわざ来たったんやで」
「イルカ先生が? じゃあお前……天道は先生の飼い猫なの?」
「飼い猫ちゃうわ、立派な忍猫やっっ! この木の葉マークの首輪が見えへんとか、上忍とは思われへん目の悪さやな⁉ ほんま失礼なやっちゃ」

天道はつんとあごを上げると、深緑色の首輪から下がるプレートを見せ付けるように胸を反らす。
そこには鈍く光る銀色に、確かに木の葉マークの刻印があった。

「あー、すまないね、忍猫だったんだ。先生が忍獣を持ってるの知らなくってね」
「イルカ兄さんは立派な中忍やからな、そう簡単に忍猫のことは教えへんねんで。カカシ兄さんはイルカ兄さんのお眼鏡に適ったっちゅうことや。ほな行くで」

ほないくで、というのはイルカ先生の家に行くよと言ってるのだろうとカカシは判断して、柱からフェンスへひょいと飛び移った天道の隣に並んで歩道を歩き始めた。
それにしても変わった話し方をする猫だ。異国の猫かもしれないと、細いフェンスの上を口調に似合わず優雅に歩く天道に訊ねた。

「天道はどこから来たの? ここじゃ珍しい言葉を使うね」
「これか? これは大阪弁いうねん。そういうたらイルカ兄さんも最初は興味津々って感じやったな。オレは元々和の国の出身やよってな」
「和の国の? ずいぶん遠くから来たんだぁね」
「おっ、知っとんのか! 大阪はええとこやぞぉ~。食いもんも旨いし、べっぴんさんも仰山おるで!」
「行ったことはないけどね。でもなんで和の国から遙々木の葉に?」

すると天道はちらりと振り返り、琥珀色の硝子玉のような目でカカシを見た。

「オレの飼い主はな、木の葉との科学技術交換研究員として派遣されてきたんや。でもこっちで急死してもうてな、行き場の無くなったオレを拾ってくれたんがイルカ兄さんやった。せやからイルカ兄さんはオレの大恩人なんや」

いかにもイルカらしいエピソードに、カカシは頷きながら微笑んだ。
交換研究員が急死した話は知らなかったので、きっと不審な点のない病死か事故死だったのだろう。遠い異国で主を喪い、途方に暮れる猫の世話を引き受けるイルカが容易に想像できる。
だが和の国の猫なら初めから忍猫ではなかっただろうに、なぜ天道は使役されているのか。それを問う前に天道は口を開いた。

「イルカ兄さんは『お前の飼い主は羽二重さんただ一人だろう? なら俺と契約して忍猫になってくれないか』って言ってくれたんや。凄いやろ? オレはな、イルカ兄さんの心意気に打たれて、兄さんに相応しい立派な忍猫になったるってこのヒゲに誓ったんや」

天道は顔の両脇にぴんと伸びたヒゲをふるりと震わせた。
なるほど、それなら飼い主への愛情も損なうことなく、天道が木の葉で第二の猫生を歩み出せる。猫だけ和の国に返しても、飼い主無き後は生きていくのも厳しいだろうし、イルカの心遣いは相変わらず細やかで優しい。
忍猫としてというのは大義名分だったのだろうが、実際素質があったのだろう。そっと探ったチャクラは八忍犬には及ばないが、天道自身の努力と気概を思いカカシは深く頷いた。

「うん、イルカ先生は凄いよね」
「そうやろそうやろ! なんやカカシ兄さんよう分かっとるやないか!」

天道はよほど嬉しかったのか、思わずといった風に「んにゃー!」と力強く続けた。恐らく天道は自身よりイルカを褒められた方が嬉しいだろうという、カカシの読みは合っていたようだ。
フェンスが途切れると天道は民家の塀に飛び移り、イルカがいかに素晴らしい人間か滔々と話し続ける。その一つ一つに微笑ましく相槌を打ちながら、猫は寡黙なイメージだったが認識を改めるべきなのかとちらりと思った。ただでさえ忍猫は珍しく、今まで二度しかお目にかかったことはない。その二匹は諜報役や繋ぎ役として使役されていたが、最低限しか喋らなかったのは任務だったからで、普段はこんなにお喋りだったのかもしれないと昔を思い出す。

「あ、せや、イルカ兄さんから伝言や。『カカシさん、お使いだてして申し訳ないんですけど、紫子さんの所で荷物を受け取ってきて下さい』やって」
「ゆかりこさん? 誰だろう。ま、もちろんご一緒するよ」
「ちょいと大荷物になるで、兄さんえらい細っこいけど大丈夫かいな……せやけどイルカ兄さんも待っとるさかいな、ガンガン飛ばしてくで!」

そう言うと天道はいきなり弾丸のように走り出した。
不意を突かれたカカシは、苦笑しながら後を着いて走る。内容は分からないがおつかいも頼まれていたなんてずいぶん親しい仲みたいだと、カカシは内心ちょっと嬉しくなって足取りも自然と軽くなっていた。



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天道君の大阪弁の翻訳は虫さんにお願いしました!
リク頂いたキャラの翻訳をさせる鬼で申し訳ございません(´∀`;)テヘッ
不思議なことに翻訳してもらった台詞で読んでたら、イントネーションが大阪弁で再現されるように…!
生のリアルな言葉の力って凄いですよね。ありがとうございます~!

虫さん→ むしかご

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