【Caution!】

こちらの小説は全て作家様の大切な作品です。
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★エロし ★★いとエロし!
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ある晴れた日、アカデミーの校庭で実技の授業を行う為イルカが校舎を出ると、先に外に出ていた子供達が、校庭の片隅に団子のように集まっていた。
「皆どうした?こんな所に集まって」
「イルカ先生。子猫が鳴いてる声がするよ」
「子猫?」
イルカが耳を澄ませば、確かにか細い声でミーミーと鳴く声が聞こえた。
一体どこから声がするのかと周囲を見渡せば、ガサガサと草むらを掻き分けて、二匹の子猫が顔を出した。
「可愛い!」
まだおぼつかない足取りで、ピョコピョコ歩く子猫の姿に、子供達は大興奮だった。
「触っちゃダメだ。親猫が近くにいるかもしれないから、そのままにして皆授業を始めるぞ」
まだ名残惜しそうに子猫の側から離れない子供達に声を掛けると、イルカは授業を開始した。


下校時刻を過ぎ、生徒達のほとんどが帰路についた頃、イルカの元に二匹の子猫を抱えた子供達が集まってきた。
「イルカ先生、この子達お腹が減ってるみたい」
「ダメじゃないか。捕まえて来たのか?」
「だって」
「親猫が探しているかもしれないぞ?」
「子猫しかいなかったよ」
「しょうがないな」
イルカは渋々子供達から子猫を受け取ると、腕に抱えた。
「先生が親猫を探してくるから、お前達は家に帰りなさい」
子供達を下校させると、その足でイルカは校庭に向かった。
校庭の片隅にある草むらで子猫たちを放すと、イルカは親猫の姿を探して周囲を見回した。
猫は警戒心の強い生き物なので、人の気配がすると出てこないのではないか?
そう思ったイルカは、気配を消し少し離れた場所から様子を窺うことにした。
だが日が暮れる時間になっても、親猫は姿を現せる事はなかったのだ。
ミーミーとか細い声を上げる子猫たちの姿に、イルカも根負けした。
「ああ、もうしょうがないな」
寒空の下、子猫たちを凍えさせることは出来ず、イルカは二匹の子猫たちを再び抱き上げると、アカデミーの校舎の中に戻った。


「あらー可愛い子猫ちゃん」
職員室に子猫を連れて行くと、女性職員達が目ざとくイルカの元に集まってくる。
「校庭で保護したんですが、親がいないみたいで。誰か飼えませんか?」
「ごめんなさい。うちは鳥がいるから」
「うちもダメだわ」
女性職員達に断られて、イルカは男性職員達に声を掛けた。
「悪い。猫はダメなんだ」
皆口を揃えて飼えないという。
忍びの多くは動物をペットとしての役割ではなく、使役獣として飼っており、気まぐれで躾ることが難しい猫は、飼っている者自体少なかった。
「誰か飼えそうな人知っていませんか?」
「いっその事、イルカが飼っちゃえば?口寄せ持っていないんだろ?」
「いや、そう言われても。猫だぞ?口寄せに向かないだろ?」
「そうか?猫専門の一族もいるだろ?」
同僚の言うとおり、猫を口寄せとして代々使役している者達もいるが。
それは長年のノウハウあってこそであって、素人のイルカが真似できるわけがないのだ。
口寄せが無理なら、ペットとして飼ってくれる人を探すしかない。
仕方が無い。飼い主が見つかるまで、面倒を見てやるか。
イルカはベストのジッパーを引き下ろすと、その隙間に子猫たちを二匹入れて、自宅に連れ帰ることにした。


帰り足で夜食と一緒に子猫たちのミルクと缶詰を買い、自宅である木造二階建てのオンボロアパートへと戻る。
必要以上に気配を消して金属製の階段を登り、自宅へ戻ったイルカは、居間に腰を下ろすとホッと息をついた。
「大家さんに見つからなくて良かった」
イルカの住むアパートはペット禁止なので、一階に住む大家さんに見つかったら大変な事になってしまう。
畳の上に下ろした途端、ミーミー鳴き始めた子猫たちに、イルカは慌てて防音符を四方に貼り付けた。
「これでよしと」
お腹が減った子猫たちは、ご飯を催促しているのか、イルカの足に纏わり付く。
「分かった。分かったから、噛みつかないでくれ」
まだ甘噛みを憶えていない子猫に、本気で歯を立てられて、イルカは「痛い痛い」と悲鳴を上げながらも、子猫たちに缶詰とミルクを与えた。
がっつくようにして缶詰を食べ、ミルクで顔中を真っ白にした子猫たちは、お腹がいっぱいになった途端、コロンと眠ってしまった。
「おいおい寝ちゃったのか?参ったな、ベタベタじゃないか」
イルカは温めたタオルで子猫たちの身体を磨いてやる事にした。
「お前達、兄弟なのか?それにしては似ていないけど」
二匹の子猫はそれぞれ毛並みが異なっていた。
一匹は白と黒のハチワレ猫、もう一匹はペットショップでしか見かけないような全身灰色の猫だった。
「まさか血統書付きの猫なのか?こんな猫見たことあるぞ」
一体どこで見かけたのか。
「そうだ、任務受付所だ」
日々もたらされる任務受付所の任務には、下忍に成り立ての子供達が請け負うようなDランク任務が有り、その中には迷子のペット探しもあるのだ。
「里のマダム達が飼っている猫って、こんな猫じゃなかったか?」
しげしげと灰色の子猫を抱き上げて観察していると、ハチワレの子猫がまるで自分も構ってほしいと言いたげにイルカの身体をよじ登ってくる。
「こらこら、お前も抱っこして欲しいのか?」
イルカはハチワレの子猫も腕に抱く。
「空き箱あったかな?」
イルカは空になった段ボール箱に座布団を敷くと、子猫を下ろした。
「迷子って言う可能性もある。明日受付で調べてみるか」


翌朝、子猫たちを入れた段ボール箱を手に、イルカは任務受付所に出勤した。
ガサガサ音を立て、ミーミー鳴く子猫たちに、受付に居合わせた事務方の同僚達が集まってくる。
「可愛いな。どうしたんだ?この子猫達」
「昨日生徒たちが拾ってきて。一応俺が預かっているんだけど、迷い猫探しの依頼来てないか?」
「迷い猫?うーん、今のところ無いな」
「そうか」
ほんの少し落胆しつつも、気を取り直してイルカは飼ってくれる人を探すことにした。
受付カウンターの足下に子猫が入った段ボール箱を置き、任務報告書を提出しに来た者達に声を掛けた。
「あら可愛い」
子猫を見せると皆笑みを浮かべ口を揃えてこう言うが。
「飼ってくれる人を探しているんです。貰ってくれませんか?」
イルカがそう言った途端、笑みが消え困惑した顔になる。
子猫の貰い手を探すのは、難儀な事だとイルカは痛感した。


もう間もなく正午を迎える頃、この時間に顔を合わせるのが珍しい人物が任務受付所に現れた。
はたけカカシ。
木ノ葉の里の看板忍者で、ナルト達第七班の元上忍師。写輪眼のカカシとも、コピー忍者とも呼ばれる二つ名を持つ男だった。
上忍だからと言って下位の者達を見下すこともせず、飄々として穏やかなカカシは、中忍や下忍からも慕われている。
だがイルカとは、ナルト達の中忍試験を巡って対峙して以来、疎遠になっていた。
「お願いします」
「確認します」
差し出された任務報告書をチェックしながら、イルカは迷っていた。
カカシさんにも子猫を貰ってくれないか聞いてみるか?いや、この人は忍犬使いだから。猫は無理だろ?
きっと断られるに決まっている。
報告書のチェックを終え、受領印を押し、「お疲れ様でした」とイルカはカカシに声を掛ける。
その声を合図に背を向けると思われた男は、イルカの前から動こうとしなかった。
「あの……報告書は受理したので、帰っても大丈夫ですよ?」
「いや……その猫」
イルカの足下でミーミー泣き声を上げる子猫たちに興味があるのか、カカシは身を屈め子猫たちを覗き込んだ。
「随分小さいね。まだ親離れ出来ていないんじゃない?お腹減ってるみたいだけど、ミルクあげた?」
「あ……今朝あげました」
「直ぐにミルク飲ませて。数時間おきに飲ませないとダメよ。身体も冷やさないようにしないと。ほらカイロあげるから」
カカシはガサガサとズボンのポケットの中から、使い捨てカイロを取りだし、子猫たちの入った段ボールの底にある座布団の裏にしまい込む。
「ミルクは?」
「はっ、はい!」
カカシに指示されるまま、イルカは自分の肩掛け鞄の中からミルクを取り出す。
「ミルクは人肌に温めて。冷たいままだとお腹壊すでしょ」
「はいっ」
慌てて給湯室に走ろうとするイルカを、カカシが引き留めた。
「あ~俺がやるから。貴方は仕事してて」
カカシの後ろには、受付待ちの忍び達が並んでいた。
「すみません、お願いします」
イルカはカカシに子猫たちを預けると、「次の方どうぞ」と声をあげた。


交代要員が来て、イルカが業務を終えた頃には、日も暮れて窓の外は真っ暗だった。
「すみません、カカシさん。面倒をおかけして」
イルカが受付をしている間ずっとカカシは任務受付所に残り、子猫たちの世話をしていた。
「動物の扱いには慣れてるから。気にしないで良いのよ」
カカシはそう言ってにっこり微笑んだ。
カカシさんが笑う顔を見たのは、随分久しぶりな気がする。
呆然と見つめ続けていたせいか、イルカの視線に耐えられなくなったカカシが、照れくさそうに顔を逸らした。

本部棟を出て、月明かりが差す暗い夜道を歩く。
段ボール箱の中で子猫たちは眠くなってしまったのか、大人しかった。
イルカの隣を歩くカカシは、道すがら乳飲み子の育て方をイルカにレクチャーしてくれた。
「うんちもイルカ先生が親猫みたいにお尻を刺激して、出させないとダメよ」
「俺が?うんちもですかっ?」
「他に誰がやるの。イルカ先生しかいないでしょ?濡れた脱脂綿で優しくつんつんしてあげれば、出て来るから」
「ううっ。出来るかな……」
何だか大変な事になってしまったと思った頃には、自宅のアパートが見えていた。
「あ、俺ん家そこなんで」
「うん。何か分からない事があったら、遠慮しないで聞いて」
「ありがとうございます」
イルカがぺこりと頭を下げると、カカシは元来た道を戻って行く。
あれ、もしかして――カカシさん、わざわざ送ってくれたのか。
カカシの意外な一面を垣間見た気がした。


アパートの古びた外階段を静かに上り、イルカは昨夜と同じように、大家さんに見つからないよう素早く自宅のドアを開け中に入る。
すると目を覚ましたのか、子猫たちが声をあげた。
イルカは子猫の入った段ボール箱を居間に置くと、大急ぎで子猫のミルクを用意した。
「何だか忙しいな」
ミルクを飲ませている間に、缶詰の用意をして、子猫たちに持って行く。
顔中をべちゃべちゃにして缶詰を食べ終えた子猫達の身体を拭くと、いよいよイルカは難問の排泄を促す作業に取りかかった。
人肌に温めた湿った脱脂綿で、ハチワレの子猫のお尻の穴を刺激する。
「おおー!出て来た!」
ぷりぷりと健康なうんちが出て来て、イルカは喜んだ。
だが喜びも束の間、うんちの中に動く物を見つけて、イルカは悲鳴を上げた。
「虫!虫が出て来た!!」
どっどうしたらいいんだっ。
初めての経験に慌てるイルカは、アワアワしながら混乱した。
「こ……これは大丈夫なのか?問題なのか?」
あああああ、分からねぇ~~~。
「そうだ。カカシさん!カカシさんに聞いてみよう!」
イルカは大急ぎでカカシに式を飛ばす。
早く返事が来ますように。
飛んでいく式に向かって思わず祈ると、まるでイルカの祈りが通じたのか、あっという間にカカシから返事が届いた。
「早っ」
あまりの早さにイルカは驚きながらも、急いで中身を確認する。
『虫下しを飲ませてください』
紙片になった式の中に、粉薬の袋が折りたたまれて入っていた。
「粉薬。これってどうやって飲ませるんだ?」
イルカが粉薬を手に悩んでいると、子猫達がじゃれ始めたのか、段ボール箱の中がガサガサと騒がしくなる。
「ああああああ~~~~うんち踏むなーーー!!」




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カカイルにゃんかわゆううううう!
カカイルとにゃんずをリクエストお願いしたんだけど、まさかの子猫時代!!!!
子(猫)育てに奮闘するイルカ先生もめちゃくちゃ可愛い!
これカカシさんが頼まれてもいないのに、ぐいぐいお手伝いしに来てるじゃないですか。
もう実質カカイル夫婦の子(猫)育て奮闘記と言っても過言ではないんじゃ⁉

子猫を育てるシーンがリアルで、昔ちっちゃい子猫たちを育てたの思い出しましたねぇ。
大変だけど可愛いんだよなぁ(*˙︶˙*)
あっという間に大きくなったけど。

こちらシリーズになるそうですよ!!!
忍猫カカイルは少ないからめっちゃ嬉しいよーーーー!
はやおさんホントにありがとう!
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