【Caution!】

こちらの小説は全て作家様の大切な作品です。
無断転載・複写は絶対に禁止ですので、よろしくお願いします。
★エロし ★★いとエロし!
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「すっかり暖かくなってきましたね。」
「そうですね、桜はもうそろそろ咲きますかね?」
二人で飲んだ帰り道、傍らの桜並木のうちの一本の幹を撫でながら想い人とそんな他愛もない話をする。
自分にとってはそんな他愛も無い会話も大事な時間だがこの人にとってはどうなんだろう?とその人の横顔を見ながらふと考える。

『俺の想いも咲いてくれたら良いのに』と胸が締め付けられるような思いとともにそう願う・・・。

だがそんな自分の気持ちなど全く気づいていないその人はくるりと振り向き俺の事を見るとにししっと悪戯っぽく笑って言ってきた。

「ねぇカカシ先生?俺ね毎年桜を見ていてね、気付いた事があるんですよ?」
「気付いたって・・・?何をですか、イルカ先生?」

桜の枝を見上げながらその人は話を続けていく。

「俺ね、毎年桜を見ていて気付いたんですけどね?桜って咲く直前の蕾の時が一番ピンクが濃いと思うんです!!」
「そう・・・なんですか?」
「そうなんです!!俺も毎年何気なく見ていてふと気付いたんです。不思議ですよね?でもきっと『これから咲くぞーっ』て桜の木の思いがぎゅっと詰まっているから蕾の時が一番濃いピンク色なのかもしれませんね?」
「それで花が咲いたら桜の木の『咲くぞ!!』って言う思いも薄れて綺麗な薄い桜色になると?」
「そうそう、桜の花って咲く直前も、咲いている時も、何となく花だけでなく枝の周りの空気もうっすらとピンク色の靄がかかっている様に思えませんか?きっと桜の想いが辺りに漂っているんですよ。」
「イルカ先生はロマンチストですね?でも思い出してみると桜の花の周りってぼんやりピンク色がかっているって言うか・・・。確かにそんな感じがしますよね。」
「でしょ?凄い発見だと思いません?!」

イルカ先生はまだ蕾の枝をじっと見てフフッと笑うとフウッと大きく一つ息を吐く。

「でもそうやって強い想いを抱いているからこそ桜の花は見事に咲き誇り俺達の目を楽しませてくれるのかもしれないですね?」
「強い想いですか・・・。例えば桜じゃなくて人の想いはどうなんでしょうか?」
「人の想い・・・ですか?」

俺の言葉を繰り返すとイルカ先生はちょっと首をかしげて考え込んでいる。

「そうです。人の想いです。誰かの事を心の中でずっとずっと想っていて想いがどんどん強くなって・・・。例えばですがふと口にしてしまったらその想いは薄れてしまうと思いますか?それとも口に出すことでその想いは辺りにも広まり・・・。他の人にもその想いが移っていくと思いますか?」

イルカ先生は軽く眉根を寄せて真剣な顔で考え出している・・・。

「うーん。悩みますね?そこまで強い想いですか・・・。どうなんでしょうね?」
「どうなりますかね。ねえイルカ先生、一体その想いは薄れるのか、強まるのか、どうなるか。・・・折角だから試してみましょうか?」
「え、カカシ先生?試すってどうやってですか?。」

キョトンとしながら俺を見つめるイルカ先生。
猫背気味の背中をもう少し丸めて目線を合わせる。
俺が口布を引き下げると『これから何が起こるのか?』と言いたげに目を真ん丸くして俺の事を見つめている・・・。

俺の想いは花開き咲き綻ぶのだろうか?
それともそのまま咲かずに朽ちていってしまうのだろうか?

ねえイルカ先生?桜の木の周りが桜の想いに染まるように、あなたも俺の想いに染まってしまえば良いのに・・・。

そんな事を想いながらそっと彼に囁く・・・。

「ねぇイルカ先生。俺はね、ずっと前からあなたの事が・・・。」





本舗日和 とめきちさん

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