【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
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遠くから祭り囃子が風に乗って聴こえてくる。
イルカは朝からそわそわ落ち着かなくて、いつもなら僕が任務や訓練に行かず家にいるとすぐ悪戯の誘いをしてくるのに、今日はそれもない。
張り切って縁側から庭に飛び下りたイルカが、「オレはあんぶマンブラックだ!」と誕生日プレゼントで買ってもらったというあんぶ剣ブラックソードを振り回している。
「きのたんも来いよ! おまえはブルーな!」
結局イルカに誘われて庭に降りたけど、あいにく僕はあんぶマンブルーのことは詳しくない。
毎週日曜日の朝、あんぶマン7に間に合うようイルカを一生懸命起こすのが僕の役目なので、その後のテレビ番組まではちゃんと観てなかった。
暗部にブラックとかブルーがいるなんて聞いたことがないし、そもそもあんぶマンって組織があるのかも分からないけど、僕が知らないだけでいるのかもしれない。
あんぶマン7には確かレッド、ピンク、ブルー、ホワイト、グリーンに最近ブラックとゴールドが加わったんだったはず。つまりブルーは味方だけど、今はイルカと戦うことを求められているみたいだ。
「ほら、あんぶマンクナイかしてやる!」
「ありがとう、いるたん」
「いるたんじゃねぇ、いまはあんぶマンブラックだ! ブラックソード十字斬り!」
「くそう、うわぁーーー」
渡されたクナイを適当に振り回してから、あんぶ剣がうまく十字を描けるよう両手を広げて切られたふりをして地面に倒れる。
「ブルー! なんでしんじゃうんだよぉ」
ブラックが僕を斬り殺したのに、なぜか本人が泣きながら僕を抱き起こしておんおん泣きじゃくっている。
相変わらずイルカのシナリオはよく分からないけど、実際の任務とは全然違うからいつも面白かった。
わざと切られたふりをするコツとか、敵らしい台詞や倒れ方の指導をしてくれたのはイルカだ。最初はごっこ遊びなんて分からなくて、子供向けの訓練かと思って普通にイルカを転がして拘束したらものすごく怒られたことを思い出す。でも今笑ったらブルーとブラックの感動のシーンが台無しだからじっとしていた。
「くそっ、ダークキュービめ……」
「あっ、ここにいたのねイルカ」
「母ちゃん、今のオレはあんぶマンブラックだ」
「あんぶマンブラック、今日は木ノ葉神社の秋祭りって覚えてる? キノエ君も行くでしょ? 後でイルカと浴衣を着せるから、手を洗ったら箪笥の部屋に集合ね」
「きのたんはブルーなの!」
「はいはい、ブラックとブルーね」
コハリさんがニコニコしながら手を振って窓を閉めた。
うみの上忍の家にお世話になってから、もう三ヶ月が過ぎようとしている。
三代目火影様にここに連れてこられてからは、あまり訓練とか任務に出ることがなくなっていた。イッカクさんとコハリさんの息子さんだという、同い年のイルカの遊び相手をすることが、今の僕には必要なのだと言う。
普通の家庭で普通の子供を観察して、普通の子供らしく振る舞うことを学べということだろう。
イルカはその訓練に最適な子供に見えた。
つい最近まで自分のことをいるたんと呼び、僕の名前を聞くと「じゃあ今日からお前はきのたんな!」と前歯の一本抜けたマヌケな顔でニッカリ笑った。
イルカはうみの上忍──イッカクさんの方──父親に憧れていて同じように髪を伸ばしているけど、一つに結んだ髪をほどくといつも雲丹みたいな爆発頭になる。これはイッカクさんがイルカの髪も体と同じ石けんで洗うからだと思うんだけど、イルカは父ちゃんのやる事は全て正しいと思ってるので黙っていた。
だって僕も時々イッカクさんに洗ってもらうと、やっぱり髪が強い静電気みたいに爆発するから。自分でシャンプーで洗ったら、ちゃんとさらさらしてたし。
でも爆発頭になるのは別に嫌なことじゃなかった。
先にイルカに浴衣を着せるとすぐ着崩すからと、僕が先に着せてもらった。
白地に麻の葉模様の浴衣に、青緑の兵児帯。
これは子供用の帯らしいけど、何歳までを子供っていうんだろう。
こんな普通の子供みたいにのどかに遊んでていいんだろうか。僕は普通の子供じゃないのに。
イルカを待つ間、縁側に座って働いてる蟻の行列を眺めてると、イッカクさんが隣に胡座をかいて座った。
「キノエ、イルカといて楽しいか?」
「はい、イルカ君といると面白いです」
するとイッカクさんが僕の頭を片手で掴み、ワシャワシャとかき混ぜるように撫でた。
「イルカがムカついたら怒っていいし、ケンカもしろよ。お前ら兄弟みたいなもんなんだからな。そんでな」
イッカクさんの大きな手が僕の両脇の下に差し入れられて、ひょいと持ち上げられた。まるで犬の仔みたいに軽々と。
「何かあっても、何もなくてもうちに帰ってこい。ここはキノエの家だからな。分かったな」
そしてイッカクさんの胡座の中に乗せられた。
背中からあったかい熱が伝わってくる。
僕はすっぽりと収まって、本当にただの小さな子供みたいだった。
不意に泣きそうになる。
小さな子供みたいに声を上げて、わんわんと。
なぜだか僕がそうしても許される気がした。
でもイルカが僕を呼ぶ声がしたから、溢れるはずだった涙はきれいに引っ込んだ。良かった。
「きのたん、オレの髪むすんで!」
「うん、いいよ」
立ち上がろうとしたら、イッカクさんに肩を押さえられた。
「イルカはキノエの前に座れ。そしたら父ちゃんがキノエの髪を結ぶから」
「父ちゃん、きのたんのもちゃんと、いちばんむすびにしてくれよ」
「おう任せろ! キノエ、いちばん結びって何だ?」
僕はイルカの四方八方に広がった髪をなんとか両手に収めて、頭のてっぺんにまとめながら答える。
「こんな風に、頭のてっぺんで一つに結ぶのを一番結びって言うんです」
「父ちゃんとおんなじでカッコいいだろ!」
「よし、じゃあ今日は三人で一番結びだな!」
結局イルカの一番結びは、僕の小さい手だとあんまり格好よくできなかった。
イッカクさんに直してもらおうって言ったのに、イルカはこのままでいいんだと聞かなかったから。イッカクさんまで「イルカはキノエのアニキだからな」と直そうとしてくれなかったので、ボサボサの一番結びで秋祭りに行くことになる。
家を出る時からしっかり手を繋いでる僕たちを見て、コハリさんがそれでも心配そうな顔を僕に向けた。
「キノエ君はしっかりしてるから大丈夫だと思うけど、本当に気をつけるのよ。知らない大人にはついていかないでね」
「はい、ちゃんと気をつけます」
「だいじょうぶだよ母ちゃん、オレはきのたんのアニキだからな! ちゃんとめんどうみるから。じゃあいってきます!」
イルカは得意げに元気良く宣言すると、僕の手を引っ張って駆け出した。
「きのたん、まいごにならないよう、お祭りではぜったいオレの手をはなすなよ」
「うん。でももしはぐれても、いるたんの一番結びが目印になるから」
イルカはちょっとびっくりして僕を見てから、にかっと笑った。
「そうだな! オレたちおそろいのいちばんむすびだもんな!」
そう。
僕は一番結びを目印に帰ってくる。
僕の居場所の、うみの家へ。
イルカの頭のてっぺんでぴょんぴょん跳ねる一番結びを目指して、きっとこれからも。いつまでも。
【完】
イルカは朝からそわそわ落ち着かなくて、いつもなら僕が任務や訓練に行かず家にいるとすぐ悪戯の誘いをしてくるのに、今日はそれもない。
張り切って縁側から庭に飛び下りたイルカが、「オレはあんぶマンブラックだ!」と誕生日プレゼントで買ってもらったというあんぶ剣ブラックソードを振り回している。
「きのたんも来いよ! おまえはブルーな!」
結局イルカに誘われて庭に降りたけど、あいにく僕はあんぶマンブルーのことは詳しくない。
毎週日曜日の朝、あんぶマン7に間に合うようイルカを一生懸命起こすのが僕の役目なので、その後のテレビ番組まではちゃんと観てなかった。
暗部にブラックとかブルーがいるなんて聞いたことがないし、そもそもあんぶマンって組織があるのかも分からないけど、僕が知らないだけでいるのかもしれない。
あんぶマン7には確かレッド、ピンク、ブルー、ホワイト、グリーンに最近ブラックとゴールドが加わったんだったはず。つまりブルーは味方だけど、今はイルカと戦うことを求められているみたいだ。
「ほら、あんぶマンクナイかしてやる!」
「ありがとう、いるたん」
「いるたんじゃねぇ、いまはあんぶマンブラックだ! ブラックソード十字斬り!」
「くそう、うわぁーーー」
渡されたクナイを適当に振り回してから、あんぶ剣がうまく十字を描けるよう両手を広げて切られたふりをして地面に倒れる。
「ブルー! なんでしんじゃうんだよぉ」
ブラックが僕を斬り殺したのに、なぜか本人が泣きながら僕を抱き起こしておんおん泣きじゃくっている。
相変わらずイルカのシナリオはよく分からないけど、実際の任務とは全然違うからいつも面白かった。
わざと切られたふりをするコツとか、敵らしい台詞や倒れ方の指導をしてくれたのはイルカだ。最初はごっこ遊びなんて分からなくて、子供向けの訓練かと思って普通にイルカを転がして拘束したらものすごく怒られたことを思い出す。でも今笑ったらブルーとブラックの感動のシーンが台無しだからじっとしていた。
「くそっ、ダークキュービめ……」
「あっ、ここにいたのねイルカ」
「母ちゃん、今のオレはあんぶマンブラックだ」
「あんぶマンブラック、今日は木ノ葉神社の秋祭りって覚えてる? キノエ君も行くでしょ? 後でイルカと浴衣を着せるから、手を洗ったら箪笥の部屋に集合ね」
「きのたんはブルーなの!」
「はいはい、ブラックとブルーね」
コハリさんがニコニコしながら手を振って窓を閉めた。
うみの上忍の家にお世話になってから、もう三ヶ月が過ぎようとしている。
三代目火影様にここに連れてこられてからは、あまり訓練とか任務に出ることがなくなっていた。イッカクさんとコハリさんの息子さんだという、同い年のイルカの遊び相手をすることが、今の僕には必要なのだと言う。
普通の家庭で普通の子供を観察して、普通の子供らしく振る舞うことを学べということだろう。
イルカはその訓練に最適な子供に見えた。
つい最近まで自分のことをいるたんと呼び、僕の名前を聞くと「じゃあ今日からお前はきのたんな!」と前歯の一本抜けたマヌケな顔でニッカリ笑った。
イルカはうみの上忍──イッカクさんの方──父親に憧れていて同じように髪を伸ばしているけど、一つに結んだ髪をほどくといつも雲丹みたいな爆発頭になる。これはイッカクさんがイルカの髪も体と同じ石けんで洗うからだと思うんだけど、イルカは父ちゃんのやる事は全て正しいと思ってるので黙っていた。
だって僕も時々イッカクさんに洗ってもらうと、やっぱり髪が強い静電気みたいに爆発するから。自分でシャンプーで洗ったら、ちゃんとさらさらしてたし。
でも爆発頭になるのは別に嫌なことじゃなかった。
先にイルカに浴衣を着せるとすぐ着崩すからと、僕が先に着せてもらった。
白地に麻の葉模様の浴衣に、青緑の兵児帯。
これは子供用の帯らしいけど、何歳までを子供っていうんだろう。
こんな普通の子供みたいにのどかに遊んでていいんだろうか。僕は普通の子供じゃないのに。
イルカを待つ間、縁側に座って働いてる蟻の行列を眺めてると、イッカクさんが隣に胡座をかいて座った。
「キノエ、イルカといて楽しいか?」
「はい、イルカ君といると面白いです」
するとイッカクさんが僕の頭を片手で掴み、ワシャワシャとかき混ぜるように撫でた。
「イルカがムカついたら怒っていいし、ケンカもしろよ。お前ら兄弟みたいなもんなんだからな。そんでな」
イッカクさんの大きな手が僕の両脇の下に差し入れられて、ひょいと持ち上げられた。まるで犬の仔みたいに軽々と。
「何かあっても、何もなくてもうちに帰ってこい。ここはキノエの家だからな。分かったな」
そしてイッカクさんの胡座の中に乗せられた。
背中からあったかい熱が伝わってくる。
僕はすっぽりと収まって、本当にただの小さな子供みたいだった。
不意に泣きそうになる。
小さな子供みたいに声を上げて、わんわんと。
なぜだか僕がそうしても許される気がした。
でもイルカが僕を呼ぶ声がしたから、溢れるはずだった涙はきれいに引っ込んだ。良かった。
「きのたん、オレの髪むすんで!」
「うん、いいよ」
立ち上がろうとしたら、イッカクさんに肩を押さえられた。
「イルカはキノエの前に座れ。そしたら父ちゃんがキノエの髪を結ぶから」
「父ちゃん、きのたんのもちゃんと、いちばんむすびにしてくれよ」
「おう任せろ! キノエ、いちばん結びって何だ?」
僕はイルカの四方八方に広がった髪をなんとか両手に収めて、頭のてっぺんにまとめながら答える。
「こんな風に、頭のてっぺんで一つに結ぶのを一番結びって言うんです」
「父ちゃんとおんなじでカッコいいだろ!」
「よし、じゃあ今日は三人で一番結びだな!」
結局イルカの一番結びは、僕の小さい手だとあんまり格好よくできなかった。
イッカクさんに直してもらおうって言ったのに、イルカはこのままでいいんだと聞かなかったから。イッカクさんまで「イルカはキノエのアニキだからな」と直そうとしてくれなかったので、ボサボサの一番結びで秋祭りに行くことになる。
家を出る時からしっかり手を繋いでる僕たちを見て、コハリさんがそれでも心配そうな顔を僕に向けた。
「キノエ君はしっかりしてるから大丈夫だと思うけど、本当に気をつけるのよ。知らない大人にはついていかないでね」
「はい、ちゃんと気をつけます」
「だいじょうぶだよ母ちゃん、オレはきのたんのアニキだからな! ちゃんとめんどうみるから。じゃあいってきます!」
イルカは得意げに元気良く宣言すると、僕の手を引っ張って駆け出した。
「きのたん、まいごにならないよう、お祭りではぜったいオレの手をはなすなよ」
「うん。でももしはぐれても、いるたんの一番結びが目印になるから」
イルカはちょっとびっくりして僕を見てから、にかっと笑った。
「そうだな! オレたちおそろいのいちばんむすびだもんな!」
そう。
僕は一番結びを目印に帰ってくる。
僕の居場所の、うみの家へ。
イルカの頭のてっぺんでぴょんぴょん跳ねる一番結びを目指して、きっとこれからも。いつまでも。
【完】
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