【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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   俺の嫁に何か?



 うちのカカシは可愛い。
 ものすごく可愛い。とにかく可愛い。木ノ葉一、いや火の国……もっとだな、五大国一可愛い嫁だ、うんうん。
 まず顔が可愛い。
 そりゃめちゃくちゃ綺麗な顔立ちだけどな、違うんだ。綺麗だけど可愛いんだよ。人形みたいに整ってるのに、目だけが違う。何だよあの俺のこと「好き好き大好き♡」って言わんばかりの目。とろんとこっちを見られたら、挙動不審になっちまうのもしょうがないよな。
 俺と目が合うと、嬉しくてたまらないって顔でニコッて笑うんだ。子供の頃からお互い何千何万回となく見てきてるのに、今でも俺を見ると胸の奥がぽわんってなるんだそうだ。ぽわんだぞ? 俺を見てそうなるっていうのも凄いけど、ぽわんって表現する男がこの世にどれだけいると思う?

 あと口元のほくろも可愛い。
 あのほくろは何のために付いてるんだ。口元にぽつんと「ねぇ、ここを見て」とでも言いたげに、ひっそりと主張するほくろ。……待てよ? そうか、あれはちゅうしてって俺を呼ぶためにあるんじゃないか? 二十三年目にして気付く新事実。俺すげぇ!
 例の口布はサクモおじさんの発案ですることになったんだが、おじさんの先見の明には本当に感謝してる。あんなにスケベなほくろが見えたら、女共が群がってしょうがない。顔のほとんどが隠れてる今でさえ群がろうとしてるのに。
 そりゃ俺もガキの頃は何回も取ろうとしてたらしいが、それは過去の話だ。取らなくて良かった。だってあのほくろは、俺の為のちゅうぼくろなんだからな!

 しかもカカシは可愛いだけじゃないんだ。俺が残業続きでなかなか早く帰れないと、飯も食わずに待ってるんだよ俺のこと。「イルカと一緒に食べないと美味しくない」って、せっかく作ってくれた飯が冷めちまうのに。なぁ、健気だろ?
 これは健気でも心配だから、俺がいなくてもちゃんと食えって言い聞かせてるけどな。カカシは一人だと、すぐ兵糧丸で済ませようとするから。
 今は前に誕生日プレゼントでねだられたイルカのぬいぐるみ(等身大)と一緒に食ってるみたいだから安心だ。可愛いと可愛いが一緒に飯食ってるところなんてすっげぇ見たいが、俺がいる時はベッドに放置されてるから見れないのは残念だよなぁ。
 あ、待て、これもだ。カカシは風呂に入るとちゃんと肩まで浸かって五十数えるんだ。いーち、にーい、って。俺が教えたからな! カカシはのぼせやすいから、本当は百のところを半分にしてやったんだ。五十でも全身サクランボ色になっちまうんだけどな。マジでかっわいいぞ~、サクランボ色のカカシ。
 とにかく、こんなんじゃまだまだ語り尽くせない。本当に可愛い嫁なんだよ、うちのカカシは。

 カカシは可愛くて美人で健気で控えめだから、昔からしょっちゅう絡まれるし群がられる。男にも女にもだ。
 子供の頃から本っっっ当に綺麗で可愛くて、陽に透ける銀糸のような髪と、灰色に深い青を溶かしたつぶらな目と、それを縁取る嘘みたいに綺麗な銀色の睫毛と、すべすべの陶器みたいな真っ白い肌と。これは俺の為の天使か妖精じゃないかと、本気で思ってたくらいだ。
 そう思うのはやっぱり俺だけじゃなかったみたいで、ハァハァと息の荒い変なおじさんやおばさん(今思えばお兄さんお姉さんだった)がすぐベタベタ触ろうとするから、魔の手から守るのは俺の役目だった。
 だってずっと女の子だと思ってたからな!
 「男は女子供を守らなきゃいかん」って父ちゃんに事あるごとに教えられてたから、俺の方が年下でもカカシを守るのは当然だと思ってた。
 奴らが話しかけながら触ろうとする間に体を割り込ませると「可愛い坊やだね」なんて俺にまで手を伸ばしてくるんだが、何故か急にひやっとした空気が流れてみんな逃げていったけど。
 カカシがすごく嬉しそうに「守ってくれてありがと」って笑ってくれるから、俺はナイトとして鼻が高かった。俺は一番強くてかっこいい忍を目指してたけど、女の子を守るのはナイトの役目だって本で学んだんだ。
 怖かったのか目が潤んでるからお姫様抱っこして連れて帰ろうとしても、当時は体格差がすごかったからなぁ。できないって言えなくてうんうん頑張ってると、俺の手をぎゅっと繋いで「帰ろ」って手を引いて、また笑ってくれるんだよ。カカシは気遣いまで抜群な優しい嫁なんだ。
 な? 俺にはもったいないくらいにいい嫁だろ? だから俺は決めたんだ。
 カカシは俺が一生守る、って。



 そんな訳で、今も俺は騎士道を発揮するべきタイミングなのか悩んでる真っ最中だ。
 今日は一緒に帰ろって言ってたのに、珍しく受付に来ないカカシを迎えに上忍待機所へ向かう途中だったんだが、渡り廊下からあの銀色が中庭の灌木の間でキラキラしてるのを発見した。
 カカシは一人じゃなく、険悪な雰囲気のくノ一数人(恐らくは上忍)に囲まれている。
 上忍同士で任務についての相談で揉めることも当然あるし、絡まれてるとは一概に判断しにくいので、しばらく様子を窺うことにした。
 俺は隠行の術がめちゃくちゃ上手いと言われるんだが、術としての精度が高いのではなく、いわば『無害な小動物みたいな空気を出せるレアな忍』らしい。褒められてるとは言い難いが、こういう時は便利だ。カカシの立つ背後までそっと忍び寄ると、聞き耳を立てるまでもなく金髪ボインくノ一のが罵声を浴びせる。
「…………に相応しくないって言ってるでしょ! いい加減イルカと別れなさいよ!」
 こいつらは俺にカカシと別れるよう何度も『忠告』しに来たくノ一だ。金髪ボイン、茶髪ポニテボイン、黒髪ボインのボイントリオ。
 カカシは俺に相応しくないってくどくどと言ってたので、中忍らしく礼儀正しい笑みでやんわり拒否しつつ、毎度お帰り願ってたんだが。埒が明かないとみて、とうとうカカシにまで忠告しに行ったのか。
 お前たちがカカシを狙ってるのは分かってるんだぞ。そりゃ里の誉のカカシとしがない中忍の俺とじゃ似合わねぇけどな、外野にやいやい言われる筋合いはねぇぞ!
 思わずギリと奥歯を鳴らしてしまい、慌てて整息する。
「そんなこと言われてもねぇ、俺たち愛し合ってるから」
「あの子は騙されてるのよ! あたしたちにはバレバレなんだからね⁉」
「あんたたち、怖い……」
「何よ急にしおらしくなって、気持ち悪い!」
 カカシが助けを求めている………!
 可愛い俺のカカシが!
 くノ一のキャンキャンまくし立てる中にカカシの弱々しい反論が聞こえ、俺は猛然と立ち上がって間に割って入った。
「失礼ながら皆様、俺の嫁に何か?」
 ボイントリオが驚いて、気まずそうにお互い目線を交わす。だよな、カカシは優しいから俺より簡単に説得できると思ったんだろうが、俺の目が黒い内はそんな蛮行は絶対に許さん。
 昔からカカシはずば抜けた強さで周囲を圧倒してきたが、本当は優しくて思いやりがあって傷付きやすい繊細な男なんだ。こんな百戦錬磨のくノ一に囲まれて詰められたら、どれだけ怖い思いをしたことか。
 俺はカカシを振り返って、力付けるように強く頷いて見せてから、改めてボイントリオと向き合った。
「何度もお伝えしてますが、あなた方がどんなに相応しくないと思っていようとも、俺は別れません。優しくて繊細で健気で可愛いカカシを、心の底から愛してるので」
 スパッと言い切ると、ボイントリオが髪を逆立てて怒り狂った。
「イルカちゃん、いい加減目を覚まして! こいつは上忍なのよ? そんなか弱い訳ないじゃない!」
「裏では散々汚い手を使って、あたしたちを牽制しまくってるの!」
「ほら見てよ後ろ! ベェーッと舌なんか出して、ほんっとムカつくううううううっ!」
 茶髪ボインの声にまた振り返ったら、口布をしたままのカカシがひたりと俺を見つめ返してきた。
「……絶対別れないから」
 片っぽだけ出てる灰青色の瞳が揺れ、俺の支給服の袖口がぎゅうっと握られる。
 カカシはなぜかすぐに不安になるんだよな。俺の愛情表現がまだまだ足りないのかもしれない。いくら子供の頃から結婚を約束してたといっても、里の法律上俺たちは本当に結婚できる訳もなくて。それにカカシの任務の都合で、ほとんど会えない期間がしょっちゅうあったからな。その分もしっかと言い聞かせてやらなきゃ。
 俺は体ごとカカシと向き合うと、額当てをこつんとぶつけた。
「ずうっと一緒だって約束したろ? 大丈夫だ、俺の愛を信じろ」
「イルカ……っ」
 色白なカカシの肌が、ぽうっとサクランボ色に染まる。
 口布でほとんど隠れていても俺には分かる。目元がサクランボ色になってる時は、頬っぺたも同じ色になってるんだ。その様子があまりにも可愛らしくて愛しくて、カカシの鼻の頭にちゅうっとキスした。
 ――あれ? 口布越しのはずなのに、伝わってくる感触は肌か?
 いや、これはカカシの唇だ。子供の頃『けっこんのやくそく』をしてから、もう幾度となく味わってきた。
 俺の唇が柔らかく甘く噛まれ、ちゅっちゅっと啄まれると、ぬるりと舌が入ってくる。
「ん……ぅ、ふ……うっ」
 顔を挟んでいた両手が耳を撫で、首筋に向かってつうっと伝っていく。片手は尻に回されて、掌でゆるりと円を描くとやわやわと揉まれた。
「ひゃう」
「助けてくれてありがとね」
 やっと顔を離してくれたカカシが、ぽわんとした目で俺を見てる。助けて……って何だっけ?
 そうだった、ボイントリオだ! キスが気持ち良すぎて忘れてた!
 慌てて振り返ったら、そこにはもう誰もいなかった。
「イルカが甘く啼き始めた辺りで、どっか行っちゃったよ。みんな鬼みたいに怖い顔してた」
 口布を戻したカカシが、さも嬉しげに肩を揺らす。
「俺は泣いてなんかないぞ」
 取り急ぎカカシの思い違いだけは訂正しておかなきゃと、頼りがいある旦那顔を作って見返すと、カカシが不意に真顔になった。
「……イルカはもし俺が可愛くなくても、守る必要がないくらい強くても、ずっと好きでいてくれる?」
 なんて馬鹿なことを聞くんだ。そんな迷子みたいな顔をして。
「当たり前だろ。カカシは俺の大事な大事な嫁さんだ」
 片方しか出てないが、その灰青色の目を見てきっぱりと言い切ると、薄く形良い唇を細かく震えさせたのが布越しに見てとれた。
「俺のこと、大事なお嫁さんって思ってくれてるの? 今でも?」
「思ってるに決まってるだろ。カカシはそう思ってないのか? 俺のこと旦那って」
「ううん、思ってる! イルカのこと世界一格好良くて素敵で可愛くてエッチな旦那さまって思ってる!」
 何かいろいろおかしな単語が混じってたが、旦那と思ってくれてるなら問題はない。
「法的には認められてなくても、俺たちは旦那と嫁さんだ。病める時も健やかなる時も、夫婦はずっと一緒だ」
「イルカ、大好き。愛してる」
 揺れる瞳がやっと落ち着いたのはいいが、今度は妖しい光を帯びてきた。ヤバい。このパターンはヤバい。ヤバいと思いながらも経験則に則った、或いは条件反射とも言える痺れが背筋を駆け上がり、下半身がずんと重くなる。
「……じゃあ、今夜はあれ着てエッチしてくれる?」
 くそう、こういうおねだりも可愛いんだよ! 上目遣いに潤んだ目を向けられると、何でも言うことを聞きたくなっちまう。
 待てよ、あれってあれか?
「俺も着るから一緒に、ね?」
「う、分かったよ」
 約束の印しに伸ばしてきた小指を、きゅっと絡める。
「指切り指切り カカシとイルカのや~くそく!」
 歌いながら上下に振られる小指を、カカシが真剣に見つめている。
「指切った!」
 いったん離した小指が、今度はカカシの手でぎゅっと掴まるみたく握られる。そして親指が俺の小指の先端をくるくると撫でる。何かを思わせるように。たとえば、もっとやらしいモノを握ってる時のこと、とか。
「ふふ、イルカとお揃いのエッチなランジェリー、楽しみ♡」
「俺も」
 あんな清純な白のふりふりレースだらけのランジェリー姿でカカシが勃つのがいまだに不思議なんだが、カカシは本当に似合うからなぁ。興奮して白い肌がサクランボ色に染まるとこなんて、マジでエロい。それが白いランジェリー越しに透けて、めちゃくちゃ格好いいバッキバキの筋肉がうっすら見えるの、最高にそそるんだよなぁ。俺の嫁さんは本当にエロいから。
「エッチなこと考えてたでしょ」
「……カカシもだろ」
 見抜かれてたことが決まり悪くて言い返すが、カカシは手を普通の恋人繋ぎに繋ぎ直すと、浮き浮きと俺の手を引いた。
「早く帰ろ」
「分かった分かった。あとな、また何か嫌がらせとかされたら、ちゃんと俺に言えよ」
 嫁ってことは家族だ。
 家族は隠し事は無しだ。
 もちろん、言いたくない事は言わなくていい。でも、俺に言うべきじゃないと思った事は言ってくれと、それは昔からしつこく言い続けていた。じゃないとカカシは、すぐ一人で我慢しちまうから。
 俺にまで嫌な思いをさせたくない、嫌なことを聞かせたくないって思いやりで黙ってるんだろうが、それは優しさじゃない。本当に俺が嫌なのは、カカシが嫌な思いを一人で我慢してることだと、それを知らないでいるのが一番嫌だと。
「うん、分かった」
 素直に頷いたカカシが、嬉しげに微笑みかけてくれる。
 カカシは強い。
 ガキだった頃から、俺が想像すらできないような修羅に身を置いて、自身が修羅となることだって幾度となくあるだろう。それが里を背負う戦忍だから。
 それでもこうやって、俺に微笑みかけてくれるんだ。
 忍の実力的には遥かに劣る俺に、全面的な信頼を預けるあけっ広げな笑みで。
 これがどれほど凄いことか分かるか?
 たった今、どっかの抜け忍の敵襲があったとしよう。
 俺が「カカシ、そこで動くな、俺の嫁は俺が守る」と言ったら、カカシは動かず俺に任せるだろうな。たとえ俺が殺られて、自分も殺られることになってもだ。そんな馬鹿なって事後検証に来た奴らは言うだろう。写輪眼のカカシが無抵抗のまま殺られるなんて、と。
 だがな、それがカカシなんだよ。
 俺が守るって言った誓いを心底信じてるから、カカシは動かない。絶対に。ただ、俺が殺られた時点で、あの目玉をどうにかしてから敵を巻き込んで爆破させるなり高温で燃やすなりして、俺と自分の始末を付けるだろうとは思うが。木ノ葉の忍として。
 だから俺はもしそんなことになったら、戦闘の邪魔にならないように退いて「カカシ、頼む」と言う。
 それが結果的にカカシを守ることになるからだ。
 分っかりにくいよなぁ。でも、これが俺たち夫婦の在り方なんだよな。
 ガキの頃みたいな、無鉄砲な騎士道はもう発揮しない。俺は俺のやり方でカカシを守る。
「イルカ、今日は軍鶏鍋にしよっか」
「おっ、いいな! カカシの作る鍋は最高に美味いからなぁ」
「あー、でも精を付けたいから鰻もいいかも。イルカはどっちがいい?」
 カカシの一番の悩みが、今日の晩飯のことでいられるように。
「精を付けるって……」
「だって、今夜は旦那さまにはいっぱい頑張ってもらわなきゃ♡」
 よっぽど気合いが入ってるのか、俺の手を引く足取りがどんどん早くなる。足元からは土埃がもうもうと舞い上がり、周囲の景色が飛ぶように後ろへと去っていく。
「カカシ、軍鶏鍋の〆の親子丼、あれが食いたい」
「そうだね、軍鶏も精が付くもんね。じゃあ軍鶏鍋にしよ」
 ぱあっと顔を輝かせたカカシに、足が絡まってコケそうなのを隠しながら鷹揚な笑みで頷きを返す。
 急ぎ足も夜の生活も、上忍の嫁の体力についてくのは一苦労なんだよ……旦那の沽券に関わるから言わねぇけどさ。
 やっぱり嫁には、俺のこと格好良くて素敵な旦那って思っててほしいもんな。だろ?
 俺の嫁、本っっっ当に可愛いからな!
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