【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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テンゾウの住む寮に到着すると、イルカはさっそく持ち込んだトラップや札をあちこちに設置し始めた。
そしてその作業が終わり、とりあえず今日は風呂に入ってからもう寝ようということになる。
イルカに先に風呂を勧め、自分も湯船に浸かって一息ついてると、突然窓の外で破裂音が響いた。
すると即座にイルカが風呂場に飛び込んできて、窓をバンと開けるとワイヤー付きクナイを投げる。

「そこだっ!」

驚いたテンゾウが立ち上がって外を覗こうとすると、イルカが慌ててテンゾウを引き戻して窓を閉めた。

「ダメですよテンゾウさん!そんなはしたない格好で姿を見せたら、ヤツの思うつぼです!」

はしたないって…下半身は外からは見えないと思うけど。
テンゾウは一応窓の位置と自分の下半身の位置とを見比べた。
その下半身にイルカはサッとタオルを巻き付けると、真剣な顔つきでテンゾウを見た。

「今のは盗撮されたかもしれません。いいですか、これは闘いなんです。俺たちとヤツの。これからは花も恥じらう乙女になったつもりで、自分の身を守る事だけを第一に考えて下さい。ここはもう…戦場なんです」

鬼気迫るイルカの様子に、テンゾウはごくりと唾を飲み込んでコクコクと頷いた。
俺が外で見張ってますからとイルカには言われたが、もうゆっくり入る気分にもなれず、テンゾウはそそくさと風呂場を出る。
イルカが警戒する中、狭い脱衣所でパジャマに着替えると、寝室で二人で布団を敷いたりと寝る支度を調える。
テンゾウはずっと気になってたことを、恐る恐る尋ねてみた。

「あの…イルカ先生は今までいつもこんな生活を…?」

イルカはフッと遠くを見て、疲れた笑みを浮かべた。

「まぁ、付き合う前まではですけどね。お陰様で危機察知能力とトラップ技術は異常に鍛えられましたよ。…対カカシさん限定ですけど」
「あの…………じゃあなんで先輩と?」
「さあ?なんででしょうね。そこまで徹底的に、子供みたいに無心に求められる事がなかったからかなぁ。だってアンタに必要とされない自分なんて要らないなんて、そんな事言うヤツをほっとけないでしょう?」

イルカの口調が、だんだんと柔らかく変わっていく。

「…あの人はね、あんなに凄い人なのに自分の価値を分かってないんですよね。忍としてはもちろんだけど、人間としても尊敬できる人です。そりゃあ、ちょっと変な所もあるけど。でもそんな自分の価値が俺に愛される事だけなんて、そんなのおかしいじゃないですか。だから、ちゃんと分かってもらおうと思いましてね……俺の一生をかけて、ヤツに教えてやるんですよ。アンタはすげぇ人なんだよ。みんなに愛される価値がある人なんだよ、ってね」

そう言ってにっこりと微笑む顔は、今までテンゾウが一度も目にしたことのないほどに優しいものだった。
あぁ、先輩とイルカ先生は本当に想い合ってるんだと、素直にそう思えるほどに。

そんな二人が、例え術のせいとはいえ、こんな対立状態になっていい訳がない。
テンゾウは自分にできる精一杯の事を、二人のためにしたいと心から思った。

「イルカせん…」
「そこだっ!」

イルカが隣のリビングに向かって、手裏剣を投げ付けた。
寝室と境の柱に、カカカッと手裏剣が並び刺さる。
一瞬、ほんの一瞬だが、何かがスッと消えた気配があった。
テンゾウはそれをぼんやり眺めながら、なぜ自分は一度も先輩の気配を感じ取れないのかと考えた。
……きっと、これこそ愛の力って物なんだなぁ。
静かに納得して一人頷くと、イルカにおやすみなさいと声をかけて電気を消した。



次の日の朝。

「おかしいですね。こんなぐっすり寝てしまうはずはないんですけど」

今日は日曜なのでアカデミーは休みだが、イルカはいつも通りに目覚めた。
テンゾウもベッドで起き上がり、床に敷いた布団の上で胡座をかいて不審がるイルカを見下ろす。

「え、ベッドの方が良かったんですか?」
「や、そうではなくて。夜中にカカシさんの襲撃が無かったのはおかしいんですよ。…テンゾウさん、何か無くなってる物はありませんか?例えば下着とか…下着とか」

テンゾウはまさかと思うが、言われた通り下着類の入った箪笥の引き出しを開けた。

「あっ、ホントにない!無くなってますよ!僕のパンツ!!」
「くそっ、アイツめ…腕を上げてやがる!」

イルカが駆け寄り、テンゾウの隣で「失礼します」と引き出しを覗き込んで舌打ちをした。
イルカが昨夜、丹念にトラップを仕掛けた箪笥に異常は見られなかった。
だが、明らかにパンツが数枚盗られたらしい隙間が空いている。

「俺の力不足でした…テンゾウさんのパンツを死守できなくてすみません」

心底悔しそうにイルカが呟くが、そこまで残念がるほど自分のパンツに価値があるとは、テンゾウには思えなかった。
…カカシに狙われる私物がパンツだったというのも、朝から脱力感と虚無感を覚えるが。
あれしきの事で思わず叫び声を上げてしまったのは、暗部としては恥ずべき行為だったが不可抗力といえるだろう。
カカシがテンゾウのパンツを盗むなど、暗部の誰一人信じないはずだ…暗部流の新手の悪戯でもない限りは。

僕のパンツはもういいから気を取り直して今日の予定を立てましょうと、慰めにもならない言葉をテンゾウがかけると、イルカがそういえばと言い出した。

「今日はカカシさんに簡単な任務を出すよう、昨夜のうちに三代目に頼んでおいたんですよ。他にも依頼したい事があったし。だから少なくとも明日くらいまでは狙われないで済みますよ」

これでひとまずは術の解明に集中できますねとイルカが笑う。
本来任務明けの二人は待機なのだが、事情が事情なので仕方のない事だろう。
カカシはテンゾウさえいなければ、通常の任務に支障は出ないはずだと三代目からの巻物にもあった。
実際、昨夜はほとんどカカシの撃退にばかり気をとられ、解明に時間を割けなかった。
二人は簡単な朝食をとると、テンゾウの知る任務の時の様子を、今度はイルカが細かく聞き取りながらまとめる事にする。


「昨日巻物を読んで一番気になったのは、なぜテンゾウさんは大丈夫だったのかという点なんです」

一通り聞き取り調査を済ませると、イルカが一つの疑問を呈した。
イルカの考えでは、カカシと敵の状況やテンゾウの割り込んだタイミング、位置関係を詳しく聞いた上で、本来なら敵の術はテンゾウにもかかっていたはずだという。
なのになぜテンゾウには、その影響が全く見られないのか。

「それで俺は三代目の途中まで解明した経緯をたどってですね、テンゾウさんが割り込む前に、カカシさんだけに何らかのプラスαがあったと推測しました。恐らく薬物、それも嗅覚に作用する物を直接かけられたと思われます」
「それで昨日、先輩の衣類を回収したんですか」

テンゾウは察しよく答えた。
二人でカカシの家に寄った時、イルカは洗濯カゴからカカシが任務時に身に付けていた口布とアンダー、ベストを回収して薬物研究室に送っていたのだ。
任務の後は必ず衣類をカゴに放り込んでシャワーを浴びていたはずだ、と言って。

「残留物があれば、そろそろ成分解析も終わってるでしょう。ですがこれは単なる確認です。今回の術は、恐らく記憶の置換を目的とした、暗示術に近い物だと思います」

イルカはこの術の解明と解術がなぜ自分に委託されたか、三代目の巻物を読んで分かったという。
昔、三代目の屋敷で飼っていた犬に、似たような悪戯をした事があったのだ。
飼い主は庭師だったのだが、それをイルカと入れ替える暗示をかけて庭師が犬に追いかけ回され、散々叱られたのを三代目は覚えていたのだろう。

その時に使ったのが記憶の混乱を招いたり、認識を危うくさせる『白煙茸』というキノコだった。
それは上忍だった母の薬草棚から勝手に持ち出した物だったのだが、キノコの匂い自体にその成分があるので、炙るなどして匂いを強めれば経口摂取の必要なく効果があるのだという。(庭師の犬には生で食べさせたのだが)
今回はそれを精製して実用に耐えうる濃度まで高めたか、類似の性質を持つキノコを併用して暗示をかけたのではないか。
イルカは経験上、そう推測したのだった。

嗅覚は想像以上に脳や記憶と密接な関係にある。
白煙茸の匂いで混乱した脳に目の前の人間の匂いを嗅がせて、恋人や好きな人と匂いの記憶を入れ替える暗示をかける事で、一目惚れの状態を人為的に作り出したのではないか。
恐らく白煙茸はターゲットにピンポイントで使えるよう液状に精製され、カカシにかけられたのだろう。それならテンゾウに術の影響がないのも説明がつく。
人一倍嗅覚の優れているカカシなら、薬物耐性があっても影響は避けられない。
その一目惚れの状態にした上で、倒すなり協力を持ちかけようとした所に、タイミングよくテンゾウが割り込んだのだ。

「だからカカシさんがテンゾウさんに一目惚れしてしまったのは、結果的に二人を救った事になるんですよ。不本意でしょうが、この状況では最善の結果でした」

イルカが事務的に淡々と述べる。
…木の葉の忍としては最善だったかもしれないけど、僕たちには最悪の結果だよなぁ。
テンゾウはちょっと遠い目になった。

「…じゃあ、解術の方は?」
「そうですね…また白煙茸を使うと余計な記憶の混乱を招くので、あまり使いたくありません。元がキノコなら効果の持続力もそんなにないでしょうし、それと一緒に暗示が薄れるのを期待する方がいいでしょうね」

写輪眼を持ってるカカシさんなら、暗示自体の効果もそんなに強くないでしょうし…と呟くイルカは、やはり顔色が冴えない。
結局は時間が解決するのを待つしかないのだから当然だ。

「まさか匂いとは……匂いの記憶って凄いんですねぇ」

テンゾウが独り言のように言うと、突然イルカがガタンと立ち上がった。

「匂いの記憶!そうか、匂いを上書きしなくても、呼び起こせば、もしかしたら…」

その時、窓ガラスをコツコツと叩く音がした。
テンゾウが窓を開けると、鳥が式に形を変える。
てっきりテンゾウへの任務か召集かと思ったら、薬物研究室からの回答書だった。
それをイルカに渡すと、ざっと眼を通してやっぱりと呟いた。

「思った通り、凝縮された白煙茸の成分が口布から検出されたそうです。――それじゃ今夜、勝負をかけましょう。協力してもらえますか?」

そう言ってイルカは悪戯っぽい眼を輝かせた。




その夜――。
寝室で眠る二人の所へ、にじみ出る影が一つあった。
その影はベッドで眠る方へ、すうっと近寄っていく。
そしてしばらくじいいいっと眺めると、頭までかぶってる布団に手を伸ばして、そっとはぎ取った。

そこで息を潜めて寝たふりをしていたのは、テンゾウが一日中着てたっぷり匂いを染み込ませたパジャマを着た、イルカだった。

「………あれ?テンゾ」
「今だっ!」

テンゾウの匂いのするイルカに戸惑った隙を突き、イルカの合図でテンゾウが木遁でカカシを拘束する。
そしてテンゾウのパジャマを着たイルカが、パジャマの上だけ脱ぎ捨ててカカシへと抱き付いた。
カカシにぴったりと上体を密着させるイルカに、カカシは必死にもがくが、テンゾウの渾身の拘束はさすがにすぐには外れなかった。

「ちょっ、やめてよね!離れろ!テンゾウも離せ!」
「…カカシさん」

イルカがカカシの首に両腕を回し、髪を下ろした首元にカカシの顔を埋めるように、ぎゅうっと抱きしめる。
耳の後ろから首にかけては、その人の体臭が強く感じられる場所の一つだ。
イルカはそこに、口布越しのカカシの呼気を感じた。

「お前、何を………


    ……、………ィ…ルカ?」




その瞬間、二人に拘束されてたはずのカカシが消えた。


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