【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
↑new ↓old

イルカ先生の変化に最初に気付いたのは俺だった。

あんなにいつも生き生きとして輝いていた笑顔に、翳りが見える。
二人で呑んでいる時にも、ふとした沈黙の後に目の中に虚ろが混じる。
最初はナルトが修業のために自来也様と里を出たのが寂しいのかなと思っていたが、事態はそんな生易しいものではないことに程なくして気付いた。
イルカ先生は胸の内に、再び虚ろを作ってしまったのだ。
ご両親を亡くした後の虚ろを埋めてくれたのは三代目だった。
その三代目も亡くなり、身内のように目をかけていたナルトが自来也様の弟子となった。そのナルトを最初に先生の手から奪ったのは俺だ。「今は俺の部下です」という事実を突き付けて。
そうやって少しずつ、少しずつ失っていったものが、とうとう確固たる虚ろに育ってしまったのだろう。
しかも先生はその空虚な穴に気付いてはおらず、ただ寂しいだけだと思っている。
これはかなりの重症だ。
今は平気でも、いつかその寂しさに揺らいで彼女を、下手すると嫁を迎えかねない。
それはイルカ先生に秘かに惚れてる俺にとって、絶対に避けたい展開だった。
そして先日、ついにイルカ先生の「……猫でも飼おうかなぁ」という呟きを聞いて、これはもう一刻の猶予もならないと焦る。
イルカ先生は何かを、誰かを必要としていた。
自分の心を預け、手と時間とをかけて慈しめるものを。
それが俺ではないことは心から残念だけど、階級を越えた友人というポジションをやっと得たところだから仕方ない。
本当はその虚ろに無理やり俺をねじ込みたいところだが、イルカ先生はそこまで無節操な人ではない。己の存在がお互いに必要と判断しないと、懐の奥深くには入れてくれないのだ。
ならば多少強引でも、俺が必要としてることを知ってもらいたい。
――比較対象の全くない環境で。
あわよくば俺のことを必要としてもらいたいという下心には目を瞑り、イルカ先生のためというお題目の元、俺は秘かに、可及的速やかに準備を始めた。


今現在、俺が秘かに手を回して、うみのイルカは中期任務に出ていることになっている。状況次第で長期にもなるフレキシブルな設定だ。
俺が変化したイルカ先生はその任務を拝命し、今朝がた門番に見送られて出立した。
三代目がご存命だったら、こんな事はとてもじゃないが通用しない。火影が代替わりしたゴタゴタの隙を突いたからこそ出来た小細工だ。
そして昨夜は帰宅中の先生をかっさらい、眠らせてから入念な準備をしておいた隠れ家の内の一つに連れていった。
ここは里の外れにある一般人向けのアパートで、俺は一階の端に偽名で入居していることになっている。実は丸ごと俺の所有するアパートで、部屋の中には地下室に続く隠し階段があった。長期的な隠れ家を想定して作ってあった部屋なので、監禁に向いてない部分は改装しておいた。玄関の座敷牢的な造りは、その……俺の趣味だけどね。お風呂とか食材とか、ちゃんとイルカ先生が快適に過ごせるよう隅々まで配慮したつもりだから、気に入ってくれるといいんだけど。
イルカ先生が目覚める頃には一緒にいたかったけど、まぁ、先生なら突然の環境の変化にパニックを起こしたりはしないと信じて、ちょっと面倒なことになった任務を終えてから地下室に向かった。

イルカ先生は俺が監禁したことに驚いてはいたけど、説明する前にどんどん一人で妄想が爆走したらしく、結局その妄想に乗っかることにした。
というより、先生が俺のテリトリーにいて、俺の選んで着せてあげたパジャマを着て生活してるという現実を目の当たりにして、俺が舞い上がって上手く説明できなかったという方が正しい。
昨夜はイルカ先生が意識のない状態だったのと、先生を寝かせてから任務に向かわなければならなかったので、じっくりとこの状況を味わえなかったせいもあるが。
髪を下ろしていつもよりあどけない顔を晒したイルカ先生は、予想を遥かに越える可愛らしさだった。
パジャマ姿で目の前で動いて喋る先生の破壊力に、用意してたもっともらしい状況説明は全部吹っ飛んでしまったけど、イルカ先生が自分で思い付いた突拍子もない理由に自分で納得してくれたから良しとしよう。
思い込みが強すぎるきらいはあっても、誰かのためなら猪突猛進に突っ走っていく、そんなところも大好きだ。
それが今は俺のためなんて……夢みたい。
イルカ先生は俺のことだけを考え、俺のために一緒に生活をすると断言してくれた。
俺が先生を必要としている理由の部分はこれから勘違いを訂正しなくてはならないが、共同生活の滑り出しは上々と言えるだろう。
同意も得られたことだし、これはもう同居、いや同棲と言ってもいいんじゃない⁉
とにかくイルカ先生の目には、また光が戻り始めていた。



「あの、それでは早速ですが、カカシさんは具体的にどの様なことをお望みでしょう?」

イルカ先生から発せられた質問で、目の前の先生に意識を戻す。
お望みでしょうって、なんだか傅かれてるみたいで興奮する。上官と下士官プレイもいいなぁ、実際に上官だけどプレイはまた別物だよね……じゃなくて、どの様なことってそりゃもうあんなことやそんなことを「カカシさんのお望みのままに」っていろいろイケナイことしてもらいたいに決まって……

「ダメだ! そうじゃなくて!!!」
「聞いたらダメなんですか⁉ あ、そうですよね、言われたことだけするなんて子供のおつかいじゃないんだから。それでは俺なりにやらせて頂きます!」

俺の妄想へのダメ出しだったのに、先生はまたしても都合よく解釈してくれたらしい。
立ち上がると、いきなり俺のベストを脱がせ始めた。

「任務お疲れさまでした! 風呂に入ってさっぱりしてきて下さいね。檜風呂だから疲れも吹っ飛びますよ!」
「えっ、いや、ちょっ」

先生は子供にするみたいに俺の服をてきぱきと脱がせ、最後のパンツまで足からすぽーんと景気よく引っこ抜くと、すっぽんぽんで立ち尽くす俺を「ごゆっくり!」とバスルームに放り込んだ。
風呂って……まだ湯も溜めてないけど。
それはシャワーで済ませるからいいとしても、もしかして背中を流しに来てくれるかもと淡い期待を膨らませ、湯槽に湯を満たしながらシャワーを浴びて待つ。
浴室の外では先生の気配がするのに、髪を洗ってもゆったりと湯船に浸かっても一向にイルカ先生の「失礼します、お背中を流しに参りました」という声はかからず、仕方なく自分でもそもそと体を洗った。
外では何やら洗濯機の回る音がするので、俺の汚れ物を洗ってくれてるらしい。
これってなんだか本当に同棲だよね♪ と緩んだ顔を晒して風呂から出ると、バスタオルと着替えが用意されていた。
それは有り難いんだけど、このハート柄のパンツはイルカ先生のために選んだのであって、断じて俺用ではない。
せっかく用意してくれたんだから、としぶしぶ着て部屋に戻ると、先生がキッチンにいた。

「あ、出られました? 煎餅だけじゃあれなんで、今朝食を用意してますから待ってて下さいね」

うん、それは有り難いんだけど……この部屋を横切ってはためく俺の洗濯物は何⁉

「すみません、邪魔ですよね。でも干す場所がなかったんで、ちょっと我慢して下さいね。エアコンをドライにしたので、すぐ乾くと思いますから」

よく見ると、洗濯物はイルカ先生の首から伸びる鎖にかけて干してあった。
鎖は壁の輪っかから反対側の洋服ダンスの引き出しに差した巻物に引っ掛けられ、キッチンのイルカ先生の首輪へと繋がっている。だからたいした風もないのにはためいていたのか。イルカ先生が冷蔵庫とガスコンロの前を往復する度に、鎖が動いて洗濯物がゆらゆらと揺れる。
先生がこの部屋の中では不自由なく動き回れるようにと長めにしておいた鎖だが、まさかこんな風に活用するとは。
イルカ先生って何ていうか……うん。雑草魂っていうの? こういう環境適応能力がホンっっトに優れてるよね。
そんなところも大好きだけどね!
それはともかくとして、物干しにまで考えが至らなかったのは恥ずかしい。

「すみません、物干しないと不便だよね。用意しとく」
「いえ、鎖が長かったので助かりました。でも室内干し用の折り畳み式パイプハンガーとかあると便利ですね。お願いします!」

玉子焼きを器用に引っくり返しながら皿に乗せ、先生が爽やかな笑顔を向けてくれた。
室内干し用の折り畳み式パイプハンガー。
そんな便利な物が世の中にはあるのか。
普段なら乾燥機か任務中などの外では風遁で乾かすんだけど、うっかり乾燥機を取り付け忘れたし、イルカ先生のチャクラは今あの首輪でほぼ封じられている。
完全に封じなかったのは、万が一何かあった時にチャクラが全く使えないと困るかもしれないからだ。
それに俺に何かあった時の仕掛けもちゃんとしてある。
俺は席に着いて、差し出された味噌汁を受け取りながらその説明をした。

「その首輪だけどね、俺のチャクラが感知できなくなったら、自動的に外れるようになってるから安心して。俺の忍犬達もここの事は知ってるし、俺が死んじゃっても先生まで道連れってことにはならないから」

するとイルカ先生がさっと顔を強張らせた。
あれ、何かまずいことでも言ったっけ?
先生も忍だから、万が一の備えなんて当たり前に想定すると思うんだけど。
そう思いながら味噌汁を啜ると、生臭さがぶわっと鼻に抜けてむせた。

「ぐっ、ェホッ、ちょっと、これ何⁉ ……え、秋刀魚のぶつ切り……?」
「カカシさんは! 無事帰還するから大丈夫です! ここに帰れなかったら俺と心中するつもりでいて下さい! それが嫌なら何が何でも絶対に! 全力で! 幽霊になっても帰ってきて下さいっっ」

イルカ先生と心中⁉
とんでもない愛の告白を聞いた気がするけど、味噌汁の具に入ってた秋刀魚が予想外の攻撃力で俺の味覚と嗅覚を破壊しつつあった。
口の中の物をなんとか飲み下してはみたが、秋刀魚のぶつ切りの生臭さが舌の上に居座っている。思わず手で口を覆って涙目になっていると、イルカ先生が覗き込んできた。

「カカシさん、泣いて……?」

違う違う! そうだけど違うし秋刀魚が!
でも俺と心中ってそんなこと言っていいの⁉ もう手離せなくなっちゃうよ?
乱れる心の内に首を振ったり頷いたりしてたら、イルカ先生が。
両腕を広げて。
俺をぎゅうっと抱きしめてくれた。
あまりの出来事に固まったけど、ここは格好いい台詞の一つでも決めて抱き返そうとしたら、するりと腕をほどかれてしまった。

「さぁカカシさん、朝御飯は一日の始まりを決める大事な要素です。しっかり召し上がって下さいね」

と、にっこり微笑まれる。
目の前にはまだお椀一杯に満たされた、秋刀魚のぶつ切りの味噌汁が鎮座していた。




スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。