【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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朝食をきれいに平らげた後、カカシさんはちょっと仮眠するからとベッドにもぐり込んだ。
任務がスムーズにいかなかったせいで疲れたんだろうか。ベッドに向かう足取りがなんだか覚束ないみたいだったし、また口元を手で覆っていた。味噌汁の後にご飯をすごい勢いでかっ込んでたから、食欲はあるみたいで良かった。やっぱり俺相手でも、終始顔を晒してるのは落ち着かないのかもしれない。
洗い物を終えてそうっと様子を見に行くと、布団を鼻の頭まで引き上げて眠っている。その様子が子供みたいで、つい頭を撫でてしまった。
ツンツンと尖った見た目に反して、鈍い銀色の手触りは柔らかい。こんなことをしても目覚めないカカシさんの、俺への信頼を感じて胸の奥がじんわりとあったかくなる。
この首輪と鎖はやっぱり不信じゃなく、寂しさと執着の表れだと思おう。

「俺はどこにも行きませんよ。いつでもここに、里にいます」

カカシさんの眠りを妨げないよう、でも無意識下の心に届くよう、小さく呟いた。

さて、俺も風呂に入りたいところだけど、洗濯物が乾くまでは動けないし何をしようかと周りを見渡して本棚が目に入った。
掃除など煩くもできないことだし、せっかくだから巻物や忍術書を見させてもらおうか。
目に付いた物から幾つか取り出して広げてみると、案の定今は市場に出回ってないような稀少な物ばかりだった。これはカカシさんの私物なのかもしれない。チャクラの理論を体系的にまとめた本をしばらくめくり、性質変化の巻物を広げている内にいつの間にか没頭してしまった。
こんなにゆっくり読み物の時間を取れたのは、いつ以来だろう。不自由な生活と言われながらも、お陰でなんだかんだと自由な時間を過ごさせてもらってる気がする。
ふと顔を上げると、天井から差す外のらしき光が真下を照らしていた。そろそろ昼飯を用意した方がいいのかと振り返ろうとして、小さな巻物が棚の奥に転がっているのを見付けたので後で読もうと卓袱台に乗せ、洗濯物の存在を思い出す。エアコンのおかげでほとんど乾いたようなので畳んでしまうと、カカシさんもまだ目覚めないようだから、今の内に風呂に入ってこようと思い付いた。
総檜造りの風呂。
思わずにやけながら洋服箪笥から着替えを選び、いそいそと風呂場へ向かった。

風呂から上がると、カカシさんの姿は消えていた。
テーブルの上に『今日は待機なので何もなければ夕方には帰ります』とメモが置かれている。
檜風呂に浮かれてちょっと長湯し過ぎたかもしれない。
カカシさんがいなくなると、とたんにやることが無くなってしまった。
首にかけたタオルでおざなりに髪を拭くと、パジャマの代わりに着替えたアンダーの上から腹に手を当ててはみたが空腹感はない。たいして動いてないんだから当たり前だ。
そこで少し体を動かそうと掃除機を探してみたが見当たらなかった。代わりに不織布のモップのような物と化繊のハタキを見付けたのでそれで一通り掃除をしたが、そんな汚れている訳でもなくすぐに終わってしまう。
いっそのこと筋トレをしようかと腕立て、拳立て、指立て伏せをして床にごろりと寝っ転がる。
すると首からアンダーの中を通って裾から出ている鎖が、肌の上をチャラリと滑り落ちた。
これだけ長いのだから前開きのパジャマじゃなくても大丈夫だろうと、垂れ下がる鎖の上からアンダーを着てしまったのだ。
裾から長々と床を這う鎖を手に取り、しげしげと眺める。
カカシさんはこの鎖で俺を繋いで、どうしたいのだろう。
面倒をみるということだが、今のところ洗濯と朝食を作ったくらいでたいして役に立ってるとも思えない。カカシさんが言いにくそうだったから深追いはせずにいたので、これが本当はどんな任務かも、任務かどうかさえも曖昧なままだ。
細くて軽くて、チャクラさえ使えればすぐにも切れそうな鎖。
その脆弱さがカカシさんの気配の薄さと重なる。
飯を食いに行く時も呑みに行く時も、いつも俺の要望ばかり聞いて自己主張はしないカカシさん。今まで聞いたことがあるのを指折り数えると、天ぷらが苦手なのと、秋刀魚と茄子が好きで、洋食より和食派、忍犬を使役してるけど実は猫も好き、と片手で足りてしまった。
けっこう仲良く過ごしてきたと思っていたが、改めて考えてみると中忍仲間や受付、アカデミーの同僚のことの方が遥かに詳しい。
自分のことはあまり知られないようにするのが上忍というものなのかもしれないが、そういうのとはまた違う気がする。むしろアカデミーの内気な生徒にありがちな、自己主張が下手な不器用な子供を思わせた。
――俺を繋ぎ止める鎖さえ、こんなにも弱々しい。
このままのやり方では表面的なお世話しかできず、本当の意味での面倒はみれない。
これからはもっとカカシさん自身を知るために、もう少し踏み込んで動いてみよう。
そう心に決めると、筋トレの続きをするために鎖を掴んで立ち上がった。



チャッチャッチャッチャッチャッチャッチャッ

鎖が床に当たる音が、リズミカルに響く。
軽すぎるかと思ったが、そこは金属製だからか意外と使い勝手がよくて良かった。
どうやらここは地下室らしいので、階下への騒音も気にせずに集中して鍛練できる。

チャッチャッチャッチャッチャッチャッチャッ

左足だけで跳んでいたのをまた右足に切り替えて続けていると、玄関(暫定的に)の木格子がガチャリと音を立ててカカシさんが帰ってきた。

チャッチャッチャッ「おかえりなさい!」チャッチャッチャッ
「ただ~いま、イルカ先生の言ってたパイプハンガー買ってき……」

カカシさんが大荷物を持ったまま絶句し、目を真ん丸にして俺を見ている。
口布を下ろしているから、ぽかんと開いた口まで丸見えだ。
しまった、つい無心に跳び続けちまったけど、もう夕方になってたのか?
手を止めればいいんだがいい感じにリズムに乗ってしまい、俺は跳び続けたままカカシさんと会話を続けた。

「……………何してるの?」
チャッチャッチャッチャッチャッチャッチャッ
「その、体が鈍りそうなので、ちょっと鍛練をですね」
チャッチャッチャッチャッチャッチャッチャッ
「……………鎖で縄跳びして?」
チャッチャッチャッチャッチャッチャッチャッ
「はぁ、ちょうどいい長さと重さだったので」
チャッチャッチャッチャッチャッチャッチャッ

俺が両手に握っている鎖を、カカシさんは瞬きもせずに凝視して。
突然声を上げて笑い出した。

チャッチャッチャッ「何ですか急に。そんな可笑しいですか⁉」チャッチャッチャッ
「ごめ……だって鎖を有効活用しすぎ……ぶふっ、アハハハ」
チャッチャッチャッチャッチャッ「そうやって笑うけどな! けっこういい鍛練になるんだからな!」チャッチャッチャッチャッチャッ

とうとうカカシさんが腹を押さえてひーひー笑い出したので、俺も思わず敬語を忘れるくらいむきになってしまった。

チャッチャッチャッ「そんな笑うんならカカシさんもやってみて下さいよっ」チャッチャッチャッ
「えっ、俺⁉」
チャッチャッチャッ「そうです俺ですよ。ほら、おはいんなさい」チャッチャッチャッ

二人で向かい合って一緒に縄を跳ぶ遊びを思い出して誘ってみたはいいが、カカシさんは子供の遊びなど知らないかもしれないと気付いた。
だが案に反してカカシさんは、笑いすぎたのか目尻を拭うと立ち上がってからベストを脱ぎ捨て、特にタイミングも見計らわずいきなり飛び込んできた。

「のわっ!」
チャッチャッチャッ「そんな驚かなくてもいいじゃない」チャッチャッチャッ
「あ、いや、この縄跳び遊びを知ってると思わなくて」
チャッチャッチャッ「ふふん、知ってるよ~。残念でした」チャッチャッチャッ
「……あれ? あっ、鎖⁉」

なんとカカシさんは飛び込んだついでに鎖まで奪って回していた。
恐ろしいほどの早業だ。さすがは里の誇る上忍様。
カカシさんは俺のすぐ真ん前で、小刻みにジャンプしてると思えないほど同じ位置の顔が悪戯っぽくニヤニヤしている。
すぐ真ん前でといっても、微妙に、いやけっこう目の位置が上だ。
もしかして……

「カカシさんの方がちょっと背が大きい……⁉ うわ、ショック!」
チャッチャッチャッ「あ、ほんとだ。俺の方が大きいねぇ」チャッチャッチャッ
「ほんの数センチじゃないですか! こんなの誤差の範囲ですよ!」
チャッチャッチャッ「おやおや、アカデミー教師が三センチを誤差の範囲なんて言っていいの?」チャッチャッチャッ

カカシさんが端正な顔をずいっと顔を近付けてきて、びっくりした俺はとっさに上体を仰け反らせてしまった。
足元が狂い、回ってた鎖が引っ掛かって盛大に転んでしまう。

「うぉわ! いっっ……たくない?」

無様に後ろに引っくり返ったと思ったら、間近のカカシさんの真剣な顔の向こうに天井が見える。
痛くなかったのは、カカシさんが片腕を俺の背中から頭まで回して支えてくれてるからだ。

「……びっくりした。大丈夫?」
「あ、はい、おかげさまで」

ぴたりとくっついた胸から、異様に早いカカシさんの鼓動が伝わってくる。忍にあるまじき失態で驚かせて申し訳なかったなと思い、本当に大丈夫なことを示すため必要以上に大きい笑みを返した。
だがカカシさんは俺をじっと見つめたまま動かない。

「あの……?」
「俺、重い?」

重いって、体重が?
確かに俺に乗っかってるけど、俺の顔の横にある腕で自重を支えてくれてるから、別に潰れるってほどじゃない。
これは俺より身長も体重も上って言いたいのか?

「カカシさんが支えてくれてるから大丈夫です。あと俺より重いのは当たり前でしょう。俺よりでかいんだから」

カカシさんの鼓動はまだ早いままだ。
いや、さっきよりもっと早くなってる気がする。
額宛に隠されてない方の目はずっと黒だと思ってたが、こうしてよく見てみると深い青みがかった濃い灰色だった。
その瞳が少し揺らぐと、すっと逸らされる。

「……そうだね、俺の方が重いのは当たり前だよな」

そう呟くとカカシさんはようやく体を起こした。
と思ったら、今度はまじまじと俺の体を凝視している。

「……ぴ」

ぴ?

「ぴぴぴぴぴんく! あかちゃ⁉ いやぴんくべーじゅ!!!」

カカシさんはそう叫ぶと、ざっと後ろに跳んで俺から距離を取った。
顔が異常なくらい紅潮していて、思わず俺までピンクとやらの敵襲か⁉ と起き上がって後ろを振り返ったがもちろん誰もいない。
そこでカカシさんが凝視してたらしき部分を見下ろすと、アンダーの前面が胸の上まではだけていた。
カカシさんが掴んでいたアンダーの中に通していた鎖が、倒れた俺を支える時に上に引っ張られてしまったんだろう。そのせいでアンダーの裾がずり上がってしまったのだ。
だがぴぴぴぴんくとか、あかちゃとは敵じゃないなら何のことだ?
それを訊ねようとしたら、カカシさんは目を閉じて深呼吸を一つするとすっと立ち上がった。

「ごめんね、ちょっと取り乱した。今日は俺に夕食を作らせてもらえる?」
「それはいいですけど、それじゃ俺は何をしたら……」
「あー、じゃあ、えっと、パイプハンガーを組み立ててくれる?」

そう言うと一瞬で距離を詰めて俺のアンダーを下げて元通りにし、次の瞬間にはもう台所に立っていた。
……あんなに取り乱すなんて。カカシさん、疲れているんだろうか。
俺みたいな一介の中忍と同居生活なんて、やっぱり凄腕の上忍には神経が休まらないのかもしれない。
てきぱきと支度を始める背中を見て、たいした距離でもないのにやたらとその背中が遠く思えた。

洗濯物干し用のパイプハンガーは簡単に組み立てられ、手持ち無沙汰になった俺はカカシさんの様子を見に行った。
後ろから覗き込むと、カカシさんは鶏の胸肉を得体の知れない葉っぱや粉末の入った漬けダレに揉み込んでいた。あの調味料はこんな風に使うのかと感心しながら見ていると、カカシさんが含み笑いをする。

「テレビとか見てなくていいの? こんなの見てて面白い?」
「面白いです! 肉なんて焼くくらいしかしないから、カカシさんはずいぶん凝った料理を知ってるんですね。やっぱりモテる男はこういうところから違うんだなぁ、さすが上忍!」
「上忍は関係ないでしょ」

ふはっと吹き出したカカシさんの空気が和らぐ。
その間にも手が止まることはなく、肉の塊を浸けたボウルを置くと野菜がごろごろ入ったスープの灰汁を取り、何種類かのキノコをキッチンペーパーで拭くと野菜と合わせ、調味料を振って薄い紙みたいな物で包んだ。

「野菜ってこんないろいろ出来るんですねぇ。カカシさんは料理が趣味なんですか?」
「趣味っていうか、イルカ先生には不自由な思いさせちゃってるからね。せめて美味しいものを食べてもらいたくて」
「スゲェ! 何ですかその殺し文句は」
「……イルカ先生は胃袋から殺されちゃうタイプなの?」

急に振り返ったカカシさんが、驚くほど真剣な顔で聞いてきた。
なぜだか知らないがこれは大事な質問なのかと、じっくり考えてから慎重に答える。

「そうですね……はい、うまいもんは幸せになれますから!」
「そっか、そうだよね、じゃあ先生の幸せのために頑張ろうっと」
「やった! でも頑張らなくてもすんごい旨そうですよ!」

それから俺も皿を出したり味見をしたりとちょっとだけ手伝って、どっかの小綺麗なレストランで出てくるような旨い飯を二人で食べた。
任務の時の野営食の作り方を教え合ったり、野生の獣肉で一番旨いのは何かを争ったり(俺はダントツで兎を推したが、カカシさんは雉推しだった)、子供の頃に好きだったメニューを並べ合ったりと、いつも呑みに行く時より腹も会話も満たされた夕食だった。



さてそろそろ寝るかという時間になって、カカシさんがもじもじし出した。

「あー、えっとね。イルカ先生は誰かと一緒でもちゃんと寝られる?」

ああ、そんなことを気にしてたのか。
仲間と誰かの部屋になだれ込んで呑み明かして雑魚寝なんか当たり前だし、任務では中忍なんて狭い天幕の中にやっぱりほぼ雑魚寝だ。
だがカカシさんは上忍だから、誰かと寝るなんて気が休まらないのかもしれない。任務では隊長クラスだし、広々した天幕に一人で寝るのが当たり前なのだろう。

「良かったら俺は床でゴロ寝で全然大丈夫ですよ! ほら、このふかふかの座布団なんて俺の枕より上等だし」
「や、そうじゃなくてね! 俺と一緒の布団で大丈夫かってことなんだけど……」

そういえばカカシさんは家に呑みに来ても、泊まってったことはなかった。
そんな神経質だと思われてたことにもびっくりだが、そもそもこのやたらでかいベッドを用意したのはカカシさんじゃないのか? 別々に寝たいなら二つ用意すれば良かったのに、もしかして……

「カカシさん、寝相が滅茶苦茶悪いんですか? だけど怖がりだから一人で寝たくないとか?」
「寝相⁉ いや寝相は悪くないっていうか、死体みたいに動かないで寝てるとは言われるから大丈夫だと思うけど、恐がりな訳……いやそう、ほんとは恐がりなんだよね! できればイルカ先生に一緒に寝てほしいなぁ、って、思って……」

なんだそれ。
カカシさんほどの人が、実は恐がりだから一人で寝たくないって。
~~~~可愛すぎだろ!!!
しかも、あの『写輪眼のカカシ』のそんな重大な秘密を明かしてくれるなんて、こんな状況じゃなきゃ有り得なかっただろう。鎖の安心効果すごい。監禁万歳だな!

「もちろんですよ! さ、一緒に寝ましょう。怖い夢を見ないおまじないもしてあげますね」
「おまじないも?」
「はい、母ちゃんが教えてくれた、とっておきのやつです!」

俺はカカシさんの手を引っ張り、いそいそとベッドにもぐり込んだ。
そしてカカシさんの前髪をかき上げると「カカシさんが怖い夢を見たらイルカが絶対に助けに行くぞ! だから安心しておやすみなさい」と唱え、普段は額宛に隠れてる白くてすべすべしたおでこにちゅうっとした。

「これで絶対に大丈夫ですからね、ゆっくり寝て下さい」

カカシさんはおでこまで真っ赤に染まって、「うん、ありがと。おやすみなさい」と小さく呟くと、ゆっくり目を閉じた。

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