【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
↑new ↓old
いつの間にあんな大きくなったんだろう。
向かい合わせで立った目線が、ほとんど揃うくらいに。
背丈があまり変わらなくなったのなんてもう何年も前なのに、今さらながらその事に驚く。
それに……いつの間にあんな大人びた目をするようになったんだろう。
イルカは好きな子いないのと聞いたら「俺はカカシ兄ちゃんみたいなカッコいい上忍になる修行で忙しいんだよ」と不貞腐れるばかりだったのに。
いつの間に、いつから恋をしてたんだろう。
――この、俺なんかに。

ぼんやり突っ立ていた俺の耳に、ガタガタと騒々しい音が届く。
何の音かと怪訝に思って、イルカの『もう一緒に暮らせないよな』という言葉が甦った。
イルカが行ってしまう。
俺が任務に行く度に「行かないでカカシ兄ちゃん」「俺も一緒に行く」と泣いて追いかけてきたイルカが。
大人になった今、こんなにも簡単に俺を捨てて、俺たちの優しい巣から飛び立とうとしている。


そんなの許せない。

イルカは、俺のイルカなのに。


風呂場を飛び出してイルカの部屋に向かうと、でかいリュックを背負ったイルカと鉢合わせた。

「あ、えっと……、他の荷物は後で取りに来るから」

『帰る』ではなく、『来る』。
俺に向けた笑みは受付でいつも見るイルカの顔だった。
この家では決して見ることのなかった、俺のことをカカシさん、或いははたけ上忍と呼ぶ仕事用の笑顔。
それ以上何かを聞きたくなくて、イルカの背負っているリュックを無言で取り上げた。

「何するんだよ」
「その外面やめて。それと……俺を置いていかないで」

イルカは眉間にしわを寄せて大きくため息をついたけど、少なくとも仕事用の顔を剥がすことには成功した。
その事に内心安堵していると、今度は怒りのこもった目を向けられる。

「カカシを置いていく訳じゃない。俺が出ていくだけだろ。邪魔すんな」
「イルカが出てくなら俺も同じ所に行く」
「それじゃ意味ねぇんだよ!」

激昂したイルカが俺の手からリュックを奪い返そうとしたが、絶対に返してやらない。
その決意が伝わったのか、リュックを掴んでいた両手をだらりと下げた。

「分かった。それも後で取りに来るからもういい」
「だめ。何で出てくのかは分かんないけど、とにかく絶対出てっちゃだめ」

そっけないイルカの言葉に、今度は思わず腕を掴んでいた。
ふと、今までこうやって俺の腕にすがり付いてきた女の細い腕を思い出す。あの時は躊躇なく振り払ってきたが、彼女たちはか弱いながらも必死だったんだと、イルカの腕に食い込んだ自分の指を重ねた。
イルカはそれを見て違うことを思い浮かべたらしく、「子供かよ……」と再びため息をついた。

「カカシ、自分がどんだけひどいこと言ってるか分かってんのか? 俺はお前が好きなんだよ。それで叶う見込みもないのに、お前の我儘のためだけに今まで通り一緒に暮らせって言うのか? 悪いが、俺には……無理だ」

俺を子供と断じたせいか、生徒に言い聞かせるような口調でゆっくりと語りかける。
我儘を通そうとしてることなんて分かってる。
分かってるけど分かりたくない。

「な? ほんとは分かってるんだろ? 俺が出ていくしかないんだ」

黙りこくってしまった俺を宥めるように、掴んだままの俺の手をイルカがぽんぽんと叩く。

「別に幼馴染みじゃなくなる訳じゃないんだからさ、時間が経てば昔みたいな関係に戻れるって。カカシに……嫁さんができたとか、そういう時が来れば」

嫁さん。
俺に、或いは――イルカに。
不思議なことに、今まで全くそういう未来を思い描いたことはなかった。
なぜか俺とイルカは、この家でずっとずっと暮らしていくものだとばかり思っていた。
二人以外の存在が間に入ることなど有り得なかった。
それに比べたら俺たちの関係の呼び名を変えるくらい、たいしたことじゃない気がする。
幼馴染みから、恋人へと。

「……イルカ」

呼びかける名に籠められた何か、いつもと違うそれにイルカは気付いたようだ。
怪訝な顔で見返すイルカを、今までと違う目で見つめる。
そしておもむろに唇を貪った。
さっきイルカがしたような口付けとは違う、明らかな目的を孕んだキス。

「カカ、ん……む、ううっ」

呻きながら離れようとするイルカのまだ湿っている髪に手を差し入れ、後頭部を掌で支えるように押さえ付ける。
固く引き結ばれた厚みのある唇を舌でなぞり、下唇にやわりと歯を立てる。抗議しようと開いた口にすかさず舌を差し込み、歯列を順に撫でると更に深く突っ込む。
イルカは俺の舌を一瞬強く噛んだが、すぐに力を抜いた。
これ以上の抵抗は俺を傷付けると躊躇ったのだろう。
そう、イルカは優しい。
その優しさに突け込んで、更なる傍若無人な侵略を進める。
舌で舌を誘い、絡めとるようにして擦り合わせる。
もう片方の手で耳朶に触れ、やわやわと揉むと指の背を首筋に滑らせる。
溢れた唾液があごを濡らすが、それすらイルカを煽るための小道具として親指で跡を辿った。

「……っふ、ぅ」

混乱と怒りで荒くなっていたイルカの息が、違うもので熱を帯びてきていた。
――俺は卑怯だろうか。
同じ種類の熱も持たないのに、こんなくの一まがいの手管を使ってでも手放したくない一心で体で引き止める俺を、イルカは嫌うだろうか。
その時、股間に激烈な痛みが走った。
慌てて風呂場から飛び出したせいで出しっぱなしにしてた俺の性器を、イルカが潰さんばかりの力で握ったのだ。

「痛……っ! ~~~~~!!」
「痛くしたんだよバカカシ! 何すんだ急に!」

顔を真っ赤にしたイルカが口を拭い、毛を逆立てた猫のようにフーフー言いながら叫んだ。
でも俺はそれどころじゃない。
通常の状態ならまだしも、臨戦態勢になった敏感なアレを握り潰されそうになった痛みは全てを凌駕する。

…………って、あれ?
アレが、あれ?

「勃ってる……」
「うるせぇな! あんなエロいキスされたら当たり前だろっ」
「違う、俺が」
「は?」

前屈みになって両手で包んでいた股間に、俺とイルカの視線が集中する。
そうっと両手を離してみると、剥き出しになった俺の息子は、握り潰されそうになったにも関わらずかなり元気そうだった。
元気に、天を指していた。

「……なんで?」
「知るかよ」

不貞腐れて赤い顔のままそっぽを向いたイルカの、頬に落ちた後れ毛がなぜか艶めいて見える。
イルカの唇が今はつんと尖っていて、それに食らい付きたいという衝動が沸き上がる。さっきまで散々貪っていたはずなのに。
風呂場で見たイルカの裸体はどんなだっただろうか。
日焼けしてない白く引き締まった尻が、不意に鮮明に甦った。

「イルカ……やらしい」
「んなっ、何言い出すんだよ急に! ほんとにおかしいぞカカシ」

イルカの言う通りだ。俺はおかしい。
でも、もしかして。
俺が最も大切に思っていたのは『イルカとずっと一緒にいること』であって、それを壊しかねない気持ち――例えば恋とか、そういうもの――は、何もかも無意識に蓋をして奥深く沈めていたんじゃないだろうか。
それがイルカの告白で表面化して、触れ合ったとたん体が先に反応した、とか?
まさか。

「は……、ははっ、なるほどね。アハハハハハハハ!」

急に笑い出した俺を、若干引き気味でイルカが見ている。
けど構うもんか。
これで目下の問題は解決だ。見事なまでに。
俺はまだニヤついたまま、両腕を広げてイルカを抱きしめた。

「イルカ、好きだよ。大好き。愛してる。あぁ、幸せだ! 世界はこんなにも美しい」
「カカシ、お前ほんとに大丈夫か? 今日は飲み過ぎたんじゃないか? ……あっ、もしかして実は高熱があるとか⁉」

さっきまでの怒りはどこへやら、イルカが今度は真面目に俺を心配し出した。
でも本当に大丈夫なんだ。
イルカが傍にいてくれたら、それだけで俺はもう大丈夫なんだよ。
昔みたいにおでこを合わせて真剣な顔で俺の熱を測るイルカの鼻の頭に、ちゅっと軽いキスを落とす。

「いろいろ悩ませてごめんねイルカ、たった今気付いたの。俺もイルカが好き」
「え……何をそんな急に、言われて、も……うわ、ムリムリムリ!」

ようやく事態を把握し始めたイルカがなぜか逃げようとするけど、だめ。絶対逃がさない。
それだけはさっきと同じように、否、それ以上に譲れない。
きょろきょろと忙しなく泳ぎまくる目を、あごを掴んで顔を俺に向けさせて固定する。

「好きだよ」
「……その顔と声はズルい」

怒ったような照れたような、複雑な表情でイルカがまた口を尖らせた。
そっか、イルカは俺の顔と声が好きなのね。
他はどこを好きになってくれたのかな。この後ゆっくりじっくり聞いてみよう。
でも今は一刻も早くこのふっくらと肉感的な唇を味わいたい。せっかくその魅力に気付けたんだから。
すると俺の人生でも稀な多幸感でうっかり隙ができたのか、イルカが腕の中からするりと抜け出して絶妙な間合いを取った。俺の射程距離の線上からぴたりと一センチ外に。さすが伊達に長年幼馴染みはやってない。

「逃げないでよイルカ。もう俺から逃げる理由はないでしょ?」
「急にそういうエロい目で見られても怖ぇんだよ! 全身からエロフェロモン垂れ流してるぞ!」

あまりにも追いつめられた小動物のようにキャンキャン騒ぐので、イルカを真似て宥めるような笑みを浮かべてみた。

「だからその企んでる笑顔がもうエロいし怖いって!」

やっぱり一朝一夕では身に付かないか。
その間にもバレないように間を詰めんとじりじり爪先を進めていたら、
不意にイルカが目線を下げた。
そして牽制のつもりか、ぽろりしたままの俺の息子を見て口を開く。

「それにな、いくら慌ててたからって、いつまでも間抜けに出しっぱなしにしてないでしまえよ! じゃないとマジでしゃぶるぞ⁉」

あー、……うん。
テンパった挙げ句に言うことが、よりによってそれなのね。
そういう迂闊さも心から愛してるけど、それは俺相手だけにしてほしい。
予定通り射程距離内に入ったイルカを、一歩でかっさらい、次の一歩で俺の寝室に担ぎ込んだ。

「待て待て待て何する気だよ」
「何って今日から恋人でしょ? ナニに決まってるじゃない。しゃぶってくれるんでしょ?」
「オヤジくせぇ! じゃなくていきなりヤるなんて! まずはほら、デートとか!」

大騒ぎしてる間にも、俺のベッドに転がしたイルカの衣類を手際よく剥いでいく。
手足をバタバタさせて喚いてるイルカは、暴れることで結果的に協力してるのに気付いてないみたいだ。

「おうちデートならいつもしてるでしょ。一緒に買い物して、一緒の家に帰って、一緒にご飯食べて。正式なデートはまた今度ね」
「なんか……いつものカカシと全然違う。やっぱ変だ」
「ん~?」

イルカをパンイチに剥き上げながら、耳の後ろの匂いの濃い部分を念入りに嗅いでた俺は、聞き捨てならない声音に頭を上げた。

「カカシが俺に、俺相手にこんな……おかしいよ」

イルカの声のトーンが変わって、とたんに焦る。
これは大泣きする一歩手前の、崩れて湿った声だ。

「ずっ、ずっと絶対言えない、って、思っ、思ってたのに、ひっ、言っちまって! もうおしまいだ、って……なのに急に!」

神速でイルカの背に腕を回して抱き起こしたけど、遅かった。

「俺のこと好きならもっと早く言えよバカカシっ!!」

とうとう、うわああああああんと泣き出したイルカをぎゅっと抱きしめ、背中をさすり、ごめん、ごめんと繰り返した。
バカでごめん、イルカが言ってくれて良かった、俺も大好きだよ、鈍くてごめんね、違う、臆病で本当にごめん、きっと最初から好きだった、と子守唄のようにゆっくり囁きながら、昔のように膝の上に抱っこしたイルカをゆうら、ゆうらと揺らす。
そのうち泣き声が嗚咽になり、しゃくりあげるだけになった頃、ようやく顔を覗き込んだ。

「……見るな。不細工だから」

ふいと顔を背ける頬に、ぶちゅっと不細工なキスをする。

「何を今さら。誰がオムツを換えたと思ってるの。泣き顔なんていっぱい見てきたよ? イルカは可愛いよ。昔も今も、ずっと可愛い」
「そうやってお前がいつまでも可愛いイルカちゃん扱いするから! だから俺は……」
「うん、ごめんね」
「俺は、俺はずっと好きだったのに、お前は彼女を取っ替え引っ替えして!」
「うん、本当にごめん。こんなの言い訳にもならないけど、たぶん俺は怖かったんだと思う……イルカの一番近くにいる権利を失うのが。だからそうなる前に無意識に防御壁を築いて、俺には彼女がいるからって誤魔化してた」

イルカは優しくて強くて誠実で、誰からも愛される。
だからいつかきっと素敵な女性と恋をして、結婚して温かい家庭を作るだろう。
今までそういう未来を思い描いたことはなかったなんて言っても、本当は分かっていたんだ。
でも俺には彼女がいるから大丈夫。
そんな理由で付き合ってた彼女たちと上手くいくはずもなかったから、結果的に取っ替え引っ替えしてしまったけど。そんな自分の不誠実さに思わず舌打ちしたくなったが、代わりにイルカが拳骨を落としてくれた。

「そうやって彼女も、自分のことも傷付け続けてきたんだぞ。……俺だって、ずっと……」
「うん、今は分かってる。本当にごめん」

ひたすら謝り続ける俺を、イルカは深いため息と拳骨一つで許してくれた。

「でもなぁ、ほんとに全然思ってもみなかった。片想いだとばっかり……」

イルカの目からぼろぼろっと大粒の涙が零れ落ちる。
今まで幾度、こんな風に泣いてきたんだろうか。
たった一人で。
それを思うと胸が詰まり、急いでその辛さの証を全部舐め取った。

「これからはいっぱいイルカのことを愛させて」

するとイルカは目を真ん丸に見開いて俺を見返した。

「何言ってんだよ。恋人としてじゃなくても、俺はいっぱい愛されてきただろ?」

――あぁ、イルカはこんなにも綺麗だ。
涙に濡れた黒い瞳に綺羅星が散りばめられていて、本当にただ、ただ綺麗だと思った。
俺はきっと、イルカが赤ん坊の頃からこの瞳に囚われていたんだろう。
真っ直ぐに俺を射抜く、イルカの黒い瞳。
俺の漆黒の貴石。
それを独り占めすることへの対価と誓いは、こんな陳腐な言葉じゃ足りないけれど。

「イルカ、愛してる」

陳腐だけどシンプルな言葉は、だからこそシンプルに届くみたいだ。

「俺だってすっげぇ愛してるからな!」

にかりと笑ったイルカは、昔から変わらず負けず嫌いで。
だけど俺だってこの戦いには絶対負けられないし、ずっと戦い続けていくんだろうな。
これから何度も、何年も、ずっと。



【完】
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。