【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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イルカ先生の生家は、里の中心部からちょっと外れた所にある。
両親がエリート上忍だったという家にふさわしく、あちこちに術や仕掛けがある。
それはこの奥まった所にある元・子供部屋、現在の寝室に特に強く感じるが、今の俺には大した問題ではない。
恋人であるイルカ先生が、俺のチャクラも認識するように設定し直してくれたからだ。
その寝室で、イルカ先生がベッドに気だるげにうつ伏せで横たわっている。
先ほどまでの情事の名残が色濃く肌を染めていた。
汗ばんでしっとりと艶を帯びた背中、そのあちこちに桜の花弁のように散らばるキスマーク。
そしてその中心には、ナルトを守った時の大きな傷痕。
普段は瘢痕もあまり目立たなくなってきたが、今は上気してほんのり赤らみ、存在を主張していた。
それを見て思う。
俺はこんな風に誰かを全身全霊で守った事があっただろうか。
忍にとって背に大きな傷を受けるとは即ち死に等しい。だから忍は背後を取られる事を極端に嫌う。
後ろに目は付いてないし、体の可動範囲も後ろを守るようには出来ていない。
気配や術でカバーできるとしても、体の造りまでは変えられないのだから。
それなのに…未だにここまではっきりと痕跡を残す背中の傷。
イルカ先生だって忍だ。
階級は中忍だが、アカデミー教師は優秀でなくては務まらない。
忍術・体術・知識・人格まで全てをバランスよく備えていなければ、そもそも教員試験を受ける資格すらない。
それに加えて先生は受付業務まで兼任している。
馬鹿な上忍は内勤風情と侮るヤツもいるが、その内勤風情が里の表向きの任務の全てを把握し、割り振りの決定権を持っているのだ。
任務の割り振りをしてるという事は、里の下忍から上忍まで全員の情報全てを把握してるに等しい。
と同時に、任務に必要な人材・スキル・情報・装備品をも判断できるだけの知識を有してるという事だ。
…話がそれた。
要するにそんな優秀な人がナルトを庇うためとは言え、やすやすと敵に背を向けるだろうか。
同じ中忍とはいえ、殺意を持って大手裏剣を投げるような相手に。
つまり、己の全てをなげうってもナルトを守ろうとしたという事だろう。
忍ではなく、人として。
その証をそっと撫でる。
「…また何か難しい事を考えてますね?」
イルカ先生が身じろぎをして背中の傷痕が蠢く。
「うん。なんで背中で大手裏剣を受けたのかなぁって思って」
「…カカシさん、もしかしてバカにしてます?」
「違~うよ。イルカ先生ってけっこう優秀じゃない。それなのにこれだけの傷を背に受けたって、やっぱりナルトを守るためでしょ?俺だったら誰かを守るために無防備に敵に背を向けるなんて絶対できないもん。先生ってすごいよね…」
お褒めにあずかり光栄ですよ。でもね。
イルカ先生はクスリと笑う。
「あのですね。カカシさん何か勘違いしてるみたいですけど、全然すごい事なんかじゃないですよ」
そう前置きして先生が説明してくれる。
これはそういう自己犠牲の精神とか、そういうんじゃないんです。
単にカカシさんが戦忍で、俺がアカデミー教師だからですよ。
子供はいつも予測のつかない動きをします。
ナルトを見てりゃ分かるでしょう。意外性No.1ドタバタ忍者なんて言ってたのはカカシさんなんだから。
アカデミー教師はみんな同じ守り方をすると思いますよ。
子供を背に庇うと、見えないから次に何をしようとしてるか分からないし、しっかり捕まえておく事もできません。
庇いながら敵対してる時にいきなり子供がパニックで想定外の動きをしたら、どうしてもこっちに隙が生まれます。
だから秤にかけたら、敵に背を向ける方が合理的なんですよ。敵の方は確実に攻撃しかしてきませんからね。
だからほら、ちゃんと急所を避けてるでしょう?
後でラーメン食いに行けたくらいでしたからね。
ホントはナルトを抱えて瞬身できりゃ良かったんですけどね。間に合いそうもなかったので。
カカシさんだったらきっと、あっという間に倒しちまうからこんな傷を残さなかったと思いますよ。
そう言ってイルカ先生は微笑んだが。
ーーー違う。そんな事ない。
俺ならきっと敵に背を向けて庇うなんて選択肢自体がなかった。
敵に、全世界に、自分の命にすら背を向けて相手を庇う、そんな守り方は思い付きもしなかっただろう。
例えどんなギリギリでも、背を向けるのは守る対象者だったはずだ。敵とは対峙するものだと本能に刻まれている。
だから俺にとって、守ると戦うは常に同一線上にある。
なぜなら俺は忍だからだ。
人である前に、骨の髄まで戦忍だからだ。
そういう生き方をしてきたし、これからもきっとそうだろう。
俺には誰かをただ守ったり、導いたり、そういう行為はできない。
だから……
「だからもう俺のそばには誰も残っていないんだ」
言ってしまった。
自分の口から転がり出た言葉に、自分で驚いた。
と同時に納得もした。
ここのところ、もやもやするような、何だかよく分からないものがずっと腹の中にわだかまってた気がしたが、そういうことだったのかと。
サスケが里を捨て、ナルトが自来也様と修行に出て、サクラも今は五代目の元で修行を始めている。
これらは全てなるべくしてなった事だし、それぞれが自分の意思で決めた事だ。
そこに俺の意思は必要ない。
意思の必要はないが……
手は必要だったのではないだろうか。
より良い方向に諭す手が、悩み苦しむ心を癒す手が、より良い未来に導く手が、あいつらには必要だったのではないだろうか。
もしその手があったなら、あいつらにはもっと違う未来があったのではないだろうか。
それを持たない俺の元に、誰一人残っていないのも道理というものだろう。
俺は、戦うことしか教えられない。
そして無くしていくことと、それを諦めて受け入れることしか教えてやれない。
例え他にもっと…何か教えてやりたいことがあったとしても。
全ての小さな手を離してしまった、己の空っぽの両手を見ていると、イルカ先生が俺を見ているのを感じた。
なんとなく顔をあげるのが気まずかったが、意を決して目線を持ち上げると。
イルカ先生が静かに俺を見ている。
咎めるでもなく、憐れむでもなく、ただ静かに俺を見ている。
そして、あろうことか、フッと笑みを浮かべた。
そこにあるのは……「カカシ先生も、もっとアイツらを構いたかったんですね」……共感だった。
イルカ先生がうつ伏せのまま乱れた髪をかきあげる。
そのまま肘をついてこちらを向くと、
「だいたいね、子供なんて何言ったって人の言う事なんか聞きゃしないんですよ。駄目だって言った事ほどやりたがるし、こうした方がいいって教えたって、やりたいようにしかやんねぇし」
何か思い出したのか、ククっと笑う。
「まぁ、それでも俺たち先生は、教えるべき事を教えるしかないんです。教えた事のどれを覚え、どう活かすかはその子供次第ですからね。出来る限りの知識と経験を伝えて、取捨選択の幅を広げてやりたいって大人は思うもんですよ。そんであれこれ手を貸してやりたくても、子供はあっという間に飛び立っちまう」
…俺たちはもう、置いてきぼりにされる側なんですよ。
イルカ先生はどこか遠くを見ながら呟いた。
(あぁ、あんたも寂しかったのか)
俺は慰めようと手を伸ばしかけた。
すると先生がこちらをひたりと見つめる。
「でもね。あんたも俺も、まだアイツらの先生ですよ」
そう言って、悪戯っぽい顔でニィと笑いかけた。
「あんた勘違いしてるみたいだけど、まだ先生業は終わってませんよ。ていうかアイツらが終わらせてくれませんよ。先生はねぇ、いったん先生と呼ばれたら一生先生なんです」
アイツらももう子供じゃない。それを最初に教えてくれたのはカカシ先生でしょう。
一人前とはいかないかもしれないけど、それでも忍なんです。その生き方を自ら選んだヤツらなんです。
そりゃあカカシ先生から見たらお尻に殻をくっつけたヒヨコでしょうけど、ヒヨコなりにちゃんと自分たちのなりたい忍像ってのを持ってるんですよ。
それは漠然としたイメージだったり、火影とかどっかのカッコいい上忍だったり、どっかの怪しい覆面上忍師だったり。
時には反面教師になるかもしれないけど、ちゃんと俺達の背中を見てるんですよ。
口で説明した知識や、手をとって教えた術だけじゃないんです。
いざという時、どう考えてどう判断するのか。それはどんな経験や信条から導き出した答なのか。
そういう所まで、きちんとアイツらは見てるんですよ。
要するに自分の信じる生き様を見せる事、それが先生ってもんだと思ってます。
だからカカシ先生はまだまだ先生やめらんないですよ。
そりゃ今は離れちまってますけどね。
あんたが背中で教えた事は、アイツらの根っこの部分にがっちり絡み付いてますから。それがある限り、カカシ先生はこの先もず~っとカカシ先生です。
そう言ってイルカ先生は、よっこらしょと体を反転させて仰向けになった。
そして黙って両腕を広げる。
俺はおとなしくその中におさまった。イルカ先生の手が、よしよしと頭を撫でてくれる。
こんな風に何もかも委ねる事ができるようになるなんて、昔の俺じゃ考えられなかった。
弱い部分を見せて、その上それを受け入れてもらえると、さもしく期待までしようとは。
俺はついクスクスと笑いをこぼしてしまう。
するとイルカ先生もくふふと含み笑いをした。
「まったく、あんたはいつも難しく考え過ぎるんだよ。そんで自分ばかりを責める」
そうやって自分を追いつめるところはサスケとおんなじですね。
やっぱり師弟って考え方も似てくるんですかねぇ。
と、はぁ~とため息をつかれた。
「…似てますか?」
「似てますねぇ。ナルトにもちょっとは分けてやってもらいたいくらいですよ。まぁ、そうそう思い通りにいかないのが子供の面白いところですよね」
イルカ先生がまたくすくす笑うので、俺も一緒に揺れてしまう。
「とりあえず、長い目で見守ってやりましょうよ」
俺の髪をすくように撫でながらイルカ先生が言う。
「それでアイツらが大人になった時に、お前らこんなバカな事してたよな~、あんなアホな事言ってたよな~って、偉そうに言ってやりましょうよ。それこそ先生の特権で醍醐味ってもんですからね」
そうか。
俺はまだあいつらの先生でいていいのか。
先生業の先輩であるイルカ先生がそう言ってるんだからそうなんだろう。
あいつらが俺の背中を見てきたってことも。
なんとなく背中にむず痒さを感じて、もぞもぞと動く。
俺の背中は、俺の伝えたかった事をちゃんと見せてあげられただろうか。
それをあいつらはどんな風に活かしてくれるんだろうか。
これから先、三人が大人になって、いつか俺と並んで立つことがあるかもしれない。
あるいはその背中を見るようになることも。
もしそんな日がくるならば、答はきっとその時に分かるだろう。
大きくなったあいつらの背中が、きっと伝えてくれるだろうから。
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