【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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レベル99の先輩のおかげで、僕たちにはいきなり中級の魔王を割り振られていた。
中級といってもただのモンスターではなく魔王クラスだ。
レベル1の勇者が初戦で戦う相手じゃないと思うんだけど。僕だけうっかり一撃でやられそうだ。
まぁ、イルカさんもレベル29だし、僕が二人の足を引っ張らなければ問題ないんだろう。
その魔王は火の国の南端にある、海沿いの洞窟に棲むという。
僕たちはのどかな草原をピクニック気分で南下していった。


行程を半分以上進むと、イルカさんの口数が減り、とうとう沈んだ顔で黙りこくってしまった。
僕が体調でも優れないかと心配して尋ねると、意外な答が返ってきた。

「……あの、実は俺、まだ一回しか戦闘経験がないんです。だからテンゾウさんの助けになれるかどうか…」
「たった一回でレベル29!?」

あまりの事実に僕がびっくりすると、イルカさんは悔しそうな顔をした。

「白魔導士になる前にカカシさんと出会って、それからずっと一緒にいるので…カカシさんが強いから雑魚モンスターは全然寄って来ないし、下級魔王と戦った一回だけで、あっという間にレベルが上がっちゃったんですよね。だから一応レベル相当の魔法は使えますけど、俺のは全然実力に見合ってないんです」
「イルカちゃんは可愛いんだから戦う必要なんかな~いの♪俺が絶対に守ってあげるからね~」

先輩が言った途端に、イルカさんはむすっと不機嫌になってしまった。
そのご機嫌を取るつもりか、先輩が小型の竜を召喚した。

「ドラゴン召喚!スノウドラゴン!」

目の前の一部分の空間に白銀に煌めく魔方陣が現れ、その中心部から人間くらいのドラゴンがバサリと音を立てて浮き上がった。
その名の通り雪のように真っ白なドラゴンで、瞳だけが真っ赤だ。
イルカさんが嬉しそうに「パッキー!」と呼ぶと翼を軽く広げてバサバサと動かし、クイィと鳴きながら歩いて近寄ってきた。
ドラゴンはずいぶんとイルカさんになついてるみたいだ。
イルカさんに顔を擦りつけたり、周りを飛び回ったりとはしゃいでいるように見える。
竜騎士は小型の龍を召喚できるとは知ってたんだけど、間近で見るのは初めてだ。

「イルカさんは竜が好きなんですか?」
「竜というか、動物全般が好きなんです。大きいのも小さいのも。でも竜はホントにカッコいいでしょう?強くて美しくて神秘的で…だから竜が一番好きです!」

ドラゴンを抱きしめながらニッカー!と輝くような笑顔でイルカさんが答えた途端、先輩がニヤニヤし出した。いや先輩の事じゃないと思うんですけど。
イルカさんが好きなのは竜とか動物全般って言ってたじゃないか。竜騎士じゃなくて。
でもそれなら僕も召喚士になれば良かったかなぁ。そうすればいろんな幻獣を呼び出して、イルカさんに喜んでもらえたのに…

「痛ったー!」

いきなり尻に何か刺さった。
後ろを見ると先輩がランスで僕の尻を突いていた。
大魔導士の強力な魔力はどうしたんだよ!僕の尻は全然守られてないじゃないか!
クソッ、やっぱりこんなかぼちゃパンツは偽物だったんだ。

「何するんですか、いきなり!危ないでしょう!」
「何かやらしいこと考えてたでしょ」
「かっ!かかか考えてませんよ!先輩じゃあるまいし!」
「どーだかね。今の顔は絶対イルカちゃんでやらしい事を考えてたはずだ~よ」

うっ……鋭い。
元々勘の鋭い人だったけど、イルカさんの事になると大賢者並の鋭さだ。怖いなぁ。

「カカシさん、失礼ですよ。テンゾウさんがそんな事考える訳ないじゃないですか。カカシさんじゃあるまいし」

イルカさんが顔をしかめながらフォローしてくれた。
やらしくはないけどすみません、ホントはちょっとだけ考えてました。
と心の中だけで謝っておく。


僕たちはしばらくパッキーと一緒に進んでいたが、先輩が「スノウドラゴンに潮は良くないから」と幻獣界に還してしまった。
確かに潮の香りが漂ってきたけど、あれは絶対イルカさんとべったりなドラゴンに嫉妬してたからだ。自分で呼び出したくせに、本当に心が狭いなぁ。
僕が呆れて先輩を見ていると、イルカさんが討伐対象の事を尋ねてきた。

「そういえばその魔王って何の属性なんですか?」
「え~とですね…」

僕はバッグから勇者協会から渡された討伐依頼状を取り出す。
そこには魔王の属性や弱点、判明してる限りの情報がずらずらと書き連ねてあった。

「水属性の中級魔王・レベルは50~60相当・弱点は風と雷・巨大なタコのような外見・大小無数の足は伸縮自在・動物の体液全般が主食。あとは……女性を含むパーティーの討伐は禁止とする?どういう意味だろう」
「体液というと…血液かな。成分的に女性の血液が特に好物なのかもしれませんね。あとはほら、人間の血液量は女性の方が少ないから、すぐ致死量になるでしょう?だから男だけの俺たちに依頼状が廻ってきたのでは?」

イルカさんの見解を聞いて、なるほどと感心する。魔導士になるだけあって知的な見立てだ。
ただ…ずっと黙って聞いていたカカシさんの目が、キラリと光ったように見えたのは気のせいだろうか。



洞窟の入り口に到着すると、僕たちは休憩なしで挑むことにした。
本来なら薬草を使ったりテントを張って体力と魔力を全快するべきなんだけど、レベル99の先輩のおかげで、全く戦闘なしでここに到着してしまった。
疲労がほとんどないのは有り難いが、代わりに僕はレベル1のままだ。
レベル1で中級魔王と戦う勇者なんて前代未聞だろうなぁ。


外とはうって変わって薄暗い洞窟の中を、僕・イルカさん・先輩の順に進んでいく。
勇者としては当たり前だけど、先輩の決めた順番に若干の不穏な物を感じて、一応先輩に釘を刺しておく。

「あの…僕も最善は尽くしますけど、レベル1ですからね?何かあったら先輩、ちゃんと助けて下さいよ」
「心配するな。別にお前を斥候にして様子を見ようとか思ってないから。何かあったらイルカちゃんは俺が必ず守るから安心しろ」

先輩が力強く頷いてくれたけど、やっぱり!
だいたいそんな事だろうと思ったよ…。
でも仮にもパーティーのリーダーたる勇者なので、諦めて先頭に立って更に奥へ進もうとすると、イルカさんが僕の脇をすり抜けて先に立った。

「カカシさん、なんて事を!そんな理由だったなら俺が先頭になります!テンゾウさんはまだ戦闘経験ゼロなんですよ?もっと配慮してあげ…」

僕たちの方を向いてたイルカさんが、いきなり太いロープのような物に巻き取られ、洞窟の奥に連れ去られた。
僕たちが全く反応できないほどの素早さだった。

「先輩!」

僕が振り向こうとすると、既に先輩は僕の脇を駆け抜けてイルカさんを追っていった。
先輩の反応速度に感心する間もなく、僕も慌てて後を追った。


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