独白　I.

「どんな姿でもここに還って来い」
酷いこと言ってるのは分かってるんだ。俺だって戦忍だったから。
いっそのこと諦めちまった方が楽な時もあるって知ってるんだ。
それでも分かってて言ってるんだ。ここに、俺のところに還って来いって。

アンタの背負ってるもんなんか知ったこっちゃない。
里の誉れがなりふり構わず、命乞いすらしたっていい。
ただ…俺のところに還ってきてくれればそれでいいんだよ。

こんなの愛なんかじゃない。ただのエゴだ。
優しいみんなのイルカ先生は、カカシさんさえいてくれればいいと思ってるんだよ。
例えカカシさんがどんなに痛くて辛い思いしていようとな。
ははっ。
な？酷いヤツだろ？


あぁ。

生きて還ってきてくれてありがとう。







独白　K.

あの人が泣いてる。ボロ雑巾みたいになった俺のそばで。
色んな管に繋がれた俺の手をぎゅっと握りしめて。
ホントはさ、分かってるんだよね。
アンタのあったかくて優しい手は、人殺しの手を握る為にあるわけじゃないんだよ。
子供たちを未来に連れてく手なんだから。
それでももう離せないんだよね。

だってアンタ、俺がいないとダメなんだ。

しっかり者の先生なのに、ときどきぽっかりと空洞みたいな目で俺を見てるの、知ってるんだよ。
あれって俺がいなくなる未来を見てるんでしょ？
感情のごっそり抜けた顔して、あんなの見ちゃったら絶対ひとりぼっちで置いて逝けないよね。

俺もアンタがいないとダメだけど、そしたらたぶん適当な任務の適当なタイミングでさっさとやられて、いそいそとアンタの傍に行くと思うんだよね。
アンタのいない世界なんかこれっぽっちも関心ないもん。
でもアンタは違うでしょ？
色んな繋がりがあって、それを切り捨てる事ができないから。俺のいない世界で、空っぽなまま生きて行くと分かってるから。
だから怖いんでしょ？

そういうアンタを知ってるから、俺はどんな姿になってもアンタの傍に還ってくるよ。
だって愛しちゃってるからね。ふふっ。