【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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たとえばさ、明日は一楽で味噌ラーメン食おうって思うとするだろ?
だけどさ、実際に食えるかどうかは分からない訳じゃん。残業になっちまうかもしれないし、急に任務が入るかもしれないし、まぁ、最近は滅多にそんな事もないけどさ。
でも予定通り食えるかもしれない訳よ、味噌ラーメン。何も予定外の事は起きなくて、なんならナルトと一緒に食いに行くかもしれないけどさ、とにかく味噌ラーメンは食えるかもしれない訳よ。

そんでさ、カカシ先生にとっての死ってさ、味噌ラーメンみたいなもんなのかなって。そう思った訳よ。

いやそんな怒るなよ、たとえばの話だって言ってんだろ?
俺が明日味噌ラーメン食えるかどうかってのと同じくらいのテンションで、カカシ先生も明日死ぬかどうかって考えてんじゃねぇかなと思ってさ。あ~、考えてもいないかもしれないな。当たり前すぎて。
要するに死ってヤツに近すぎるんだよあの人は。

な?分かるだろ?だからさ、俺にとっての味噌ラーメンとあの人にとっての死はさ、同じくらい当たり前に日常の線上にあるんじゃねぇかな。
上忍なんてみんなそんなもんなのかな。やっぱ俺ら中忍とは覚悟が違うんだろうなぁ。
でもカカシ先生なんて特にしょっちゅう入院してるイメージじゃね?あんな命を削るのが日常みたいなの見てるとさ、俺、なんかこう……見せてやりたくなるんだよ。ほら、里のあれこれっつーの?

うるせぇな、ははっ!いんだよ、あれこれって言ったらあれこれだよ。
そうだな、今だったらアカデミーの桜がもう少しで咲きますよ~とかさ。月が綺麗ですよ~とかさ。まぁ、今日は雨だけどな~。
だってああ任務浸けになっちまうとさ、月なんて時間とか方角を知るためのもんとか思っちゃってそうじゃん。
そうじゃなくてさ、とにかくあの人の日常にさ、綺麗なもんをもっと増やしてやりてぇな。そんでさ、あの人が護ってくれてる里はこんなに綺麗ですよ~あったかいんですよ~って知ってもらいてぇなぁ、うんう……ん。





「…ですってよ、カカシ」

イルカ達のテーブル席の後ろには、襖を閉め切った座敷があった。その中には紅・アスマ・ゲンマ、そして耳を赤くしたカカシがいた。
「………うるさいよ紅」
「そういう姐さんも目が赤いですよ」
「………うるさいわよゲンマ」
みんな座敷から声が漏れないよう、わざわざ読唇術を使って会話している。

待機所にいたメンバーと任務から帰ったメンバーがちょうどいいからと飲みに来てたところへ、イルカを含む受付のメンバーが後から入ってきたのだ。
どうやら受付メンバーはここが二軒目で、すでに出来上がってたらしく座敷にいる上忍・特上連中には気付いていないようだ。
イルカの声がしなくなったのは恐らく酔い潰れてしまったのだろう。

「おい、せっかくだから送ってやったらどうだ」
アスマがカカシに問いかける。カカシは徳利を傾けると、
「いいよ、ここで俺が出てくのもおかしなもんでしょ。いかにも盗み聞きしてましたって言ってるようなもんじゃないの。あいつらがどうにかするでしょ」
と盃を一息に干した。
「そうだな。その怪我じゃどうせ送り狼にもなれねぇしな」
アスマがチラリとカカシの腕を見る。
忍服で隠れてはいたが、そこは血止めのためにきつく包帯が巻かれていた。里の中なのでわざわざ匂い消しは使ってないから、何も言わなくても忍の嗅覚ならすぐに分かる。
「そんなんだからイルカに心配されるんじゃないですか。カカっさんそれ病院行った方がいいっすよ」
「ん~、気が向いたらね」

カカシはそれっきり黙って飲み始めてしまった。他の三人もそれ以上無理強いをする事はない。話題は自然と違うものへ流れていった。
襖を隔てた席もいつの間にか静かになっている。酔い潰れたイルカを連れて引き上げたのだろう。





怪我をしてるからと早めに切り上げ一人居酒屋を出たカカシは、自宅とは違う方向へと足を向けた。もちろん病院ではない。春雨の中、傘をさして向かう先はアカデミーだった。
校門のそばの桜の下に立つと真下から見上げてみる。が、雨が目に入るのですぐに目を閉じてしまった。
(…当たり前か)
木の上に跳び上がって咲きかけの桜を見ても良かったのだが、あえてそれはしない。なんとなく、それじゃイルカの教えたかった桜とは違うもののような気がしたのだ。

(ま、いつか教えてもらえるかね)
それはもしかしたら桜じゃないかもしれないけど。それ以前に酔っ払いの戯れ言かもしれないけど。
イルカの教えてくれる里の何かは、きっと綺麗だろう。そしてそれは、俺一人で見ても分からないものなんだろう。イルカの目と言葉というフィルターを通して、始めて分かる美しさ。
カカシの閉じた目蓋にイルカの開けっぴろげな笑顔が浮かぶ。

桜は桜。雨は雨。
単なる記号でしかない言葉に意味を与えてくれるのは、きっとイルカ。
胸が絞られるような、それでいて温かいような、不思議なこの感情に意味を与えてくれるのも、きっと。
カカシは何か予感めいたものを感じながら目を開け、そっと踵を返した。


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