【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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カカシさんから突然、鉢植えをもらった。
青くて小さな可愛らしい花が咲いている。
カカシさんが花をくれるなんて珍しいと思ったら、「これ、イルカ先生みたいでぴったりだと思って。オオイヌノフグリっていうんだよね。いのいちさんのお店で取り寄せてもらっちゃった」などと照れ臭そうに笑ってる。

この小さくて可愛らしい花が?
もしかして、くっきりした花の青さがイルカとか海のイメージってことか?

花なんて毒か薬か食糧にでもならない限り、全く興味のないカカシさんが。わざわざ取り寄せてまで俺にくれたってことが、とにかく嬉しくて。
寝室の窓辺の、うっきー君と並べて飾っておいた。



その数日後。
授業が始まる前、教室で女の子たちが花言葉の本を開いて騒いでいた。
――花言葉!
もしかして花言葉になぞらえて、何か伝えたかったのかもしれない。
カカシさん、ああ見えて少女趣味っていうか、乙女心を持ち合わせてるっていうか……おとめ座だからかなぁ。
そう思いながら昼休みに、アカデミーの図書室でこっそりと花言葉の意味を調べた。


オオイヌノフグリ「忠実」「清らか」「信頼」

属名の学名となる「Veroican」は、キリストが十字架を負って刑場に向かう途中、汗をぬぐうハンカチを捧げたという聖女ヴェロニカと同じ綴り。
花言葉も聖女ヴェロニカにちなみます。



読み進めてるうちに、ぶわわわっと顔が火照ってくる。

「忠実」 貴方に忠実な愛、とか?
「清らか」 俺のイメージ……かな?
「信頼」 俺を信頼してますよってメッセージ?

まさかこんな想いが、あの鉢植えに込められてたなんて。
あぁ、どうしよう、嬉しすぎる。
俺はぱたんと本を閉じて座り込み、火照った顔を膝に埋めた。
今日はカカシさんも待機のはずだし、残業しないで早く帰ろう。
そう決めると、その根回しをすべく急いで受付に向かった。




はたして就業時間が終わると、カカシさんが「せ~んせ、帰ろ」とお迎えに来てくれた。
商店街に寄って、今晩の食材を二人で選ぶ。
今日の出来事を報告しあいながら、並んで今晩のメシを作る。
七班の子供たちの近況を伝えたり、今頃はどうしてるかなどと想像したりしながら向かい合ってメシを食う。
……こんな風にのんびりと二人の時間を過ごすのは、いつ以来だろう。
忙しさと惰性にかまけて、いつの間にか俺はカカシさんとの時間を手抜きしていたのかもしれない。ちょっと気にかければ、二人の時間なんてこうやっていくらでも作れたのに。
それに気付かせてくれたオオイヌノフグリと、それをプレゼントしてくれたカカシさんの気持ちに、俺は心から感謝した。
いい機会だから俺もこの気持ちを伝えたい。
俺たちみたいな稼業は、いつ伝えられなくなってもおかしくないんだから。

「あの……オオイヌノフグリ、ホントに嬉しかったです。それで、その……俺、も……」
「オオイヌノフグリね、ふふっ……先生のお誕生日頃には実が成るかなぁ。それが先生のアレみたいで、すっごく可愛いんだよね♪」

俺の――アレ?

「そうだ、いいコト考えた! 名前をイルカノフグリに変えちゃおう!」

そう言うとカカシさんは油性ペンと鉢を持ってきて、ウキウキと鉢に『イルカノフグリ』と書いた。
その文字を見て、ふと思い出す。
そういえば、ふぐりって……ふぐりって……

「イルカノフグリって、俺のタマの事か!?」

するとカカシさんが、ぱあっと微笑んだ。

「そうだぁよ♪ オオイヌノフグリの実ってね、ちっちゃくてまぁるくコロンってして、イルカ先生のアレにそっっっくりで、すっごく可愛いの。あぁもう食べちゃいたい!」


…………落ち着けイルカ。

俺は拳を握りしめ、目の前のこいつを殴り飛ばして、鉢を叩き割りたい気持ちをグッとこらえた。
カカシさんは純粋な好意で言ってくれてるんだ。俺のタマが小さいと貶してる訳じゃなくて。絶対にそんな思いで言ってるんじゃないんだ。
見ろ、カカシさんの嬉しそうな顔を。
俺みたいなムサい男の、しかも自分にも同じもんが付いてるにも関わらず、俺のタマを可愛い、食べちゃいたいとまで言ってくれてるんだぞ!
イルカノフグリがいかに可愛くて愛しいか、こんなにもキラキラ輝く笑顔で語るカカシさんを哀しませたくないだろ?

「……イルカせんせ?」

尖った空気に気付いたのか、カカシさんがこちらを向いてこてんと首を傾げる。
くそっ、可愛い顔しやがって!
俺は自然と泣き笑いみたいな顔になり、握りしめていた拳を弛めてカカシさんを抱きしめた。

「青くて、小さくて、可愛らしい花ですよね。……ありがとうございます、嬉しいですカカシさん」





次の日の朝。
絹を裂くようなカカシさんの悲鳴が、寝室の方から響いてきた。

「ひやあああぁぁぁああっ!!」

俺は味噌汁の味噌を溶く手を止めず、黙って朝食の支度を続ける。
するとイルカノ……じゃない、オオイヌノフグリの鉢を抱えたカカシさんが、血相を変えて台所に飛び込んできた。

「先生、先生! 花が、イルカノフグリの花が……!」
「あぁ、あの花なら全部摘み取って押し花にしましたよ。何か問題でも?」
「問題大有りですよっ! 押し花なんかにしたら、イルカノフグリが出来ないじゃないのっ」
「可愛い花ですよね、オオイヌノフグリ。花言葉は『忠実な愛』だそうです。俺、カカシさんの気持ちがすごく嬉しくて。だからずっととっておきたいんです……押し花にして」
「イルカせんせ……!」

ひしっと抱きついてきたカカシさんをよしよしとしてやりながら、なんとか事態が丸く収まったことにホッと一息ついた。
カカシさんに悪気はないんだ。
ただちょっと、たまたま俺のタマがオオイヌノフグリの実の形状に似てただけだ。
でもこのまま大人しく実が成るのを待ってたら、間違いなくこいつはそれを持ち歩くだろう。それで上忍待機所やあちこちで見せびらかすだろう。

「ほら、イルカノフグリ、可愛いでしょ」

と。
それだけは何としてでも避けたい。
そのためなら、花言葉の意味を多少ねじ曲げることも、カカシさんのプレゼントの意図をすり替えることだって躊躇わない。
『よお、イルカノフグリ!』と行く先々で呼ばれる未来を考えたら。
俺のタマは、あんなに小さくない。
そりゃ、せっかくのプレゼントを押し花にしちまうような奴だけど。夜は女役をやってるけど。
それでも俺のタマは、断じてあんなに小さくないんだ。

それに――
愛なんて、脆くて壊れやすいもんだからな。
ちょっとしたケンカや、些細な言葉の応酬で粉々になっちまうくらいに繊細だ。
その愛を守るためには、ちっちゃくて可愛いタマだって逞しくふてぶてしくなるってもんなんだよ。
これが俺流の、カカシさんへの『忠実な愛』ってヤツだ。




【完】




《訂正とお詫び》

本文中にあるオオイヌノフグリの実の表記について大変な大間違いをしてました!!!
実際にはオオイヌノフグリの実の形は、イルカノフグリの形をしてません!!

・イヌノフグリ→小さくてコロンと丸い
・オオイヌノフグリ→小さくて平たい♥の形

ですがお話の内容上、オオイヌノフグリをイヌノフグリに訂正してしまうと、花言葉も変わって話が破綻してしまうので、このままにさせて頂きました。
間違った知識に基づいて書いてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
『木の葉のオオイヌノフグリの実はイヌノフグリの形をしてる』というトンデモ設定でお読み下さると嬉しいです。  

 
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