【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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夕方から一日火影企画の慰労会が開催された。
里内の内輪な行事なはずのに、なぜか各里の重鎮どもがこぞってお忍びで参加していた。
さすが一線は引いても情報網と手腕は衰えていない。
その威光を見せつけるためか、腹黒ジジイが裏取引でも狙ってるのかと勘繰ったが、イルカ先生に対する好好爺っぷりを見てると、それも深読みしすぎだろうと思い直す。
あの人ってホントに人タラシだよね。しかもジジババに負けじとベスポジに陣取ってるの、あれ我愛羅くんじゃないの?
あー、シカマル→テマリ情報か。風影様も万障お繰り合わせの上のお忍び参加な訳ね……いいからキミはナルトの所でも行ってなさいよ。

それにしても、みんな先生とベタベタしすぎじゃないの!?
こういう時こそ外交の裏取引をするチャンスだろうが! お前ら仕事しろ!
ほら、ここに六代目火影がいますよ~、と気配もあらわに人だかりの周囲をウロウロしてみるが、みんな先生に夢中で俺には誰一人見向きもしない。火影衣装のイルカ先生と代わる代わる記念撮影をしたり、きゃっきゃうふふと盛り上がっている。
仕方なくトボトボと司会の方に行き、ゲンマの持ってたマイクを奪い取ると強引に閉会の辞を述べた。
よし、これでやっと二人きりになれる。
それにしてもナルトといいゲンマやイビキといい、仮にも一日火影候補だった者たちが裏方で雑用をこなしてるとは……。
ちょっとだけ哀れみをこめた労いの視線を向けたら、ゲンマからもっと哀れみのこもった視線を返された。
いいの!
今日の主役はイルカ先生なんだから!!
あとで二人っきりでたっぷりイチャイチャするんだからな! ほんのちょびっと今だけイルカ先生を貸してやってるだけなんだからな!
だからそんな生ぬるい目で俺を見て、慰めるように頷くなゲンマ!!



会場内のイルカ先生に群がるハイエナどもを追っ払って、呑み足りない奴らは勝手にやらせとけと警備に伝えておく。
それからやれやれと先生をエスコートして屋敷に帰ろうとしたら。

「すみません、一ヶ所だけ行きたい所があるんです」

と、すまなそうにイルカ先生が言い出した。
そして二人で向かった先は、慰霊碑だった。



その途中、イルカ先生がぽつりぽつりと話し出す。

昔、三代目に一度だけ「火影になりたくはないのか」と聞かれたことがあるんです。
それは子供の頃だったので、俺は父ちゃんと母ちゃんみたいな上忍になって里を守るんだって答えたんですよね。
両親が上忍だったので、自分も当然そうなると信じてたんです。
まぁ、大人になってそれはムリだと分かったし、教師も天職だと思ってるんで、それはいいんですけどね。
ただ、教師になると伝えた時に三代目が「イルカの火影姿も見てみたかったのう……」と呟いたのを思い出したんで。
そもそも教職を応援してくれたのは三代目だし、独り言みたいだったけど、そういう気持ちも少しはあったのかなぁって思って。
だからこれは恩返しみたいなもんです。
ホントの火影じゃないけど、じっちゃんにも見てもらいたかったんで。

イルカ先生が、へへっと笑って鼻の傷をかく。
俺はイルカ先生をそっと抱きしめた。慰霊碑の前だけど、構うもんか。三代目には怒られそうだけど、先生を慰める腕があることだけには安心してくれるだろう……たぶん。

イルカ先生は家族ぐるみでよく三代目と交流してたという。
両親が亡くなった後も一時は火影屋敷に移り住み、アスマと兄弟のように生活してたとヤツから聞いていた。
そう考えると、先生は二度、家族をなくしたことになる。
それが忍の家に生まれた者の宿命とはいえ、どれだけの喪失感だったろう。
――そして今も。
これ以上家族を増やしてあげられない者と人生を共にしている。
イルカ先生を手放すつもりなど毛頭もないが、それでもなにがしかの感じるものはあるのだ。
これを後悔とは呼びたくないけれども。

するとイルカ先生が体を少し離して、こちらをじいっと見た。そしておもむろに二人の笠を取ると。

ゴチンっっっ!!!

「いっ……たぁ~!!!」

目の前に星が飛んだ。
一瞬訳が分かんなかったけど、これは……イルカ先生の一撃必殺頭突きだ。
しばらくおでこを押さえて、ジイーンと響くのをやり過ごす。
涙目になった目を開けると、怒ってるような呆れたような先生の顔があった。

「またアンタしょうもないこと考えてたでしょう」

まったく、ほっとくとすぐネガティブ思考にハマり込むんだから。アンタ分かりやすいんですよ。とぶつぶつ言い出した。
だって……とか、でも……と俺がオロオロしてると、イルカ先生が俺の顔を両手でぎゅっと挟んで、むりやり目線を合わせた。

「カカシさん!」
「ふぁい!」

条件反射でびしっと背筋が伸びる。

「いいですか、一度しか言わないからよく聞け。俺はね、好きでアンタと一緒にいるんですよ。アンタの隣に、ここに俺の幸せはあるんです。だからアンタは黙って隣にいてくれりゃいいんです。俺の幸せを勝手に決めつけるな」

そう一息に言い切ると、そっとおでこを合わせてきた。

「いずれナルトが跡を継いで七代目になるでしょう。引退したらアンタはただの、はたけカカシだ。そしたらアンタは……」

――俺の。俺一人のもんだ。

最後の一言は囁きより小さな小さな声だったけど、俺の忍の聴力と愛の力でしっかりと聞き取った。





地面に落ちた火影の笠が二つ、重なっている。
一つには『火』の。
もう一つにも『火』の緋文字が書かれている。
二つの重なった火は、『炎』となる。

明日になれば、イルカ先生は一人の中忍に戻ってしまうけど。
イルカ先生が隣にいてくれると言うのなら、俺の火の意志は炎となれるだろう。
そしていつか。
俺がはたけカカシに戻った時には……

「ねぇ、イルカ先生。ちょっとフライングだけど、お誕生日おめでとう」
「ええっ、あ? そっか……忘れてました。ありがとうございます」

おでこを合わせたまま、腕の中でイルカ先生がへへっと笑う。
先生もバタバタしてたもんね。俺が忙しかったのは今日の為もあるけど、明日……もうすぐ今日の、イルカ先生の誕生日の準備もしたからなんだ。
もちろん昔みたいに一日休みは取れなかったけども。
お祝いだけはちゃんとしたかったんだ。
まぁるいケーキとプレゼントと、二人で過ごす時間。
それから、イルカ先生のお願いも何か叶えたい。
だって大切な人の生まれた、年に一度の特別な日だから。

「あのね、誕生日はプレゼントも用意してあるんだけど、それ以外にも何かお願いごと考えておいて?」
「お願いごと? そんなのありません。カカシさんが傍にいてくれるだけで、俺は……」

イルカ先生が、すり、と頬を擦り寄せる。
うん、でも俺は火影だから、全部はあげられないでしょ?
ホントは全部あげたいけど、今の俺は里のものでもあるから。
いつか……
いつか七代目に、ナルトにこの笠を譲り渡したら。
その時は受け取って?
先伸ばしになっちゃうけど、それが俺の本当にあげたいプレゼントなんだ。



――うみのイルカの為だけの、はたけカカシを。





【完】

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