【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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その生き物は日暮れ時の木ノ葉の里の外れに、ふいと現れた。
白銀にも見えるグレーがかった体毛と長い尾は猫か狸のようにも思えるが、ぐっと突き出た鼻とその鼻筋から額にかけてくっきりと走る一本の白い線が、明らかにそれらとは違う生き物だと主張している。そしてその小さくころんとした黒い目は左だけ閉じられ、何で負ったのか縦に傷痕が付いていた。
その珍しい生き物は通りの隅をとことこと歩いてから、一軒の民家の庭を覗きこんでいた。
しばらくじいっと眺めていたかと思うときょろきょろと辺りを見回し、不意に閉じていた方の目を開いた。
その目は赤く染まり、瞳には勾玉のような紋様が入っている。
今度は生け垣をじいっと見つめると、逆立った全身の毛から小さな青白い火花が散る。放電のような状態が収まるとまた片目を閉じて、小さな隙間からするりと中に入り込んでいった。
その怪しい生き物は、先ほど眺めていた一本の植物の前に前肢を揃えてちょこんと座るとおもむろに喋り出した。
「お前、この辺りでは珍しいね。綺麗な白い葉を持ってる。名は?」
声をかけられた植物は驚いたのか葉を震わせると、しばらくもがくように身を揺らしてから答えた。
「……はつ、ゆきそ……初雪草。うわぁ、喋れた!」
「綺麗な名前だね。新参者か……今年生まれたばっかりなの?」
猫のような生き物は声を和らげ、細長い楕円形の尖った白い葉の先に鼻を寄せて匂いを嗅いだ。
「はい、ここはあったかくていい所ですね。それで、あの……あなたは?」
「俺はハクビシンと人には呼ばれているね」
そう言うとハクビシンは首をかしげ、開いている右目の方でじっと初雪草を見つめた。
「そうだな……お前には特別に教えてあげる。俺の真の姿は違う。雷獣というあやかしだよ」
「らいじゅう……あやかし? あやかしって人を騙したり喰らったりする、あのあやかし⁉」
初雪草の白い葉が一斉に揺れてカサカサと音を立てた。
そんな様子を見てハクビシン――雷獣はころころと喉を鳴らして笑った。
「俺はそんな事はしない。せいぜい雷に乗って遊ぶくらいだよ。ついでに言うと、お前のことも食べたりしない。だからそんなに離れようとしないでよ」
「…………すみません」
初雪草は大きく傾けていた茎を真っ直ぐに戻した。
「ところで俺は果実が大好物なんだ。お前は実を生らすかい?」
「えっ! 花は咲くけど……やっぱり俺のことも喰うの⁉」
そこで初雪草は、うつむいて肩を揺らす雷獣に気付いた。
「か……からかったんですね⁉」
「うん、ごめんごめん。お前って本当に可愛いね。やっぱり食べちゃいたいなぁ」
「……えっ?」
びくりと身をすくませる初雪草の前で雷獣はいきなり飛び上がり、空中でくるりと体を回転させた。
すとんと着地したその足はすでに獣のものではなく、白く引き締まった足首と草履を履いた人の足だった。
「人に化けた⁉」
「こっちが真の姿なの! まったく、せっかく見せてあげたのにつくづく失礼な奴だね。まぁ、新参者だし可愛いから許してあげる」
雷獣は神主のような白銀色の衣の膝を突くと、初雪草に向かって印を組む仕草をしてみせた。
すると驚いたことに、植物だったはずの初雪草は白い煙の中で人の姿へと変貌した。
「あれ、真っ白かと思ったら違うのね」
「わわっ、なんだこれ⁉ 俺に何をしたんですか!」
「ん~? ちょっと人型も見てみたくて」
白地にわずかに若草色の混じった色合いだった初雪草は、なぜか黒髪に黒い瞳で藍色の衣をまとった青年になっている。
初雪草は自分の両手をまじまじと見たり、肩に流れる髪や顔をぺたぺた触ったりと忙しそうにしていたが。
「もしかしたら俺を育ててくれた人の影響かも? 確かこんな感じだったような……」
「それって、この家のきっつい結界を張った奴のこと? ま、俺はあやかしだから大事ないけどね」
「けっかい?」
「そ。悪い者をこの家に入れないようにするための、う~ん、まじないみたいなものかな。それより、ねぇ……」
雷獣は初雪草の健康的に焼けた頬にするりと手を滑らせた。
「俺と実を生らすようなこと、しちゃわない?」
片目に傷痕があっても人を惑わせるほどの妖艶な美貌を寄せ、初雪草の耳元で低く囁いた。
不埒な雷獣の手はするすると滑り下りて、初雪草の藍色の着物の胸元を分け入ろうとしている。
だが初雪草はされるがままに、きょとんとした顔を向けた。
「俺はまだ花も咲いてないし、咲いても一人で受粉できますよ? それに実は食べられないだろうし……あ、種が欲しいなら夏の終わりにまた来て下さい。その頃ならいっぱい零れてると思います!」
「あ~、そういうことじゃなくてね、まだ子供なのかなぁ。俺はね、お前とずっと仲良くしたいって言ってるの。こう、気持ちいいことをしながらね」
「ずっと……?」
朗らかだった初雪草の顔が初めて曇った。
「俺は一年草です。本当は違うけど、ここの気候じゃ冬は越せない。だからずっとは仲良くできません。すみません……」
愁いを帯びた黒い瞳が揺らぎながらも、真っ直ぐ雷獣を見つめている。
その真摯な眼差しに雷獣ははっと胸を突かれ、動きを止めて初雪草を見つめ返した。
「お前……俺とずっと一緒にいてもいいと思ってくれてるの?」
「そりゃあ、あなたは綺麗だし、ちょっと意地悪だけど楽しいし、一緒にいられたらなぁって思いますけど。……自然の理は変えられませんから」
寂しげに微笑む初雪草を前に、雷獣から今までの浮かれた態度は消え失せた。
しばらく難しい顔をしていたかと思うと、うん、と呟いてから初雪草をひたりと見つめる。
「もしその理をほんの少し変えられるとしたら? そしたら俺とずっと一緒にいてくれる……?」
「そんなことできる訳ないじゃないですか! 冬になったら枯れ果て土に還る、それが俺たち一年草の運命です」
初雪草が笑い飛ばしても、雷獣の真剣な顔は変わらなかった。
「………まさか、できるんです、か?」
「俺はあやかしだけど雷神の眷属だからね。さすがに永遠の命じゃないけど、俺の精をお前に与えれば寿命を半分あげられる」
「そんな! 駄目ですよそんなことしたら……んむっ」
初雪草の言葉は、押し付けられた雷獣の唇によって消えた。
傍若無人な舌が初雪草の咥内を荒らす。
唇を食まれ、舌で舌を絡めとられ、お互いの唾液が口の端から溢れる頃には、初めての行為に初雪草は荒い息に胸を上下させ涙目になっていた。
「んふぁ……、これって、何ですか」
「分かりやすく言うと求愛かな」
「求愛って、鳥とか猫とか、俺を育ててくれた人たちがしてるような?」
「そうね。俺を受け入れて、一緒に気持ちよくなって、お願いって」
「一緒に? あなたも気持ちいいんですか?」
初雪草はとろんとした黒い瞳にわずかな理性を宿らせて、雷獣を見返した。
「気持ちいいよ。世界が変わって見えちゃうくらいに気持ちいい」
「世界が、変わって見える……」
雷獣は指先で初雪草の濡れた唇をそっと拭い、あごに伝う唾液を舐めとった。
くすぐったそうに身をよじらせた初雪草は、雷獣の胸にそっと手を置いて身体を寄せ、肩口に頭をもたせかけた。
「……俺はもうすぐ花を咲かせます。独りで受粉して実を結び、種を残して独りで土に還る、それが俺に与えられた運命だと思ってました。でも本当は……本当は俺を育ててくれた人たちみたいな、誰かと寄り添う温かさを知りたいな、って。……それを知るなら、あなたとがいいです」
初雪草の秘されていた望みを聞いた雷獣は、喜びに震えた。
永くを独りで生きてきたあやかしには、あまりにも過ぎた初雪草の答えだった。
「お前の望みは俺の望みだよ。寄り添う温かさも、共に過ごす喜びも、これからは全て分かち合おうね」
雷獣は初雪草の瑞々しくしなやかな身体を抱き寄せると、柔らかな芝の褥にそっと押し倒した。
初雪草の無垢な身体を、雷獣はこの上なく丁寧に慎重に拓いていった。
それでも受け入れる行為のために作られていない身体は、未知への恐怖もあってなかなか巧く受け入れられなかった。
雷獣はそれに苛立つこともなく、ひたすらに悦びの芽生える箇所を探究し、それに彼が集中できるように導いていく。
ようやく後孔の準備が調ったところで熱い滾りを押しこもうと四苦八苦していると、またも萎えてしまった初雪草の性器に雷獣は気付いた。
「あぁ、やっぱり最初から気持ちよくなるのは難しいね。不調法でごめん」
「いえそんな! 俺が不慣れだから……俺こそ上手にできなくて……」
しょんぼりとしてしまった初雪草に、雷獣は愛しさがこみ上げて優しく口づけを落とした。
「もう少し力が抜けるといいんだけど……そうだ、これなら気持ちよさそうかな」
雷獣は額に汗を浮かべた悪戯っぽい顔で、にこりと笑った。
初めにまとっていた狩衣はすでに脱ぎ捨てられ、今は単の前をはだけた状態だ。
その後ろの腰辺りから白銀色の柔らかく長いものが伸びて、初雪草の萎えた性器にしゅるりと巻き付いた。
「んん、あ? 何ですかこれ……ぅあ、ふ……っ」
「俺の尾。気持ちいい?」
「い、ぁ……ぅんっ」
柔毛に覆われた尾は、しなやかな動きで初雪草の性器を翻弄した。
根元から巻き上げた尾で擦り上げると、毛先で割れ目の敏感な部分をさわさわと嬲る。それを繰り返している内に、溢れてきた蜜で尾はしっとりと濡れてきた。水分を含んで張りの出た毛先で、今度は幹全体を撫で回す。
そして滴り尖った尾の先端を、蜜の溢れる小穴にくりゅくりゅとねじ込むように動かした。
「ひあ! や、これ、やですっ!」
初雪草は恐ろしいほどの快感を受け止め切れず、雷獣の衣を掴んでしがみついた。
だが彼の懇願を聞いても、雷獣は責め立てる動きを止めなかった。
「あ、んぁ、くる……なんか、きちゃうっ」
「いいよ。イって」
「……っ、ぅんん、………っ」
初雪草の快楽が臨界点を越えて爆ぜ、二人の腹を濡らした。
と同時に、雷獣が己の滾る熱の塊をぐぐっと押し込む。
「は……っ、ぁあ、あ!」
「もう少し頑張って」
突然もたらされた解放感と圧迫感とで混乱した初雪草の腰が、思わず逃げようと芝の上をずり上がる。
雷獣は背に回した両腕で肩を押さえ、引き戻した。
そして腰を小刻みに揺らすと、さらに奥深くへと押し進める。
その間にも巻き付けたままの尾で、達したばかりの萎えた性器を嬲ることはやめない。
「もぅ、や、だぁ……っ」
「ほんとに?」
雷獣がぴたりと動きを止めた。
腰も、尾も。
身をよじらせていた初雪草が、不意に訪れた静寂に恐る恐るといった体で雷獣を見返した。
その目尻から溢れた涙がつうとこめかみを伝い、黒髪に吸い込まれる。
雷獣はその目元に優しく舌を這わせ、涙を舐め取った。
「もうやめる? お前が心底嫌なことはしたくない」
それは雷獣の心からの言葉に思え、初雪草はいったん目を伏せてから真っ直ぐ見返した。
「……めないで、くださ……ほんとは……いやじゃない、です。ちょっとだけ、その……気持ちいい、し」
「~~~~っ、お前ね……俺が必死に耐えてるのに、そういうっ」
「あ、なに、おっきく……? ぁあっ、あ!」
ぐんと膨らんだ雷獣の性器が、初雪草の内側を圧し拡げる。
それでも雷獣は歯を食いしばり、柔肉にみちみちと締め上げられながらも腰をゆっくりと動かした。
「ン……ぅ、あ、……は、あ、なま……え」
「ん、なに?」
「あなた、の、ぅん……っ、なまえ、よびたい」
雷獣はずっと閉じていた左目をも、思わず見開いた。
そしてゆるりと微笑むと、耳に口を寄せて囁きかける。
初雪草はそれを聞き、雷獣の首に両腕を回した。
雷獣は徐々に深く強く初雪草を穿ち、初雪草はそれに応えて幾度も幾度も雷獣の真名を呼び続けた。
その身の内の奥深い処にあやかしの精を受ける、その瞬間も。
「……俺、これで何か変わったんですか?」
辺りは二人の激しい動きで芝が乱れ、むせかえるような青草の匂いが漂っていた。
雷獣の衣をかけられ、腕にくるまれた初雪草が問いかける。
「うん、ただの植物じゃないことは確かだね」
「あんまり変わった気はしないんですけど……」
訝る初雪草に雷獣はくすくすと笑った。
「じゃあ分かりやすいよう、印を付けておこうか」
そう言って人差し指を立てて一度振ると、その指だけ獣のような鋭い爪が現れた。
その爪の先には小さな青白い火花が散り、チチチと囀ずるような音を立てている。
雷獣は「ちょっとだけ我慢して」と初雪草の右目の下に爪を立て、一気に真一文字に引いた。
「痛っ!」
「ごめんね。でもこれでお前もあやかしの仲間入りだよ。……そうだ、お前の真名も決めなくては」
初雪草の傷からは白い乳液が滴り落ちた。
雷獣はそれを舌でぺろりと舐めとる。
「あっ、ダメですよ、俺の乳液はかぶれちゃいます!」
「それは人だけでしょ、俺は大丈夫。さて、何という名が良いか……」
その時、母屋の方から誰かを呼ばわる声と、それに応える声が響いた。
「イルカ先生、もうすぐできるよ~!」
「はぁい、庭に水を撒いたら行きますね」
そちらに顔を向け、しばし思案していた雷獣が頷いた。
「いるか、いるか……うん、良いね。今日からお前の名はいるかだよ」
「いるかって、俺を育ててくれた人ですよね」
「育ての親の名を貰うのは縁起がいい。それじゃいるか、そろそろ行こうか」
雷獣が初雪草にかけていた衣をさっと翻すと、二人の姿がかき消えた。
何一つ残さず、初めから何も無かったかのように。
――いや、残ったものはあった。
初雪草の生えていたはずの地面にぽっかりと空いた穴と、傍らにひとひらの白い葉。
その葉には、葉身を分断するように若草色の斑(ふ)が一筋、くっきりと入っていた。
表紙素材 青井そら様
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