【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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【虫さん】
頬に掛かったそれが、皮膚の上をつうと滑る感覚に、俺の意識が少しだけ現実に戻る。涙でぼやけた視界の中で微笑むカカシさんの頬にも、白いものが貼り付いている。それがなんなのかなんて、もう考えたくもないのに、カカシさんはそれを指で拭い、べろりと舐めて言った。
「まだ入れただけだよ?ちょっと弱すぎなんじゃないの?」
ニンマリと細められた目は、獲物を甚振る獣の目だ。
「あ…んた…が…くすり…なん、か…」
「ああ、俺のせいでしたね。んー、ちょっとかわいそうになってきたなぁ」
だったらとっとと解放してくれ。尻に嵌ってるその物騒なものを抜いてくれ。
俺は疲労に身を任せて目を閉じる。カカシさんの手が、出すものを出して少し落ち着いた俺の息子をゆるりと手に持ったのを感じた。
ピリリと小さな袋を開けるような音がして、拭いてくれるのか、そういう気遣いは出来るんだなとぼんやり考えていたら、先端に何かが押し当てられて、俺は悲鳴を上げた。
思わず体が跳ねて、カカシさんが「おっとあぶない」と、呑気な声で言う。目を開けると、カカシさんの手には、何か細い棒が握られている。どっから出した。というかそれはなんだ。
「な、なにして…」
「俺のせいですぐ出ちゃうんでしょ?かわいそうだから、出ないようにしてあげる」
カカシさんが何をするつもりなのかを覚り、ほとんど反射で逃げようとした俺の体を、カカシさんはあっさり食い止める。抵抗しようにも、薬でよれよれの体はまるでいうことを聞いてくれない。
カカシさんは、縛られたままの俺の腕を、自分の首に引っかけた。逃れようと身を捩れば、俺を深々と貫いたままのカカシさんが俺の中を刺激し、また快楽を引き出して、情けない声が出る。進退窮まるとはこのことか。
カカシさんは、俺が完全に身動きとれなくなったことを確信すると、「そうそう、いい子にしてましょうね」と、俺のものを再び手に持ち、そうして、金属製の棒の先を宛がった。
せめてもの抵抗に、俺は首を横に振る。
「や…いや…いやだ…」
「大丈夫。傷付けないように出来てるから。これねぇ、イルカ先生のために特注で作らせたんだよ?ちょーっと高かったけどね。安物で大事なイルカせんせが使い物にならなくなったら、俺泣いちゃうもの」
そういう問題じゃない。俺は必死に首を振り続ける。
「…らな…や…」
「ちゃんと痛くないようにしてあげますからね。人の親切は素直に受け取りなさい」
「あ…や…やめ、…っ!…ぃあ、や…っあ…ぅ…」
つぷりつぷりと、俺の中にそれが埋まっていく。特注とやらのお陰なのかカカシさんが器用なのか、確かに痛くはないが、冷たいものにこんなところを貫かれる感覚に、もう途中から言葉など出なくなった。足がガクガクと震え、涙が止まらない。
永遠にも感じるほどの時間を耐えて、ようやくカカシさんの手が止まった。
「ん、上手に飲み込めましたね」
「…ッ…」
あんたが突っ込んだんだろうがと言いたいが、耐えるのに精いっぱいで、もう声も出ない。ハ、ハ、と短い息を吐き出すのが精一杯だ。
【天空さん】
「イルカ」
声の主を、ぎ、と睨みつけてやったのに、にこりと笑った肉食獣は満足げに鼻を鳴らすと、すいと俺の頬に唇を寄せた。
ぺろりと暖かい舌に舐め上げられて、びくりと身体が震える。
「いい子にできたね。おりこうさん。――綺麗にしてあげる」
ぺろり、ぺろりとカカシさんの舌が、俺の顔に散ったものを舐め取っていく。
イイ子イイ子と合間合間に囁かれて、グルーミングでも受ける犬のような気持ちになってしまう。
「……ん、ふっ」
カカシさんの指が、宥めるように俺の胸の突起に触れた。まだ疼くそこをゆるゆると優しくもみ込まれて、じわりと身体に熱が戻ってくる。
そのリズムに合わせて、カカシさんの腰がゆるりと動きを再開した。じりじりと熱い塊が入ってくる感覚に、まだ全て納まっていなかったのかと俺は思わず涙目になった。
その目元にも、カカシさんの唇がちゅうと吸い付いてくる。
カカシさんのものが俺の内壁を進む度に、先ほどまで指先でしつこいくらいに責められていた一点が、ただ擦られるもどかしさに切なく震える。
ぎゅうと内壁が収縮するその強請りがましい動きに、気付かれていないといい。無理だろうけど。
「……こっちも全部入ったよ」
カカシさんが呟いて、俺の唇をちゅっと音を立てて吸った。
涙でぼやけた瞳でぼんやりと見上げると、俺の腕を首に巻き付けたまま、カカシさんは蕩けんばかりの顔で微笑んでいた。
「――嬉しい、やっとイルカとひとつになれた」
どん、と心臓が跳ねた。
慌てて目を逸らしても、視界に入るのは恐ろしく鍛え上げられた上半身を晒したカカシさんと、シャツを胸元までたくし上げられたほぼ全裸の俺の姿だけ。
そしてカカシさんのズボンの隙間からぽろりと露出していたペニスは今――俺の中にある。
「……っ」
意識すると、内壁が勝手にぎゅいと締まる。
慌ててそれを止めようとして、腰が揺れた。
「……あ、だめ……ちょ、……あぁっ」
自分が引き起こした刺激に身体が震え、口元からだらしなく嬌声が零れる。
そんな俺の姿を見下ろしたカカシさんが、く、と喉を鳴らして、息を詰めた。
そして。
「!?!?!?!?!?」
文字通り、身体を電撃が走った。
「か、か、カカシさ……っ」
目の前の男の身体が、うっすら帯電している。
「あんた、チャクラ、暴走して……!?」
「……ごめ、……」
は、は、と浅く息を吐く上忍は、先ほどまでの態度が丸で嘘だったように、余裕のない顔をしていた。
こちらを見返した瞳の奥に、青い炎が揺れている。
ぎりぎりと食いしばった口元から、白い犬歯がちらりと覗いた。
ぞくりと背を、何かが走った。
「も――我慢、できない」
がぶりとカカシさんが、俺の胸元に噛みついた。
もう片方の胸の突起は指先でぎゅうと摘み上げられて引き延ばされる。
かり、とペニスに入った金属の先を引っ掻かれて、ひ、と悲鳴が出た。
なぜならカカシさんの指先から迸った雷遁が、金属を通じて尿道内壁を駆け下りたからだ。
「や、あーーっ……ーーーー!!」
がくがくと身体が痙攣する。
体験したことない刺激に翻弄されて、俺のペニスが驚くほど固くなる。
なのに、なのに。
「……ィ、きたいっ……カカシさんっ、やだっ、……も……」
暴れる俺を抑えつけた肉食獣は、俺の嘆願に嬉しそうにニヤリと唇を吊り上げるだけなのだ。
「抜いて……抜いて、カカシさんっ……!」
「んー? 何を? ……ああ、コレ?」
ず、とカカシさんが高速で腰を引く。
内壁を引き摺られる感覚に思わず、俺は脚を巻き付けて、カカシさんの腰を引き寄せていた。
「ああ、コレは抜いてほしくないんだーね?」
欲張りな子、と言いながらカカシさんがまたずぶずぶと腰を進めてくる。
違う、そうじゃない!
そう反論したいのに、最奥までそれが戻ってくると、なぜか充足感があった。
さっきのカカシさんが悪い。全部入ったよとか言いながら、あんなに嬉しそうな顔をしてみせるから。
「じゃあ、コレは抜かないように揺さぶってあーげる」
帯電したままのカカシさんが、ばつんばつんと肉食獣に相応しい激しさで律動を開始した。
俺のペニスを握った手は、指先を亀頭に宛がったまま、金属棒に電流を流し続けている。
べろべろと舐められた乳首は唾液と唇の間に静電気が絶えず走り、身体中を駆け巡るカカシさんのチャクラに、思考がどんどん奪われていく。
いきたい。いきたい、いきたい。
「も、意地悪しないで……ソレ抜いて、カカシさんっ……!」
涙目で見上げた俺の頬に口付けて、カカシさんが嬉しそうに笑う。
「もうちょっと我慢したら、後でちゃーんと抜いてあげるよ。ここにいっぱい溜まってるものもね」
「ちがっ、ああぁっ!」
ペニスから離れた手が俺の玉を揉みこんで、びりびりと痺れさせる。
ひたすら痙攣を繰り返す身体を、カカシさんの熱く滾った一物が穿ち続ける。
脳裏が、ちかり、ちかりと明滅を始めた。
「……だ、……やだ」
怖い。
何か来る。
ぎゅうとペニスが収縮して、内部の金属を締め付ける。
銀色のそれは、いつのまにか俺の体温とすっかり馴染んでしまっている。
悔しい。
変態の癖に! パンツ被った変態の癖に!
まるで俺のペニスを穿ったソレのように、入口じゃないところを無理やりこじ開けて、強引に俺の心の入っちゃいけないところに入ってきた癖に。
いつの間にやら俺の生活に馴染んで、なんだかんだで済し崩しにこんなことを許してしまうところまで、俺の心を持って行きやがって!!
最初は冷たい癖に、慣れれば暖かくて。
いつだって他人のことしか考えてないカカシさんが形振り構わず俺を求めてきた時に、この胸に去来した想いが何だったかなんて、そんなこともうとっくに俺は知ってたのに。
「……っあ、や……ん……クソっ……」
低く唸る獣に揺さぶられながら、白く飛びそうな脳内に浮かぶのはもう、そんな益体のない言葉だけで。
これでアンタが変態でさえなかったら!!!
俺だって素直に気持ちを口にできたんだよ馬鹿野郎!!!
脳裏に心の叫びが木霊する。
「んぁ、……あ゛、あ、ああ゛ーーーっ!!!」
がくがくと身体が痙攣して、ベッドのスプリングが激しい音を立てた。
跳ねる俺の身体を、カカシさんが押さえつける。
「や、や、あっ、イッ、……――っ!」
責め苦のような快楽に乱れる俺を、息を詰め眉を寄せたカカシさんが腰を振り立てながら見詰めている。俺の吐く息の一筋すら見逃すまいとするように。
限界を超えた脳が身体のコントロールを手放した。
むちゃくちゃに暴れ始めた俺の身体を、カカシさんががっちりと拘束する。
「や、離し……、見んな、やだ、やだぁ……っ!!」
「イルカ、イって」
「……こんな、だって、イけな……っ」
俺のペニスに栓をした張本人の癖に、こいつは何を言っているのか。
ぎりりと睨みつけた目も、熱い怒張で内壁を擦り上げられた瞬間、緩んでしまう。
おかしい。さっきから。
内壁全体が、まるで。
性感帯にでも、変わってしまったみたいで。
「やだ、や、カカシさ……も、やめっ」
激しく突き上げられる度に、意識が白く飛びそうで。
「このまま、イケるデショ、イルカは」
いいこ、と優しく囁かれながら、ちっとも優しくない凶悪なものが俺の最奥を突き上げて、ぎゅうと器用な指先で乳首を摘み上げられて。
「ほら、イきな」
「!! あ、ああああ゛ーーーー!!!!」
身体が大きくびくんと跳ねた。
甘い痺れが下腹から、一気に脳に駆け上がる。
その間もカカシさんの怒張は、身を擦り寄せる子犬のように、蕩けた内壁を擦り上げ続けている。
「あ、や、動かな、で、カカシさん……っ」
カカシさんの律動に合わせて、結局解放を許されなかった俺のペニスが、固く兆したままぺしぺしと俺の腹筋を叩いている。
「今……たぶん、イってる、から……っ」
経験したことのない絶頂の余韻に震える身体に、その刺激は強すぎて辛い。
「ごめん、無理……っ!」
貪るような律動を止めないまま、カカシさんがぎゅうと俺に縋りつく。
掠れた声に、きゅう、と下肢が疼いた。
俺の内壁がまるで抱きつくように、カカシさんのペニスに絡みつく。
刹那。
「――……イルカッ!」
必死な声が俺を呼ぶ。びくりと目の前の男の身体が跳ねて、体内にどろりとした熱が広がる。
慌てて引こうとしたカカシさんの腰を、思わず足で深くホールドした。
精を吐き出しながら、一向に萎える様子の無いものがまた俺の最奥へとすぽりと収まる。
「……っ」
ぎゅうと胸が軋むように痛んで、俺はたまらず、噛みつくようにカカシさんに口付けた。
【mogoさん】
「イ、イルカ先生? どうしたの?」
いままで散々余裕ぶっこいて俺を好きに乱していた男が、うろたえた声をあげる。
――どうしたのって、そんなのテメーで考えやがれ!!!
こんなことされて、好きだから抱きしめたくなった、なんて言えるかよ。
俺は怒りにまかせて、しがみつく両手に思いきり力を込めてやった。
カカシさんの肩に食い込む自分の指先が、白くなっている。でもそれ以上にカカシさんの肌は白くて綺麗だ。
その綺麗な身体に走る、いくつもの傷痕。
首筋から肩にかけての2寸ほどの長さの刀傷。
頸動脈をわずかに逸れた場所についたその傷は、始末が雑で縫い痕が痛々しい。医療忍も医療器具も満足にない戦場で、また戦いに出るために麻酔もなく仲間に縫わせたのだろう。痛いと一言も漏らさずに。
背中には火傷の痕。
忍び同志の戦いに巻き込まれ、火遁に焼かれそうになった子供をカカシさんが身を挺して庇ったと、受付けで任務帰りの忍びから聞いたことがある。そのときの傷なのかもしれない。
逞しい身体に刻まれたいくつもの戦いの記録は圧倒的な強さを誇る写輪眼のカカシが、その優しさゆえに負った傷の数々。
愛おしくて、せつなくて、悲しくなった。
気付けば俺の両目からボロボロと涙が出ていた。
――止まれ、止まれよ。泣き止めよ! こんなときに泣きたくなんかないんだ!
「ど、どうしたの? イルカ先生」
「なんでも……ありません」
「なんでもないって、アナタ泣いてるじゃない」
本当に、こんなことは、何でもないんだ。
アンタが俺を欲しいといって、歪んだ性癖をぶつけられることなんか、アンタが里の為に耐えてきたことに比べたら、なんてことない。
「俺のことは好きにしたら、いいんです。尿道を責めたければそうすればいいし、縛りたければ縛ったらいい。その立派な男根が満足するまで腰を振り立ててもかまわない。もう俺は何も抵抗しません。俺の身体を好きに弄べばいい。どうせ俺は抵抗できないんだから」
だって、必死に目をそらしていた自分の気持ちに気づいてしまった。
カカシさんが好きだという事実に気づいてしまったんだから。
ボロボロと涙は止まらない。
カカシさんの性愛は異様だと思う。
だけど、それがカカシさんの本性であるなら、俺が受け止めないで誰が受け止めてやれるんだ?
カカシさんが俺に惚れて、俺を欲しいといって、もうとっくの昔に絆された俺がどうやって拒否できるっていうんだよ。
俺も変態になるんだ。
カカシさんと同じ変態に。
パンツを被ったカカシさんを愛しいと思うような変態になればいい。
俺は腹を括った。
「うおっ」
尻穴から、ズルリと凶悪な雄が引き抜かれ内襞が引きずられ外に出そうになる感覚に、吐き気を催す。
慌てて上体を離し、カカシさん見れば、ものすごく怖い顔をしていた。
カカシさんの右手が勃ちあがった俺のペニスへと延びる。その爪が短く切り整えられているのを見て、俺の胸に甘やかな痛みがじわりと広がった。
――ひょっとして、俺を傷つけないために手入れを?
考えてみれば、ヒドイことを沢山されたけれど、怪我はしていない。
男同士の交わりは、乱暴になりがちだと聞いていたけれど、カカシさんがくれたのは、快楽ギリギリの痛みまでだ。この人は、どうしてこんなことを?
表情から何かを読み取ろうと俺は必死だった。
だから、何も気づいてなくて。
ソレが起こったときに、アパート中に響き渡るほどの悲鳴を上げてしまった。
カカシさんの指が。
俺のペニスに突き刺さった金属棒を。
一気に引き抜いた。
「ふっ、うぁあああああああ!!!!」
今まで感じたことのない壮絶な射精感が腹の中からせりあがり、俺のペニスはまるで火山の噴火のような勢いと熱を伴い白い精子を辺りにブシャァとぶちまけていた。
溜りに溜った欲を一気に解放し、何も考えられなくなる。キモチイイ。ただそれだけしかなかった。
「ごめん。イルカ先生、俺に抱かれるの、泣くほど嫌だった?」
「くっ……はぁあっ」
そう尋ねるカカシさんの目はひどく痛々しく、表情は厳しい。そんな顔をさせたくて言ったんじゃないのに。
吐精の余韻はすざまじく、頭が朦朧として何も考えられない。
でもちゃんとしないとダメだ。きっとカカシさんは今からものすごく大事なことを話そうとしている。
「そんなに嫌だって分らなかった。イルカごめん。ねぇ。ひょっとして俺のことも本当は嫌いだった? なんだかんだ言って、俺のことを受け入れてくれるから、本当は先生も俺のこと少しは好きなんじゃないかって思ってた。俺はずっと先生のことが好きだったよ。ずっと先生のことを抱きたかった。
身体をつなげて先生を満足させれば、俺をもっと好きになってくれるかも、って思ってた。だから今日色々と許してもらえて嬉しくて止められなくなった……これでも俺、先生に満足してもらおうって精一杯頑張ったんだけど、嫌だったんだね」
カカシさんの綺麗な蒼い瞳に、涙の粒がポツリと浮かんだ。それはみるみるうちに大きくなり、やがて瞳から零れ落ち頬を伝った。
何か言わなきゃ。
カカシさんがこんな顔をして泣いてるんだ。俺がこんな顔をさせちゃいけない。
俺も好きですって言って、安心させてやらなきゃ。
でも口をついて出たのは、恨み節で。
だってさっきまでのカカシさんは本当に怖かった。
未知の快楽に思考も身体も全部もってかれて、あんなに激しくて強烈なセックスなんて知らない。
いろいろとされたことも嫌だったけれど、本当に嫌だったのは、ちゃんとカカシさんを感じられるセックスじゃなかったこと。
お互いに感じ合う姿を見つめ合って、愛されてることを実感して、満たされた気持ちでゆっくりと交わりたかった。初めてなのに、あんな獣のようなセックスなんて、まるで身体だけを求められてるみたいで、本当はすごくすごく哀しかった。
カカシさんの異常性癖も全て受け止めるって決めたけど、今のカカシさんなら俺の気持ちを伝えたらちゃんと分ってくれそうな気がして。
話し合いの上、折り合いをつける未来を望んでもいい気がして。
「カカシさん、ヒドイです。あんなセックスじゃ俺は満足できない。色々不満はあるけれど、俺が一番許せなかったのは、尿道に細い棒を突っ込んだことです。 しかもそこに電流を流すなんて、俺の身体をなんだと思ってるんですか」
「ごっ、ごめんなさいイルカ先生。やっぱり物足りなかったんですね? もっと太いプジーを挿れなきゃいけなかったんだ!」
って、どえぇえええええ??
やっぱり、わかんねぇ。
この変態上忍の頭ん中、ちっともわかんねぇ!!!
「いまから挿れますから、もう一度チャンスをください」
カカシさんが必死の形相で俺のペニスを掴んでいる。
俺の全てを放出して萎えたペニスを巧みにこすりあげ、あっという間に臨戦状態にしてしまった。
変態上忍、すげえ、キモチイイ、ダシタイ……
じゃなくってっ!!
「なんでそうなるんです!? 俺は尿道に何かをつっこむ性癖はありませんよ!! 俺は至ってノーマルです!!」
「えぇえっ」
こっちが驚くくらい、大袈裟な叫び声をあげて、カカシさんが俺のペニスを手放した。
「ウソ。イルカ先生、すっごい変態で尿道責めが大好きだって言ってた。ああ見えてふつうのセックスじゃ満足できないから、恋人が出来ないんだって……」
「はぁああああああ??? あり得ません。いったいそんな噂、どこで聞いたんです!!」
「ヒルゼン様です。イルカ先生は変態しか愛せないって俺に言ったんです。『お主はイルカの為に変態になれるのか? パンツひとつ被れんようじゃ、イルカの心を射止めることは出来んのぅ』って。
俺はヒルゼン様の元に通いつめ、パンツ被りの秘儀を伝授していただいたんです。それにどうやったらイルカ先生の心を射止めることができるかアドバイスを乞い続けました。そして実践してきた! いや、そんなことは今はどうだっていい。イルカ先生、貴方はノーマルなんですか!?」
「ノーマルに決まってますっ!!! あぁあああああっ、もうっ、あんのクソジジイ!!!!」
自分を目の中に入れても痛くないくらいに猫かわいがりしてくれてるヒルゼンじっちゃん。
カカシさんが俺を狙っているのを知って、邪魔をしたつもりなんだろうけど。
アンタのおかげで俺は変態上忍に尿道に金属棒をつっこまれ、肛門にチンコつっこまれ、感電させられ、媚薬を乳首に塗られ、強姦まがいのセックスを!!
うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! ゆるさんっ!!!!
いくらじっちゃんでも、これだけはゆるさんーーーーーーーーーー!!!!
【如月】
「…め………さ、ぃ」
その小さな小さな声に、心の中でじっちゃんへの雄叫びを上げていた俺は、はっと我に返った。
こういう小さな小さな声は、決して聞き逃しちゃダメなヤツだ。何をしてても、どんな状態でも、全部ほっぽりだして聞かなきゃダメなヤツだ。
俺はその声の方にさっと全神経を集中させた。
「あの、俺、とんでもないことを……どうしよう」
カカシさんがただでさえ白い顔を、更に死相レベルにまで蒼白にしてかたかたと震えていた。そして先ほどぼろぼろと泣いていた時よりよっぽど痛々しい顔で、ごめんなさいごめんなさいと、ひたすら消え入りそうな声で呟いている。
消え入りそうなっていうか、あっ! 瞬身の印を結びやがった!
俺は拘束されたままの手で、カカシさんのほとんど組み終わってた手をガシッと掴んだ。
「逃げないで! ……カカシさんは俺のこと、好きなんですね?」
「……っ! ハイ大好きです! もうずっとずっと大好きでどうしたらイルカをあんあんよがりまくるくらい気持ちよくさせてあげられるかそればっか考え」
「分かった分かりました! そこはもういいです!」
内容はともかく必死に言い募る姿は、俺の保護欲と何かをものすごい握力で鷲掴みにした。散々な目に合わされたことなんか、遥か彼方にうっちゃっておけるくらいに。
俺はカカシさんの前に、チャクラまで使ってパンツでガッチリ拘束された手を差し出した。
「さあ、これも取って。今ちゃんとアンタを抱きしめたい気分なんです」
言い終わる前にフッと両手が自由になった。
俺のパンツがどのポケットに消えたか知らないけど、後で絶対回収しておかなくては。
――でも今は、それよりも。
俺は自由になった両手を広げ、カカシさんを腕の中に抱き込んだ。
「俺たちには会話がね、足りてなかったと思うんです。これからはもっと色々話しましょう? それで理解しあいましょう。自分のことも、相手のことも」
「それ……って」
「俺もアンタのことをもっと知りたいんですよ……好きだから。好きになっちまったから」
「イ"ルガ~~っ」
ひしと抱きついてきたデッカイ子供の頭と背中を、よしよしと撫でてやる。すると目尻を赤くしたカカシさんが顔を上げ、至近距離でひたりと俺の目を見た。
「……すき。イルカ、だいすき。どうしたらいいか、わかんないくらい、すき」
俺の頬をカカシさんの大きな手が滑り、親指が下唇を撫ぜる。
そのねだるような仕草に思わず口を開くと、小刻みに震える唇が合わされ、舌がぬるりと入り込んできた。
――ああ、俺はまた受け入れてしまうんだろう。
俺の身体の何もかもを暴いた、この傍若無人で優しい肉食獣を。
でも今度は一方的な略奪にはならない。
今度は俺も、アンタの何もかもを暴いてやるから。アンタを奥深くまで呑み込んで、素のアンタを晒け出させて。俺がアンタを感じるように、アンタも俺を感じるんだ。
俺は口腔を蠢くカカシさんの舌を捉え、強く吸った。
カカシさんの目が驚きに見開かれ、そしてなだらかに弧を描いた。
……ほら、伝わった。
俺もアンタを欲しいんだって気持ちが。
これからもこうやって身体で、言葉で、お互いに会話していこう。それがお付き合いってもんだろ?
俺はカカシさんの腰に手を回して引き寄せた。そしていまだ衰えない、カカシさんの俺への欲望に手を伸ばす。
もっともっと、アンタが欲しいと伝えるために。
あれからカカシさんはパンツを被ることはしないけど、俺のパンツ自体には相変わらずの執着を見せている。じっちゃんにイルカの性癖だって教わったからとか言いながら、やっぱり本質的には変態なんじゃないだろうか。
――そうだ、じっちゃんへの仕返し計画を実行しなきゃな。
お陰様で無事にお付き合いし始めましたのお礼に、エロいお姉ちゃんがいっぱいいるお店を貸し切りにして、ご招待して差し上げよう。
まぁ、実際はごっついオカマのお姉さまたちだけどな!!
絶対逃げられないように、護衛の暗部の方々にも協力してもらうよう、カカシさんに頼んでおこう。「三代目はお忍びでオカマっこ倶楽部をお楽しみになりたいそうだけど、土壇場で怖じ気付くかもしれないから、しっかりサポートしてほしい」とでも言っておけばいいだろうか。猛々しいオカマのお姉さま方に揉みくちゃにされて、ちょっとは煩悩を削られてくりゃいいんだ。
結果オーライではあったけど、じっちゃんのせいで散々な目に合わされたんだから、これくらいは許されるはず。まったく、じっちゃんの変態め!
……でも。
本当は俺も他人の事を言えないかもしれない。
あの時カカシさんが使った、え~と、ぷ……ぷじょー? あの細い金属の棒のことを今でも時々思い出しては、ちょっぴり下半身に甘い痺れを感じてるんだから。
もうすぐカカシさんも任務から帰ってくるだろう。
とりあえず風呂! 風呂を洗って沸かしてメシは……今日は一緒にメシを食えるって、嬉しそうに出かけたことだし、鰻とか買っちまおうかな!
…………………。
いやいやいや精が付くとかそんなんじゃなくて! その……そうそう、カカシさん任務お疲れさまって労いの気持ちでな! 食費も貰ってることだしな!
俺は知らず知らず鼻唄を歌いながら、商店街に足を向けた。
最近は異常に回転が早いパンツも、また買い足しておかなきゃなと思いながら。
【完】
☆ 虫さんのおまけ漫画 ☆
頬に掛かったそれが、皮膚の上をつうと滑る感覚に、俺の意識が少しだけ現実に戻る。涙でぼやけた視界の中で微笑むカカシさんの頬にも、白いものが貼り付いている。それがなんなのかなんて、もう考えたくもないのに、カカシさんはそれを指で拭い、べろりと舐めて言った。
「まだ入れただけだよ?ちょっと弱すぎなんじゃないの?」
ニンマリと細められた目は、獲物を甚振る獣の目だ。
「あ…んた…が…くすり…なん、か…」
「ああ、俺のせいでしたね。んー、ちょっとかわいそうになってきたなぁ」
だったらとっとと解放してくれ。尻に嵌ってるその物騒なものを抜いてくれ。
俺は疲労に身を任せて目を閉じる。カカシさんの手が、出すものを出して少し落ち着いた俺の息子をゆるりと手に持ったのを感じた。
ピリリと小さな袋を開けるような音がして、拭いてくれるのか、そういう気遣いは出来るんだなとぼんやり考えていたら、先端に何かが押し当てられて、俺は悲鳴を上げた。
思わず体が跳ねて、カカシさんが「おっとあぶない」と、呑気な声で言う。目を開けると、カカシさんの手には、何か細い棒が握られている。どっから出した。というかそれはなんだ。
「な、なにして…」
「俺のせいですぐ出ちゃうんでしょ?かわいそうだから、出ないようにしてあげる」
カカシさんが何をするつもりなのかを覚り、ほとんど反射で逃げようとした俺の体を、カカシさんはあっさり食い止める。抵抗しようにも、薬でよれよれの体はまるでいうことを聞いてくれない。
カカシさんは、縛られたままの俺の腕を、自分の首に引っかけた。逃れようと身を捩れば、俺を深々と貫いたままのカカシさんが俺の中を刺激し、また快楽を引き出して、情けない声が出る。進退窮まるとはこのことか。
カカシさんは、俺が完全に身動きとれなくなったことを確信すると、「そうそう、いい子にしてましょうね」と、俺のものを再び手に持ち、そうして、金属製の棒の先を宛がった。
せめてもの抵抗に、俺は首を横に振る。
「や…いや…いやだ…」
「大丈夫。傷付けないように出来てるから。これねぇ、イルカ先生のために特注で作らせたんだよ?ちょーっと高かったけどね。安物で大事なイルカせんせが使い物にならなくなったら、俺泣いちゃうもの」
そういう問題じゃない。俺は必死に首を振り続ける。
「…らな…や…」
「ちゃんと痛くないようにしてあげますからね。人の親切は素直に受け取りなさい」
「あ…や…やめ、…っ!…ぃあ、や…っあ…ぅ…」
つぷりつぷりと、俺の中にそれが埋まっていく。特注とやらのお陰なのかカカシさんが器用なのか、確かに痛くはないが、冷たいものにこんなところを貫かれる感覚に、もう途中から言葉など出なくなった。足がガクガクと震え、涙が止まらない。
永遠にも感じるほどの時間を耐えて、ようやくカカシさんの手が止まった。
「ん、上手に飲み込めましたね」
「…ッ…」
あんたが突っ込んだんだろうがと言いたいが、耐えるのに精いっぱいで、もう声も出ない。ハ、ハ、と短い息を吐き出すのが精一杯だ。
【天空さん】
「イルカ」
声の主を、ぎ、と睨みつけてやったのに、にこりと笑った肉食獣は満足げに鼻を鳴らすと、すいと俺の頬に唇を寄せた。
ぺろりと暖かい舌に舐め上げられて、びくりと身体が震える。
「いい子にできたね。おりこうさん。――綺麗にしてあげる」
ぺろり、ぺろりとカカシさんの舌が、俺の顔に散ったものを舐め取っていく。
イイ子イイ子と合間合間に囁かれて、グルーミングでも受ける犬のような気持ちになってしまう。
「……ん、ふっ」
カカシさんの指が、宥めるように俺の胸の突起に触れた。まだ疼くそこをゆるゆると優しくもみ込まれて、じわりと身体に熱が戻ってくる。
そのリズムに合わせて、カカシさんの腰がゆるりと動きを再開した。じりじりと熱い塊が入ってくる感覚に、まだ全て納まっていなかったのかと俺は思わず涙目になった。
その目元にも、カカシさんの唇がちゅうと吸い付いてくる。
カカシさんのものが俺の内壁を進む度に、先ほどまで指先でしつこいくらいに責められていた一点が、ただ擦られるもどかしさに切なく震える。
ぎゅうと内壁が収縮するその強請りがましい動きに、気付かれていないといい。無理だろうけど。
「……こっちも全部入ったよ」
カカシさんが呟いて、俺の唇をちゅっと音を立てて吸った。
涙でぼやけた瞳でぼんやりと見上げると、俺の腕を首に巻き付けたまま、カカシさんは蕩けんばかりの顔で微笑んでいた。
「――嬉しい、やっとイルカとひとつになれた」
どん、と心臓が跳ねた。
慌てて目を逸らしても、視界に入るのは恐ろしく鍛え上げられた上半身を晒したカカシさんと、シャツを胸元までたくし上げられたほぼ全裸の俺の姿だけ。
そしてカカシさんのズボンの隙間からぽろりと露出していたペニスは今――俺の中にある。
「……っ」
意識すると、内壁が勝手にぎゅいと締まる。
慌ててそれを止めようとして、腰が揺れた。
「……あ、だめ……ちょ、……あぁっ」
自分が引き起こした刺激に身体が震え、口元からだらしなく嬌声が零れる。
そんな俺の姿を見下ろしたカカシさんが、く、と喉を鳴らして、息を詰めた。
そして。
「!?!?!?!?!?」
文字通り、身体を電撃が走った。
「か、か、カカシさ……っ」
目の前の男の身体が、うっすら帯電している。
「あんた、チャクラ、暴走して……!?」
「……ごめ、……」
は、は、と浅く息を吐く上忍は、先ほどまでの態度が丸で嘘だったように、余裕のない顔をしていた。
こちらを見返した瞳の奥に、青い炎が揺れている。
ぎりぎりと食いしばった口元から、白い犬歯がちらりと覗いた。
ぞくりと背を、何かが走った。
「も――我慢、できない」
がぶりとカカシさんが、俺の胸元に噛みついた。
もう片方の胸の突起は指先でぎゅうと摘み上げられて引き延ばされる。
かり、とペニスに入った金属の先を引っ掻かれて、ひ、と悲鳴が出た。
なぜならカカシさんの指先から迸った雷遁が、金属を通じて尿道内壁を駆け下りたからだ。
「や、あーーっ……ーーーー!!」
がくがくと身体が痙攣する。
体験したことない刺激に翻弄されて、俺のペニスが驚くほど固くなる。
なのに、なのに。
「……ィ、きたいっ……カカシさんっ、やだっ、……も……」
暴れる俺を抑えつけた肉食獣は、俺の嘆願に嬉しそうにニヤリと唇を吊り上げるだけなのだ。
「抜いて……抜いて、カカシさんっ……!」
「んー? 何を? ……ああ、コレ?」
ず、とカカシさんが高速で腰を引く。
内壁を引き摺られる感覚に思わず、俺は脚を巻き付けて、カカシさんの腰を引き寄せていた。
「ああ、コレは抜いてほしくないんだーね?」
欲張りな子、と言いながらカカシさんがまたずぶずぶと腰を進めてくる。
違う、そうじゃない!
そう反論したいのに、最奥までそれが戻ってくると、なぜか充足感があった。
さっきのカカシさんが悪い。全部入ったよとか言いながら、あんなに嬉しそうな顔をしてみせるから。
「じゃあ、コレは抜かないように揺さぶってあーげる」
帯電したままのカカシさんが、ばつんばつんと肉食獣に相応しい激しさで律動を開始した。
俺のペニスを握った手は、指先を亀頭に宛がったまま、金属棒に電流を流し続けている。
べろべろと舐められた乳首は唾液と唇の間に静電気が絶えず走り、身体中を駆け巡るカカシさんのチャクラに、思考がどんどん奪われていく。
いきたい。いきたい、いきたい。
「も、意地悪しないで……ソレ抜いて、カカシさんっ……!」
涙目で見上げた俺の頬に口付けて、カカシさんが嬉しそうに笑う。
「もうちょっと我慢したら、後でちゃーんと抜いてあげるよ。ここにいっぱい溜まってるものもね」
「ちがっ、ああぁっ!」
ペニスから離れた手が俺の玉を揉みこんで、びりびりと痺れさせる。
ひたすら痙攣を繰り返す身体を、カカシさんの熱く滾った一物が穿ち続ける。
脳裏が、ちかり、ちかりと明滅を始めた。
「……だ、……やだ」
怖い。
何か来る。
ぎゅうとペニスが収縮して、内部の金属を締め付ける。
銀色のそれは、いつのまにか俺の体温とすっかり馴染んでしまっている。
悔しい。
変態の癖に! パンツ被った変態の癖に!
まるで俺のペニスを穿ったソレのように、入口じゃないところを無理やりこじ開けて、強引に俺の心の入っちゃいけないところに入ってきた癖に。
いつの間にやら俺の生活に馴染んで、なんだかんだで済し崩しにこんなことを許してしまうところまで、俺の心を持って行きやがって!!
最初は冷たい癖に、慣れれば暖かくて。
いつだって他人のことしか考えてないカカシさんが形振り構わず俺を求めてきた時に、この胸に去来した想いが何だったかなんて、そんなこともうとっくに俺は知ってたのに。
「……っあ、や……ん……クソっ……」
低く唸る獣に揺さぶられながら、白く飛びそうな脳内に浮かぶのはもう、そんな益体のない言葉だけで。
これでアンタが変態でさえなかったら!!!
俺だって素直に気持ちを口にできたんだよ馬鹿野郎!!!
脳裏に心の叫びが木霊する。
「んぁ、……あ゛、あ、ああ゛ーーーっ!!!」
がくがくと身体が痙攣して、ベッドのスプリングが激しい音を立てた。
跳ねる俺の身体を、カカシさんが押さえつける。
「や、や、あっ、イッ、……――っ!」
責め苦のような快楽に乱れる俺を、息を詰め眉を寄せたカカシさんが腰を振り立てながら見詰めている。俺の吐く息の一筋すら見逃すまいとするように。
限界を超えた脳が身体のコントロールを手放した。
むちゃくちゃに暴れ始めた俺の身体を、カカシさんががっちりと拘束する。
「や、離し……、見んな、やだ、やだぁ……っ!!」
「イルカ、イって」
「……こんな、だって、イけな……っ」
俺のペニスに栓をした張本人の癖に、こいつは何を言っているのか。
ぎりりと睨みつけた目も、熱い怒張で内壁を擦り上げられた瞬間、緩んでしまう。
おかしい。さっきから。
内壁全体が、まるで。
性感帯にでも、変わってしまったみたいで。
「やだ、や、カカシさ……も、やめっ」
激しく突き上げられる度に、意識が白く飛びそうで。
「このまま、イケるデショ、イルカは」
いいこ、と優しく囁かれながら、ちっとも優しくない凶悪なものが俺の最奥を突き上げて、ぎゅうと器用な指先で乳首を摘み上げられて。
「ほら、イきな」
「!! あ、ああああ゛ーーーー!!!!」
身体が大きくびくんと跳ねた。
甘い痺れが下腹から、一気に脳に駆け上がる。
その間もカカシさんの怒張は、身を擦り寄せる子犬のように、蕩けた内壁を擦り上げ続けている。
「あ、や、動かな、で、カカシさん……っ」
カカシさんの律動に合わせて、結局解放を許されなかった俺のペニスが、固く兆したままぺしぺしと俺の腹筋を叩いている。
「今……たぶん、イってる、から……っ」
経験したことのない絶頂の余韻に震える身体に、その刺激は強すぎて辛い。
「ごめん、無理……っ!」
貪るような律動を止めないまま、カカシさんがぎゅうと俺に縋りつく。
掠れた声に、きゅう、と下肢が疼いた。
俺の内壁がまるで抱きつくように、カカシさんのペニスに絡みつく。
刹那。
「――……イルカッ!」
必死な声が俺を呼ぶ。びくりと目の前の男の身体が跳ねて、体内にどろりとした熱が広がる。
慌てて引こうとしたカカシさんの腰を、思わず足で深くホールドした。
精を吐き出しながら、一向に萎える様子の無いものがまた俺の最奥へとすぽりと収まる。
「……っ」
ぎゅうと胸が軋むように痛んで、俺はたまらず、噛みつくようにカカシさんに口付けた。
【mogoさん】
「イ、イルカ先生? どうしたの?」
いままで散々余裕ぶっこいて俺を好きに乱していた男が、うろたえた声をあげる。
――どうしたのって、そんなのテメーで考えやがれ!!!
こんなことされて、好きだから抱きしめたくなった、なんて言えるかよ。
俺は怒りにまかせて、しがみつく両手に思いきり力を込めてやった。
カカシさんの肩に食い込む自分の指先が、白くなっている。でもそれ以上にカカシさんの肌は白くて綺麗だ。
その綺麗な身体に走る、いくつもの傷痕。
首筋から肩にかけての2寸ほどの長さの刀傷。
頸動脈をわずかに逸れた場所についたその傷は、始末が雑で縫い痕が痛々しい。医療忍も医療器具も満足にない戦場で、また戦いに出るために麻酔もなく仲間に縫わせたのだろう。痛いと一言も漏らさずに。
背中には火傷の痕。
忍び同志の戦いに巻き込まれ、火遁に焼かれそうになった子供をカカシさんが身を挺して庇ったと、受付けで任務帰りの忍びから聞いたことがある。そのときの傷なのかもしれない。
逞しい身体に刻まれたいくつもの戦いの記録は圧倒的な強さを誇る写輪眼のカカシが、その優しさゆえに負った傷の数々。
愛おしくて、せつなくて、悲しくなった。
気付けば俺の両目からボロボロと涙が出ていた。
――止まれ、止まれよ。泣き止めよ! こんなときに泣きたくなんかないんだ!
「ど、どうしたの? イルカ先生」
「なんでも……ありません」
「なんでもないって、アナタ泣いてるじゃない」
本当に、こんなことは、何でもないんだ。
アンタが俺を欲しいといって、歪んだ性癖をぶつけられることなんか、アンタが里の為に耐えてきたことに比べたら、なんてことない。
「俺のことは好きにしたら、いいんです。尿道を責めたければそうすればいいし、縛りたければ縛ったらいい。その立派な男根が満足するまで腰を振り立ててもかまわない。もう俺は何も抵抗しません。俺の身体を好きに弄べばいい。どうせ俺は抵抗できないんだから」
だって、必死に目をそらしていた自分の気持ちに気づいてしまった。
カカシさんが好きだという事実に気づいてしまったんだから。
ボロボロと涙は止まらない。
カカシさんの性愛は異様だと思う。
だけど、それがカカシさんの本性であるなら、俺が受け止めないで誰が受け止めてやれるんだ?
カカシさんが俺に惚れて、俺を欲しいといって、もうとっくの昔に絆された俺がどうやって拒否できるっていうんだよ。
俺も変態になるんだ。
カカシさんと同じ変態に。
パンツを被ったカカシさんを愛しいと思うような変態になればいい。
俺は腹を括った。
「うおっ」
尻穴から、ズルリと凶悪な雄が引き抜かれ内襞が引きずられ外に出そうになる感覚に、吐き気を催す。
慌てて上体を離し、カカシさん見れば、ものすごく怖い顔をしていた。
カカシさんの右手が勃ちあがった俺のペニスへと延びる。その爪が短く切り整えられているのを見て、俺の胸に甘やかな痛みがじわりと広がった。
――ひょっとして、俺を傷つけないために手入れを?
考えてみれば、ヒドイことを沢山されたけれど、怪我はしていない。
男同士の交わりは、乱暴になりがちだと聞いていたけれど、カカシさんがくれたのは、快楽ギリギリの痛みまでだ。この人は、どうしてこんなことを?
表情から何かを読み取ろうと俺は必死だった。
だから、何も気づいてなくて。
ソレが起こったときに、アパート中に響き渡るほどの悲鳴を上げてしまった。
カカシさんの指が。
俺のペニスに突き刺さった金属棒を。
一気に引き抜いた。
「ふっ、うぁあああああああ!!!!」
今まで感じたことのない壮絶な射精感が腹の中からせりあがり、俺のペニスはまるで火山の噴火のような勢いと熱を伴い白い精子を辺りにブシャァとぶちまけていた。
溜りに溜った欲を一気に解放し、何も考えられなくなる。キモチイイ。ただそれだけしかなかった。
「ごめん。イルカ先生、俺に抱かれるの、泣くほど嫌だった?」
「くっ……はぁあっ」
そう尋ねるカカシさんの目はひどく痛々しく、表情は厳しい。そんな顔をさせたくて言ったんじゃないのに。
吐精の余韻はすざまじく、頭が朦朧として何も考えられない。
でもちゃんとしないとダメだ。きっとカカシさんは今からものすごく大事なことを話そうとしている。
「そんなに嫌だって分らなかった。イルカごめん。ねぇ。ひょっとして俺のことも本当は嫌いだった? なんだかんだ言って、俺のことを受け入れてくれるから、本当は先生も俺のこと少しは好きなんじゃないかって思ってた。俺はずっと先生のことが好きだったよ。ずっと先生のことを抱きたかった。
身体をつなげて先生を満足させれば、俺をもっと好きになってくれるかも、って思ってた。だから今日色々と許してもらえて嬉しくて止められなくなった……これでも俺、先生に満足してもらおうって精一杯頑張ったんだけど、嫌だったんだね」
カカシさんの綺麗な蒼い瞳に、涙の粒がポツリと浮かんだ。それはみるみるうちに大きくなり、やがて瞳から零れ落ち頬を伝った。
何か言わなきゃ。
カカシさんがこんな顔をして泣いてるんだ。俺がこんな顔をさせちゃいけない。
俺も好きですって言って、安心させてやらなきゃ。
でも口をついて出たのは、恨み節で。
だってさっきまでのカカシさんは本当に怖かった。
未知の快楽に思考も身体も全部もってかれて、あんなに激しくて強烈なセックスなんて知らない。
いろいろとされたことも嫌だったけれど、本当に嫌だったのは、ちゃんとカカシさんを感じられるセックスじゃなかったこと。
お互いに感じ合う姿を見つめ合って、愛されてることを実感して、満たされた気持ちでゆっくりと交わりたかった。初めてなのに、あんな獣のようなセックスなんて、まるで身体だけを求められてるみたいで、本当はすごくすごく哀しかった。
カカシさんの異常性癖も全て受け止めるって決めたけど、今のカカシさんなら俺の気持ちを伝えたらちゃんと分ってくれそうな気がして。
話し合いの上、折り合いをつける未来を望んでもいい気がして。
「カカシさん、ヒドイです。あんなセックスじゃ俺は満足できない。色々不満はあるけれど、俺が一番許せなかったのは、尿道に細い棒を突っ込んだことです。 しかもそこに電流を流すなんて、俺の身体をなんだと思ってるんですか」
「ごっ、ごめんなさいイルカ先生。やっぱり物足りなかったんですね? もっと太いプジーを挿れなきゃいけなかったんだ!」
って、どえぇえええええ??
やっぱり、わかんねぇ。
この変態上忍の頭ん中、ちっともわかんねぇ!!!
「いまから挿れますから、もう一度チャンスをください」
カカシさんが必死の形相で俺のペニスを掴んでいる。
俺の全てを放出して萎えたペニスを巧みにこすりあげ、あっという間に臨戦状態にしてしまった。
変態上忍、すげえ、キモチイイ、ダシタイ……
じゃなくってっ!!
「なんでそうなるんです!? 俺は尿道に何かをつっこむ性癖はありませんよ!! 俺は至ってノーマルです!!」
「えぇえっ」
こっちが驚くくらい、大袈裟な叫び声をあげて、カカシさんが俺のペニスを手放した。
「ウソ。イルカ先生、すっごい変態で尿道責めが大好きだって言ってた。ああ見えてふつうのセックスじゃ満足できないから、恋人が出来ないんだって……」
「はぁああああああ??? あり得ません。いったいそんな噂、どこで聞いたんです!!」
「ヒルゼン様です。イルカ先生は変態しか愛せないって俺に言ったんです。『お主はイルカの為に変態になれるのか? パンツひとつ被れんようじゃ、イルカの心を射止めることは出来んのぅ』って。
俺はヒルゼン様の元に通いつめ、パンツ被りの秘儀を伝授していただいたんです。それにどうやったらイルカ先生の心を射止めることができるかアドバイスを乞い続けました。そして実践してきた! いや、そんなことは今はどうだっていい。イルカ先生、貴方はノーマルなんですか!?」
「ノーマルに決まってますっ!!! あぁあああああっ、もうっ、あんのクソジジイ!!!!」
自分を目の中に入れても痛くないくらいに猫かわいがりしてくれてるヒルゼンじっちゃん。
カカシさんが俺を狙っているのを知って、邪魔をしたつもりなんだろうけど。
アンタのおかげで俺は変態上忍に尿道に金属棒をつっこまれ、肛門にチンコつっこまれ、感電させられ、媚薬を乳首に塗られ、強姦まがいのセックスを!!
うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! ゆるさんっ!!!!
いくらじっちゃんでも、これだけはゆるさんーーーーーーーーーー!!!!
【如月】
「…め………さ、ぃ」
その小さな小さな声に、心の中でじっちゃんへの雄叫びを上げていた俺は、はっと我に返った。
こういう小さな小さな声は、決して聞き逃しちゃダメなヤツだ。何をしてても、どんな状態でも、全部ほっぽりだして聞かなきゃダメなヤツだ。
俺はその声の方にさっと全神経を集中させた。
「あの、俺、とんでもないことを……どうしよう」
カカシさんがただでさえ白い顔を、更に死相レベルにまで蒼白にしてかたかたと震えていた。そして先ほどぼろぼろと泣いていた時よりよっぽど痛々しい顔で、ごめんなさいごめんなさいと、ひたすら消え入りそうな声で呟いている。
消え入りそうなっていうか、あっ! 瞬身の印を結びやがった!
俺は拘束されたままの手で、カカシさんのほとんど組み終わってた手をガシッと掴んだ。
「逃げないで! ……カカシさんは俺のこと、好きなんですね?」
「……っ! ハイ大好きです! もうずっとずっと大好きでどうしたらイルカをあんあんよがりまくるくらい気持ちよくさせてあげられるかそればっか考え」
「分かった分かりました! そこはもういいです!」
内容はともかく必死に言い募る姿は、俺の保護欲と何かをものすごい握力で鷲掴みにした。散々な目に合わされたことなんか、遥か彼方にうっちゃっておけるくらいに。
俺はカカシさんの前に、チャクラまで使ってパンツでガッチリ拘束された手を差し出した。
「さあ、これも取って。今ちゃんとアンタを抱きしめたい気分なんです」
言い終わる前にフッと両手が自由になった。
俺のパンツがどのポケットに消えたか知らないけど、後で絶対回収しておかなくては。
――でも今は、それよりも。
俺は自由になった両手を広げ、カカシさんを腕の中に抱き込んだ。
「俺たちには会話がね、足りてなかったと思うんです。これからはもっと色々話しましょう? それで理解しあいましょう。自分のことも、相手のことも」
「それ……って」
「俺もアンタのことをもっと知りたいんですよ……好きだから。好きになっちまったから」
「イ"ルガ~~っ」
ひしと抱きついてきたデッカイ子供の頭と背中を、よしよしと撫でてやる。すると目尻を赤くしたカカシさんが顔を上げ、至近距離でひたりと俺の目を見た。
「……すき。イルカ、だいすき。どうしたらいいか、わかんないくらい、すき」
俺の頬をカカシさんの大きな手が滑り、親指が下唇を撫ぜる。
そのねだるような仕草に思わず口を開くと、小刻みに震える唇が合わされ、舌がぬるりと入り込んできた。
――ああ、俺はまた受け入れてしまうんだろう。
俺の身体の何もかもを暴いた、この傍若無人で優しい肉食獣を。
でも今度は一方的な略奪にはならない。
今度は俺も、アンタの何もかもを暴いてやるから。アンタを奥深くまで呑み込んで、素のアンタを晒け出させて。俺がアンタを感じるように、アンタも俺を感じるんだ。
俺は口腔を蠢くカカシさんの舌を捉え、強く吸った。
カカシさんの目が驚きに見開かれ、そしてなだらかに弧を描いた。
……ほら、伝わった。
俺もアンタを欲しいんだって気持ちが。
これからもこうやって身体で、言葉で、お互いに会話していこう。それがお付き合いってもんだろ?
俺はカカシさんの腰に手を回して引き寄せた。そしていまだ衰えない、カカシさんの俺への欲望に手を伸ばす。
もっともっと、アンタが欲しいと伝えるために。
あれからカカシさんはパンツを被ることはしないけど、俺のパンツ自体には相変わらずの執着を見せている。じっちゃんにイルカの性癖だって教わったからとか言いながら、やっぱり本質的には変態なんじゃないだろうか。
――そうだ、じっちゃんへの仕返し計画を実行しなきゃな。
お陰様で無事にお付き合いし始めましたのお礼に、エロいお姉ちゃんがいっぱいいるお店を貸し切りにして、ご招待して差し上げよう。
まぁ、実際はごっついオカマのお姉さまたちだけどな!!
絶対逃げられないように、護衛の暗部の方々にも協力してもらうよう、カカシさんに頼んでおこう。「三代目はお忍びでオカマっこ倶楽部をお楽しみになりたいそうだけど、土壇場で怖じ気付くかもしれないから、しっかりサポートしてほしい」とでも言っておけばいいだろうか。猛々しいオカマのお姉さま方に揉みくちゃにされて、ちょっとは煩悩を削られてくりゃいいんだ。
結果オーライではあったけど、じっちゃんのせいで散々な目に合わされたんだから、これくらいは許されるはず。まったく、じっちゃんの変態め!
……でも。
本当は俺も他人の事を言えないかもしれない。
あの時カカシさんが使った、え~と、ぷ……ぷじょー? あの細い金属の棒のことを今でも時々思い出しては、ちょっぴり下半身に甘い痺れを感じてるんだから。
もうすぐカカシさんも任務から帰ってくるだろう。
とりあえず風呂! 風呂を洗って沸かしてメシは……今日は一緒にメシを食えるって、嬉しそうに出かけたことだし、鰻とか買っちまおうかな!
…………………。
いやいやいや精が付くとかそんなんじゃなくて! その……そうそう、カカシさん任務お疲れさまって労いの気持ちでな! 食費も貰ってることだしな!
俺は知らず知らず鼻唄を歌いながら、商店街に足を向けた。
最近は異常に回転が早いパンツも、また買い足しておかなきゃなと思いながら。
【完】
☆ 虫さんのおまけ漫画 ☆
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