【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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「こちらが慰霊碑です。任務で殉職された方は、ここに名前を刻まれるんですよ」

そう言うとイルカさんは、石碑の上をそっと慈しむように撫でた。
…どなたか近しい方の名前が刻まれてるのだろうか。
そういえば近親者が誰もいないと言っていた。

「それにここでカカシさんが九回目のプロポーズをしてくれたんですよね」
「まあ!…その時は?」
「はい、お受けしました」
「さすがにオレも学習してね。先生のご両親の前なら理性を保てるかなって」

でしょうねぇ。
もう少し早く気付いてもいい気はするけどね。
慰霊碑の前でなら人でいられるなんて、六代目もさすがにそこまでのケダモノじゃなかったのか。

「ちなみにプロポーズの言葉はどのような?」
「ん~、正確な文言はイルカ先生のためのものだからさ、それは言えないんだけどね。オレが先生の絶対的な孤独を埋めてあげますよ~、みたいな感じかな」

………え?

聞き間違いだろうか。
六代目が独りぼっち、ではなくて?
イルカさんが独りぼっちだと、そう仰ったのだろうか。
確かに身内はいないだろうけど、里を巡ってる間中、彼は何度も何度も色んな人たちに声をかけられていた。それはもう忍びから商店街の人から小さな子供まで、老若男女・多種多彩な人たちに。

図抜けた強さや賢さ、美しさは時に孤独を招く。
人柄がどうであれ、人間とは自分を遥かに凌駕する者には、畏怖を覚えて距離を置くものだ。
…独りぼっちになっていたのは六代目の方ではないのか。
里中の人が知り合いのような、イルカさんではなくて。

私は露骨に納得のいかない顔をしていたようだ。
六代目がこちらを見て苦笑している。
まずい、インタビューの対象者に自分の感情をストレートに伝えてしまうなんて。
慌てて顔を取り繕っていると、そんな空気の変化を全く意に介してないかのように、イルカ先生があとを引き取った。

「俺は欲張りなんです。俺だけに向けられる、唯一絶対の愛情が欲しかったんですよね。…まぁ、気付かせてくれたのはカカシさんですけど」

そして、ふわりと微笑んだ。
その笑顔はまるで子供のようにあどけなくて。
あまりの純粋さに、ざわりと鳥肌が立った。

不意に火影屋敷で見たお二人のことを思い出す。
お二人の顔は全く違うのに、驚くほど似ていたことを。
私の第一印象は間違ってなかったのだ。
表現方法は違うが、同じ愛し方をする二人なのだ。
相手の魂までをも自分の愛情で縛り、縛られることを諾とする、徹底した束縛愛。
社会的な表面はどうであれ、お互いしか必要としない世界に、二人は生きている。

―――もし。

有り得ないことだが、もしほんの一瞬でもイルカさんが私を「女」として認識したら。
その刹那に私は殺されているだろう。
そして彼はあの黒い目を潰されるだろう。
二度と誰かに目を、心をうつすことがないように。
それから六代目は今度こそ完全に、完璧にイルカさんを監禁する。
イルカさんはもう二度と誰かの目に触れることはないだろう。死ぬまで…例え死んだ後でも。
そしてイルカさんもそれを嬉々として受け入れるんだろう。
たぶん、逆のパターンでも同じだ。
イルカさんの笑顔は、そんなもしもの未来を確信させるほどの笑みだった。

かたかたと奥歯が音を立てる。
恐怖からだろうか。
私は怖いんだろうか。
――否。
これは武者震いだ。
お二人の根底に沈んだ想いを垣間見て、それを言葉で表現して伝えたいという、腹の底から沸き上がる闘志だ。
私はぐうっと奥歯を噛み締めた。

「それでは今はお二人とも幸せなんですね」

これは問いではなかった。
単なる事実の確認だった。
果たしてお二人にもそれは伝わったらしく、六代目とイルカさんは顔を見合わせると、私に向かって微笑んだ。
……二人だけが存在している世界から。

その笑顔はやはり、驚くほどよく似ていた。
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