【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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俺たちの仔牛
程よい時間の程よいざわめきの中、串焼きの盛り合わせがカウンター越しに差し出される。
そこに牛串が混じってるのを見て、ふと思い出して隣のイルカ先生に話を振ってみた。
「昼間アカデミーで聴いたんですけどね、あのドナドナドーナーって歌。あれ、子供たちが歌うにはずいぶんと可哀相じゃない?」
先生は横目でこちらを見ると、「あぁ、あれですね」と苦笑した。
ドナドナは市場に仔牛が売られていく歌だ。
哀愁漂う節回しで、最後まで救いのない哀しいばかりの。
「もっと明るい元気な歌を歌ってるのかと思いました」
「そうですよねぇ。でも、ああやって歌で哀しい別れを疑似体験して、現実に対処できる心を育てるってことかもしれないですね」
なるほど、そういう面を持ってたのかと、ドナドナに負わされたものを思う。
だけど……
「あれじゃドナドナが可哀相じゃないですか。せっかく可愛く育ったのに、市場に売られちゃうんでしょ?」
なんでたかが歌の仔牛のことで、俺はこんな風にイルカ先生に絡んでるんだろう。まだビールも一杯目だというのに。
若干気まずくなって、酔っ払いの戯言ですよ~というアピールをするかのようにお代わりを注文した。
「カカシさんは優しいですね」
「優しくなんかないですよ」
恥ずかしさもあって憮然として答えると、ふっと笑う気配がした。
そうだ、優しくなんかない。
仔牛は売られるために育てられたのだし、売らなければ牧場主だか誰かが飢えることになる。こんなの単なる表面的な感傷にすぎない。そんなの分かりきったことなのに。
するとイルカ先生が、うーんと声を上げた。
「そうですよね、仔牛は可哀相だ。せっかく可愛く育ったのに」
「いや、仔牛は売られるべきですよ。じゃなきゃ牧場主と娘さんが飢えちゃう」
「娘さんはどこから出てきたんですか」
くすくすと笑う先生が、名案を思い付いたとでもいうようにパッと顔を輝かせた。
「じゃあ、俺とカカシさんの仔牛は売らないことにしましょう!」
「俺と、イルカ先生の仔牛……?」
「そうです。俺たちなら仔牛を売らなくても飢えません。本業がありますからね。どうです、それなら可愛い仔牛はずっと一緒ですよ」
俺たちの仔牛。
俺とイルカ先生と、仔牛と。
二人と一頭で牧場で暮らすのか。
なんて素敵なんだろう。
イルカ先生となんて今まで考えたこともなかったけど、言われてみればずっと一緒に暮らしていける気がする。こんな風に、たわいのない話をしながらこの先何年も、ずっと。
「俺たちの仔牛……いいですね。売られなくて良かったなぁ、ドナドナ」
「ドナドナは仔牛の名前じゃないですよ?」
「えっ、そうなの⁉」
「まぁでも名前っぽいですよね。仔牛はドナドナにしましょう」
結局仔牛は飼わなかったが、イルカとは今でも一緒に暮らしている。
ドナドナという名前は、家に出入りするキジトラに付けられた。
アカデミーの校庭に時折やってくる野良犬のことも、こないだおいでドナドナと呼んでソーセージをあげてるのを見たから、イルカにとって小動物は全てドナドナなのかもしれない。
俺とイルカと忍犬たちと、けっこうな大所帯で暮らしているから、そのうち引退したら本当に牧場を経営するのもいいかもしれない。でもそうしたら仔牛を売らなきゃならなくなるから、やっぱりやめとこう。
仔牛のドナドナは、あの居酒屋での夜からずっと俺たちと一緒に暮らしているのだから。
俺と、イルカと、ドナドナと。
程よい時間の程よいざわめきの中、串焼きの盛り合わせがカウンター越しに差し出される。
そこに牛串が混じってるのを見て、ふと思い出して隣のイルカ先生に話を振ってみた。
「昼間アカデミーで聴いたんですけどね、あのドナドナドーナーって歌。あれ、子供たちが歌うにはずいぶんと可哀相じゃない?」
先生は横目でこちらを見ると、「あぁ、あれですね」と苦笑した。
ドナドナは市場に仔牛が売られていく歌だ。
哀愁漂う節回しで、最後まで救いのない哀しいばかりの。
「もっと明るい元気な歌を歌ってるのかと思いました」
「そうですよねぇ。でも、ああやって歌で哀しい別れを疑似体験して、現実に対処できる心を育てるってことかもしれないですね」
なるほど、そういう面を持ってたのかと、ドナドナに負わされたものを思う。
だけど……
「あれじゃドナドナが可哀相じゃないですか。せっかく可愛く育ったのに、市場に売られちゃうんでしょ?」
なんでたかが歌の仔牛のことで、俺はこんな風にイルカ先生に絡んでるんだろう。まだビールも一杯目だというのに。
若干気まずくなって、酔っ払いの戯言ですよ~というアピールをするかのようにお代わりを注文した。
「カカシさんは優しいですね」
「優しくなんかないですよ」
恥ずかしさもあって憮然として答えると、ふっと笑う気配がした。
そうだ、優しくなんかない。
仔牛は売られるために育てられたのだし、売らなければ牧場主だか誰かが飢えることになる。こんなの単なる表面的な感傷にすぎない。そんなの分かりきったことなのに。
するとイルカ先生が、うーんと声を上げた。
「そうですよね、仔牛は可哀相だ。せっかく可愛く育ったのに」
「いや、仔牛は売られるべきですよ。じゃなきゃ牧場主と娘さんが飢えちゃう」
「娘さんはどこから出てきたんですか」
くすくすと笑う先生が、名案を思い付いたとでもいうようにパッと顔を輝かせた。
「じゃあ、俺とカカシさんの仔牛は売らないことにしましょう!」
「俺と、イルカ先生の仔牛……?」
「そうです。俺たちなら仔牛を売らなくても飢えません。本業がありますからね。どうです、それなら可愛い仔牛はずっと一緒ですよ」
俺たちの仔牛。
俺とイルカ先生と、仔牛と。
二人と一頭で牧場で暮らすのか。
なんて素敵なんだろう。
イルカ先生となんて今まで考えたこともなかったけど、言われてみればずっと一緒に暮らしていける気がする。こんな風に、たわいのない話をしながらこの先何年も、ずっと。
「俺たちの仔牛……いいですね。売られなくて良かったなぁ、ドナドナ」
「ドナドナは仔牛の名前じゃないですよ?」
「えっ、そうなの⁉」
「まぁでも名前っぽいですよね。仔牛はドナドナにしましょう」
結局仔牛は飼わなかったが、イルカとは今でも一緒に暮らしている。
ドナドナという名前は、家に出入りするキジトラに付けられた。
アカデミーの校庭に時折やってくる野良犬のことも、こないだおいでドナドナと呼んでソーセージをあげてるのを見たから、イルカにとって小動物は全てドナドナなのかもしれない。
俺とイルカと忍犬たちと、けっこうな大所帯で暮らしているから、そのうち引退したら本当に牧場を経営するのもいいかもしれない。でもそうしたら仔牛を売らなきゃならなくなるから、やっぱりやめとこう。
仔牛のドナドナは、あの居酒屋での夜からずっと俺たちと一緒に暮らしているのだから。
俺と、イルカと、ドナドナと。
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