【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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「もう、いいんです」
イルカのいつもとは違う解いた髪が、強い潮風になびいている。
「いいんですよ。終わりにしましょう」
カカシの方を振り返ったイルカがどんな表情をしているのか、顔が髪に隠れて見えない。
「もう里の決めた許嫁などに縛られる必要はないんです。どうか、私のことはもう……ぶえっくしょいアーちくしょうめ!」
「カーーーット! せんせ、大丈夫? 寒かった?」
サングラスをかけ、メガホン片手に折りたたみ椅子に腰かけていたカカシが、慌てて駆け寄ってきて自分の肩にかけていたセーターをイルカにかけた。
「あー、違います、すみません。髪がくすぐったくて」
「そ? ならいいんだけど……よし、いったん休憩しよっか」
監督カカシの声で相手役の俳優のカカシ本体と、カメラマンのカカシ②がわらわらと寄ってくる。
「ほんとに風邪じゃないの? ほら、ここ座って」
「やっぱり慣れない海岸での撮影なんて、やめた方が良かったんじゃない?」
「大丈夫ですから! とりあえずもう一回台本を見せてください」
監督のカカシ①がサッと差し出してくれた台本に目を通すふりをしながら、イルカは内心でやれやれとため息をついた。
そもそもなんでこんな事になったのか。
それは来月の誕生日に何か欲しいものはないのかと聞いたら、てっきりいつものように「俺は先生がいてくれたら、それでいい」と言うと思ったのに、今年は違ったのだ。
「あのね、イルカ先生と愛のメモリアル映画を作りたいなぁ、なんて。あ、もちろんショートムービーでいいから! 準備はこっちで全部するから、イルカ先生はちょっと台詞を覚えてくれるだけでいいから、ね?」
もじもじしながらも熱っぽくお願いされると、彼氏としてのこう、度量を試されてる気がして二つ返事でOKしてしまった。まさか既に二人分の休暇も取られ、台本や衣装まで用意されているとは思ってなかったが。
誕生日当日は完成した映画を見ながらお祝いしてほしい、ずっと夢だったとこれまた情熱的に語られて、まぁいいかと頷いてしまったのはきっと惚れた弱みだろう。
それにしても、台本の内容くらいは確認してから頷くべきだったと、表紙の『愛のセレナーデ 〜運命の二人〜』に目を落としながら、今さらな事にまたため息を重ねる。
基本的には今のカカシとイルカの物語なのだが、なぜか二人は里に決められた許嫁で、しかもカカシに成金のご令嬢との新たな結婚話が持ち上がって、イルカが身を引こうとするのだ。先ほどまで撮っていたのがそのシーンで、これまたなぜか舞台は海岸。
この後カカシがクナイを自分の首に当てて「あなたといられないなら、この命など意味はない」とそれを引き止め、二人で抱き合ってエンディングという、今どき珍しいくらいベタな展開だ。
カカシが例の愛読書に影響を受けたのは間違いない。先日発売された新刊のタイトルが『イチャイチャフィアンセ〜南の島編〜』だったからだ。
だが台本の『イルカ』は何というか、健気な女性みたいな性格と喋り方で、とてもカカシとイルカの物語とは思えない。それでもこれは作り物だし、誕生日プレゼントなんだからと黙って演じていたのだが、実はカカシが本当に望んでいるのはこういうタイプなのかと少し悲しくもあった。
「よし、じゃあさっさと終わらせ……じゃねぇや、撮影再開しましょう」
椅子から立ち上がったイルカに、カカシたちがそれぞれ持ち場に戻る。
夕陽の沈みかけた水平線をバックにイルカが立った。
「もう、いいんです」
「……何がもういいの」
夕陽が照らしているだろうイルカの顔は、カカシに背を向けていて見えない。
「あなたは火影になる。この里の長、最高権力者です。それに相応しい方をお迎えして……」
「イルカ。あなた以上に俺に相応しい人なんていない。あの時、そう言ったよね?」
「……状況が違うし、これは現実です」
あの時、イルカが同じ台詞を言ったのは海岸でカカシの書いた台本の撮影だったし、今二人は川沿いの土手に立っていた。
そしてカカシはもうすぐ火影になろうとしていた。
「一つだけ教えて。あの時、あなたは何て言いたかった? 愛のセレナーデのイルカじゃなくて、うみのイルカだったらあのシーンは俺に何て言いたかった?」
イルカの背が小さく揺れる。
「教えて?」
背後でチキリと小さな金属音がした。
恐らくは、クナイを構えた音が。
反射的に振り返ったイルカは、予想通りの光景を目にする。
カカシが首に当てたクナイを弾き飛ばし、返す手でカカシの頭を掴んだ。
「里の決めた許嫁なんて知るか! あんたはずっと俺に縛られてりゃいいんだよッ」
間近で見つめ合う二人は愛のセレナーデから最も遠く、イルカの殺気にも似た空気に護衛の暗部が近くの木の影に姿を現す。
そちらには目もくれず、片手で払うとカカシはゆっくりと笑みを浮かべた。
その顔にイルカはチッと舌打ちを一つして。
「俺の負けです。クソッタレ」
そう言ってキスをした。
イルカのいつもとは違う解いた髪が、強い潮風になびいている。
「いいんですよ。終わりにしましょう」
カカシの方を振り返ったイルカがどんな表情をしているのか、顔が髪に隠れて見えない。
「もう里の決めた許嫁などに縛られる必要はないんです。どうか、私のことはもう……ぶえっくしょいアーちくしょうめ!」
「カーーーット! せんせ、大丈夫? 寒かった?」
サングラスをかけ、メガホン片手に折りたたみ椅子に腰かけていたカカシが、慌てて駆け寄ってきて自分の肩にかけていたセーターをイルカにかけた。
「あー、違います、すみません。髪がくすぐったくて」
「そ? ならいいんだけど……よし、いったん休憩しよっか」
監督カカシの声で相手役の俳優のカカシ本体と、カメラマンのカカシ②がわらわらと寄ってくる。
「ほんとに風邪じゃないの? ほら、ここ座って」
「やっぱり慣れない海岸での撮影なんて、やめた方が良かったんじゃない?」
「大丈夫ですから! とりあえずもう一回台本を見せてください」
監督のカカシ①がサッと差し出してくれた台本に目を通すふりをしながら、イルカは内心でやれやれとため息をついた。
そもそもなんでこんな事になったのか。
それは来月の誕生日に何か欲しいものはないのかと聞いたら、てっきりいつものように「俺は先生がいてくれたら、それでいい」と言うと思ったのに、今年は違ったのだ。
「あのね、イルカ先生と愛のメモリアル映画を作りたいなぁ、なんて。あ、もちろんショートムービーでいいから! 準備はこっちで全部するから、イルカ先生はちょっと台詞を覚えてくれるだけでいいから、ね?」
もじもじしながらも熱っぽくお願いされると、彼氏としてのこう、度量を試されてる気がして二つ返事でOKしてしまった。まさか既に二人分の休暇も取られ、台本や衣装まで用意されているとは思ってなかったが。
誕生日当日は完成した映画を見ながらお祝いしてほしい、ずっと夢だったとこれまた情熱的に語られて、まぁいいかと頷いてしまったのはきっと惚れた弱みだろう。
それにしても、台本の内容くらいは確認してから頷くべきだったと、表紙の『愛のセレナーデ 〜運命の二人〜』に目を落としながら、今さらな事にまたため息を重ねる。
基本的には今のカカシとイルカの物語なのだが、なぜか二人は里に決められた許嫁で、しかもカカシに成金のご令嬢との新たな結婚話が持ち上がって、イルカが身を引こうとするのだ。先ほどまで撮っていたのがそのシーンで、これまたなぜか舞台は海岸。
この後カカシがクナイを自分の首に当てて「あなたといられないなら、この命など意味はない」とそれを引き止め、二人で抱き合ってエンディングという、今どき珍しいくらいベタな展開だ。
カカシが例の愛読書に影響を受けたのは間違いない。先日発売された新刊のタイトルが『イチャイチャフィアンセ〜南の島編〜』だったからだ。
だが台本の『イルカ』は何というか、健気な女性みたいな性格と喋り方で、とてもカカシとイルカの物語とは思えない。それでもこれは作り物だし、誕生日プレゼントなんだからと黙って演じていたのだが、実はカカシが本当に望んでいるのはこういうタイプなのかと少し悲しくもあった。
「よし、じゃあさっさと終わらせ……じゃねぇや、撮影再開しましょう」
椅子から立ち上がったイルカに、カカシたちがそれぞれ持ち場に戻る。
夕陽の沈みかけた水平線をバックにイルカが立った。
「もう、いいんです」
「……何がもういいの」
夕陽が照らしているだろうイルカの顔は、カカシに背を向けていて見えない。
「あなたは火影になる。この里の長、最高権力者です。それに相応しい方をお迎えして……」
「イルカ。あなた以上に俺に相応しい人なんていない。あの時、そう言ったよね?」
「……状況が違うし、これは現実です」
あの時、イルカが同じ台詞を言ったのは海岸でカカシの書いた台本の撮影だったし、今二人は川沿いの土手に立っていた。
そしてカカシはもうすぐ火影になろうとしていた。
「一つだけ教えて。あの時、あなたは何て言いたかった? 愛のセレナーデのイルカじゃなくて、うみのイルカだったらあのシーンは俺に何て言いたかった?」
イルカの背が小さく揺れる。
「教えて?」
背後でチキリと小さな金属音がした。
恐らくは、クナイを構えた音が。
反射的に振り返ったイルカは、予想通りの光景を目にする。
カカシが首に当てたクナイを弾き飛ばし、返す手でカカシの頭を掴んだ。
「里の決めた許嫁なんて知るか! あんたはずっと俺に縛られてりゃいいんだよッ」
間近で見つめ合う二人は愛のセレナーデから最も遠く、イルカの殺気にも似た空気に護衛の暗部が近くの木の影に姿を現す。
そちらには目もくれず、片手で払うとカカシはゆっくりと笑みを浮かべた。
その顔にイルカはチッと舌打ちを一つして。
「俺の負けです。クソッタレ」
そう言ってキスをした。
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