【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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茜色に染まる夕暮れの道を、イルカを連れて自宅へと戻ったカカシは、「どうぞ、入って」とイルカを促し、玄関のドアを閉めた。

「そこら辺、適当に座っていて」

そう言うと、カカシはキッチンへ入っていく。
簡素なリビングに驚いたのか、イルカはどこか身を固くしながらもソファーに腰掛けた。

「何にもないでしょ? 普段里にいる方が珍しいからね。必要最低限の物しか置いていないの」

窓際に置かれた観葉植物と、かつての仲間の写真だけが、この部屋を彩っていた。
茶を運んできたカカシが「どうぞ」と言って勧めると、イルカは照れくさそうに笑いながら、口を開いた。

「なんだか恥ずかしいな。俺の家、ごちゃごちゃといろんな物が溢れていて、カカシ先生の部屋みたいに綺麗じゃないから」

猫もいますしね。
苦笑するイルカは恥ずかしそうに頬を染めた。

「生活感があって良いんじゃないかな? イルカ先生らしい。俺は……まぁ、いついなくなっても良いように、身辺は綺麗にしてるつもりなんです」

そう言って笑うと、イルカは痛ましげな顔を浮かべて、口を閉ざした。
外勤の戦忍の多くは、里で暮らす時間が短い為か、いつ何処で何があっても良いように、私物を残さない者が多い。
一般的な話をしたつもりだったのだが……イルカは少しは悲しんでくれているのだろうか?
俺が自分の命に執着していないことを。
自惚れても良いのかな?俺は。
あなたの中にほんの僅かでも、悲しみを残せるのだとしたら。そんな幸せな事なんてない。

「ああ、何かしみったれた話しちゃいましたね」

カカシはそう言うと、向かい合うようにイルカの隣に腰掛け、綱手から預かったファイルを広げた。

「早速なのですが、イルカ先生。事件の概要を説明して貰えるかな? 俺、今日里に帰ってきたばかりで、詳しく知らないんですよ」
「はい。それじゃ、順を追って説明しますね」

そう言うとイルカは、ファイルをめくりながら、詳細を語り出した。

「最初の被害者が発見されたのは、今から一ヶ月前になります」
「俺が里外に出た頃と一緒だね」
「そうですね。丁度良かったかも知れません。カカシ先生とても魅力的だから、里にいたら狙われちゃったかも知れませんよ?」

そう言ってイルカはクスクスと微笑んだ。

「あ、それテン……じゃなかった、ヤマトにも言われました」
「ヤマトさんに?ヤマトさんもここしばらく会ってないな」
「あいつ途中から俺と同行任務だったんですよ」
「そうだったんですか」

イルカは少し驚いたような顔を浮かべた。イルカは知るはずもない。受付を通さない任務に就いていたのだから。
表向きは俺の任務の補助で来たようになってるけど……綱手様も人使い荒いからなぁ。おかげでこっちは表と裏の任務掛け持ちだったって言うの。

「カカシ先生?」
「あ、ごめ~んね。考え事してた。それで?」

カカシが促すと、イルカは静かに語り出した。
一番初めの被害者は、一般の里人だった事。若い男性で、首筋に噛み付かれたような跡があった事。外傷と呼べる物はその噛み傷くらいで、意識を失い人通りの少ない路地裏に倒れていた事。何よりも不可思議だった点は、血を抜かれていた事。

「抜かれた血は全血液中の1/4程度でした」

イルカはそう言うと小さくため息をついた。
1/4か……致死量には至らないが、意識を失うには十分な失血量だった。

「何か他には?犯人の特定に繋がるような事とか?」
「綱手様のお話では、おそらく人間の犯行ではないと言う事でした。被害者から盗まれた物は何もありませんでしたし……その、言いにくいのですが」

イルカはそう前置きした後に、いったん口を紡ぐ。

「狙われたのは若くて、とても容姿の端麗な男性でした。性的暴行目当ての犯行も考えられましたが、衣服に乱れもなく、その可能性も否定されました」

窃盗目的でもない、性的犯罪でもない。そうだとすれば、犯人の目的は――

「犯人はおそらく、血そのものが目的だったのだと思います」
「血か……血を狙うなんて、確かに人間の仕業とは思えないよね」

人外。
綱手が明言こそしなかったものの、カカシを指名した理由がそこにあった。
人であって、人ならざる者。
カカシは小さく嘆息すると、視線をイルカから逸らした。
イルカ先生はどう思っているのだろう?きっと人外だなんて、得体の知れない化け物、恐ろしく思っているに違いない。

カカシには誰にも言えない秘密があった。
それは歴代火影にしか知らされていない事。

カカシは人犬族と呼ばれる一族の末裔だった。
人犬族とは、白い肌と銀色の髪を持ち、強靱な身体能力を有する、希有な存在。
聴覚、臭覚に優れ、チャクラの感知能力も通常の人間とは比べものにならない程優れており、人間にはない第六感も発達していた。
古より木の葉の守護神として、影ながら里を守り続けてきた一族の、カカシは長で有り、最後の生き残りでもあった。
人犬族は繁殖能力がきわめて低い。
昔は一族の血を残す為、一般の人間との婚姻を禁じていたが、それが裏目に出て、一族は衰退の一途を辿ってきた。
近親交配を繰り返す内に、繁殖能力が格段に下がったのである。
古いしがらみが自分たちの首を絞める事になるなんて。一体誰が想像出来ただろう。
俺はもうそんなしがらみ、とうの昔に捨てちゃったけどね。
最後の一人くらい、自由恋愛を貫いたって、罰は当たらないよね~ご先祖様達には申し訳ないけど。

「カカシ先生は、恐くないのですか?」

突然そうイルカに切り出されて、カカシは目を丸くした。

「人間以外の者の犯行だなんて。恐ろしいとは思わないのですか?」

恐ろしいだなんて、考えた事もなかった。
ああ、そうか。イルカ先生は俺が人外だって知らないから、そう思うんだ。

「ん~、恐くない。恐くはないかな? この世の中、いろんな物が溢れているし、たとえばナルトの中にいる尾獣だって、人外でしょ?」

イルカは「あっ」と呟くと、俯いた。

「ナルトは……あいつの事を人外だなんて思った事ありません」
「そうだね、俺もそうだよ。ナルトは人間だ。化け物なんかじゃない。それは俺達が一番よく知ってる事だよね」
「はい」
「それに……人外と言っても、人と何も変わらないかも知れないよ?」

人と変わらない。俺がそうだ。何も、人とは変わらない。
人間離れした能力があると言うだけで、俺は自分の事を人ではないと思った事はない。
本質は獣だとしても。
イルカ先生。貴方にも、恐れないで欲しい。
あなたの目の前にいる男を。

「そうですね。何も変わらない」

イルカはそう言うと儚げに微笑んだ。

「何が恐いって、綱手様の怒る顔こそ俺は恐いですからね~出来るだけ早く調査を進めて、犯人を捕まえちゃいましょう!」

カカシがそう笑うと、イルカもほっとした顔を浮かべて、ファイルに目を移した。

「先程の話の続きなのですが、被害者は犯人を覚えていないんです。不思議ですよね? 自分が襲われたという記憶もないそうです」
「記憶にないか」

記憶にないとはどう言うことなのだろう?

「幻術か、何らかの薬物を使用された形跡はないの?」

カカシの問いに、イルカは難しそうな顔を浮かべて、ファイルに記入されていたデータを指し示した。

「血液鑑定の結果で、薬物の使用は確認されていませんね」
「となると、やはり何らかの術の影響かな? それは調べてある?」

イルカは首を振ると、小さくため息をついた。

「それが……始めに襲われたのは一般の里人と言う事もあって、術の使用の形跡までは調べられていませんでした。元々この事件は、事件として取り上げられていなかったんです。オカルトめいた噂話として、広まっただけで。被害者に死者も出ていませんし」
「オカルトか」

そう言えばテンゾウの語り口も、そんな感じだった。被害を被害として実感していないような。おもしろおかしい噂話を聞かせるような、たわいもない話の一つに過ぎなかった。

「それがどうして綱手様の耳に入る程になったの?」

イルカはファイルから目を上げると、カカシに向き合い語り出した。

「まるで事件を見せつけたいように、被害者の数が増えていったんです。数にして俺が把握しているだけで、20人を超えています。実際の被害者はおそらくもっと多いと思います。中には貧血で倒れていたと言って、病院に運ばれた人もいたそうです。最初の被害者は一般人でしたが、数を追うにつれて、忍びの被害者も出るようになりました」
「忍びの? 忍びだったら、術の使用に対抗出来たんじゃないの?」

カカシの疑問に、イルカは嘆息すると口を開いた。

「犯人はおそらく忍びとしての能力も有しているのか、とても慎重に被害者を選んでいます。容姿端麗な若い男性である事はもちろんですが、中忍クラスの忍びには手を出していません。おそらく何らかの術を使用している事から、解術出来る能力を持つ者には警戒して近づかないのだと思います」
「そうなんだ」
「下忍とは言っても、木の葉の重要な戦力ですから。下忍が襲われるようになって初めて、事件として取り上げられたんです。任務遂行時に、集合場所に現れない者が出始めて、受付は大慌てでしたよ。代わりの人員を手配したり、依頼者に詫びたり。さすがに木の葉の信用問題にも関わってきますからね」
「成る程ね」

カカシは頷くと、テーブルの端に置いたビニール袋から、缶ビールを取り出した。

「それじゃ、明日から動き出すとしますか。イルカ先生、明日は非番?」
「明日は午前中はアカデミーに行かないと行けないのですが、午後は空いています。本当は受付に入る予定だったのですが、綱手様が休んで良いって言っていましたしね」

そう言って笑うイルカに、缶ビールと手渡すと、カカシは袋の中から、買ってきたつまみを取り出す。

「明日は午後一番に、取りあえず被害者に会って話を聞いてみましょうか? 犯人の目星がつかない以上、どうしようもないですしね」

カカシはそう言うと、缶ビールを煽る。

「イルカ先生も、飲んで、飲んで。潰れちゃったら、俺ん家泊まっていって良いですから」
「あはは。流石にそこまで弱くないですよ」

そう言ってイルカもビールを煽る。
本当に泊まってくれて良いんだけどね。でもそうしたら、俺の理性が持たないかも。
ほんのりと頬を染めて笑うイルカを見ていると、抱きしめてしまいたい気持ちに駆られて、慌てて身を引き締める。
今夜は一緒に過ごせるだけで、良しとするか。
カカシは小さくほくそ笑むと、ビールを飲み干した。


翌日、カカシはイルカと、アカデミーの校門前で落ち合うと、被害者の一人が入院している木の葉病院へ足を向けた。

本当だ。確かに綺麗な顔してるね。男女問わずモテそうだ。犯人って、意外と面食いなのかもねぇ。

カカシは病室に入ると、ベッドの上で、点滴のチューブを左腕に付けている若い男と面会した。
男は下忍で、三日ほど前に被害に遭ったらしい。

「君、本当に覚えていないの? 犯人の事」

カカシがそう尋ねると、男は申し訳なさそうに頷いた。

「任務帰りに……その……女を買おうと思って、宿場街に向かっていたところまでは覚えているんですが」
「気が付いたら、病院のベッドの上だったって、わけ?」
「はい。申し訳ありません」

男はそう言うと頭を下げた。

「んー仕方がないな。これは無理矢理記憶を引き出した方が良いかな?」

ぶつぶつとカカシが呟いていると、イルカに腕を引かれた。

「カカシ先生。ダメですよ。そんな事したら」
「あ、聞こえてました?」
「もう、カカシ先生は」

気が付くと、ベッドの上の男が怯えた眼差しを浮かべていた。
流石にダメか。写輪眼で瞳術をかけて、無理矢理記憶を引き出そうと思ったけど。
イルカにダメだと言われてしまっては、それも出来まい。

「あ、君、ありがとね」

ベッドの上の男に礼を言うと、カカシはイルカと共に病院を後にした。
病院を出ると、住宅街を歩きながら、今後の方針を語り合う。

「こうなったら、被害者全員に聞き込むしかないね。誰か一人ぐらいは、犯人の事覚えているかも知れないし」
「そうですね」

四つ角を曲がろうと足を進めたところで、前から走ってきた男が、イルカにぶつかりそうになったのを、カカシは押し止めた。

「ちょっと、君、危ないでしょ? ちゃんと前見て歩かないと!」

そう言うカカシに、青ざめた顔をした男が縋り付く。

「助けて! 助けてください! 友達が怪しい女に襲われて!」
「怪しい女?」

カカシはその男をイルカに預けると、走り出す。
雑多な路地を抜けて、木々の生い茂る公園に出ると、街路樹の影に、倒れている男を見つけた。

「おいっ! しっかりしろ?」

カカシが抱き起こすと、男は虚ろな目をしながら、訳の分からない事を呟いている。
男の首筋には、何かに噛まれたような、二つの小さな穴が空いており、血が滴っていた。

「大丈夫ですか! カカシ先生!」

後を追ってきたのか、イルカが先程の男と共に、側に走り込んできた。

「イルカ先生、医療班呼んで」
「はい」

イルカが手慣れた様子で、緊急の式を送る。
カカシは倒れていた男を丹念に調べ上げた。
傷跡は、首筋だけのようだね。血を吸われたか。おそらく幻術がかけられているな、これは。

「ねぇ、君。さっき怪しい女って言ったよね? どんな女だった?」

カカシの問いにイルカの脇に立つ男は、青ざめながら、口を開いた。

「綺麗な若い女だったんです。一緒に遊ばないかと声をかけられて、それで……」

そこまで口にした途端、男は突然全身を震わせると、その場に倒れ込んだ。
慌てて、イルカが抱き起こす。

「大丈夫ですか! しっかりしてください!」

イルカが揺さぶるも、男はくったりと力が抜けたまま、動かなかった。

「どうやらそっちの男にも術がかけられていたみたいだね。幻術に耐性があったのかな? その男の方に効果が現れるのが遅くて、逃げられちゃったってとこか」

カカシがそう呟くと、イルカも頷いた。

「そうですね。おそらく目が覚めたら、何も覚えていないと思います」
「記憶操作か……やっかいだね」

思ってた以上に、手が掛かりそうだ。
それから間もなくして、医療班が現れ、倒れている男達を回収していった。

「分かった事は、犯人が女だって事だけだね」

カカシの呟きに、イルカが苦笑する。

「それが分かっただけでも、凄い進歩ですよ」

医療班と別れた後、二人はイルカのアパートの前まで歩いてきていた。
茜色に染まった古びたアパートから、あの匂いがしてきて、カカシは大きくため息をついた。

「どうしました? カカシ先生」
「いや、何でもないです」

あの匂いとは、イルカの飼っている忍猫の匂いなのだが。
まるで自分の存在を誇示するかのように漂う匂いに、カカシは肩をすくめる。
イルカ先生に、これ以上近づくなって言う訳か。
忍猫からのあからさまな挑発に、カカシはぐっと腹に力を込めた。
忍猫だろうと、何だろうと、俺のこの思いの邪魔はさせないからね!
カカシはアパートの方を睨め付けると、気を放つ。
忍猫はカカシの気に反応したのか、先程よりもさらに強い匂いを漂わせはじめた。

「シラスの奴、どうしたんだろう? 機嫌悪いのかな?」

流石のイルカも気がついたのか、首を傾げる。
宣戦布告か! 負けてたまるか、猫ごときに!
この任務期間中に、イルカ先生との距離をぐっと近づけて、必ず振り向かせてみせる!
その為には、この任務を有効活用しないとね!
カカシは任務期間中常にイルカの側にいる事を心の中で誓うと、ほくそ笑んだ。


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