【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
↑new ↓old (カテゴリ内↓new ↑old)
巻物を咥えて走り去るパックンを見ながら、俺は瞬身の印を切った。
視界が揺らぎ、足元の大地がフッと消える。

飛んだ先で俺が見つけたのは、四肢を投げだし猫のように横たわるイルカ先生だった。
先生のすぐ側に、裸の女が倒れている。
異様な状況に全身の毛が逆立った。

「イルカ先生っ、何があったんです!」

俺は先生に駆け寄り、まずは全身の傷の有無を確認した。
怪我は、していない。
次に俺は、その躰を腕に抱き取って先生が置かれた状況を詳しく検分する。

本当はすぐに医療班を呼びたい。
だけど先生の躰の秘密のことを考えると、安易に呼ぶわけにもいかない。
出来る限り俺が対処しなければ。

「イルカ先生、俺です。カカシです。何があったか話せますか?」
「うぅっ……はぁあっ」

荒い息に合わせ、先生の胸が激しく上下している。
先生は、血走って涙の膜が張った目を俺に向けた。

「この、女が、犯…人ッ……」
「わかりました、すぐに捕獲します。先生は毒にやられましたか!?」

僅かに首を横に振った先生は、吐息まじりの言葉を落す。

「はや……く。女を。……でも、手荒な……真似はしない……で」

こんな状態にされておいて "手荒な真似をしないで” もなにも!
感情の抑制に失敗し、漏れ出てしまった殺気にイルカ先生の躰が跳ねた。

「この子を……殺しては、ダメです……綱手様に温情をお願いし、て」
「……わかり、ました」

先生の言葉に、俺は冷静さを呼び戻して殺気を収めた。
それにしても先生は、これだけのことを喋るのも辛いんだ。
なのに……。
どんなときでも、この人は自分のことは後回しで、里のことや、ましてや自分に危害を加えた犯人の身の上を気に掛ける。
貴くて優しくて立派だけど泣きたくなる。
心配でたまらなくて、もっと自分を大切にして、と縋って泣きたくなる。

「信頼できる部下を呼び、先生の望みどおりに事を運ばせます」

先生の頬に、僅かな笑みが浮かぶ。
俺はただちにテンゾウに式を飛ばし、先生の顔をのぞきこんだ。

「あなたの身体について聞かせてください」
「なん……でも、ないんです」
「嘘だ!」

叫びながら、俺は先生のベストの前を寛げた。
少しでも先生の息を楽にしたくて、首にぴったりと添ったアンダーの首元に指を入れ、左右に引き張る。
伸びきった布地はやがて綻びを見せ、ベリリッと音を発しながら縦に裂けた。

「ぁうっ!」
「え……?」

あげられた声には過分な艶が含まれていて。
まさか、と目を見張った俺の目前には、身を捩る先生の姿。
まるで与えられる刺激を待ちわび、閨の上で身悶えする女のように俺を見上げている。

あぁ、露わになった肌から立ち上る色香のすさまじさよ!

本能が悟った。
先生は、発情しているんだ。

さわりたい。あばきたい。自分のモノにしてしまいたい。
強烈な欲求が心の底から湧き出てくる。

――ダメだ。絶対に、ダメだ!!

俺は理性で本能をどうにか押し殺した。
だけど、先生の躰から目が離せない。
先生の股間に目を当てると、そこはもうひと目で分かるほど昂っていて。
でも、それだけじゃない。
滲み出た先走りに服の色が変わっているんだ。

「み、みない……で。自分で収め、ますからっ、部屋に……連れ帰って……」

恥じらいを見せるイルカ先生の色香は、俺の理性を溶かし続ける。

「自分でって、無理、でしょう?」

だって先生はペニスを引き摺りだそうとして手を股間に伸ばしているけれど、震えがきている手ではチャックを下ろすことすらままならなくて、泣きそうな顔をしている。
それなのに先生は腰をカクカクと振って、その激情を吐き出すべき穴を必死に探しているんだ。

どこか滑稽さを含んだその姿を見るのは憐れで、申し訳なくて。
きっと先生自身こんな姿は誰にも見られたくないはずなのに。
先生の言うように、部屋に送り届け立ち去るべきだ。
でも、そこに羅刹丸がいたら? 

羅刹丸が先生と交わり、先生の欲を解放する?
そんなのは耐えられない!
何よりも媚薬を盛られたのであれば、種類によっては命に関わるのだから、俺が。
忍である俺こそが、先生を!

「大丈夫だよ、先生。俺が手伝ってあげます」

いやいやと首をふる先生の股間に俺は手を伸ばした。
布ごしにやんわりと握りこんでやれば、それだけで先生は射精してしまった。

「ァアーーーッ!」

先生の声に俺の性器に熱が集まる。
嗜虐心が、生まれる。

「い……やぁ……やめ……て」
「嫌じゃないでしょ? 先生のココまたすぐに固くなってる。媚薬が抜けるまで付き合ってあげますから」
「ああ……ぅう……いや……だ」

既に布を押し上げる程の昂りを見せるイルカ先生のペニス。
傷付ないよう慎重にチャックを下ろすと、下着の合わせ目から先生のペニスが飛び出してきた。

――これが、イルカ先生の……

ソレに手をのばしながら、じっくりと鑑賞する。

俺より一回り小さく色素も薄いソレは、精液にまみれたせいでヌラヌラと淫靡に光っている。
縦に長い鈴口は吐精の余韻に浸っているのか、それとも次なる射精への期待からか、だらしなく開いて雄の匂いをまき散らしていた。

――堪らない。

興奮に咥内は乾き切り、舌が顎に貼り付く。
唾を呑むことも出来ないくらい俺は先生の痴態に心を奪われていた。

ペニスへの刺激を続けながら、もう片方の手で陰嚢を揉みしだいてやると、先生はまた勢いよく白濁を噴き出す。

「アァ……っ、もっとっ……もっとシテ!」

二度にわたる射精は完全に先生の理性を打ち砕いたようだ。
俺の理性は、まだ生きているのだろうか?

――落ち着け、カカシ。これは、任務だ。得体のしれない媚薬にやられた先生を元に戻す、任務だ。

手綱をひいて暴れ馬を収めるように、俺は欲の暴走を食い止めようと必死だった。
先生は俺が初めて愛した人で、こんなふうに繋がってよい相手ではないのだから。
媚薬を抜く手伝いをするだけで、自分の欲を決して追ってはいけないと、俺は何度も強く自分に言い聞かせる。

「せんせ、はやく全部出してしまいましょうね」

だけど、耳に届いた俺の声は上擦っていて、まるで別人だった。

――落ち着け、落ち着け、落ち着け。先生の熱を収めるだけだ。それだけだ。

手での刺激ばかりだと、痛みを伴うだろう。
そう考えた俺は先生のペニスを口腔に含み舌全体を使って舐め上げ、射精を促す。

「ひっ……ゃぁあっ!」

先生はあっけなかった。
放出の最中に思い切りペニスを吸ってやれば、先ほどとは比べものにならない量の粘りをもった体液が俺の咥内を満たし、先生は「あ”あ”あ”」と喜悦の声をあげながら俺に縋る。
背に回された手の温もりがひどく愛おしい。

「カカシさ……ん」

夢見るような声色で、先生が俺の名前を呼んでくれた。
まさか。
まさか、先生は相手が俺だからこんなにも乱れているの?

ふと湧き出た疑問は、こみ上げてきた喜びと興奮に押し流され、確信となる。

可愛くて淫乱な、俺のイルカ先生。
俺の躰の全てを使って、あなたを満足させてあげる。

次は何をしてあげようか。
乳首を噛んで吸って舌先で転がして愛撫してあげようか。
それともアヌスに指を突き立て先生のイイトコロを探してあげようか。
ソコを見つけたら、俺のペニスで好きなだけ衝いてあげる。
きっと何度だってイカせてあげるから。

ねぇ、先生。
だから俺とひとつになろう? 
俺のモノになって?

カカシがイルカのアヌスに手を伸ばそうとした、そのとき。

「先輩、何をしているんです?」

冷たく通りの良い声がカカシの耳を打った。

――!! 俺は今一体何を。

駆け付けたテンゾウの非難を帯びた強い口調に、カカシは正気を取り戻した。
口に含んだイルカのペニスを吐き出し、内心の動揺を表に出さぬよう、務めて冷静に答えを返す。

「先生が媚薬を盛られた。いま処置をしている」

イルカはテンゾウの存在など意に介せず、カカシの手に執拗にペニスを擦りつけ喘いでいる。

「あっ、あぁっ……!」

テンゾウは彼等の様子を眉ひとつ動かさずに見ていた。

「ならば医療班を呼ぶべきでは? 経口摂取なら胃洗浄を、注射での接種であれば点滴で薄めるなど適切な処理をしてくれるはずです」
「あ……ぁ……うっああっ、もっと、足りな……い、もっとっ」

カカシは、テンゾウの存在を気にしながらも、苛烈な肉欲に苛まれているイルカを哀れに思い、そのペニスを握りこんでやる。
イルカは少し安堵したのか、僅かに嬌声を収めてカカシに寄り添った。

「特別な事情があり、医療班に頼るわけにはいかない」
「お言葉ですが、この状況で身体を繋げれば先輩は後悔することになります。イルカさんにとっても良くありません。医療班に預けるべきだと思います」

テンゾウの指摘に、忍としての矜持を酷く刺激されたカカシは声を荒げた。

「それ以上言ったら殺すよ? 俺は任務に私情を挟まない」
「ならば結構。ボクは犯人を火影様のもとに連れていきます」

テンゾウが裸身の女を担ぎ上げ瞬身で消えると、ついに堪えきれなくなったイルカが金切声をあげた。

「はやくっ!」
「ごめんね。邪魔が入った。すぐにシテあげますから」

――俺は忍だ。己の欲ぐらいコントロールしてみせる!

カカシの葛藤など知る由もないイルカは、与えられる快楽への期待から淫猥な笑みを浮かべ、カカシの首筋に唇を寄せた。

「出したい」

と、吐息交じりに情けを乞う。

イルカの痴態に煽られ、カカシの欲望はもはや暴発寸前だった。
その欲を痛みでかき消そうと勢いよく唇を噛めば、数本の白い歯がプツリと皮膚を食い破り、そこから血が溢れだす。
その赤を写したイルカの両眼は愉悦に輝きはじめ、ついには唸り声をあげてカカシの唇に食らいついた。

「せんせっ?」

イルカからの激しい口付けにカカシは言葉を継ぐことができない。
接吻の意味を問いたいのに、苛烈さを増すイルカの唇や舌の動きに阻まれ翻弄される。
そのうち理由などはどうでもよくなって、愛する人から与えられる快楽に没頭しはじめた。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音をたて、カカシとイルカの舌がお互いの咥内を、唇を、歯列を舐めまわる。
夢中になってイルカを貪るカカシは、唇から溢れ出す己の血をイルカが嬉々として嚥下していることに気が付けなかった。

イルカは昂りきったペニスをカカシの太ももに押し付けてくる。
排出を求めた卑猥で切実な腰の動きを感じたカカシは、イルカのために下衣を素早く脱ぎ去り、両腿をほんの少し開いてやった。
イルカはその隙間にペニスをねじ込み、必死になって腰を振りはじめた。

――先生、なんて可愛い。

凄絶な色を振りまき何度も達するイルカの痴態を目前にして、カカシの忍耐は限界に近い。

――あぁ先生、俺はあなたを……。ダメだ!! これは、任務だ! 

理性が焼ききれる寸前で、カカシはイルカを突き飛ばした。
収める場所を突然奪われたイルカは困惑しきって、自らの精液を擦り込んだカカシの剥き出しの腿を見つめている。

「先生すみません、少し冷静になる時間をください。これ以上は、俺は……!」
「いっ、いやだっ!」

イルカは、力一杯カカシにしがみついた。

「もっと、あなたが欲しいッ」

鬼気迫るその叫びは、カカシの忍耐を完全に叩き潰す。
手綱を放された激烈な肉欲はカカシの中を縦横無尽に荒れ狂い、理性も愛も優しさも、人間らしい何もかもを根こそぎ奪い去る。

カカシは、もはや獣だった。
獣は恐ろしい咆哮と共に獲物に襲いかかった。



*


「はぁ……っ、うんッ……」

イルカのペニスに絡み付いた指は、善いところを知り尽くしているかのように、イルカを翻弄した。
何度も吐精し、立ち上がる気力も萎えたペニスは、それでも貪欲に快楽を求め、その先端から透明な汁を流し続けている。

「カカ……シさ……んっ」

――あのとき、捕食者の目でカカシさんは俺をみた。

ギリギリまで引き絞られた情欲の弓は、あとはもう放たれるしかなくて、カカシは、イルカを女のように扱ったのだ。
イルカは、カカシの強く太い肉棒で、何度も何度も貫かれた。

激しい痛みの後に訪れた、あの脳を揺さぶるような強烈な快楽。
イルカはそれを忘れられない。
イルカの身体はカカシが与えるあの快楽を、猛烈に欲している。

「あぁ、もっと、もっとっ!」

指はペニスを離れ、ふぐりを愛撫し、会陰を辿った後、イルカの後穴に辿りついた。

くちゅり

精液で濡れそぼったその穴に、一本の指が侵入していく。

「あ”……イィっ……」

ナカの筋肉が、侵入者のカタチを確かめるかのように指を締め上げる。
やがて来る快楽への予感がイルカを大胆にする。

―― 欲しい、欲しい!! カカシさんっ

すぐにニ本目の指が根本まで差し込まれ、中を乱雑にかき乱した。

――もっと、もっと、こんなんじゃ足りない!!

目を閉じると、あの日のカカシが心に浮かぶ。
野生の雄の激しさでイルカの全てを奪った人。
甘い血をイルカに分け与えてくれた、人。

あの日から日夜を問わず、耐え難い性欲がジクジクとイルカを攻めたてている。
自室のベッドに横たわり、いくら自分で慰めてみても、収まりきるものではなかった。

――あのすべらかな胸に一筋の傷を引き、そこから流れる血を舐めながら、カカシさんに抱かれたい。もう一度、カカシさんのモノにしてほしい!!

突如湧き上がった強烈な欲求にイルカはたじろいだ。
極限状態に置かれ続けたイルカは、ついに目を背けていた真実を探り当ててしまったのだ。

イルカは長くカカシに恋をしていた。
イルカが妙だと思っていた事象は全て、カカシへの気持ちを認めてしまえば説明がつく。

人との関わりを極力避けていたのに、カカシとだけは親しくなりたいと思ったこと。ふとした拍子に肌が触れると嬉しくなったこと。
あの日の朝、カカシが影分身を出してまで自分に会いに来てくれたと知って、震えるほど幸せな思いをしたことも、任務に出るカカシのことが心配でたまらなかったことも。
無理やり発情させられた身体が、女を拒み、カカシを求めたことだって。

全部、全部、カカシに惹かれていたと認めれば説明がつく。

「そ……んな」

あまりにも幼くて純粋な想いは、自覚した途端に汚辱にまみれた。

――なんて浅ましい、卑しい! これじゃまるで本能のままに動く畜生じゃないか! 
カカシさんはきっと俺に情けをかけてくれたんだ。優しい人だから、あんな状態の俺を放っておけなくて、男の俺を無理して抱いてくれたんだ。
それなのに、俺はあんなに悦んで、今だってカカシさんを欲しがっているなんて……!!

カカシに抱かれたい。カカシの血が欲しい。カカシしかいらない。

満たされぬ欲求と、人としての理性に挟み撃ちにされたイルカは、戸惑い、怯え、絶望の涙を零した。


ガチャリ
廊下の奥に生じた幽かな音が、イルカの意識を現実に引き戻した。
耳をそばだてると、何やらゴソゴソとした物音の後に、聞きなれた足音が近づいてくる。

――羅刹丸……帰ったのか。

イルカは直ちに結界を張った。
羅刹丸にとって、この結界が取るに足らないものであるのは知っている。
だけど、会いたくない、という意思表示くらいにはなるだろう。

誰の顔も見たくない。
何も話したくない。
ただ独りでこれからのことを考えたかった。

部屋の外で足音が止まり、少し間をあけて声が聞こえてきた。

「どうしたのじゃ、イルカ」

労わりに満ちた優しい問いかけに、イルカの涙腺が緩む。

「……なんでもないよ。羅刹丸。でも、少しの間独りにしてもらえないか」
「ふむ。それはかまわんが、随分と消耗しておるようじゃ。まずは血を」
「血はもう、いらないんだ」
「イルカ。世迷言を言うでない。今血を飲まねば大変なことになるのじゃぞ?」
「そんなこと、わかってるっ! でも、今は俺に構うな!」

結界の外で、羅刹丸が息をのんだ。

「こればかりは譲れんの」
「イヤダ! 来るなっ、血なんか飲みたくない!!」

バリンと派手な音と共に結界が破られた。
と同時に、鬼気迫る表情の羅刹丸が部屋に踏み込んでくる。
大股で歩を進めた羅刹丸はあっという間にイルカの前に立った。

部屋に満ちる牡の臭いと、想像以上のイルカの衰弱を目にし、羅刹丸が顔を顰める。

「儂の留守中に何があった。その梵字はお前を守らなんだか?」

イルカは口を固く引き結んだまま羅刹丸を睨み付けている。

「フンッ。答えずとも儂にはわかる」

羅刹丸は妖しい光を帯び始めた両眼で、イルカを食い入るように見つめた。
イルカの記憶を探っているのだ。
急速にその顔は青ざめ、眇められた両眼には地を這う大蛇のように禍々しい光が灯される。

「あの犬め、八つ裂きにしてくれるわ!」

逆上した羅刹丸が吠えた。

「ダメだ!! カカシさんは悪くない! これは俺が望んだことなんだ」
「そのようじゃな。その梵字は、お主が心底嫌がったときに発動するようにしてあるからの。だからといって、あの犬を許せるわけがなかろう!」
「羅刹丸っ。あの人が死んでしまっては俺も生きていられない」

涙に濡れた目を見開き、必死にカカシを守ろうとするイルカの様子に、羅刹丸の怒りは増すばかりだった。

「黙れ。まずは血じゃ。犬はその後で嬲り殺しにしてやる」
「やめろ羅刹丸。カカシさんに手を出すなっ!」

羅刹丸は無謀にも自らに向かってくるイルカの動きを術で封じると、片手でイルカの顎を捉え、頤に強い力を加えて口を開かせた。
そして自らの指の腹を食い破り、血の滴る指先をイルカの咥内に差し込もうとする。

「やめろっ、羅刹丸っ、やめろぉっ!!」

バチィイイイ!

そのとき、イルカの首に施した梵字が一瞬浮かび上がり、そこから放たれた雷が羅刹丸の指を打った。

「なにぃ!?」

羅刹丸は血まみれの指を呆然と見つめている。

「……ごめんッ羅刹丸。でも、これで分かっただろう? 俺はもうカカシさんの血しか欲しくないんだ」
「では、守護の術を解除し、お主に儂の血を与える。その後犬は殺す」

イルカは怒りに我を忘れて声を張り上げた。

「いい加減にしてくれよ。俺はもう自分のことは自分で決められる。自分で決めなきゃいけないんだ! いつまでもお前の言いなりには、なれないんだよ! カカシさんに危害を加えるというのなら、いくらお前でも許さないからな!」

生まれて初めてイルカが見せた激しい反抗に、羅刹丸の心は乱れに乱れた。
こんな状況でさえなければ、我が子のように慈しみ見守ってきたイルカの精神の成長を、諸手をあげて歓迎できただろうに。

それでも。
手を離す時期が来たことを羅刹丸は悟っていた。
あの憎い犬を愛するというイルカの意思を、尊重してやらねばならないのだ。
せめぎ合う心になんとか折り合いをつけ、羅刹丸は言葉を絞り出す。

「犬は殺さぬ。そのかわり明日には儂の血を飲め。おぬしの伴侶は儂が探してやる。これ以上の譲歩はせぬ。よいな?」

羅刹丸は踵を返し立ち去った。
後ろ手に閉められたドアをイルカ呆然と眺めていた。

そのうち、カカシのこと、羅刹丸のこと、自分の躰のことが頭を巡りはじめる。

このまま血を飲まなければどうなるのだろう。
犯人のあの女は、瀕死のときに猫の姿だった。
また人間の姿に戻っていたけれど、きっと、鍵を握っているのは<血>だ。
<血>を飲まなければ、きっと俺は猫になってしまうんだ。

あの女は、番を見つければもう吸血の必要はなくなると言っていた。
番になるためには、お互いの血を吸いながら、性交すればいいのだと、女は言った。

番。性交。吸血。

この想いに気付いてしまった以上、自分はもう羅刹丸の血を呑むことも、彼が用意した誰かと番になることも絶対に出来ない。
このまま羅刹丸を拒み続け、衰弱が進めば、羅刹丸が全てをカカシに話してしまうかもしれない。
そうしたら、優しいカカシさんはきっと俺を番にするだろう。

イルカは震える拳を握りこんだ。

そんなこと、絶対にダメだ。
自分のためにカカシさんを犠牲にするなんて。
俺がここに居ては、カカシさんに迷惑がかかる。
まだ人でいられるうちに、何とかして里を出なければ。

――ごめんな。羅刹丸。
たとえお前と別れることになっても、人でなくなっても、俺はカカシさんじゃなきゃダメだし、たとえ報われなくても、カカシさんを愛していたいんだ。


*


それから何日が過ぎただろうか。
カカシもまた、後悔の嵐の只中にいた。

「先輩、せーんぱい」
「……なに」

吸血事件について綱手との面談を終えたカカシが、本部棟を出たところで、同行のテンゾウが声をかけた。

「火影様の話、聞いてなかったですよね」

呑気な声に仕込まれた毒に気付かぬカカシではない。
自ずと答える声が低くなる。

「……お前が聞いてりゃ、問題ないでしょ」
「また随分とやさぐれちゃって。その調子じゃ、あの日イルカ先生と一線を越えちゃったんですね。ほら、今回ばかりはボクの判断が正しかったでしょう?」

テンゾウは軽い口調を装っていたが、その眼にはカカシの助けになりたいという強い思いが滲み出ていた。

「で、どうなっているんです?」

テンゾウが追及の手を緩める気がないのを見て取ったカカシは、重い口を開いた。

「あの日以来、先生に会っていない」
「一番ダメなパターンじゃないですか」
「会いにいったら、先生の恋人に追い返されたよ。先生は俺に会いたくないんだって」

テンゾウは目を見張った。

「イルカ先生に、恋人がいたんですか?」
「あぁ。羅刹丸という若くて綺麗な男だよ。もっとも先生は弟みたいな存在って言ってるけど、彼と先生は身体の関係がある」
「ボクはそうは思いませんね。ボクの目からは、イルカ先生は男女を問わず閨の経験があるようには見えませんでした。あの日のことをもっとよく思い出してください。イルカ先生のことになると冷静さを欠くのは、先輩の改めるべき欠点ですよ」

カカシは里外れの森へ、視線を当てた。
沈みかけた太陽が空を朱に染めていたが、森は既に闇に沈んでいる。
カカシは目を閉じ、あの日の記憶を探り始めた。

吸血事件の犯人が捕まった日。
先生が、媚薬に侵されて乱れた日。
俺が、先生を、強姦した日。

カカシの意識が旅立つ。
あの日、へと――






媚薬を抜くという名目で、俺は散々イルカ先生の性器を嬲った。
手で、口で味わいつくして、先生の痴態を目に焼き付けて。
それだけでも充分に酷い仕打ちなのに、性欲に負けた俺は……。

痛みに顔を歪めたイルカ先生の顔が、苦痛の悲鳴をあげ「助けて」と叫んだ声が生々しくよみがえってくる。

「あ”ぁっ! 痛いッ いやぁあ」

本来雄を受け入れる器官ではない穴に、俺は育ちきった己のペニスを押し込もうとしていた。
四つ這いになり、逃げようとする先生の腰を引き寄せ、強引に侵入を試みる。
頑なに閉じた穴に亀頭を押し当て腰を進めても、ツルリと滑るばかりで、一向に中に入れない。
酷く苛立った俺はチィッと舌を打ち鳴らした。

押し広げなければ入らないことにようやく気付いた俺は、会陰やふぐりを濡らしていた先生の精液を指でかき集め、尻穴に塗りこめてゆく。

「イヤダっ。キモチわるいっ」

ナカに入り襞を押し広げる指の感覚を嫌悪した先生が、逃れようと腰を振りたてる。
その様子がまた淫靡で更に俺の欲を煽った。

嫌がるイルカ先生を押さえつけ、指を、増やす。
一本から二本に。
二本から三本に。

根本まで突き入れ、指の股を精一杯開き、押し広げた穴を覗き込むと、肉色をした襞がヒクヒクと蠢いていた。

―― 気持チヨサソウ ナ 穴ダ

先生はとっくに泣きだしているのに俺はただ挿れることしか頭になくて、指で入口を広げながら、まずは亀頭をねじ込んだ。

「うっ、あぁああ」

――入ッタ

「いやだっ!! 抜いてくださいっ」

きっと先生はそう喚いたのに。

ズズッ、ズズッ

俺は腰を進め、全てを収めきった。

――気持チ、イイ

先生は言葉にならない声をあげていた。
痛みに身体が痙攣を起こしていた。
そんな先生を俺は、激しく突き上げた。

「あ”っ! あ”っ!」

律動と連動してあがる嬌声が可愛くて。
戯れに先生のペニスを刺激してやれば、面白いくらいすぐに勃ちあがって吐精する。
先生の全てを俺が支配しているような感覚に陶酔して、ただひたすら射精させ、射精した。
まるで動物が獲物を嬲るかのように、先生を味わい尽くしたのだ。
思いやりや、優しさ。そんなものはヒトカケラもなかった。



深い後悔と激しい自己嫌悪に駆られ、カカシは呻いた。

「先輩? どうしました」

テンゾウの問いかけに、現実に立ち戻ったカカシは自嘲の笑みを浮かべた。

「なんでもないよ」
「では、話を元に戻しましょう。どうです? 先輩。イルカ先生は、男に抱かれ慣れている様子でしたか?」
「いいや」

――慣れているどころか……あれは、処女だ。

「羅刹丸とやらと、身体の関係があったと思いますか?」
「思わない」

テンゾウはしばらく無言で足元を見つめていたが、やがて意を決したようにカカシに向き合った。

「先輩がしてしまったことは最低ですが、一度イルカ先生と話し合うべきだと思います。イルカ先生への想いは『会いたくない』と言われて引き下がれるくらい、軽い想いだったんですか?」

カカシは目を閉じ、頭を横にふる。

「分かってもらえなくても、会ってもらえなくても、もう一度先生のところに行くよ。イルカ先生が俺をどう思おうと、先生は、俺の全てだ」

再び開いた目には決意の焔が点っていた。



スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。