【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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『今日も木の葉は平和です…たぶん』シリーズでの時系列順に並べ直したので、pixivとは掲載順が変わってます。
イルカ先生が記憶喪失になりました(※一部分を除く)★

2(完)

正確には、俺に対して思うところがあったイルカ先生が巻物の術に嵌まってしまって、日頃知りたいと思っていた俺の真意を術が強制的に確かめさせるために、こんなおかしな事態になってしまったのではないかというところだけど。
本来ならあの巻物は、術をかけた方が相手の真意を確認するべきだ。
発動した時には、二人必要なのだ。
だけどイルカ先生が一人で発動させてしまったせいで相手はおらず、術は相手ではなく自分自身にかかってしまった。
巻物には何とあったか。

『術中に嵌まった女は、愛する男の接吻で記憶を取り戻す』
『相手の真意を確かめるための術』

つまり、イルカ先生は想定外の事故で自らの術に嵌まって記憶喪失になり、行き場を無くした『相手の真意を確かめるため』が暴走して、先生の息子さんが喋るという事になったのだろう。
まだ真意を知ることが出来なかったのだから、さっきは接吻をしても記憶を取り戻せなかったのも当然だ。
恐らく女と男の表記はたいして重要じゃなかった。
大事なのは走り書きの方の、『相手の真意を確かめる』だったんだ。
そして先生が確かめたかったこと。
俺に聞く気はなかっただろうけど、ずっと確かめたかった俺の真意。
それは――

「ねぇ、イルカ先生。俺は本当にあなたが大好きだよ。そりゃ人の気持ちに絶対とかないのは分かってるけど、それでも俺の先生への気持ちは、限りなく永遠に近いって思ってるの。だって毎日毎日好きって想いが更新されて積み重なってるんだからね。だけどイルカ先生が気にしてるのは、そこじゃないよね」

俺は息子さんのぴたりと閉じられた口から溢れた滴の名残を、指先でそっと拭いとった。
息子さんが『しんじゃう』ほど不安になっているのは、俺の気持ちへの信頼ではなかった。
イルカ先生が本当に不安に思っていること。
ここを間違うと、先生の記憶は戻らない。俺はことのほか慎重に言葉を紡いだ。

「イルカ先生はさ、俺よりよっぽど男らしくて格好いいもんね。だから女みたいに反応するのがおかしい、恥ずかしいってどこかで思ってるのかもしれないけどね。俺はそんな誰も知らない、俺しか知らない先生を見せてもらえるのが、すっごく嬉しいよ」

そのまま指先で息子さんをよしよしと撫でる。
欲望ではない方の愛をこめて、ゆっくりと。

「それにね、いつか目が覚めるんじゃないの。目が覚めたからイルカ先生のことを好きになったし、大好きな先生の聞かせてくれる声だから、こんなにも愛しいって思えるの。もしイルカ先生が反応してくれなくなったら……」

もしイルカ先生が、俺が触れたりキスしても何の反応も返してくれなくなったら。
それどころか、いつものイヤイヤじゃない、心底拒絶と嫌悪の表情を見せたりしたら。

「……そっちの方が怖い」

嫌だそんなの。
今までこの手を、唇を、俺の身体を当たり前のように受け入れてくれてた想いが、一切消えてしまったら。
そうしたら俺は耐えきれずその存在を消してしまうだろう――イルカ先生ではなく、俺自身を。
身体は里のものだから本当に消す訳にはいかないけど、大切なものを知ってしまったこころは消してしまおう。
だって耐えられない。
そこにあるって分かってるのにもらえないなんて。今までこの身に溢れんばかりに浴びていたものを取り上げられて、遠くから指をくわえて野良犬のように物欲しげにしているだけなんて。
すっかりイルカ先生の形になってしまった俺のこころなんて、先生が要らないなら俺も要らない。

恐ろしい想像をしていたせいか、気付くとかたかた震えていた。
でも大丈夫ですよと包んでくれる甘い腕はない。
優しく背を撫でてくれる手も、名前を呼んでくれる声もない。

「………ぁ」

ヤバい、無理だ。
一度委ねてしまったものを放り出されるのは、こんなにも無理だ。
どうしよう、どうしたらいい?
ねぇイルカ先生無理だよ壊れる壊れる俺はまた独りぼっちで血濡られた道を歩いていくのやっぱり俺は独りにならなきゃいけないああでもこんな暗くて寒くて怖い助けて先生イルカせんせ――



――突然、ぬくもりに包まれた。



あったかい。
うん、もう大丈夫。
だってこのあったかいものは、匂いは、
冷えきった唇に押し付けられる、柔らかくてあったかいものは、

「イルカせんせ」
「あんた何やってんですか。こんな暗い中で一人で泣いて……」

がばりとイルカ先生が起き上がって、俺をぎゅうぎゅうと抱きしめてくれていた。
俺にキスを――接吻をしてから。





結論から言うと、イルカ先生の記憶は戻った。
あの夜の先生の認識は、パジャマを着て寝ている自分のポロリしたちんこの前で、この世の終わりみたいな顔してぽろぽろ泣いてる俺というものらしい。
いくらなんでもそれはないんじゃない?!
でも記憶のないイルカ先生側からしてみれば、そりゃそうとしか思えないだろう。
どんな変態だよと思うけど、先生にとってはいつもの俺の範疇からたいしてはみ出てないらしく、そんなには驚かれなかったけど……それもどうかと思う。そんなことより、俺の涙の方に気をとられていたからじゃないかって思うのは自惚れかな。
術に関しては、決め手のはずの『術中に嵌まった女は、愛する男の接吻で記憶を取り戻す』が満たされてなかったのに解術できたのが不思議だけど。真意を確かめられたことで条件が満たされたのか、或いはイルカ先生の泣いてる俺を何とかしてあげたいって気持ちが勝ったといったところか。
俺としてはイルカ先生の愛の勝利だと思いたい。
だってその方がいかにもイチャパラっぽい理由だし、巻物の制作者の自来也様も認めてくれるに違いない。

そして――
喋るちんこに関しては、イルカ先生は案の定覚えていなかった。
だからあの素直で可愛らしい息子さんは、俺だけの秘密だ。今さらそんなことを言っても俺の変態度を上げてしまうだけだろうし、なんなら頭の方を心配されてしまいそうだしね。
ただ、時々うっかり息子さんに向かって「気持ちいいね」とか話しかけてしまうのはしょうがないと思う。
イルカ先生もあんあん可愛く啼いてる最中だから気付いてないみたいだからいいけど、この癖はきっと残ってしまうだろうなぁ。
イルカ先生が記憶喪失になった時は本当にどうしようかと思ったけど、先生も無意識下であれ問題が解決したせいか、今までよりちょっと素直になってくれたし。
そう考えるとあの術は凄い優秀なのかもしれない。なにしろちんこを喋らせてしまうんだから。事件が解決した今はまた禁術の書庫に眠っているけど、あの術はいつかちゃんと解明してみたいな。
そもそもちんこが喋ること自体、術の中に埋め込まれているかは分からないけども、自白の応用に使えるってイビキも喜んでくれるんじゃないかな。……くれないかな。
それより俺のちんこが喋り出したら、イルカ先生は可愛がってくれるだろうか。
うん、きっと先生なら可愛がってくれる。俺のちんこと喋る先生もきっと可愛いよね。

そこでふと思い出した。
最初にイルカ先生の息子さんが言っていたことを。

「俺は全部覚えてますよ」

息子さんの自我があるのかないのかは結局確定しそびれてしまったけど。
もし本当に息子さんがちんことしての自覚があるなら、術の影響を受けたのは『喋るようになった』だけってことになる。
だって術の影響で生まれた自我なら、それ以前の記憶があったら逆におかしいのだ。
するとたった今でもイルカ先生の息子さんは、喋らないだけで意識があるんじゃないだろうか。


……まさか、ねぇ?





【完】

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