【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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『今日も木の葉は平和です…たぶん』シリーズでの時系列順に並べ直したので、pixivとは掲載順が変わってます。
犬も食わないケンカと、愛情の絶対値 ★

2(完)


あれから十日間。
カカシとは一度も顔を合わせていなかった。
イルカの受付のシフトがもうすぐ終わるというのに、今日も顔を出さなかった。
受付を通さない任務にでも出ているのか、それすらも知らない。
毎日のようにイルカのアパートに入り浸ってたのに、カカシの方からリアクションがないと全く接点がないことに、今さらながら気付く。

そりゃそうだよな。
相手は里の誉れで一番の稼ぎ頭だ。しかもあれだけの美丈夫で。
そんな人がそもそも俺と付き合うこと自体がおかしいんだよな。
あんなに好き好きオーラを浴びせかけてきたカカシさんだが、今回のことであの人も頭が冷えたかもしれない。
このまま自然消滅になっちまうのかもなぁ。

それに……
俺も言葉が過ぎた。
カカシさんならてっきり分かってくれると思って、子供たちに同じ気持ちを持ってくれてると思い込んで。
アカデミー教師と上忍師は立場も視点も違うのが当たり前なのに、甘えが出た。
だからといって自分の意見は撤回する気はないけど。
ただ少なくともあれだけは、「ナルトとあなたは違う」の一言だけは謝らなくちゃいけない。
あの時、一瞬だけどカカシさん、すげぇ傷付いた顔してた……

イルカは分かっていた。
好きだからこそ、分かってもらいたいからこそ、マイナスの数値が大きくなってしまうのだ。
プラスもマイナスも、関心がある相手だからこそ付く。どうでもいい人の言ったことなんて響かない。
プラスマイナスの記号を取っ払った数値が、相手への気持ちの大きさだった。
カカシへのプラマイは日々変動している。
だがその絶対値は日々積み重なって、カカシへの想いを積み上げていくのだ。

(結局惚れたもんの負けってことだよな。ちくしょう)

カカシさんは自分ばっかり好きだって思い込んでるけど、俺だって負けてねぇんだよ!
イルカは終業時間と同時に立ち上がった。
とにかくこの気持ちを伝えなければ。
もうカカシさんの気持ちは離れてしまったかもしれないが、これだけはちゃんと謝って、自分の気持ちを伝えなければならない。
とりあえず三代目にカカシさんの居所を聞いてみよう。守秘義務なんてクソ食らえだ。執務机の二段目の隠し引き出しの、じっちゃん秘蔵エロ本を盾に聞き出してやる。

教師にあるまじき事を考えながら火影の執務室に向かおうとすると、一匹の犬がぴこぴこと尻尾を振りながらこちらに来た。

「パックン!どうしたんだよ。…まさか、カカシさんに何か」
「いや、カカシはぴんぴんしとるぞ。ただならぬ落ち込みようではあるがな。久しぶりじゃなイルカよ、カカシが呼んでおるぞ。時間があるなら会いたいそうじゃ。おぬし、ヒマか?」

俺はブンブンと首を縦に振った。
するとパックンは「ならばあやつの家に行け」と言うと、まったく自分で呼びに来ればいいものをあの根性なしが…とか、うじうじしおって…とか何とか、ぶつぶつ言いながらボフンと消えた。

カカシさんが俺と話をしたいと言っている。
その内容はさておき、望むところだと意気込んで俺はカカシさんの家に走った。



カカシの住む上忍マンションまでくると、入口で部屋番号の数字を打ち込み、チャクラ認証のためモニター画面に手のひらを押し当てる。
すると扉が開き、イルカは一気にカカシの部屋まで駆け上がった。
部屋の前に立って深呼吸を一つすると、チャイムを押す前に玄関のドアが開く。

「入って」

カカシさんだ。
十日ぶりのカカシさんだ。パックンはああ言ってたけど、良かった。ちょっとやつれてるみたいだけどケガなんかしてなかった。
カカシさんは強張った顔をしてるが、安心と今までの不安と色んなもろもろが込み上げてきて、顔を見たらもうダメだった。

「…ごめ、なさぃ……」

言葉と同時に涙がぼろぼろこぼれる。

「え、イルカ先生、ちょっ、どうしたの!」

カカシさんが慌ててるみたいだけど、もう目の前が水浸しで何にも見えない。

「ごべんなざ……ナルトと、違うっで言っ、うぅっ ごべん、…ひぐっ」

こんな時に泣くなんて卑怯だ。そう思っても止まらなかった。
カカシさんもきっと困ってる。呆れて帰れと言うかもしれない。
嗚咽をこらえようするのと、とにかく謝らなきゃと同時にやろうとしたせいで、うえっ ぐえっとアヒルみたいな声をあげている俺の、
俺の……声?


ーーーーあれ? アヒルがもう一匹いる…?


ごしごし目をこすって視界をハッキリさせると、俺の真正面でカカシさんが、うぐっ ぐひっと泣いていた。

「え、カカシさん、ちょっ、どうしたんですか!」

「だ、だって、俺、あんなひどっ、ひぐっ…こと言っぢゃっで、ゼンゼにき、嫌われぢゃ…う"ぅ~っ」

とうとうカカシさんは、だばーっと泣き出した。
俺は慌ててカカシさんを抱き寄せて髪の毛をかき混ぜる。
大丈夫、大丈夫ですよ、カカシさん大好きですよと言い聞かせ、一生懸命なだめてるうちに俺もまたちょっぴり泣けてきた。
あぁ、やっぱりカカシさんだ。
俺の尊敬する誇り高い一流の忍で、その辺のショボい忍ならチビるほどすげぇバカ強い忍で。
それでいて俺みたいなムサいヤツが大好きで。
俺の大好きな、可愛いカカシさんだ。

「…あのですね、俺、カカシさんが大好きです。あの時言ったことは今でも間違ってないと思ってるし撤回するつもりもないけど、あんたの言うことも間違ってないと思います。あれはそれぞれの立場から子供たちを思っての意見なんだから、違ってていいんです。でも…」

いつの間にかカカシさんの嗚咽は止まり、静かに俺の言うことを聞いている。

「でも、ナルトとあなたは違うなんて言ってすみませんでした。あれはそのまんまの意味です。俺にとっての重要度をナルトと比べたりとか、そういう他意はありません」



「…うん、あれはちょっと痛かった」

カカシさんがようやく口を開いてくれた。

「ナルトと俺が違うのは当たり前でしょ、別の人間なんだから。…でも俺にはそう聞こえなかったの。あなたはいつもナルトの事ばかりで、俺がどんなにイルカ先生のこと大好きでも…しょせん俺よりナルトの方が大事なんだって、そんなのズルいって思っちゃって。それでつい…。俺も言い過ぎました」
…ごめんなさい。
カカシさんが小さな声で、だがハッキリと言う。

(え、と。ズルいって…何が?…………あぁ、そうだったのか)

俺は不意に気付いた。
カカシさんはナルトと比べられたと思っただけで傷付いてたんじゃなかったのか。
ホントはもっと前から。
いつからかは分からないけど、ずっと思ってたんだろう。ナルトを、七班の子供たちを思う存分可愛がりたい、と。
でも自分の立場じゃそれはできない。それでは上忍師の意味が無くなってしまうから。
そのジレンマもあって、思わずあんな非道い事を言ってしまったんじゃないだろうか。子供たちを忍としてでなく、子供として扱って臆面もなく反論できた俺への苛立ちが。
だから「そんなのズルい」のか。
カカシさんはナルトに嫉妬すると同時に、俺にも嫉妬してたのか。

(あんた、ホントに優しくて不器用で…可愛い人だよなぁ)

俺はちょっとだけ体を離し、カカシさんの顔を見上げた。まだ下足を脱いで上がってないので、だいぶ俺の方が低くなっている。
カカシさんは涙でぐしゃぐしゃになってるのにカッコよくて。いい男は得だよなチクショウ。

するとカカシさんがふふっと笑って、俺のぐしゃぐしゃの不細工であろう顔にぶちゅっとキスをした。
そのまま抱きしめると、不自然なほどにしっかり腕を巻き付かせて俺の脚の間に片脚を挟み込むと、俺を壁にピタリと縫い付けた。
これは…抱擁っていうよりも、拘束?


「…ところでイルカ先生、火影岩に向かって俺への愛を叫んでくれたんだってねぇ」

ギクリと体が強張る。

え、いやあれは勢いといいますか、その…誰だチクったの!
くそっ、下世話な忍ネットワークの優秀さを忘れてた!さすがは忍の里だなおい!!

とっさに逃げ出そうとしたが、一流の上忍様の拘束が解けるはずもなく。
カカシさんの両手が下がり、オロオロしてる俺の尻をいやらしく撫で回すとギュッと掴んだ。

「何だっけ、ホウキ頭のエロ魔神?エロの魔神ってことは、さぞかしスゴいんでしょうねぇ、いろいろと」

ねぇ、確かめてみてよ。

耳たぶを舌で弄びながら、甘く低い声で囁く。
そのまま縁を舐め上げ、舌を這わせながら耳の後ろに、こめかみに、目元にねっとりとしたキスをする。
片手は尻を撫で回したまま、もう一方の手がアンダーの中にもぐり込み、背中をゆっくりと撫で上げた。
その仕草は明らかに閨を思わせる動きで、腰椎からぞわりと快楽が背筋を駆け上がる。

そしてもう一度「ねぇ」と言われる頃には、完全に陥落していて。
敏感にその空気を嗅ぎ取った優秀な上忍様は、俺を米俵のように軽々と肩に担ぎ上げた。

「あっ、まだサンダルが…」

そう言ったとたんにポイポイと床にサンダルが転がり、脚絆まできれいに剥ぎ取られていた。

「さ、仲直りのセックスしましょうね~♪」

為すすべもなく寝室に運ばれてく途中、リビングのクッションにくつろいでいたパックンと目が合った。
消えたと思ったらここにいたのか!

パックンはカカシさんのウキウキした様子を見るとやれやれと渋い顔をして、またしてもボフンと消えた。

「…武士の情けじゃ」

という言葉と煙を残して。


(武士じゃなくて忍犬だろ!)
声なき声はパックンに届くはずもなく。
俺はポイとベッドに投げられて、二人で仲直りのセッ…ゴホンゲフン、なんとやらに没頭した。



これにこないだの-100万点を覆すほどのプラスが付いたかどうかは、俺だけの秘密だ。



【完】
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