【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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『今日も木の葉は平和です…たぶん』シリーズでの時系列順に並べ直したので、pixivとは掲載順が変わってます。
真昼の火影屋敷襲撃計画


「…で、戦利品は何だったの?」

臨時のアジトになっていたイルカのアパートで、カカシがテンゾウの懐を覗きこんだ。
「僕もターゲットの在処と形状しか聞いてなかったので…」
とテンゾウが懐から紫の風呂敷に包まれた物を取り出した。
「それ、開けてみて下さい」
祝杯の支度をしていたイルカが台所から声をかける。
テンゾウが卓袱台の上で包みを解いてみると…

「「濡れ濡れ人妻ラビリンス?」」

「…の全四巻です。最後に忍び込んだ時にこれを頂き損なってたんですよ。じっちゃんには松の木に一晩中吊るされるし、寅のおっちゃんにはおでこに海の豚って書かれるしで散々でした。でもお二方のおかげで、やっと達成できました!」
ビールとつまみを運んできたイルカが、なんとも晴れやかな顔で笑う。

「あの~、一応聞いておきますが、これも売るんですか?」
テンゾウが恐る恐る挙手しながら尋ねる。
「まさか!さすがに今はそんな事しませんよ。そうだなぁ…せっかくだから暗部待機所に置いて、待機時間にでも読んでもらって下さい。暗部の皆さんにはご迷惑おかけしたからお詫びです。それで適当なタイミングで三代目に返しといて下さいね」
「………はぁ、はい」

レア物らしいから取扱いには十分注意して下さいね~、とぐいぐい押し付けられてしまったのだが、これを暗部の面々に何と言って置いて来いと言うのだろうか。
それ以前に明日からテンゾウは普通に暗部の任務が入っているのだ。あれだけ皆をコケにしたのだから、いったいどういう扱いをされることか。
油泥は落ちにくいから、みんなきっと怒り狂ってるだろう。あぁ、明日行きたくない。一日中ベッドで木造百景を眺めていたい。
テンゾウは生まれて初めて任務拒否したい気持ちになった。
……まぁ、こうなる事は参加を了承した時点で分かってはいたが。
イルカも当然それを見越した上で頼んでいるのだろう。先輩と付き合えるだけあって、羨ましいくらいの図太さだ。

でも……。
この役は先輩でもいいような気がするんだけど。というか、その方がスムーズにいく気がするんだけど。
もしかして初対面の事を根に持ってるんだろうか。
だがイルカに暗部の非常識さを散々叱られ、しっかりとアカデミー式の教育を叩き込まれたテンゾウは、とてもじゃないが逆らうことなどできなかった。

「それにしてもさ、三代目もスゴい怒ってたね。俺明日から大丈夫かなぁ」
「ですね。僕、三代目のあんな顔なんて初めて見ました。お猿さんみたいに真っ赤な顔で…ブフッ」
逆上してたところを思い出したのか、テンゾウがたまらず噴き出す。
つられてカカシも笑いが込み上げて来て「ちょっ、やめてよ」と二人で肩を揺らしていた。

あんなむきになった三代目の顔を見るのは、カカシは初めてだった。恐らくテンゾウもだろう。
長く戦忍として外回りばかりしていたので、いかに里の皆に優しくとも、思いやりがあろうとも、二人にとって三代目はあくまでも三代目火影だった。
あんな顔を見せるのは、たぶんイルカに対してだけだろう。
実の息子のアスマに見せる顔とは別物の…悪戯小僧に手を焼くお祖父ちゃんというところか。
孫は木の葉丸がいるが、あそこまで胸襟を開いた関係ではない気がする。
三代目としてではなく、個人としてのヒルゼンに甘えて全身全霊で悪戯を仕掛けるイルカと、同じく素で迎え討つヒルゼン。
火影、つまり「里の父」でないヒルゼンは、元々あんな感じなのではないだろうか。

そういえばあまりにも自然で気付かなかったが、イルカはテンゾウのことも「木遁のテンゾウ」としては見ておらず、今回も単にテンゾウの「木遁」を活用していた。
そもそもカカシとも、初めから「写輪眼のカカシ」として付き合っていなかったのだ。
素の自分と対等に向かい合い、ゲンコツを落としてくれるような人だからこそ、イルカに強く惹かれたのだから。
そう考えると、本能のままに押し切り、何だかんだ揉めはしたが結果的にイルカと付き合えた幸運にゾッとしてしまう。
こんなにも稀有な存在を、こんな自分が手に入れられたことに。

ニコニコしながらグラスにビールを満たしていくイルカを、カカシはじっと見つめた。
視線に気が付いたイルカが、カカシとテンゾウに問いかけた。

「どうでした、今日は楽しかったですか?」

……そういえばそうだった。
今日のプランは、子供に返って悪戯をめいっぱい楽しむため、カカシとテンゾウのためにイルカが企画してくれた物だった。
イルカのグラスを持つ指に、わずかに力が入っている。
もしかしたらいい大人の、しかも上忍からしてみれば、バカバカしいと思われる事を懸念してたのかもしれない。

そうだ。バカバカしい…くらいに面白かった。
バタバタしててあっという間だったけど、確かに楽しかった。任務でもないのに、あんなに頭と体を使ったのは初めてかもしれない。
殺すためではなく、純粋に楽しむために術を使うのも。
これはやみつきになる感覚だ。寅のヤツも言っていたではないか。
「次こそ負けないからな」と。
隣に座るテンゾウも初めて見る表情をしている。
戸惑いと達成感で、笑ってるような困ってるような表情と、キラキラした目と。

「これが、楽しい……楽しかった、です。はい!楽しかったです!」
「うん、俺もすっごい楽しかった。ありがとう、イルカ先生」

するとイルカはクシャリと笑った。
一瞬眉が下がって泣きそうに見えたが、すぐ満面の笑みになって笑った。

「そりゃ良かったです。じゃあ成功を祝って乾杯しましょう」
「俺たちの成功のお祝いと、三代目の心の平和を祈って!」
「いや先輩、それは無理でしょう」
「祈るくらいはしてあげてもバチは当たらないでしょ。ほら乾杯~!」
「「乾杯~!!」」






(テンゾウ、あの本、待機所に持ってく前に俺にも見せて)

(いいですけど…イルカ先生に怒られても知りませんよ)


「…暗部の指文字、俺もちょっとなら読めるんですけど。そんなに人妻物を読みたいなら、今日はテンゾウさんの家で二人で読んだらいかがですか」

イルカが氷点下の笑顔をカカシに向けた。
「え、なんで読めるの?…じゃなくて嘘です!ゴメンナサイ!」
「僕も人妻に興味ないんで、よかったら先輩どうぞ。あ、ついでに待機所にも持ってっといて下さい」
「あっ、テンゾウずるい!俺に押し付けるな!」
「じゃあカカシさん今日は暗部待機所に泊りですね」
「イヤですぅ!人妻よりイルカ先生がいいですぅ!」


カカシとイルカとテンゾウの三人で過ごす夜が更けていく。
ビールを注ぎ合いながら。
まるで子供のような、じゃれあいのケンカをしながら―――。

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