【Caution!】
こちらの小説は全て作家様の大切な作品です。
無断転載・複写は絶対に禁止ですので、よろしくお願いします。
★エロし ★★いとエロし!
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まだ夜も明けぬ頃、ふと目を覚ましたカカシは、微かな獣の気配に身を起こした。どこからか犬の遠吠えのような声が聞こえる。
まだ眠りの中のイルカを起こさないように、そっと寝床から抜け出したカカシは、部屋に備え付けられていた障子を開けると、窓の外を眺めた。
薄闇の中に浮かぶ満月は霞がかっていて、薄暗い。
眼下に広がる町並みに目を移したカカシは、闇の中に蠢く獣の姿を見つけた。犬に似たその獣は――
「狼?」
山間部とは言え、こんな町中に狼が現れるなんて珍しい。それどころか、狼は群れをなしているのか、建物の影から次々と姿を現した。
ウォォォォーンというひときわ大きな鳴き声が響いたかと思うと、銀色に輝く毛並みのひときわ大きな狼が、現れた。
その狼の声に合わせるように、次々と吠え声が上がる。
カカシが見ている間に、狼は数を増やし、数十頭もの狼が集まってきた。
「これは……一体……」
その時だ。
耳をつんざくような銃声が鳴り響いて、ギャンという悲鳴が上がった。
その後も続く発砲音と、狼の悲鳴が夜の町を鳴り響く。
さすがにイルカも寝ていられなかったのか、目をこらしながら寝床から出てきた。
「かかしさん、今の?」
「狼が銃で撃たれたみたい」
「狼が?こんな町中で」
怪訝な顔を浮かべるイルカに、宿の中が騒がしくなってくる。
廊下の明かりが煌々と付けられると、「失礼します」という女性の声がして、部屋の扉が開いた。
「このような時間に申し訳ありません」
仲居の女性はそう言って頭を下げると、思わぬ事を口にした。
「今夜は満月のため、周囲を狼が徘徊しています。どうかお客様、日が昇り安全が確認されるまでは、この宿にとどまってください」
そう言って部屋から出て行く女性に「ちょっと待って」とカカシが声をかける。
「狼って。こんな町中にまで出るの?」
「この町に現れる狼は、ただの狼ではありません。人狼です」
「人狼?」
その言葉にカカシは思わずイルカと見つめ合う。
人狼と言えば……昼間は人間の姿をしていて、満月の夜になると狼になるという、おとぎ話に出てくる生き物だ。
「まさか、ね」
そう言って苦笑すると、仲居は「とにかくお客様、絶対外には出ないでください!」と強く言い置いて、部屋から出て行った。
「人狼……俺達以外にも、人外がいるって事でしょうか?」
イルカの疑問にカカシは小さなため息をこぼす。
「どうだろう。いないとは……言い切れないよね」
「あ、そうだ!」
イルカは良いことが思い付いたとばかりに、ぱっと顔を輝かせた。
「羅刹丸なら、知っているかも!」
「ちょっと、まさかイルカ先生。やつを呼び出す気じゃないでしょうね?」
「え?ダメですか?」
きょとんとした顔を浮かべるイルカは、カカシの気持ちなどまるで分かっていないようだ。
「ダメです。とにかく!せっかくやつから離れて二人っきりなんだから、もう一度寝直しましょうね」
そう言ってカカシは強引にイルカを抱き寄せると、寝床に引っ張り込んだ。
翌朝日も随分と高くなった頃宿を出たカカシとイルカは、町のあちらこちらに転がる大きな狼の死骸に、目を奪われた。
「なんてこった……これは」
思わず口を告いで出た言葉に、呼応するようにイルカもまた呟く。
「酷い……」
今朝方の銃声はこの狼たちを狩る為だったのか、いくら獣とは言え、こう野ざらしにうち捨てられている姿を見ると、心が痛む。
陰惨な現場を幾たびも見てきたカカシであっても、あまりお目にかかりたい物ではなかった。
ふと耳を掠める赤子の泣き声に、耳を澄ますと、イルカもまた聞こえるのか、ふらふらと声のする方へ向かって歩き出す。
土産物屋が建ち並ぶ路地を抜け、角を曲がると、人目の付く場所に、赤子の姿があった。
その脇には、死んだ狼が転がっていた。
まだへその緒の付いた赤子は、弱々しい声を上げて泣いている。
裸のまま地に転がる赤子に、周囲を歩く人々は、目をとめても、遠巻きに眺めているだけで、誰も手を差し伸べようとはしなかった。
「誰か!この子のお母さんはいませんか!」
赤子に走り寄り抱きかかえたイルカの声に、答える者はいない。
「誰か!あぁ、もうっ病院!誰か病院へ連れて行ってくれませんか!」
イルカと一緒に叫ぶカカシに、顔を顰めた男がやって来て、「狼の子だ。捨てておけ」と言った。
「狼の子って……」
驚くイルカに、男は忌々しげに口を開いた。
「そこで死んでる狼の子だよ。人狼だ。人間の子じゃない」
男は傍らで死に絶えた狼を指さした。
「あんたらよそ者だから、知らないんだ。この町にやってくる狼は、皆人狼って言う化け物さ。悪い事言わない、その子供は捨てておけ」
男はそう言い残して去って行った。
思わずカカシが周囲を見渡せば、誰も彼もが目を逸らして、離れていく。
気が付くとカカシとイルカの周りから人々は姿を消し、残されたのは狼の死骸だけだった。
「どうしよう……」
呆然と呟くイルカの肩を抱きながら、カカシはイルカを元気づけようと明るい笑顔を見せた。
「連れて行きましょう。木の葉へ。まだ間に合います」
「カカシさん」
「ほら、これで包んで」
カカシはそう言うとイルカに首にかけていたマフラーを手渡した。
「身体を冷やさないように温めて」
カカシの言葉にイルカはベストを開くと、その中にマフラーに包んだ子供を大事そうに抱え込む。
「急ぎましょう」
「はい」
忍びの足なら、急げば昼過ぎには木の葉に着くはず。
カカシは綱手に当てて、式を飛ばすと、イルカを連れて急ぎ木の葉に向かって駆けだした。
木の葉に到着後、すぐにあうんの門を潜った二人は、その足で綱手のいる火影執務室へと向かった。
執務室のドアを開けると、待っていたと言わんばかりの顔で、綱手が笑みを浮かべていた。
「シズネ、用意したやつ持っておいで」
「はい」
綱手の呼びかけで、シズネはベビーベッドを運んできた。その中にイルカが赤子を寝かすと、綱手はチャクラを練り上げた手をかざして、瞳を閉じた。
綱手の手から放出されるチャクラの糸が、輝きながら赤子を包み込む。
しばらくして綱手のチャクラの糸が全て子供の体内に吸収されると、額に汗を浮かべた綱手が目を開けた。
「やはりな。カカシ、お前の式に書いてあったとおり、この子は人間ではないな」
「それじゃ……」
「ああ。あの町の連中が言うとおり、人外だろう。種族までは分からんが、人狼というのであれば人狼なのだろうな」
その言葉にカカシとイルカ、双方の顔が引き締まる。
人外――俺達と同じ獣人。
「この子供は私が預かってやろう。どうだ、ほれほれ」
そう言って綱手が抱き上げると、赤子はむずがって泣き始めた。
「綱手様、その子嫌がっていますよ」
シズネの言葉に綱手は眉間にしわを寄せる。
「そんなはずないだろう。な?」
途端にギャーと言って泣き始めた子供に、慌ててイルカが近寄ると、赤子は泣き止んだ。
「まさか人間に触れられると嫌がるとか?」
思わずカカシが呟く。
綱手から赤子を受け取ったイルカが抱き上げると、赤子は大人しく泣き止んだ。
「フン。仕方があるまいな。お前達、責任を持ってその赤子の面倒を見ろ」
「え?綱手様!無理ですって!」
カカシの叫び声を、綱手はフンと鼻で一蹴する。
「連れ帰ってきたお前達の責任だ。なに、心配はいらん。人外はお前達以外にも当てはあるからな。養父母に相応しい者が見つかったら、連絡をする。それまでの辛抱だ。頼んだぞ」
綱手に押し切られる形で執務室から出たカカシは、赤子を胸に抱くイルカと顔を見合わせる。
両手にはシズネに手渡された紙おむつや、ほ乳瓶、粉ミルクが入った大きな紙袋を抱えていた。
「取りあえず、俺の家に行きましょうか。羅刹丸にもこの子のこと聞いてみたいし」
イルカの言葉にカカシは頷くと、その場を後にした。
まだ眠りの中のイルカを起こさないように、そっと寝床から抜け出したカカシは、部屋に備え付けられていた障子を開けると、窓の外を眺めた。
薄闇の中に浮かぶ満月は霞がかっていて、薄暗い。
眼下に広がる町並みに目を移したカカシは、闇の中に蠢く獣の姿を見つけた。犬に似たその獣は――
「狼?」
山間部とは言え、こんな町中に狼が現れるなんて珍しい。それどころか、狼は群れをなしているのか、建物の影から次々と姿を現した。
ウォォォォーンというひときわ大きな鳴き声が響いたかと思うと、銀色に輝く毛並みのひときわ大きな狼が、現れた。
その狼の声に合わせるように、次々と吠え声が上がる。
カカシが見ている間に、狼は数を増やし、数十頭もの狼が集まってきた。
「これは……一体……」
その時だ。
耳をつんざくような銃声が鳴り響いて、ギャンという悲鳴が上がった。
その後も続く発砲音と、狼の悲鳴が夜の町を鳴り響く。
さすがにイルカも寝ていられなかったのか、目をこらしながら寝床から出てきた。
「かかしさん、今の?」
「狼が銃で撃たれたみたい」
「狼が?こんな町中で」
怪訝な顔を浮かべるイルカに、宿の中が騒がしくなってくる。
廊下の明かりが煌々と付けられると、「失礼します」という女性の声がして、部屋の扉が開いた。
「このような時間に申し訳ありません」
仲居の女性はそう言って頭を下げると、思わぬ事を口にした。
「今夜は満月のため、周囲を狼が徘徊しています。どうかお客様、日が昇り安全が確認されるまでは、この宿にとどまってください」
そう言って部屋から出て行く女性に「ちょっと待って」とカカシが声をかける。
「狼って。こんな町中にまで出るの?」
「この町に現れる狼は、ただの狼ではありません。人狼です」
「人狼?」
その言葉にカカシは思わずイルカと見つめ合う。
人狼と言えば……昼間は人間の姿をしていて、満月の夜になると狼になるという、おとぎ話に出てくる生き物だ。
「まさか、ね」
そう言って苦笑すると、仲居は「とにかくお客様、絶対外には出ないでください!」と強く言い置いて、部屋から出て行った。
「人狼……俺達以外にも、人外がいるって事でしょうか?」
イルカの疑問にカカシは小さなため息をこぼす。
「どうだろう。いないとは……言い切れないよね」
「あ、そうだ!」
イルカは良いことが思い付いたとばかりに、ぱっと顔を輝かせた。
「羅刹丸なら、知っているかも!」
「ちょっと、まさかイルカ先生。やつを呼び出す気じゃないでしょうね?」
「え?ダメですか?」
きょとんとした顔を浮かべるイルカは、カカシの気持ちなどまるで分かっていないようだ。
「ダメです。とにかく!せっかくやつから離れて二人っきりなんだから、もう一度寝直しましょうね」
そう言ってカカシは強引にイルカを抱き寄せると、寝床に引っ張り込んだ。
翌朝日も随分と高くなった頃宿を出たカカシとイルカは、町のあちらこちらに転がる大きな狼の死骸に、目を奪われた。
「なんてこった……これは」
思わず口を告いで出た言葉に、呼応するようにイルカもまた呟く。
「酷い……」
今朝方の銃声はこの狼たちを狩る為だったのか、いくら獣とは言え、こう野ざらしにうち捨てられている姿を見ると、心が痛む。
陰惨な現場を幾たびも見てきたカカシであっても、あまりお目にかかりたい物ではなかった。
ふと耳を掠める赤子の泣き声に、耳を澄ますと、イルカもまた聞こえるのか、ふらふらと声のする方へ向かって歩き出す。
土産物屋が建ち並ぶ路地を抜け、角を曲がると、人目の付く場所に、赤子の姿があった。
その脇には、死んだ狼が転がっていた。
まだへその緒の付いた赤子は、弱々しい声を上げて泣いている。
裸のまま地に転がる赤子に、周囲を歩く人々は、目をとめても、遠巻きに眺めているだけで、誰も手を差し伸べようとはしなかった。
「誰か!この子のお母さんはいませんか!」
赤子に走り寄り抱きかかえたイルカの声に、答える者はいない。
「誰か!あぁ、もうっ病院!誰か病院へ連れて行ってくれませんか!」
イルカと一緒に叫ぶカカシに、顔を顰めた男がやって来て、「狼の子だ。捨てておけ」と言った。
「狼の子って……」
驚くイルカに、男は忌々しげに口を開いた。
「そこで死んでる狼の子だよ。人狼だ。人間の子じゃない」
男は傍らで死に絶えた狼を指さした。
「あんたらよそ者だから、知らないんだ。この町にやってくる狼は、皆人狼って言う化け物さ。悪い事言わない、その子供は捨てておけ」
男はそう言い残して去って行った。
思わずカカシが周囲を見渡せば、誰も彼もが目を逸らして、離れていく。
気が付くとカカシとイルカの周りから人々は姿を消し、残されたのは狼の死骸だけだった。
「どうしよう……」
呆然と呟くイルカの肩を抱きながら、カカシはイルカを元気づけようと明るい笑顔を見せた。
「連れて行きましょう。木の葉へ。まだ間に合います」
「カカシさん」
「ほら、これで包んで」
カカシはそう言うとイルカに首にかけていたマフラーを手渡した。
「身体を冷やさないように温めて」
カカシの言葉にイルカはベストを開くと、その中にマフラーに包んだ子供を大事そうに抱え込む。
「急ぎましょう」
「はい」
忍びの足なら、急げば昼過ぎには木の葉に着くはず。
カカシは綱手に当てて、式を飛ばすと、イルカを連れて急ぎ木の葉に向かって駆けだした。
木の葉に到着後、すぐにあうんの門を潜った二人は、その足で綱手のいる火影執務室へと向かった。
執務室のドアを開けると、待っていたと言わんばかりの顔で、綱手が笑みを浮かべていた。
「シズネ、用意したやつ持っておいで」
「はい」
綱手の呼びかけで、シズネはベビーベッドを運んできた。その中にイルカが赤子を寝かすと、綱手はチャクラを練り上げた手をかざして、瞳を閉じた。
綱手の手から放出されるチャクラの糸が、輝きながら赤子を包み込む。
しばらくして綱手のチャクラの糸が全て子供の体内に吸収されると、額に汗を浮かべた綱手が目を開けた。
「やはりな。カカシ、お前の式に書いてあったとおり、この子は人間ではないな」
「それじゃ……」
「ああ。あの町の連中が言うとおり、人外だろう。種族までは分からんが、人狼というのであれば人狼なのだろうな」
その言葉にカカシとイルカ、双方の顔が引き締まる。
人外――俺達と同じ獣人。
「この子供は私が預かってやろう。どうだ、ほれほれ」
そう言って綱手が抱き上げると、赤子はむずがって泣き始めた。
「綱手様、その子嫌がっていますよ」
シズネの言葉に綱手は眉間にしわを寄せる。
「そんなはずないだろう。な?」
途端にギャーと言って泣き始めた子供に、慌ててイルカが近寄ると、赤子は泣き止んだ。
「まさか人間に触れられると嫌がるとか?」
思わずカカシが呟く。
綱手から赤子を受け取ったイルカが抱き上げると、赤子は大人しく泣き止んだ。
「フン。仕方があるまいな。お前達、責任を持ってその赤子の面倒を見ろ」
「え?綱手様!無理ですって!」
カカシの叫び声を、綱手はフンと鼻で一蹴する。
「連れ帰ってきたお前達の責任だ。なに、心配はいらん。人外はお前達以外にも当てはあるからな。養父母に相応しい者が見つかったら、連絡をする。それまでの辛抱だ。頼んだぞ」
綱手に押し切られる形で執務室から出たカカシは、赤子を胸に抱くイルカと顔を見合わせる。
両手にはシズネに手渡された紙おむつや、ほ乳瓶、粉ミルクが入った大きな紙袋を抱えていた。
「取りあえず、俺の家に行きましょうか。羅刹丸にもこの子のこと聞いてみたいし」
イルカの言葉にカカシは頷くと、その場を後にした。
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