【Caution!】

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★エロし ★★いとエロし!
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 もう間もなく春も間近な寒い夜。うみのイルカは自宅のちゃぶ台の前に陣取り、書類を眺めていた。
 アカデミーの卒業式の準備で慌ただしい今の時期、アカデミー教師であるイルカ達は、手塩にかけて育て上げた生徒達が、無事に卒業できるのかと不安と心配で心が落ち着かないのだ。
 毎年この時期になると心がざわめくけれど、今年は特に焦燥感があった。
 なぜならナルトが卒業を控えていたからだ。
 最初はアカデミーで一番の問題児と呼ばれたナルトだけれど、今では努力を続けてメキメキと力を付けている。
 卒業できる実力はあるとイルカは思っているけれど、アカデミーを卒業した後下忍になれるかどうかは、上忍師となる者達が課す試験の結果によるからだ。
 例年なら余程のことがない限り、上忍師の試験に落ちた者はいない。
 だが今年は状況が異なり、イルカは不安で頭を抱えていた。
 イルカがじっと見つめる書類は、今年の上忍師となる者達のリストだった。
 その中に一人、特殊な経歴を持つ者がいた。
 はたけカカシ。木ノ葉の里を代表する忍びだ。
 うちは一族の写輪眼を有し、暗部でもその人ありと呼ばれる程の実力者だったけれど、今まで一度も上忍師試験に合格させた子供がいなかった。
 ことごとくカカシの試験に落とされて、誰一人として彼の元で下忍になれた者はいない。
 そんな要注意人物の担当する予定の生徒達は、よりによってナルトとサスケ、サクラという、個性的な子供達だった。
 ナルトは忌み子として里人に見放された子供であり、下忍になれなければ、九尾の器として里に閉じ込められる。サスケもまた生き残った唯一の写輪眼持ちとして、里から出ることを禁じられるかもしれなかった。
 忍という厳しい世界で生き残るのは、並の努力と決意では続けられないけれど。
 里に留め置かれる縛られた生活よりも、広い世界を見た方がきっと良い。
 だからイルカはなんとしてでもナルトにサスケ、サクラには、下忍になってもらいたかった。
 でも肝心の上忍師がはたけカカシでは、難易度が高すぎるのだ。
 せめてアスマやガイならば、下忍として育て上げようとしてくれると思うけれど、この二人は別の子供達を受け持つと決まっている。
 どうしてナルトが卒業する今年に限って、はたけカカシが上忍師の候補にあがったのか、イルカは不運を嘆きそうだった。


 季節が冬から春へと変わり、ナルト達はアカデミーを卒業していった。イルカがほっと安堵する間もなく、次なる課題は上忍師による下忍になれるかどうかという試験だ。
 次々に卒業生は合格して、上忍師に率いられ任務受付所に顔を出すようになったけれど。
 ナルト達だけがいつまで経っても姿を現さない。
(上忍師試験に落ちたとも聞かないし、どうなったんだろう……)
 毎日祈るような気持ちで、イルカは受付業務をこなしていた。


 そんな気持ちが落ち着かない日々を過ごしていたイルカの元に、ついにナルト達が満面の笑みを浮かべて現れたのは、数週間が過ぎた頃だった。
 受付に座るイルカの元へと、金髪の子供が目を輝かせて走ってきた。
「イルカ先生! 俺ってば合格したってばよ!!」
 わーっと騒がしい声を上げて走ってきたナルトを、イルカは椅子から立ち上がると受け止める。
「良かったな! ナルト!」
 ナルトの後に続いてやって来たのは、照れくさそうにしているサスケと、ニコニコしているサクラだ。
「サスケもサクラも! おめでとう!! お前達、頑張ったなっ。本当に良かった!」
 イルカは目元を潤ませながら、ワシャワシャと二人の頭を撫でた。
「もうっイルカ先生ってば。髪の毛乱れちゃうっ」
「アハハ、ごめんなサクラ。サスケも」
 文句を言いつつも嬉しそうなサクラと、相変わらず照れくさそうなサスケの頭を撫でていると、子供達の背後に見知らぬ男が立っているのに気がついた。
 少し癖のある茶色の髪に、榛色の瞳。両目の下には紫色のペイントがある。
 長身でロングコートを羽織った、忍びらしからぬ緩い雰囲気を纏った男だ。
 首元にはカメラをぶら下げている。
 何よりもイルカの目を引いたのは、華のある整った顔立ちだった。
(こんな派手な男、見たことがない。依頼に来た一般の人か?)
「お待たせしてすみません。任務のご依頼ですか?」
 慌ててサクラとサスケを解放したイルカは、仕事の顔に切り替えた。
「ご要件を伺います」
「いや〜僕は……」
 困ったような笑みを浮かべた男の腕を掴み、ナルトが口を開いた。
「スケア先生だってばよ」
「スケア先生?」
 聞いた事のない名前に、イルカは一瞬間があいてしまった。
「あ〜僕、スケアと申します。この度上忍師を拝命致しまして」
「え?」
(上忍師? 上忍師って言ったのか?)
 ポカンと思わず固まるイルカを前にして、スケアは愛想の良い顔で微笑んでいる。
「あ……すみません。え~と、上忍師っておっしゃいましたか?」
「はい。この子達の上忍師です」
「あの……失礼ですが……はたけカカシ上忍の間違いですよね? こちらではそう伺っていたものですから……」
 恐る恐るイルカは問いかける。
 男はふわりと緩そうな顔をして、にっこり微笑んだ。
「スケアです。はたけカカシ上忍は、急遽遠方の長期任務に就きましたので、僕が上忍師を担当する事になったんですよ。どうぞよろしくお願いします」
 すっと手を差し出されて、イルカは一瞬戸惑う。
 だが慌てて手を差し出すと、スケアに手を握られた。
(あ……思ったよりも握力があるな。この手は忍びの手だ)
 暗器を頻繁に使用しているのか、細身の体に似合わないたこのある固い手だった。
(忍びには間違いなさそうだけど……)
「あ〜っ! そうだ! お近づきの印に、写真撮ってもいいですか?」
「え?」
「はい、チーズ」
 いきなりカメラを向けられて、慌てる間もなくイルカは写真を撮られてしまった。
「せっかくなんでみんな一緒に撮りますよ」
 スケアは戸惑うイルカの周りに三人の子供達を集めて、いきなり集合写真を撮り始めた。
 カシャカシャと音を立てて、次々に撮影していく。
「あ、皆さんも一緒にどうぞ」
 スケアは周囲にいた忍び達を呼び寄せて、撮影会を始める。
(この人……大丈夫なんだろうか?)
 イルカはふわふわと緩い雰囲気を纏いながらシャッターを切るスケアを、生ぬるい目で眺める事しか出来なかった。


 木ノ葉の里の中心部に近い繁華街。
 この日とある飲み屋の一軒で、今年度の上忍師が三人と中忍教師が一人、ビール片手につまみをつついていた。
「上忍師が急に変更されるなんて、俺聞いてませんでしたよっ」
 酒が入り少々酔いが回ってきたイルカが、上忍師達相手にくだを巻いていた。
「はたけカカシ上忍だって聞いてたのに! スケア先生って何者なんですか?」
「スケアなんて知らねぇ名前だなぁ〜まぁ、なんだイルカ不満なのか?」
 髭面のアスマが煙草をぷかりと吐き出す。
「不満とかそういうのじゃなくてですね。忍者経歴書も見つからないような人に、ナルト達を預けて大丈夫だと思いますか? 俺は心配なんです!」
「大丈夫じゃない? 火影様が任命しなければ、上忍師にはなれないわよ」
「そうだぞ!! イルカよ! 忍びならば裏の裏を読めと言うが、時には信じて身を預ける勇気も必要なのだ! それが青春と言うものだぞ!!」
「ガイ先生も紅先生も、スケア先生を見たことがないから、そんな事言えるんですよ。いきなり受付で集合写真撮り始める人ですよ?」
「まぁ、そうとう変わってるな」
「変人なのね。良いじゃない、面白そう」
「それもスケア先生とやらのコミュニケーションの一環だろう? 集合写真、撮ってほしいくらいだぞ?」
「皆さん、そんなのんきな事言って……」
 はぁ~というイルカの大仰なため息が響く。
 上忍師達とイルカの飲み会は、深夜まで続いた。


 今春からアカデミーの新入生を担当する事になったイルカは、この日もバタバタと忙しかった。
 日中アカデミーで子供達相手に授業をして、放課後になると任務受付所の受付に座る。
 目まぐるしく慌ただしい日々を過ごしていると、スケアと言う男への疑念を考える時間もない。
(ナルト達は毎日任務を頑張ってるみたいだし、スケア先生の指導には問題ないって事だよな)
 直接顔を合わせなくても、受付に提出されたナルト達第七班の任務報告書を読めば、順調に下忍として任務をこなしているのだと、イルカにはわかるのだ。
(俺の杞憂だったかもしれない。人を疑い過ぎるのも良くないな)
 そんな事を考えていた時だった。
「お願いします」
 すっと目の前に差し出された任務報告書に、受付に座っていたイルカは慌てて居住まいを正す。
「イルカ先生でもぼーっとしてる時があるんですね」
 任務報告書を差し出して来た男は、ふわりと微笑んだ。
「あっ、すみませんっ。拝見します!」
(びっくりした。まさかスケア先生がいるなんてっ)
 イルカを面白そうに見下ろすスケアは、今日もロングコートにカメラをぶら下げていて、首元にはマフラーを巻いている。
 ロングコートの下には、おそらく正規服のベストを身に着けていて、コートの裏側には暗器も仕込まれているのだろうとイルカは思っているけれど。
(とはいえ……マフラーはそろそろ暑いと思うけど……)
 イルカがチラリと見上げると、にっこりと微笑むスケアと目があってしまう。
 気まずくなったイルカは受領印をペタンと押して、微笑み返した。
「お疲れ様でした。第七班は明日はお休みですね。スケア先生もあいつらの相手、凄く疲れたでしょう? 明日はゆっくりしてくださいね」
「ありがとうございます」
 ニコニコ微笑むスケアは、このまま踵を返し帰るのだとイルカは思っていた。
 しかしふわふわした雰囲気を纏ったスケアは、じっとイルカの前に立ち止まったままだった。
(……いつまでいるんだろう? この人)
 妙な緊張感でイルカは冷や汗が流れる。
「あの……スケア先生。任務報告書は受領しましたので、お帰りになられても大丈夫ですよ?」
 恐る恐るイルカは口を開く。
「イルカ先生、突然なんですが、僕と飲みに行きませんか?」
「あ、あの……本当に突然ですね?」
 イルカはスケアの申し出に戸惑う。
「今夜なんてどうですか?」
「すみません。まだ仕事が終わってないので……」
 グイグイ来るスケアに、イルカはタジタジだった。
「僕、待ってます」
「あ、いや……お待ち頂くのは申し訳ないので。また次回誘って下さい」
 さり気なく断ったつもりだったのだが、スケアは引かなかった。
「僕の事、興味あるんでしょう? 他の上忍師の先生方に聞かないで、直接僕に聞いてくださいよ」
 スケアはロングコートのポケット中から、一枚の写真を取り出した。
 差し出された写真を見て、イルカは言葉を失った。
(これって……なんで?)
 その写真には、アスマに紅、ガイと飲んでいるイルカの姿が写っていた。
「なんでって顔してますね〜」
 イタズラが成功した子供のように、スケアは嬉しそうに頬を緩ませる。
(どうして? 飲み会の写真なんて……撮られていたなんて、全く気が付かなかった……)
 おそらくあの場にいた上忍師達も、誰も気がついていなかったに違いない。
(盗撮されてたなんて……)
 ぞわりとした悪寒が背中を走り抜ける。
 急に目の前のスケアが恐ろしくなって、イルカは青ざめた。
「あっ、ごめんなさい! 驚かせるつもりはなかったんです! 怖がらないで下さい。奢りますから、夕飯付き合って下さい。ナルト達の様子もお話したいし」
「ナルト達の事ですか?」
(ナルト達の様子は知りたい! でも……)
「本当に悪気はありませんから! 盗撮は謝ります! 僕、盗撮が趣味なんです!」
(盗撮が趣味⁉)
 イルカは顎が外れるかと思うくらいあんぐりと口を開けたまま、呆気にとられてしまう。
「ね、行きましょうよ!!」
「……わかりました……」
 スケアの熱意に押されて、渋々イルカは頷いてしまった。


 任務受付所の仕事が終わり、イルカを待っていたスケアと共に、先日上忍師達と飲んだ飲み屋へと向かった。
 イルカはのれんを潜り、スケアと一緒に賑やかな店内の片隅のテーブル席に腰を下ろした。
 スケアは上機嫌で店員を捕まえて、ビールとつまみを注文する。
「そんなに固くならないで下さいよ。リラックス、リラックス」
 相変わらずふわふわした緩さで、スケアは微笑む。
 イルカは深呼吸すると、気持ちを落ち着けた。
 スケアは運ばれてきたビールとつまみをイルカに勧めると、自分も口をつける。
「どうぞ、遠慮しないで下さい。奢りですから」
「あ……いえ、上忍師の先生に奢って頂くわけには……」
 恐縮するイルカに、ふわりとスケアは微笑む。
 スケアの微笑みはどことなく華があって、イルカも思わず見惚れてしまった。
(スケア先生って……よく見ると凄く綺麗な顔してる……)
 人当たりの良さそうな雰囲気といい、整った容姿といい、なんでこんな目立つ人を誰も知らないのか、イルカには不思議だった。
(その上盗撮が趣味なんて……悪癖としか思えない……)
 改めてとんでもない人が上忍師になったと、複雑な気持ちになってしまった。
「イルカ先生、難しい顔してますね。眉間に皺寄ってますよ?」
「あ……皺、寄ってました?」
「はい、僕の事、考えていたでしょう?」
 ズバリ言い当てられて、イルカは目を見開いた。
「イルカ先生は嘘がつけないんですね」
「いや……忍びらしくないですよね? 隠し事が苦手で」
「ううん、好感度上がりました」
「はぁ?」
(なんかこの人といると、調子が狂うな……)
「まぁ、とりあえず飲みましょう」
 スケアにビールを勧められて、イルカは勢い良く飲んだ。
(もうヤケだ。とことん飲んでやる!) 
 杯が進んだ所でほろ酔いになり、気分が前向きになってきたイルカは、思い切って口を開いた。 
「あの……スケア先生って……」
「何者かって事ですか?」
 スケアは穏やかに微笑む。
「見ての通り写真家です」
 首にぶら下げた一眼レフカメラを、慣れた手つきでスケアは構えた。
「上忍師で写真家ですか?」
 イルカはずっと気になっていた事を口にする。
「うーん、ご不満ですか? はたけカカシじゃなくて」
「いえ……そんなわけではないです」
 意味深な顔して、スケアは目を細めた。
 急に見定めるような鋭い視線を感じて、イルカは戸惑う。
 だがスケアは一瞬にして、また元のふわふわした穏やかな青年の顔に戻っていた。
「これをイルカ先生に見てもらいたくて、誘ったんです」
 スケアがロングコートのポケットから取り出したのは、写真の束だった。
「これ……ナルト達の?」
「はい、任務の様子。隠し撮りしちゃいました」
 写真に写っていたのは、慣れないDランク任務を、必死にこなす七班の子供達の姿だった。
 畑で土に塗れながら、野菜を収穫したり、泥だらけになりながら、田植えの手伝いをしている。
 また別の写真にはイノシシ相手に格闘する姿や、迷い猫探しに奔走して、やっと捕まえた猫に顔を引っかかれていた。
 どの写真の子供達も、生き生きとしていて、目を輝かせている。
 写真の中のナルトやサスケ、サクラの姿は、スケアを慕い任務に就いているのだと、雄弁に語っていた。
「良い顔してますね、あいつら」
(スケア先生は本当に、ちゃんと子供達と向き合ってくれているんだ。そうじゃなきゃ、こんな顔はできない)
「……良い先生ですね。スケア先生は……」
「え?」
 イルカのつぶやきが聞こえたのか、スケアは目を見開いた。
「あいつらの上忍師……スケア先生で良かった……」
「イルカ先生?」 
 酔いが回ってきたイルカは、本音をこぼす。
「はたけカカシ上忍じゃなくて、良かったって思ってたんですよ……だってはたけカカシ上忍って……今まで一人も合格者出してないって言うじゃないですか。スケア先生があいつら受け持ってくれたから、無事下忍になれて良かったって思ってたんですよ。でも……」
「僕が頼りないから?」
「いえ、決してそういうわけじゃないんです。ただ……盗撮が趣味だなんて……今まで写真家している上忍師の先生なんて、いなかったから……」
 ずっとイルカの胸に引っかかっていた事が、酔いの勢いで口から零れ落ちてしまう。
 スケアはフッと肩をすくめた。
「こう見えて僕、暗部上がりなんです」
「ええっ暗部!」
 思わずイルカは大きな声が出てしまった。
「しーっ内緒ですよ」
「あぁっすみませんっ」
 口元に指を当てたスケアに小声で囁かれて、イルカは身を縮めた。
「僕、斥候やったり隠密やったりしてたから」
「ああ……それでなんですね。写真家なの」
「ウフフ、そうなんです」
 スケアはナルト達の写真を指差す。
「子供達、頑張ってますよ」
「あいつら……本当に頑張ってるんですね」
 思わずイルカの目元が熱くなる。じんわりと滲んできた視界に、イルカは慌てて涙を拭った。
「ナルト達の事、よろしくお願いします。どうか立派に忍びとして独り立ちできるように、導いてやって下さい」

 
「イルカ先生、眠っちゃったんですか?」
 テーブルに突っ伏し、寝息を立てるイルカの姿を見つめながら、スケアは穏やかな笑みを浮かべた。
「イルカ先生って、本当に子供達の事心配してるんですね。貴方にだったら、いつか本当の姿見せても良いかな……」
 思わずスケアの口は、そんな言葉を漏らした。


 *****
 今から数ヶ月前。
 まだ時折雪がちらつく寒い季節に、はたけカカシは遠方の任務地より、木ノ葉里へと呼び戻された。
 火影執務室に赴いたカカシは、久しぶりに三代目火影と顔を合わせた。
「久しいな、カカシ。元気にしておったか?」
 煙管をくゆらせ、老翁は顔を綻ばせた。
「お主も忙しい身。単刀直入に言おう。どうじゃ、上忍師をやってみんか?」
(やっぱり、この話題か……)
 この時期にカカシが火影に呼び出される用件と言ったら、毎年決まっているのだ。
 上忍師として下忍を育てろと言うものだ。
 だがカカシは、ピシャリと言い放った。
「お断りしますよ。どうせ写輪眼のカカシってブランドに群がる奴らでしょう? 本気で忍びを目指してる奴なんかいない」
「それはどうかのう? お主に預けようと思っておるのは、うずまきナルトとうちはサスケの両名と春野サクラじゃ」
「うずまきナルトにうちはサスケ?」
 聞いた事のある名に、カカシの眉がピクリと動く。
「九尾の器とうちは一族の生き残り。並の子供ではない」
「……そんな子供を俺にですか?」
「お主ならきっと育ててくれるとわしは思っておる」
「よりによって俺になんて……他に適任者がいるでしょう?」
「他にはおらんのう。うずまきナルトにうちはサスケは、お主にとっても縁のある子供じゃ」
(ミナト先生の子に、オビトと同じうちは一族の生き残り……)
 確かにカカシにとっては、全く無縁の事達ではなかったのだ。
 眉間に皺を寄せ、カカシは考え込んでしまった。
(ナルトとサスケを預かれと、この俺に二人は言うのか?)
 これも運命なのかと、カカシはフッと何かを決意したような表情を浮かべた。
「……条件があります。はたけカカシではなく、スケアとしてなら上忍師も考えてみますよ」
「スケアか……なんでまた姿を隠すのじゃ?」
 ぷかりと紫煙を吐き出した火影は、鋭い眼光をカカシに向けた。
「写輪眼のカカシでは、色眼鏡で見る奴らが群がって来るでしょう? 俺はそんな奴らの相手をしてやる程、気持ちに余裕なんてないですからね。暗部ではなく流れの写真家なら、期待外れで子供らもがっかりするんじゃないですかね? まぁ、上辺だけで実力を見抜けないような腑抜けじゃ、忍びなんて勤まりませんから」
「色眼鏡か……ふむ、まぁ良い。お主の好きにするが良い」


 *****
「すっかり眠っちゃいましたねぇ。さてどうしようかな?」
 飲み屋のテーブルの席で、気持ち良さそうに眠るイルカを見て、スケアは店員を呼び会計を済ませた。
「イルカ先生、帰りますよ。歩けますか?」
 一応イルカに声をかけてみたスケアだったが、イルカは一度目を開けて再び眠ってしまった。
「仕方がない人ですね。無防備すぎますよ」
 スケアはおもむろにイルカの肩を抱くと、体を支えながら飲み屋の玄関口へと向かった。
 飲み屋の戸を開けて外へ出ると、ひんやりとした夜風が頬を掠める。
(酔い冷ましにちょうど良い風だな)
 髪を揺らす風が、酒で火照った体には心地よい。
 そんな事を思っていた時だった。
 繁華街の片隅に、昔なじみの顔を見つけたのは。
「よぉ、カカシ。イルカをどこに連れてく気だ?」
 険しい顔をして、スケアを待ち構えていたのは、アスマだった。
 スケアがイルカを飲みに誘った事を、アスマは知っていたようだ。
「あれ? 何の事ですか?」
 ふわふわとした表情を浮かべて、スケアは首を傾げる。
「すっとぼけるのもいい加減にしろ。この前飲み屋にいただろうが」
「あれれ。バレてましたか?」
(バレていたのなら仕方がない)
 スケアはおもむろに茶色のウィックを外す。
 現れたのは、月明かりに照らされる銀の髪。
「やっぱりアスマの目は誤魔化せないか」
 ふわふわとしたスケアの顔から、瞬く間も無く、鋭く尖った刃のような雰囲気のカカシの顔へと表情が変わった。
「イルカを寄越せ」
 殺気を滲ませ言い放つアスマを見て、カカシは肩を竦めた。
「家まで送ってくだけよ」
「そう言うのが危ないんだよ。こいつは生真面目だからな、お前が遊びでちょっかいだしていい奴じゃない。送り狼が。俺が家まで連れて行く」
「人聞きが悪い事言わないでよ。でもまぁ……今回だけは譲ってあげる」
「何が譲るだ。もうちょっかい出すなよ」
「遊びじゃなければ良いんでしょ? この人の事もう少し知りたいって思っちゃったんだよね」
「カカシ……お前……」
「まぁそういう事で。よろしくお願いしますよ。アスマ先生」
 カカシは再びウィックを被ると、スケアの顔で微笑む。
 その姿にアスマは大仰なため息をついた。
「遊びじゃないなら、せいぜい頑張るんだな」
 スケアはにっこり笑うと、夜の町に消えて行った。
 
【完】
 




÷÷÷÷÷・÷÷÷÷÷・÷÷÷÷÷

カカイラーの皆さま、すんごいの頂いちゃったわよオオオオオオオ
上忍師スケア!!!
これね、前から読みたいけど無いなぁ、書くしかないんだろうなぁってリストに放りっぱなしになってたテーマなんですよね。
だって難しいんですよ!
それをお祝いリク何がいい?と聞かれてお渡しする私もどうかと思うんだけど、はやおさんなら絶っっ対に面白くしてくれる!って信頼があったのでね!
だって前に傀儡師もそうやってお願いしたテーマだったので!!!

それでね。私は難しいって思ってたのに……見ました⁈
はやおさんが書いてくれると、これホントに有り得そうすぎてすんごいね!
これぞまさに二次創作の醍醐味!!!
カカシさんが有名になりすぎた自分のブランドを嫌って、変装して上忍師とかめっちゃやりそうな展開じゃない?
ここから親睦を深めていくだろうし、その過程でイルカ先生がカカシさんのこともいろいろ言う…っていうか言うように誘導するんだろうけど、そしたら複雑な三角関係になりそうだよねぇ。やっぱり自分に嫉妬しちゃうのかな?
楽しそうでニコニコしちゃうな〜〜
またこの続き書いてくれないかなぁ〜〜〜

はやおさんにお願いしてほんっっっと良かった!
10周年にめっちゃ素敵なお祝いありがとうございました(*˘︶˘*).。*♡

はやおさん pixiv
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