【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし 
★★いとエロし!
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「このゴワゴワしてるじーんず?なんか動きにくいんだけど」
カカシが穿き慣れないジーンズの表面をさすってぼやく。
「ゴワゴワって…火影服の方がよっぽどもったりして動きにくそうでしたよ。まぁ、支給服は程よくフィットでしたからね。暗部服に至っては体のラインがタイトでエロかったしなぁ」

イルカは昔を思い出しながらも、手は休めずにテキパキと段ボールの中身を片付けていく。
「エロかった!?イルカ先生、暗部服好きだったの?早く言ってよもう!じゃあ早速テンゾウに言って取り寄せ…!っぶないなぁ、先生」
背中に向けて投げつけられた皿二枚を、カカシは指先でパシパシッと受け止める。
「バカなこと言ってないで皿をそこの棚の下の段にしまって下さいね。早く片付けないと晩飯食いっぱぐれますよ。それから俺のことは、ぃ…イルカと呼び捨てて下さい。イルカ先生じゃおかしいので」

後半から急に早口になったイルカを横目に、カカシはこっそり微笑む。
いくつになっても初々しさが抜けなくて、本当にいとおしい人だ。
だがそれをストレートに指摘すると恥ずかしさのあまり暴発してしまうので、一人胸の内で楽しむことにして返事をするだけに留めた。

「はぁい、イルカ」

背中の方から「ぐぬぅ」だか「うぐぅ」だか呻き声がしたが、カカシは何食わぬ顔をして作業を続けた。
あ~あ、盛大に照れて一人百面相やってる顔を見てみたかった。ざ~んねん。




二人は今、木の葉の里から遠く、和の国に来ていた。
といっても潜入任務などではない。カカシが火影を引退したのを期に、一緒に長期休暇をとってここにしばらく住むためだ。
永住する訳ではないので荷物は最低限、連絡用の式や口寄せの巻物以外は、武器や巻物もほとんど持ち込んでいない。衣類すらあらかじめ和の国の物を取り寄せて、忍服や残りの荷物は里の二人の家に置いてきている。

今日はその引っ越し当日なので、こちらの引っ越し屋に変化して巻物に収納していた荷物を運び込み、改めて元の姿に戻って荷ほどきの真っ最中だった。
ブル以外の忍犬達も口寄せして、掃除や片付けを手伝ってもらっている。
今も「イルカ、イルカ、これあっちでいいの?」「ねぇイルカ、これも運ぶんだよね」などとイルカを連発してはしゃいでる様子は、母親のお手伝いをして褒められたい子供のようだ。

主のカカシの方には誰も寄って来ないことに…というか、イルカが忍犬ばかり構ってることに若干拗ねた気持ちだが、彼ら無しには今回の和の国休暇は実現しなかったので、不満をグッと呑み込む。
元火影ということで護衛などの問題もあったが、忍犬の口寄せの巻物を持っていくという条件付きでカカシが強引に押し切った、完全に二人っきりの休暇。
そして何よりも……

「やっぱりこの姿だと暗部の頃を思い出しちゃう?」
「暗部の頃っていうか、カカシさんは何着ても似合いますよね…。つーか昔とほとんど体型変わんないじゃないかチクショウ」


二人は二十代前半に変化していた。


中年男二人が昼間っからフラフラしてたら、怪しい事この上ないですからね!潜入の基本です!こちらでチャクラを使う事なんてほとんどないだろうし、休暇中はこれでいきましょう。という鶴ならぬイルカの一声で、二十代の姿で過ごす事が決定した。

衣装は一般的な和の国の若者らしい、Tシャツにジーンズ。
カカシのTシャツにはカラスのイラストが、イルカのTシャツには当然と言うべきか、イルカのイラストがプリントされている。
設定は、和の国の人間にはとても見えないカカシが「ハーフの駆け出しエンターテイナー」つまりはマジシャン。
イルカは異国での教職は無理があるので「作家志望の文筆業兼カカシの助手」。

要するにちょっと怪しいけど、職業的にも年齢的にも人種的にもまぁ許容範囲かな、といったところに落ち着いた。
マジシャンならうっかりチャクラや術を使ってしまっても、何とか言い訳できる。それにカカシの派手な容貌は、目立つが故にエンターテイナーとしての説得力があるとイルカは踏んだのだった。
…まぁ、無駄にファンを増やしたくないというイルカの超個人的な事情で、カカシには街中ではマスク着用を義務付けたのだが。

火影だった頃は初の覆面火影で胡散臭がられると思いきや、ずいぶんとモテてイルカはやきもきさせられたものだ。
笠と覆面で顔のほとんどが隠れているというのに「そこがミステリアスでステキ!私だけに素顔を見せてという心境にさせるのよね」とサクラが解説してくれたことがある。
へぇ、とその時は分かったような分かってないような相槌を打ったが。もう四十路にもなるのに、イルカにはいまだに女心こそミステリーだ。

でも確かに「自分だけが素顔を知っている」優越感というのはあるかもしれない。
巻物から等身大のイルカのぬいぐるみ(もちろん海に棲む方だ)をいそいそと引っ張り出しているカカシをちらりと見る。
あんな馬鹿デカいぬいぐるみなんか邪魔だから置いてけと言ったのに、やっぱり持ち込みやがった。
あのぬいぐるみはイルカがいない時の身代わりなのだ。
ぬいぐるみにイルカが抱き付くか、脱いだ服を着せて定期的に匂いを付けろと言われても、もう「この変態が!」とも思わなくなってしまった。
むしろ子供みたいで微笑ましくなってしまうから末期だ…という自覚はある。
こんなカカシの可愛らしい素顔を知ってる優越感は、成る程なかなかいいもんだ。
じわりと滲む幸福感に免じて、等身大イルカは目こぼししてやろうとイルカは口許を緩めた。


だいたいの片付けが終わったところで、忍犬達をお疲れさまと還したカカシにイルカが声をかける。
暗くなる前に大家さんへご挨拶に伺っておきましょうというイルカに従い、里の銘菓「木の葉饅頭」を持って同じ敷地内の一軒家に住む大家さんの所に向かった。
こういう程よい距離感の人付き合いは、イルカの方がはるかに上手だ。カカシは一歩下がって全面的にイルカに任せる意志を示した。

イルカがチャイムを鳴らすと「はいよー、ちょっと待っとくれ」と返事があり、しばらくしてドアが開いた。
すると二人が見ていた目線よりだいぶ下方に初老の女性が現れる。

「お忙しいところすみません、今日からこちらにお世話になる畑と海野と申します」
「あー、あんた達が201号の。ハイハイよろしくね」
大家さんは木の葉饅頭を受け取ると、カカシをじろじろと眺め回し、
「そっちのお兄さんは外人さんかい?ずいぶんとまぁ別嬪さんだねぇ」
と感嘆の声を上げた。
出会い頭でストレートに褒められたカカシはさすがに照れ「いやそんな…」などと呟きながら髪をくしゃくしゃとかき回す。

「こいつはハーフなんですよ。向こうでエンターテイナーとして活躍してたんですけど、こっちに仕事の拠点を移したいって言うんで」
「えんたーてらー?って何の仕事だい?」
「要するに手品師、マジシャンです。俺は作家を目指してるんですけど、その助手も時々してます」
「へぇ~、格好いいねぇ。で、そのでっかい顔の傷はどうしたんだい?二人ともなんて珍しいねぇ」
「俺は小さい頃、木から落ちちゃって…」
イルカがニシシと笑い、傷の辺りをぽりぽりとかく。
「ずいぶんやんちゃだったんだねぇ。子供はそれくらいやんちゃな方がいいやね」
大家さんもイルカと一緒にヒャッヒャッと笑った。
「俺もほら、目にあるでしょ。向こうで傷がある同士で仲良くなったんですよ~。ね~、イルカ~♪」
カカシがイルカの肩を組む。
「まったく、男ってのはいくつになってもつるむんだねぇ。まぁ、つるんで悪さなんかしないどくれよ」

あはは!大丈夫ですよ!それではこれからもよろしくお願いしますね~、と挨拶を切り上げ、二人でそのまま商店街に出る。
夕刻の街中は人通りも多いので、イルカは使い捨てマスクをカカシに渡した。
さすがに今日ばかりは外でサッと夕食を済ませたい。
引っ越したから蕎麦でしょうというイルカの主張により、商店街で最初に目についた適当な蕎麦屋に入った。

「…うまいこと誤魔化しましたね、カカシさん」
おしぼりで手を拭きながらイルカがニヤリとする。
顔の傷は消したくないとカカシが駄々をこねたのでそのまま残したのだが、細かい設定は考えてなかった。
こういう細部の設定は、下手にあれこれ考えすぎると返って嘘臭さが増す、というのが潜入任務時のイルカの持論だった。
聞かれてとっさに出る真実を織り混ぜた嘘が、最もバレにくい。
要は一度言った事を覚えておけばいい話なのだから。

「あぁ、傷のこと?だって二人して顔に傷って、似たような説明じゃマズいかと思って。かといって目の移植手術したからですよ~って言う訳にもいかないじゃない。ま、設定は追々考えましょ」
「カカシさんは手品に失敗したでいいんじゃないですか」
「それじゃ俺の手品の腕が悪いみたいでしょ!」
なぜかカカシが憤慨した。
別にホントの手品師じゃないんだからいいと思うんだけど。やっぱり木の葉の業師としてのプライドとかあるんだろうか。
こいつのこだわりはよく分からん、とイルカはハイハイと適当に流した。

「…ところで大家さん、どっかで見たことある顔してませんでした?」
「あ、それ俺も思った。誰だろうね、二人が知ってる共通の人でしょ?」
「共通の人…。人、じゃないような気がするんですけど」
しばらく二人とも無言で考え込む。
(人じゃない。二人が知ってる。人じゃない…キャラ?動物?)
「あっ!」
イルカが声を上げると同時にカカシもひらめいた。

「「パックン!!!」」

思わず二人してブフーと噴き出してしまった。
顔のシワ具合や半目なのに大きな目、体は小さいのに大きな態度。
そして何よりも、ちろんと二人を見上げる時の顔つきがカカシの八忍犬のリーダー、パックンにそっくりだった。
イルカは笑い転げながらも頭の片隅で考える。これは大家さんの容姿の表現に今後気を付けなきゃな、と。

なにしろカカシはパックンの事を“心の底から”可愛いと思っているのだ。
そのパックンと同列にイルカを可愛いと連呼してるのかは分からないが(そこは深く考えないようにしている。なんとなく)、とにかくカカシの審美眼的にパックンは可愛いのである。
そのうち大家さんの事を「あの可愛い大家さん」などと呼び出すだろう。その時に微妙な顔をしないよう気を付けなくては。

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