【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし 
★★いとエロし!
↑new ↓old (カテゴリ内↓new ↑old) 

そんな半同居生活が続いたある朝。
イルカが暗部待機所に届け物をすると言うので、俺も任務内容の確認をしに行くつもりだったからと一緒に行く事にした。
待機所に連れ立って入っていくと、酉と寅と申がいた。

「おいおい、朝っぱらから同伴出勤か?」
「イルカちゃん、体は大丈夫?嫌なことされたらお姉さんに言いなさい。カカシの股間を封印してあげるから」

ユズリが札を数枚取り出してイルカに渡した。
横目でちらりと見ると、それは封印どころか貼られた部分の身体機能を停止させた上に腐らせるという、ユズリらしいエグい代物だった。

「ちょっと、そんな危ないのをイルカにホイホイ渡さないでよ!」
「あら、だってイルカちゃんがあんたに力で敵う訳ないじゃないの。当然の自衛策よ」

自衛にしちゃ攻撃的すぎるだろ!と札を取り上げたが、イルカはきょとんとしている。
そんな事よりも!

「なんで俺がイルカに手を出してる前提になってるワケ?」

俺がそう言った途端、待機所が凍りついた。

「カカシ…それ本気で言ってんのか?」
「あれだけ執着して追っかけ回して朝から一緒にここ来りゃ、誰だってもうヤっちまったって思うよ」
「そうよ、可愛いコは早くツバ付けとくに限るわね~。さすがカカシ、早業だわ~って言ってたのよ?」

頭ん中がぐるりと一回転した。……気がした。

「あの、カカシには手なんて出されてないですよ!そりゃ、過保護で鬱陶しい時もあるけど、ツバ付けたり殴ったりなんて意地悪しないです!」

イルカが全く見当違いなフォローをしてくれる。
ていうか鬱陶しいって思ってたんだ…、そう……。
いやそれよりも。

三人が意味深な目線を交わしている。
面越しだがはっきり分かる。
案の定、申…シグが上体を屈めてイルカの肩に腕を回し、頬を撫でながら囁きかけた。

「イルカくんはさ、すっごく気持ちいいコトしたくない?良かったら俺が教えてあげるけど」
「すっごく気持ちいい事?でっかい風呂で泳ぐみたいな事とか?」

ユズリも立ち上がってプロテクターをわざわざ外し、イルカの腕をとって胸に押し付ける。

「そうねぇ、も~っと気持ちいいコト。頭の中が真っ白になって、爆発しちゃうようなコト。二人っきりが怖かったら、みんな一緒でもいいのよ」

イルカは訳が分からないながらも、肘がユズリの胸に埋もれてるのが恥ずかしいのか、顔を赤くしておろおろし始めた。
その様子を見て、俺の中の何かがブチっと音を立てた。
いや、バチバチかもしれない。
イルカに右手を伸ばすと、それは輪郭が分からないほどの蒼白いチャクラに包まれていた。
ユズリが素早く印を組んで結界の壁を張り、シグがイルカを抱えて後ろに跳ぶ。そして寅…コウガが俺の右腕を掴んでいた。

「おいおい、ちょっとふざけただけだろ。悪かったな。だからやりすぎんなよ」

俺はチャクラを散らしてコウガの腕を振り払った。

「イルカはお前らなんかには渡さない!気持ちいいコトなら俺がいくらでも教えてやるから!ほらイルカ、帰ろう!」

今度はただの右手を差し伸べると、イルカは持ってきた包みを「これ、こないだのお礼です」とシグに渡して駆け寄ってきた。
「それじゃ、また今度~!」
と手を振るイルカを引っ張って待機所を出る。

「イルカちゃん、またね~」
「イルカくん、ありがと~!」
「カカシ~!今日は22時集合だからな、忘れんなよ~!」



俺はイルカの手を握ったまま暗部棟を出て、ずんずん歩いていった。

「…なぁ、なんでカカシはさっきあんなに怒ってたんだ?」

俺が答えないでいると、怒ってたよな?と覗き込んでくる。
いつの間にか本部棟とは逆方向の、第十一演習場まで来てしまっていた。今は誰も利用者が見当たらない。
俺は足を止めた。

「イルカはさ、女の身体とか興味あるの?!」
「ほぇっ?!」
「さっきみたいにおっぱい触ったりしたいとか思ってるの?!」
「ぅおっ、ぱ…!」
「もしかして彼女とかいるの?その子とやらしい事とかしてるの?!」
「かっ…!のじょなんかいないよっ!」
「じゃあ、すっ!きな子とか、…いるの?」

俺までイルカの変なテンションが移ってしまった。
イルカはというと、繋いでた手を離すと腕の鎖帷子の網目を引っ掻いたり、手のひらをズボンに擦り付けたりと忙しない。

「好きな子なんていない。…なんだよカカシ、さっきから変だぞ」

良かった。
俺のイルカに変な虫が付いてたら大変な事になる。
ま、変な虫はさっさと駆除しちゃうからいいけどね。

……俺の、イルカ…?

何だ俺のイルカって!
イルカはイルカであってイルカなんだから、誰のものでもないでしょ!
いやでもそのうち誰かのになるかもしれないワケであってイルカもソイツとあれこれしたりする…んだろうか。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。そんなの絶対許せない。
絶対、許さない。

ふと、握り締めた右手の違和感に気付くと、また無意識にチャクラを集め始めていた。
鈍く光り始めた右手を、ぼんやりと見つめる。


―――あぁ、俺はこんなにもイルカが欲しい。


もう認めるよ。
俺はイルカが欲しい。
たぶん執務室で黒髪尻尾を掴んだ時にはもう、俺はイルカを欲しがっていた。

それを認めると、ようやく身体の中の何かが、収まるべき処に収まった。
と、同時に。
イルカとの想いの温度差に、足元が崩れ落ちるような感覚がする。
今ここで足掻いてもどうにもならない事から気持ちを立て直すためにも、俺はチャクラを意識的に散らしながら話題を変えた。

「そういえば、申のヤツにさっき渡したのって何だったの?」

「あー、あれ?こないだカカシがケガして帰って来たろ?あんなに血が出て貧血にならないかって待機所で言ったら、申さんが造血機能を助けるお茶をくれたんだ。普通のお茶は鉄分の吸収をソガイ?するからって。なんか一族に伝わる秘伝のだって言ってたから、そのお礼。…そうだ、カカシもちゃんとお礼言っとけよ!」

…あのクソ不味いお茶か。
処方の完成度の高さから、てっきり三代目からだと思ってた。
イルカが絶対飲めって言うから毎回なんとか飲み下していたが、じゃなきゃ土遁で地中深く埋滅してただろう味と臭いだった。
まぁ、良薬は口に苦しを体現したような劇的効果だったけど。
シグは薬学に長けた霊芝一族の出だ。その秘伝を簡単に渡すなんて…。
さっきは冗談っぽくイルカに迫ってたが、シグも要注意かもしれない。
でも先ずはイルカの気持ちの確認だ。今後のためにも。

「そっか、申は優しいね。俺も今度お礼を言っとくよ。…じゃあ、その優しい申とさっき言ってたみたいな気持ちいいコト、したい?」
「カカシも一緒にならいいよ。気持ちいい事ならカカシも一緒にしたいだろ?」
「じゃあ…申とか酉なしで、俺とだけでもいい?」

俺は核心に迫る質問をした。
するとイルカは口をちょっと尖らせて俯くと「うーん」と考え、パッと顔を上げた。

「気持ちいい事とかはよく分かんないけど…カカシとは、ずっと一緒にいたい」

イルカの黒い瞳が、ひたりと俺を捉えている。
文脈の噛み合ってない最後の一言に、不自然なほど強い口調に、俺は突然理解した。
心臓を鷲掴みにされたかと思うほど、強く理解した。

なぜイルカが俺を家に招き入れたのかを。
そして十年来も繰り返してきたかのような一緒の生活を、なぜ俺があまりにも易々と受け入れたのかを。


俺たちは子供なのだ。
日頃から大人の中で大人と生活をして、俺に至っては一人前に大人と同じ、時には並の大人以上の任務もこなしている。
物心がついた頃から俺はそういう生活をしてきたが、イルカはどうだろうか。
毎日独りで食べる夕飯に、独りで過ごす夜に、ただじっと耐えていたのではないだろうか。
……かつての俺がそうだったように。

イルカから見たら俺は四歳年上だが、同時に、たった四歳差でしかないのだ。
その気安さと、俺の中の孤独な子供の部分を嗅ぎ取って、イルカは俺と一緒にいるのかもしれない。
そしてたぶん、俺も。
イルカの家は俺たちの、天涯孤独な子供たちの閉じられた領域なのだ。


だけどさっき、俺は気付いてしまった。
俺はイルカの全てが欲しい。
イルカの孤独も、涙も、笑顔も、時間も、未来も、欲望も全て。
親愛も、劣情も。
それは孤独を埋めたいだけのイルカが俺に求めてる物とは決定的に、絶望的に違う。

だがイルカは俺と一緒にいたいと言った。
それなら、その希望を叶えてやる。
―――俺の時間を、全てを与えることで。
その間に少しずつ、一つずつ俺の欲しいものを貰うことにしよう。


「うん。俺もイルカと一緒にいたい。ずうっと、一緒に」
「やった!俺たちずうっと一緒な!」

イルカがパァっと顔を輝かせて、俺の両手を握りしめた。
約束を取り付けられて、無邪気に喜びながら俺の手をぶんぶん振るイルカに、ニッコリと笑顔を返した。

そう、ずうっと一緒だよ。
ずうっとの長さに期限は、ない。
今も。
これからも。


先ずは、一つ。
イルカの未来は俺のものだ。




【完】
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。