【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし 
★★いとエロし!
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なんか、最近カカシがやらしくて困る。
俺もカカシが好きだし、カカシも俺のことが好きだし、これっていわゆる両想いとかいうもんなんだろうけど。
その、キ……キス、とかもしちゃったりしてる訳だけれども!
何百回と言われ続けてきたカカシの「イルカ大好き」が、今までと全然別物な気がする。こう……温度っていうか、いちいち言い方がエロい。
カカシはどっかのネジが外れちまったみたいに、エロエロビームで俺を攻撃してくるんだけども。俺はいっつも余裕がなくわたわたして、カカシにいいように振り回されてる気がする。

今朝だってやけに唇がヒリヒリするなと鏡を見たら、下唇が内出血してた。ぽつぽつと散った赤い粒を発見した時は泣きそうになってしまった。
カカシは口布で隠れるからいいけど、どうすんだよこれ!
「昨日キスし過ぎて唇が内出血しました」なんて誰にも言えないだろうが!
ていうか昨夜見た時に、カカシの唇には内出血なんか無かった気がする。こういうとこまで上忍の実力が出るんだろうか。まさかチャクラでガードしてるとか?
訊ねるにも殴るにも、カカシはとっくにいなかった。
きっとまた夜の内に召集で呼び出されたんだろう。
いつまでも鏡の前で悩んでてもしょうがないから、誰かに聞かれたらぶつけたとでも言おう。暗部の皆さんにはすぐバレそうな気がするけど。
今日は待機所に行く用事を頼まれませんように、と祈りながら家を出た。



その日の任務後の夕方、元忍で今は忍具屋のヒヅチのじっちゃんから、三代目に渡してくれと頼まれた巻物を持って俺は執務室に向かった。
「これはとても大事な物だからね、誰にも見られないよう気をつけておくれ」って念を押されたけど、そんな重要な巻物だったら中忍の俺に任されるはずがない。おおかたエロ小説のお薦めリストとか感想とか、或いは自作の官能小説とかそんなところだろう。
昔っからヒヅチのじっちゃんと三代目は忍者小説愛好家くらぶなんてもんを作って、秘かに活動してたからな。俺には大人の嗜みなんて誤魔化してるつもりだろうけど、ずっと前に巻物を見たことがあるから知ってるんだ。
じっちゃんのはさすがにムリだけど、ヒヅチのじっちゃんの封印は甘いから、俺でもちょっと頑張れば開いて読めた。
中身はいかにもといったタイトルがずらずら並んでたり、へったくそな自作らしいエロ小説だったりなので、すぐに飽きて巻物を見るのは下忍の頃にやめていた。

執務室をノックして「失礼します。ヒヅチ様から巻物をお預りしました」と入っていくと、じっちゃんの前に暗部が一人、立っていた。
――カカシだ。
カカシが面をしたままなので、暗黙の了解で何食わぬ顔をして横に並び、巻物を三代目に手渡す。
前を辞する寸前、ちらりとカカシを見たら、

目が。
またあのゾッとするような空洞が、面の奥から覗いていた。

こんな目のカカシを見るのは、出会った頃以来だ。
俺は思わずカカシの腕を掴んでいた。
なんだかそうしなきゃいけない気がした。
このまま今のカカシを一人にしちゃダメだ。
それ以外は何も考えてない、とっさの動きだった。

でも次の瞬間には俺の手は空を掴んでいて。

「それでは失礼します」

カカシの声がしたと思ったら、その姿は消えていた。
俺とは、とうとう一度も目を合わせずに。

急いで追いかけようとして、その前に三代目に挨拶をと思ったら、「今頃あやつは慰霊碑の前かのう」と、あさっての方を見ながら三代目が呟いた。
――慰霊碑。

「ありがと、じっちゃん」
「なぁに、独り言じゃよ」

火影の笠の下で目尻の皺を深くして微笑んだ三代目に、ぺこりと頭を下げて俺は執務室を飛び出した。



慰霊碑のある第三演習場まで一気に駆け抜けると、確かに銀髪の暗部装束の後ろ姿が小さく見えた。
とりあえず息を整えてから足を踏み出そうとすると、

――ビシ……ッ!

足が、身体が、空気が固まった。
何か身体の動きを止める術かと思ったけど、これは違う。カカシの殺気だ。殺気に似た拒絶の気が、周囲の空気を凍らせてるんだ。
俺は潰れそうな胸を無理やり脹らませ、ゆっくりと細く息を吸った。

「カカシ……」
「近寄るな」

背を向けたままのカカシが、硬質な声でぴしりと言葉を返す。

「……今は、俺に関わるな」

関わるな……って。
そんな状態のカカシを放っとける訳ないだろ!
そう思っても全く身動きができない。本能的な恐れで逃げ出したくなるのを必死に堪え、なんとか傍に行こうとしても、この凍りついた気だけはどうにもならなかった。

「……先輩、変なチャクラ出さないで下さいよ。おかげで僕が様子を見てこいって蹴り出されたんですよ」

不意に暗部装束の人が、音も無く俺の前に降り立った。
黒髪のその人が盾になってくれて、やっと息が吐けるようになる。でもカカシはこっちをちらりとも見ずに「イルカを家に送って」と言い放った。

「ダメだカカシ、お前も一緒に――」

帰るんだよ、の言葉は、黒髪の暗部さんに担がれて跳ばれちまったから、カカシの耳に届かなかった。



すごいスピードで演習場から屋根や塀の上を跳び移り、家の前の道で暗部さんの肩から下ろされた。
でも俺が戻ることを見越してか、しっかりと腕は掴まれたままだ。

「ゴメンね、無理強いして。でも先輩も色々あったから、今は独りにしてあげてくれないかな」

聞き覚えのある口調に面を見ると、猫さんだった。

「色々あったんだろうってことは分かってます! でも、ああいう目をしてる時は……独りにしちゃダメなんだ」

日頃よくしてくれるとはいえ、相手は遥かに格上の上官で暗部だ。でもどうしても譲れなくて、俺は無礼にも取り縋って訴えかけた。
猫さんは暗部だけど俺と同じくらいの体格で、たぶん同い年かちょっと上くらいだろう。いつもはじっと見ないようにしてる面の奥の目を、今日ばかりはしっかりと見つめた。

「イルカ君は……ああいう時の先輩が恐くないの?」

猫さんがほとんど同じ目線の高さで、真っ直ぐ見返してくる。

「恐くない、って言ったら嘘だけど、あんなカカシが独りでいる方がもっと恐いんです」
「そう……イルカ君は先輩を独りにしちゃいけないタイミングが分かるんだね。そうか……」

すると俺の腕を掴んでた手がスッと離された。

「僕は命令されたら逆らえないし、独りにしろと言われたらそれを尊重してしまうな。でもイルカ君は違うんだね」

猫さんは天を仰いでからフッと息をつくと、両手を降参とでもいうように挙げた。

「僕は家までちゃんと送り届けたからね。そこから先の命令は受けてないよ」
「……! ありがとう猫さん!」

俺は駆け出した。それからちょっと振り返って、まだ見送ってくれてる猫さんに手を振ってから、第三演習場に駆け戻った。




まだいるだろうか、という心配はいらなかったみたいだ。
さっきと全く同じ姿勢で、カカシが慰霊碑の前に立っている。
今度は強い拒絶の気は向けられなかったからカカシの方に歩いて行くと、チッと舌打ちされた。

「テンゾウの役立たずめ」
「テンゾウ? 猫さんならちゃんと家まで送ってくれたよ。俺は猫さんが居なくなってから、また戻ってきただけだよ」

優しい猫さんのために、本当の事にちょっとだけ脚色しておく。
だけどそれは通用しなかったみたいだ。
カカシはまだ俺の方を見ないままに、ため息を一つついた。

「……分かった。じゃあ俺が消える」

そう言うが早いか、カカシの姿が消えてしまった。印を結んだようには見えなかったから、木の上にでも跳び上がったんだろうか。
逃がすもんかと俺は慌てて叫んだ。

「もう絶対独りになんてさせないぞ! 俺と! ……俺とちゃんと関われよ! 今度逃げたら、え~とえ~と、そう! もうキスマーク付けるの禁止だ!」

慰霊碑から少し離れた木が、カサリと揺れた。
そこか! とポプラの木に駆け寄って見上げると、面をずらしてばつの悪そうな顔をしてるカカシが枝に座っていた。
――やっと顔を見れた。
俺は低い枝に跳び上がると、そこから枝を渡ってカカシの隣に座った。そしてカカシの頬っぺたを両手で挟むと。

思いっきり頭突きをした。

「~~~~~~っ?!!」
「痛いだろ?! 俺だって痛かった!」

おでこを押さえていたカカシが、「ここはキスするもんじゃないの?」と俺を見る。
でもまだだ。
まだ目の中にアレがある。
暗い、暗い空っぽの穴が。
カカシはそのまま軽い口調でぽつんと呟いた。

「イルカにはこんなとこ見せたくなかったのになぁ」

それを聞いて、またムカッとする。カカシはホントに分かってない。

「あのな。イヤな思いしてる時に会いたくないってことは、ツラい時に俺は要らないってことだろ? そんなの俺は嫌だ。嬉しくても悲しくても、俺はカカシと一緒にいたいんだ。口利きたくないならそう言えよ。俺からは話しかけないから。一緒にいないのは……キライになった時だけだ」

きゅ、とカカシの目の焦点が合った。
目の前にいる、俺に。

「嫌いになんてなってない……ならない。なれないよイルカ」

おでこを押さえていたカカシの手が、俺の頬っぺたに触れた。
鉤爪がちょっと食い込むけど、そんなの今はたいしたことじゃない。だって食い込んでるのは、カカシの手が震えてるからだ。いつもみたいに鉤爪が当たらないよう、ちゃんと調節できないくらいに。

「逃げちゃってゴメンね。……どんなにイヤなことがあっても、どんなにツラいことがあっても、イルカのとこに帰ってくるよ。絶対に。……約束する」

片方だけ開いた、カカシの目。
深い深い藍色に俺が映っている。
――まるで、カカシの瞳に囚われたみたいに。
その捕らえられ、囚われてどこか嬉しそうな表情を浮かべる俺に向けるように、俺はそっと告げた。

「……好きだよ、カカシ。大好き」





【完】

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