【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし
★★いとエロし!
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★エロし
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過保護すぎるカカシ兄ちゃんとイルカの幼馴染みカカイル。
カカシさんは犬とママ友です。
もう一度言いますが、カカシさんのママ友は犬です。そういうお話です。
手羽さんの『カカシ兄ちゃんって呼ぶ幼馴染みイルカ先生ぇぇぇ!』という遠吠えにワオーーーンと応えました。
÷÷÷÷÷・÷÷÷÷÷・÷÷÷÷÷
――やっと見付けた。
今朝から探し回っていた黒髪しっぽが職員用トイレに消えるのを確認して後を追うと、ベストの背中を突いて一番手前の個室に放り込む。
後ろ手にガチッと鍵をかけると、イルカが振り返った。
「カカシ兄ちゃん!」
久しぶりに兄ちゃんって呼ばれたなと思いながら、逃げられないようペーパーホルダーの脇の壁に押し込み、両足を割って自分の足を挟み入れる。
「なぁんで俺から逃げ回ってるの? 理由を聞かせてもらおうかな」
昨日合コンに行ったのはもう裏が取れている。
問題は『俺に内緒で』というところだ。
付き合いなら内緒にする必要はないし、今までだって何度かそういうことはあった。もちろん快く送り出した訳じゃないけど、あんまり束縛すると嫌われるというマダムブラウンのアドバイスを実践しているから。
イルカはふて腐れた顔を隠さず、口を割る気はないようだ。こういう顔は、イルカが小さい頃から何度も見てきてるから分かる。
それでも俺に隠し事をするなんて、という気持ちから逃がすことはできなかった。
「……別にわざわざ言うようなことじゃねぇし」
「やましいことがないなら言えるでしょ? ちゃんとカカシ兄ちゃんの目を見て言ってごらん」
もうほとんど目線の変わらなくなったイルカの黒い瞳が、真っ直ぐ俺を見返す。
と、プイっと音がするくらいに顔を背けられた。
「カカシだけには言いたくない」
「……なんで。まさかどっかのアバズレくノ一と付き合うんじゃないだろうな」
イルカが俯き、唇をきゅっと尖らせた。
その子供の頃から変わらない、ぷるんとした唇に目を奪われた一瞬。
「水遁 水喇叭の術 改!」
細くスクリュー状になった水が勢いよく吹き出される。
右目を直撃しそうになったのを避けた隙に、イルカの姿が消えた。
「くそっ」
鍵を開けて飛び出した先には、外に向かって開いたままの窓。
だがイルカのことだからこっちはミスリードで、恐らくはトイレのドアから逃げたはずだ。
追う気は失せた。
イルカがここまで頑なに隠し事をするのが予想以上にショックで。
はぁ、とため息をついて、またマダムブラウンに相談してみるかとトイレを出た。
「……それでね、イルカったら最近ね、全然俺と口をきいてくれないんですよ。ちょっと前まではカカシ兄ちゃんカカシ兄ちゃんってくっついて回ってたのに、今じゃ呼び捨てだし。これが噂の反抗期なんですかねぇ」
イルカとの追いかけっこを一時休戦にした俺は、犬塚家の庭の隅っこで膝を抱えて座っていた。
マダムブラウンは隣でゆったりと寛ぎ、穏やかな黒い瞳に同情を浮かべてうんうんと頷いてくれる。頷くたびにレトリバーにしては珍しい、くるくるとカールして赤みがかった長い茶色の毛がふわふわと揺れた。
犬塚家のゴッドマザー忍犬マダムブラウンは、忍犬界では有名な母犬だ。うちの子たちは違うけど、数多の優秀な忍犬を産み育てた伝説の忍犬なのだ。
本当の名は別にあるんだけど、界隈では敬意を表してマダムブラウンと呼んでいる。
俺が子供だった頃から忍犬たちの教育や訓練方法を相談していて、いつの間にかイルカのことも聞いてもらうようになっていた。いわゆるママ友っていうやつだ。正解には友達じゃなくて師匠に近いけど。
「でもイルカちゃんは、反抗期にはちょっと遅いんじゃないかしら」
マダムブラウンが思慮深い眼差しで首を傾げる。
「あー、思春期にほとんど会えなかったから、遅れてきてるのかなぁって」
「私は時々会ってたけど、そんな反抗期みたいなものはなかったけどねぇ。カカシ君以外にはそういう態度を取ってないの?」
俺以外と言われ、受付や上忍待機所などいろいろな場所でのイルカを思い浮かべてみた。
「……俺だけですね」
「そう。じゃあカカシ君だけが特別なのね」
俺だけが特別。
「俺のことだけ嫌いってことですか……」
するとマダムブラウンがわふわふと笑った。
彼女の笑い方はとても優しく上品で、笑われたというのに嫌な気持ちになるどころか、朝からささくれ立っていたものがすうっと凪ぐようだ。
「違うわよ。カカシ君だけが甘えられる存在だってこと。隠し事の一つや二つ、あなたにだってあるでしょう。あんまり追いつめないで、お兄ちゃんらしくもっとゆったりと構えてなさいな」
マダムブラウンが慰めるように鼻先で俺の肩を小突く。
そしてその鼻先を宙に向けると、「心配性なのはどっちもどっちねぇ」とくふくふと鼻を鳴らした。
「……またここにいたんだ」
イルカの声に丸まった背中がびくりと揺れる。
「キバに呼ばれたんだよ。またカカシ先生が来てるって」
「なによ、俺とは口ききたくないんじゃないの」
「そう拗ねるなよ。マダムブラウンは忙しいんだから、あんまり困らせんな。ほら、帰るぞ」
イルカが手を差し出したのでしぶしぶ握ると、ぐいっと引っ張り上げられた。
「それじゃマダムブラウン、こいつがお邪魔してすみませんでした」
「いいのよ、私もカカシ君と子供のお話するのは楽しいし。イルカちゃんもまた来てね」
イルカが頭を下げる隣で俺も同じようにすると、二人で犬塚家を出た。なんとなく手は繋いだまま、黙って家路を辿る。
「最近家に来てる時のカカシ先生は、いっつもしょんぼりしてるってキバが言ってたぞ」
「……だって」
子供の頃は俺の後をくっついて回ってたイルカが、いつの間にか大人になっていて。
任務に追われてろくに会えない十年間で、イルカは変わってしまった。背が伸びて声も変わり、カカシ兄ちゃんと呼んでくれなくなった。
まるで、もう俺なんていらないとでも言うように。
「なんで合コン行ったのか聞かないのか?」
「……マダムブラウンが、お兄ちゃんらしくもっとゆったりと構えろって言うから」
イルカが身を揺らしてくっくっくと笑うから、俺にもその揺れが伝わってくる。
「あのなぁ、カカシはいい加減に俺離れしろよ。ボインな彼女でも作ってさ、せっかくモテるんだから」
「なにそれ」
「こんな道端で殺気を垂れ流すな!」
頭を叩かれたおかげで、繋いでた手が離れてしまった。
こうやってイルカはどんどん離れてしまう。
俺の手から、遠くへ。
イルカの足がぴたりと止まった。
「あのさ。カカシは俺の兄ちゃんでいたいんだろ?」
「俺は昔からずっとイルカのお兄ちゃんでしょ」
もしかして、大人になったから人前で俺にお兄ちゃん面をされるのが恥ずかしいのかも。それなら二人っきりの時だけにすればいいのかと、俯くイルカを覗き込むと。
「兄ちゃんでいたいなら、弟に彼女ができることを喜べよ」
「やだよっ!」
そんなの許さない。
イルカは俺だけのイルカだ。
もう絶対離さないと、イルカの手を思わず力いっぱい握ってしまう。
「ってぇ」
「あ、ごめん!」
イルカの顔が歪むのを見て慌てて手を離すと、イルカがぼろぼろと泣き出した。
まさかホントにどこか折れちゃった? 大事な大事なイルカにケガをさせるなんて俺のバカ!
「ごめん、痛くしてごめんね、ちょっと見せて」
伸ばした手は強く振り払われた。
「こんなの痛い訳ないだろ! 俺はもうちっちゃいイルカちゃんじゃねぇんだよ!」
でも泣いてる。
イルカが。
俺のイルカが。
全身で痛いって泣いてる。
「俺が痛ぇのは、カカシが俺を弟としか見てくれないからだ! カカシのバカっ!」
イルカが泣きながら走り去っていく。
俺は追えない。
なんでだろう。
こんな時こそ追いかけて慰めて、お兄ちゃんらしくするべきなのに。
カカシ兄ちゃんは――俺はどうしたらいいんだろう。イルカを弟として見ないなら、どういう目で見ればいいのか。
……またマダムブラウンに相談しなきゃ。そう思うのに、いつまでもぼうっと突っ立ったまま。
そしてなぜか、トイレでイルカが唇を尖らせた時のことを思い出していた。
あのぷるんとした唇に、一瞬。
ホントに一瞬だけど、キスしたいと思ってしまったことを。
【完】
カカシさんは犬とママ友です。
もう一度言いますが、カカシさんのママ友は犬です。そういうお話です。
手羽さんの『カカシ兄ちゃんって呼ぶ幼馴染みイルカ先生ぇぇぇ!』という遠吠えにワオーーーンと応えました。
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――やっと見付けた。
今朝から探し回っていた黒髪しっぽが職員用トイレに消えるのを確認して後を追うと、ベストの背中を突いて一番手前の個室に放り込む。
後ろ手にガチッと鍵をかけると、イルカが振り返った。
「カカシ兄ちゃん!」
久しぶりに兄ちゃんって呼ばれたなと思いながら、逃げられないようペーパーホルダーの脇の壁に押し込み、両足を割って自分の足を挟み入れる。
「なぁんで俺から逃げ回ってるの? 理由を聞かせてもらおうかな」
昨日合コンに行ったのはもう裏が取れている。
問題は『俺に内緒で』というところだ。
付き合いなら内緒にする必要はないし、今までだって何度かそういうことはあった。もちろん快く送り出した訳じゃないけど、あんまり束縛すると嫌われるというマダムブラウンのアドバイスを実践しているから。
イルカはふて腐れた顔を隠さず、口を割る気はないようだ。こういう顔は、イルカが小さい頃から何度も見てきてるから分かる。
それでも俺に隠し事をするなんて、という気持ちから逃がすことはできなかった。
「……別にわざわざ言うようなことじゃねぇし」
「やましいことがないなら言えるでしょ? ちゃんとカカシ兄ちゃんの目を見て言ってごらん」
もうほとんど目線の変わらなくなったイルカの黒い瞳が、真っ直ぐ俺を見返す。
と、プイっと音がするくらいに顔を背けられた。
「カカシだけには言いたくない」
「……なんで。まさかどっかのアバズレくノ一と付き合うんじゃないだろうな」
イルカが俯き、唇をきゅっと尖らせた。
その子供の頃から変わらない、ぷるんとした唇に目を奪われた一瞬。
「水遁 水喇叭の術 改!」
細くスクリュー状になった水が勢いよく吹き出される。
右目を直撃しそうになったのを避けた隙に、イルカの姿が消えた。
「くそっ」
鍵を開けて飛び出した先には、外に向かって開いたままの窓。
だがイルカのことだからこっちはミスリードで、恐らくはトイレのドアから逃げたはずだ。
追う気は失せた。
イルカがここまで頑なに隠し事をするのが予想以上にショックで。
はぁ、とため息をついて、またマダムブラウンに相談してみるかとトイレを出た。
「……それでね、イルカったら最近ね、全然俺と口をきいてくれないんですよ。ちょっと前まではカカシ兄ちゃんカカシ兄ちゃんってくっついて回ってたのに、今じゃ呼び捨てだし。これが噂の反抗期なんですかねぇ」
イルカとの追いかけっこを一時休戦にした俺は、犬塚家の庭の隅っこで膝を抱えて座っていた。
マダムブラウンは隣でゆったりと寛ぎ、穏やかな黒い瞳に同情を浮かべてうんうんと頷いてくれる。頷くたびにレトリバーにしては珍しい、くるくるとカールして赤みがかった長い茶色の毛がふわふわと揺れた。
犬塚家のゴッドマザー忍犬マダムブラウンは、忍犬界では有名な母犬だ。うちの子たちは違うけど、数多の優秀な忍犬を産み育てた伝説の忍犬なのだ。
本当の名は別にあるんだけど、界隈では敬意を表してマダムブラウンと呼んでいる。
俺が子供だった頃から忍犬たちの教育や訓練方法を相談していて、いつの間にかイルカのことも聞いてもらうようになっていた。いわゆるママ友っていうやつだ。正解には友達じゃなくて師匠に近いけど。
「でもイルカちゃんは、反抗期にはちょっと遅いんじゃないかしら」
マダムブラウンが思慮深い眼差しで首を傾げる。
「あー、思春期にほとんど会えなかったから、遅れてきてるのかなぁって」
「私は時々会ってたけど、そんな反抗期みたいなものはなかったけどねぇ。カカシ君以外にはそういう態度を取ってないの?」
俺以外と言われ、受付や上忍待機所などいろいろな場所でのイルカを思い浮かべてみた。
「……俺だけですね」
「そう。じゃあカカシ君だけが特別なのね」
俺だけが特別。
「俺のことだけ嫌いってことですか……」
するとマダムブラウンがわふわふと笑った。
彼女の笑い方はとても優しく上品で、笑われたというのに嫌な気持ちになるどころか、朝からささくれ立っていたものがすうっと凪ぐようだ。
「違うわよ。カカシ君だけが甘えられる存在だってこと。隠し事の一つや二つ、あなたにだってあるでしょう。あんまり追いつめないで、お兄ちゃんらしくもっとゆったりと構えてなさいな」
マダムブラウンが慰めるように鼻先で俺の肩を小突く。
そしてその鼻先を宙に向けると、「心配性なのはどっちもどっちねぇ」とくふくふと鼻を鳴らした。
「……またここにいたんだ」
イルカの声に丸まった背中がびくりと揺れる。
「キバに呼ばれたんだよ。またカカシ先生が来てるって」
「なによ、俺とは口ききたくないんじゃないの」
「そう拗ねるなよ。マダムブラウンは忙しいんだから、あんまり困らせんな。ほら、帰るぞ」
イルカが手を差し出したのでしぶしぶ握ると、ぐいっと引っ張り上げられた。
「それじゃマダムブラウン、こいつがお邪魔してすみませんでした」
「いいのよ、私もカカシ君と子供のお話するのは楽しいし。イルカちゃんもまた来てね」
イルカが頭を下げる隣で俺も同じようにすると、二人で犬塚家を出た。なんとなく手は繋いだまま、黙って家路を辿る。
「最近家に来てる時のカカシ先生は、いっつもしょんぼりしてるってキバが言ってたぞ」
「……だって」
子供の頃は俺の後をくっついて回ってたイルカが、いつの間にか大人になっていて。
任務に追われてろくに会えない十年間で、イルカは変わってしまった。背が伸びて声も変わり、カカシ兄ちゃんと呼んでくれなくなった。
まるで、もう俺なんていらないとでも言うように。
「なんで合コン行ったのか聞かないのか?」
「……マダムブラウンが、お兄ちゃんらしくもっとゆったりと構えろって言うから」
イルカが身を揺らしてくっくっくと笑うから、俺にもその揺れが伝わってくる。
「あのなぁ、カカシはいい加減に俺離れしろよ。ボインな彼女でも作ってさ、せっかくモテるんだから」
「なにそれ」
「こんな道端で殺気を垂れ流すな!」
頭を叩かれたおかげで、繋いでた手が離れてしまった。
こうやってイルカはどんどん離れてしまう。
俺の手から、遠くへ。
イルカの足がぴたりと止まった。
「あのさ。カカシは俺の兄ちゃんでいたいんだろ?」
「俺は昔からずっとイルカのお兄ちゃんでしょ」
もしかして、大人になったから人前で俺にお兄ちゃん面をされるのが恥ずかしいのかも。それなら二人っきりの時だけにすればいいのかと、俯くイルカを覗き込むと。
「兄ちゃんでいたいなら、弟に彼女ができることを喜べよ」
「やだよっ!」
そんなの許さない。
イルカは俺だけのイルカだ。
もう絶対離さないと、イルカの手を思わず力いっぱい握ってしまう。
「ってぇ」
「あ、ごめん!」
イルカの顔が歪むのを見て慌てて手を離すと、イルカがぼろぼろと泣き出した。
まさかホントにどこか折れちゃった? 大事な大事なイルカにケガをさせるなんて俺のバカ!
「ごめん、痛くしてごめんね、ちょっと見せて」
伸ばした手は強く振り払われた。
「こんなの痛い訳ないだろ! 俺はもうちっちゃいイルカちゃんじゃねぇんだよ!」
でも泣いてる。
イルカが。
俺のイルカが。
全身で痛いって泣いてる。
「俺が痛ぇのは、カカシが俺を弟としか見てくれないからだ! カカシのバカっ!」
イルカが泣きながら走り去っていく。
俺は追えない。
なんでだろう。
こんな時こそ追いかけて慰めて、お兄ちゃんらしくするべきなのに。
カカシ兄ちゃんは――俺はどうしたらいいんだろう。イルカを弟として見ないなら、どういう目で見ればいいのか。
……またマダムブラウンに相談しなきゃ。そう思うのに、いつまでもぼうっと突っ立ったまま。
そしてなぜか、トイレでイルカが唇を尖らせた時のことを思い出していた。
あのぷるんとした唇に、一瞬。
ホントに一瞬だけど、キスしたいと思ってしまったことを。
【完】
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