【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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「ナルトはあなたとは違う!」
「口出し無用! アイツらはもうアナタの生徒じゃない。今は……私の部下です」

くっそ、思い出すだけでもムカつく。偉そうに上官ヅラしやがって。
そりゃナルトはもう俺の生徒じゃないけど! カカシさんは上官だけど! それどころか俺の主だけど!
ダンッとビールジョッキをテーブルに叩き付ける。

「おいイルカ~、もうそれくらいにしとけよ~」
「うるせぇ! 主に裏切られた気持ちがお前にわかんのかシメジィ!」
「裏切られたって、はたけ上忍の仰ることはもっともだろ」
「お前まで裏切るのかシメジィーーー!」

ぶん回した拳が空を切る。
その勢いのまま椅子から転げ落ちそうになったが、酔っ払いすぎて反応できない。
うみのイルカ中忍、居酒屋で泥酔の末に頭を打って死す。
くっそう、格好悪いな俺。でも主に裏切られた狗にふさわしい死に方だ。後悔しても遅ぇんだからなはたけカカシ!

「じょーとーだぁ」
「全然上等じゃないでしょ。ほら、帰るよ」

ふわりと浮いた体が逞しい背中に馴染む。
すんすんと匂いを嗅ぐと、間違うはずもない俺の主の匂いだ。

「すみませんはたけ上忍、止められなくて」
「ううん、うちのが迷惑かけてごめんね、シメジ君」
「うるせぇ~じょーとーだぁ」

はいはいと優しい声であやされ、いい匂いを嗅ぎまくったらちょっと気分が良くなった。

「かぁし兄たんはぁ、怒ってますかぁ」
「怒ってないよ」
「嘘っぱちだ! だってあんな意地悪ゆったくせに!」

ばんばんと肩を叩くと、「落ちるからちゃんと掴まって」と揺すり上げられたので、また背中に張り付く。
外の空気がひんやりとして気持ちいい。
しばらく揺られてると、いろんな匂いが流れてきて鼻も頭もはっきりしてきた。

「ほんとはちょっと怒ってるでしょ……?」
「怒ってな~いよ」

くすくすという笑いが背中の揺れで伝わってくる。

「イルカは里で子供たちを守って戦う。俺は外で戦って里を守る。ちゃんとできてるでしょ、俺たち」
「……うん、はい」

俺たちは狗人の契約を交わした。
ついでに番い? 伴侶? そんな契約も交わしたみたいだが、俺もカカシさんのことは大好きだし、番いの交尾は気持ちいいから問題はない。とにかく俺はカカシさんの狗だ。
にもかかわらず、俺は相変わらずアカデミーで子供たちに教え、受付をしている。
それは俺が中忍で弱いからじゃなく、カカシさんが俺の狗人としての在り方を認めて尊重してくれたからだ。
「任務に同行するだけが共闘じゃないって、イルカが教えてくれたから」と。

「……ねぇ。イルカこそ、俺が裏切ったって思ってない?」

やっぱり聞かれてたか。
うん、あれはちょっと言い方が悪かった。

「ごめんなさい、言い過ぎました。カカシさんは間違ってないし、絶対に裏切ることなんてしない」
「うん。良かった」

良かったと言いながら、カカシさんはしょんぼりとしている。
カカシさんは主のくせに狗の俺に優しい。甘いし、俺のことを大好きすぎると思う。

「俺だって、カカシさんのこと大好きですよ」
「うん、俺も。イルカのこと大好き。愛してる」

間髪入れず返ってきて嬉しくなった。
とたんに普段はしまってる耳と尻尾がボンッと出てしまった。
ぶんぶんと振り回す尻尾が、俺の尻を支えてるカカシさんの両腕に当たる。

「嬉しいの?」

のんびりとしたカカシさんの声が、耳に気持ちいい。
狗の耳になると、主の声は特別な響きで俺に届くから。

「嬉しいです。……カカシさん、俺を拾ってくれてありがとうございます」

今日も。
ゴミ捨て場で膝を抱えてた時も。
待てを守れなかった、子供の頃の俺のことも。
カカシさんは全部全部拾い上げてくれた。

「イルカもだよ。俺を拾ってくれてありがとう」
「えっ、俺、捨てたことしかなかったですよね⁉」
「ゴミ捨て場に捨てたのに選んでくれたでしょ? だからそういうことなの。俺たち、お互いを選んで拾ったんだよ」

そっか。
そういうことなのか。
主が言うんだから間違いない。
相変わらず主に噛み付くような狗だけど、もう俺は自分のことを出来損ないなんて思わない。それは俺を選んでくれた主を侮辱することになるからだ。

「今度、俺の忍犬たちにも会ってね」
「はい、もちろん!」

八匹いるって話だけど、仲良くなれるだろうか。
同じ主を持つもの同士だ、きっと大丈夫だ。
みんなも首輪をしてるのかな。カカシさんのチャクラのこもった、家紋入りの首輪を。
でも俺が一番下っ端ってことになるんだよな、大丈夫かな。

「みんなには昔から話してたから、イルカのことよく知ってるし大丈夫だよ」
「……ケンカしないように、ちゃんと仲良くします」

なんで俺の考えてることが分かるんだろう。
主ってすごい。
するとまた背中が小さく揺れた。
カカシさんが笑ってる。
それならいいか。カカシさんが笑っていられるなら、俺も嬉しい。
カカシさんの肩口に頭を乗せ、首元の匂いをすんすん嗅ぐ。
やっぱりいい匂いだ。
口布の奥から穏やかな呼吸音も聴こえる。
あまりにも心地好くて、とろりとした眠気が襲ってきた。

「俺が相手なら、いくらでも噛み付いていいよ。ずっと俺だけの猛犬イルカでいてね」

カカシさんだけの猛犬なら、それもいいかもしれない。
噛み付いていいのは俺だけ。
うん、いいな。
でも眠くて返事ができないから。
首筋にそっと、柔らかく牙を立ててからぺろりと舐めた。



【完】