【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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 イルカはカカシと二人、巨大な白い烏――クロの背に乗っていた。
 もう何度もクロの背には乗せてもらっていたが、いつもはクロの主人たるカカシがイルカを囲い込むようにして手綱を取っている。だからイルカがハーネスを掴んで乗るのは、これが初めてだった。
 耳元でごうごうと鳴る風。
 揺れる視界。
 ふわふわと定まらない足場。
 電車やトラックと違い、強烈な向かい風を防ぐ覆いもないまま、常時羽ばたいている生き物の筋肉の上に立っているのだから当たり前なのだが。顔に当たる強風は借りたゴーグルでなんとかなるにしても、全身に叩き付ける向かい風と揺らぐ足場の両方に同時に対応するのは難易度が高い。
 イルカは美しい景色を楽しむ余裕もなく、手綱にしがみつくように立ってるのが精一杯だった。
「う~ん、手綱捌きはいいんだけど、腰をもっと安定させないと急転回する時に危ないね。下半身の鍛え方が足りないかな」
「筋力には……っ、けっこう自信あったんだ、けどな!」
 ふらつく体を必死に立て直しながら、イルカが答える。
 人間界では引越会社でバイトをしていたので、その辺のひょろっとした若者よりかなりしっかりした体躯をしていた。服を着た状態ならカカシより余程がっしりとして見える。
 それなのに、とイルカは横目でカカシを見た。
 カカシはイルカに掴まりもせずに、悠々と風を浴びて立っている。
 不満げなイルカの目線に気付いたのか、カカシが苦笑した。
「力仕事とは使う筋肉が違うからね。どっちかって言うと乗馬に近いかな。これから毎日俺に乗って鍛えようね」
「カカシに乗って……?」
 カカシは幻獣化すると翼を持った獅子のキメラになる。その背に乗って鍛えるならクロに乗っても同じじゃないかと思うと、カカシは優しげだった笑みに艶を含ませ緋色の双眸を向けた。
「魔染めの時は毎回俺に乗って腰を振れば、すぐに鍛えられるよ」
 バッチーーーーン
 動揺したあまりカカシの頬を平手打ちした音が派手に響いたが、すぐに風に流されていった。
「いったぁ……! ホントなのに~」
「そそそそそんな練習なんかしないっっっっ」
 だが結局はすることになるのだろう。
 魔染めであれ愛を交わすのであれ、ベッドでの主導権は常にカカシにあるのだから。
 スケアを戻して完全体となり、今や魔王に匹敵する力を持ったカカシは相変わらず爵位がないままだったが。
 ベッドに関することでは常に優しい奉仕者であり、君臨者だった。
 
 イルカがクロの騎乗練習をすることになったのは、そもそもテンゾウの一言によるものだった。
「先日のオビラプトゥール様の一件もございますし、イルカ様が一人で出歩くのはまだ危ないですね。何か乗り物でもご用意致しましょうか?」
 魔界には車やバス、電車などの移動手段は存在しない。
 羽のある者は自ら飛び、或いはクロのような使役する使い魔に乗って移動するので必要ないのだ。馬車のようなものや乗り合い竜もあるが、人間であるイルカが一人で利用するにはまだ不安が残る。
 テンゾウは樹木属性の魔物なので一人乗りの馬車をイルカの為に作ることを申し出たのだが、すぐさまカカシの猛反対にあったのだ。
「テンゾウの体から作った乗り物にイルカのお尻を乗せて揺らすなんて絶対ダメ!」
 そういう言い方をすると、馬車ですら卑猥な乗り物に思える。
 イルカはかつてのスケアを思わせる言葉に、懐かしさを交えた呆れの目でカカシを見た。こういう時にスケアは本当にカカシの魂の一部だったんだなぁと実感するのも、なんだか切ないものがあるが。
 代案のクロの騎乗練習にはとても心惹かれたので、気軽に快諾してしまったのだった。



 その夜――
 イルカは案の定カカシの上に乗せられていた。
 寝そべったカカシと両手を繋ぎ、足を開いて不安定な状態で自ら腰を上下させている。普段はカカシが腰を持って突き上げてくるので、イルカの負担は軽いのだが。今日からは下半身の鍛練と称して手助けのないまま自分で動かなくてはいけないので、イルカは慣れない体位で一生懸命に腰を動かしていた。
「ほら、ちゃんと動かさないと、いいところに当たらないでしょ」
「そんな、こと、言っ……たって、分かんな……いよっ」
 するとカカシは手をほどき、イルカの両膝を掴んで大きく開かせると、腰を持って位置を調節した。
「この辺でしょ? このまま動かして」
「ひあ! あ、は、ぅあ、んっ」
 今やイルカよりイルカの身体を知り尽くしたカカシが、絶頂への最短ルートを的確に捉える。途端に腰から脳髄まで痺れるような快楽が突き上がり、イルカはリズミカルに声を上げてそれに身を委ねた。
「そうそう、上手だね~♪」
 それにすごくいい眺め……
 カカシが小さく呟いた。
 食い入るように見つめる先には、そそりたつカカシの雄棒をしゃぶるように絡みつく、イルカの淫らな後ろ口がある。カカシはそこに手を伸ばすと、引き延ばされて薄くなった皮膚を指先でぞろりと撫でた。
「やっ、そこ触るな、ぁ……あ!」
「じゃあこっちにするね」
「ひん! ……っく、ダ……メぇ!」
 普段はふっくらと柔らかいが、今は硬くしこった会陰を軽く押すと甘い嬌声が上がる。
 誘導されて頂へ駆け上がる寸前のイルカが、カカシの名を呼び始めた。やはり一人で達するにはまだ技術が足りないのか、「カカシ、カカシっ」と切なげに繰り返す。
「……っ、そんなに煽らないでよ」
 跳ねるようにカカシは起き上がるとイルカを組み敷き、深く強く己の欲望を叩きつけた。



「……カカシはさ、いっつもやり過ぎなんだよ。もう俺にチャームだっけ? あの魔力を使うのやめてくれよ」
 ぐったりと横になって動かなくなっていたイルカが、ようやく口が利けるようになった最初の言葉はカカシへの不満だった。
 乱れた髪が口に入ったままなのを見て、カカシは髪をかき上げてやりながら答える。
「インキュバスの魅了のこと? それはとっくに使ってないよ」
「じゃあなんでメロメロになっちゃうんだよ! あんなに何でも言うなりになるなんておかしい!」
 まんまとカカシの上に乗せられただけでなく、その後もあれこれと言わされたり、させられたりしたことをイルカは言っているのだろう。
 カカシはそれを聞くと、くすくすと笑い始めた。
 それを見て何がおかしいのかと尖らせたイルカの唇を、ぎゅむと摘まむ。
「イルカが気持ちいいことが好きだからじゃない? ただ俺の体液に催淫作用は含まれてるままだから、そのせいはあるだろうけどね」
「ひょれって、ふへあろ?」
 摘ままれたまま喋るイルカの問いに、カカシは吹き出して手を離した。
「スケアのっていうか、元々俺にインキュバスの血が混じってるんだよ。母上がサキュバスと人間のハーフだったらしくてね」
「らしくて、って」
「俺が産まれてすぐ亡くなったみたい。だから父上からそう聞いただけ」
 イルカも両親を子供の頃に亡くしたが、少なくとも数え切れないほどの共に過ごした思い出を遺してくれた。
 だがカカシにはその記憶すらないのだ。
 それを憐れと思うより、淡々と事実を述べる顔に胸が締めつけられたイルカは、カカシに両腕を差しのべた。その温かい囲いにカカシがすぽんと収まる。
「母ちゃんから貰ったものなら大事にしないとな」
 イルカの言葉に、カカシの返事はなかった。
 ただ、ぎゅっと強く抱き返されただけだった。