【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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それはカカシとイルカが暮らすテンゾウの城のある魔界第十五階層より遥かに深く、ほぼ最下層とも言える第九十九階層の天空に浮かんでいた。
荒涼とした虚無が果てしなく広がる空間に浮かぶ、巨大な円盤状の広場。
カカシは一人その中央に立っていた。
周囲には柱が九本そびえ立ち、おぼろげに見えるその上には八人の魔王が思い思いに座り、カカシを見下ろしていた。
「五百年ぶりか。ようやく顔を見せたな、混ざり物の王カカシよ」
柱の上から嘲るような声が降ってくる。
カカシは特に反応もせず、つまらなそうに黙って柱の装飾を眺めていた。
「カカシは混ざり物でも王でもないであろう、プルソン。下らぬ嘲罵は止めよ」
プルソンと呼ばれた獅子頭の向かいの柱から、牡牛・人・山羊の三つ頭を持つ六柱バラムが嗄れた声でたしなめた。すると五柱プルソンが跳ねるように立ち上がり、カカシを指差して声を荒げる。
「血は薄まっていようとも、こやつは人間の子ぞ! それが我等と共に魔界大九柱の座に就くなど、我等が純血の魔王の地位が穢れるわ!」
「それは私に対する言葉と受け取ってよいのか」
静かな、だが圧を乗せた言葉が四柱アスモデウスから発せられた。
プルソンは元天使をはっと振り返り、咳払いをした。
「いや、魔界と天界の純血と言うべきであった。……とにかく、五百年も我等の召喚を無視した上に、魂を削って分身を創るなど好き勝手をする小僧に魔王の座は相応しくなかろう!」
するとプルソンの隣の柱に寝そべっていた、可憐な少女のようななりをした二柱パイモンが大あくびをしながら体を起こした。
「うるさくてお昼寝もできないじゃねぇか。今日はそんな下らねぇことほざくために集まったんじゃねぇだろ。てめぇは黙って座ってろ」
自分の半分にも満たない華奢な体のパイモンに叱責されたプルソンは、反論するどころか目を伏せておとなしく座った。
どんな見目風貌であれ、魔界では序列が全てなのだ。
序列はそのまま魔力の強さを表す。
それは魔界大九柱でも、いや魔王たちの中でこそ顕著だった。
「……それでは本題に入ってもよいか」
カカシの正面から穏やかな声がかけられる。
カカシを含む全員の目が、この中で最も強大な魔王バアルに向けられた。
「カカシよ、そなたは九柱目の魔王の座に就きたくない、使者によるとそう言っておったそうだな」
バアルの言葉は静かだが、一つ一つに魔力が込められているかの如くカカシのむき出しになった肌をびりびりと震わせた。
「はい、その柱には私よりも相応しき者が魔界にいると思います」
「それはそなたの見解であり、我等とは異なるのう」
穏やかな拒絶に、カカシは黙って続きを待った。
評議会でも魔界大九柱でもカカシを魔王にという動きは、九柱だったダンタリオスが亡くなったとされてからずっと続いていたのだ。
それが今回、初めて大魔王サタンの名に於いて召喚された。
魔王の上に君臨し、魔界の全てを統治する大魔王サタンの名を出されては、さすがのカカシも無視することはできなかったのだ。もし逆らったら、いやたとえ不興を買っただけでも、一瞬で塵一つ残さず抹消されてしまうだろう。
大魔王サタンとはそういう絶対的存在だった――日頃は魔界にほとんど関与することはなくとも。
そのサタンの名を出したということは、何かしらの大きな動きがある。それは決してカカシの推薦する代替の魔王の名を聞くことなどではないはずだ。
カカシは珍しく緊張し、城で待つイルカを思い浮かべながら続きを待った。
「ときにカカシよ。そなたは階層の狭間にある氷炎の洞穴に、九尾の竜が封印されておることは知っとるな」
「……? はい、存じております」
思わぬ話題の転換に、カカシは緋色の双眸を見開いた。
「その九尾の竜の封印媒体にされた子、ナルトを連れて来よ。さすればそなたを魔王にするのは免じてやろう」
九尾の竜だけでなく、ナルトの名も出たことに他の七柱がざわめく。
九尾の竜はかつて魔界を大恐慌に陥れた古の竜だった。
魔界の主だった魔物と魔界大九柱が総力で当たっても倒すことは敵わず、当時の九柱の半分が倒れ魔界の三分の一が焦土と化した。そこで傍観していた大魔王サタンもようやく重い腰を上げ、その小指の骨の欠片を埋め込んだ赤子を媒体に封印したのだ。
その赤子はその時の四柱で、今は亡きミナトの子だった。
九尾の竜の災厄は数万年も前で、今ではもう昔話となっている。
その封印媒体の赤子と九柱に何の関係がと訝ったのは他の魔王も同じだったのか、今まで沈黙していた八柱ザガンが口を挟んだ。
「僭越ながらバアル殿、封印媒体の赤子を九尾から引き剥がしたら、またも九尾が目覚めてしまうのではございますまいか」
「これは大魔王サタン様の御意向だ。どうやら封印媒体の赤子、ナルトは九尾の中で少年に成長しておるらしい。そこでカカシが九柱を拒絶し続けるならば、御自らの骨の欠片を与えた子を九柱に据えるのも良かろうとの仰せ」
「なんと……!」
七柱たちに動揺が走った。
「ですが九尾の竜はどうするのです!」
七柱ヴィネの声に対し、バアルは事も無げに返答を寄越す。
「それよ。元々カカシが九柱を拒絶せねば済む話なれば、この一件はカカシに任せようかと思ってのう」
そして再びカカシに目を向けると、
「もしそなたがこれを受諾せねば、代わりの者を立てねばならんのう。……確かイルカといったか、彼の者を推薦してみようかの。イルカとやらには、九尾の件はちと手に余るのではないかな」
したたかな笑みを浮かべるバアルの言葉に、カカシの背に戦慄が走った。
「お待ち下さい! イルカは魔物に生まれ変わったばかり、しかも元は人間で……」
「そうじゃな。それにかような者が推薦されたとあっては、魔界の者共も黙ってはおらぬだろうな。元人間の子が大魔王サタン様の御下命を受けるくらいならば我こそと逸る粗忽者も出てくるであろうの」
カカシは唇をきつく噛みしめた。
イルカが推薦されたとなれば、イルカを亡き者にして我こそという浅はかな輩が現れ、また自分が誕生した時のような事態を引き起こしてしまう。特にカカシを目の敵にしているベルゼブブやその配下は黙っていないだろう。
だが九尾の竜からナルトを引き剥がしたら、当然の結果として竜が目覚める。その再封印をもバアルは暗にカカシに命じているのだ。それはいくら魔王に匹敵するカカシとはいえ、到底独力でできることではない。
そんなカカシの動揺を、バアルは温度の感じられない黄金色の目で見下ろした。
「なに、案ずることはない。九尾から引きずり出したナルトを、成長した暁に九柱に就ければよい話。それが嫌なら自ら九柱に就くことを考えよ。そなたなら四柱に迎えることも可能ぞ」
それだけ伝えるとバアルは立ち上がり、用件は済んだとばかりにスッとその姿を消した。
荒涼とした虚無が果てしなく広がる空間に浮かぶ、巨大な円盤状の広場。
カカシは一人その中央に立っていた。
周囲には柱が九本そびえ立ち、おぼろげに見えるその上には八人の魔王が思い思いに座り、カカシを見下ろしていた。
「五百年ぶりか。ようやく顔を見せたな、混ざり物の王カカシよ」
柱の上から嘲るような声が降ってくる。
カカシは特に反応もせず、つまらなそうに黙って柱の装飾を眺めていた。
「カカシは混ざり物でも王でもないであろう、プルソン。下らぬ嘲罵は止めよ」
プルソンと呼ばれた獅子頭の向かいの柱から、牡牛・人・山羊の三つ頭を持つ六柱バラムが嗄れた声でたしなめた。すると五柱プルソンが跳ねるように立ち上がり、カカシを指差して声を荒げる。
「血は薄まっていようとも、こやつは人間の子ぞ! それが我等と共に魔界大九柱の座に就くなど、我等が純血の魔王の地位が穢れるわ!」
「それは私に対する言葉と受け取ってよいのか」
静かな、だが圧を乗せた言葉が四柱アスモデウスから発せられた。
プルソンは元天使をはっと振り返り、咳払いをした。
「いや、魔界と天界の純血と言うべきであった。……とにかく、五百年も我等の召喚を無視した上に、魂を削って分身を創るなど好き勝手をする小僧に魔王の座は相応しくなかろう!」
するとプルソンの隣の柱に寝そべっていた、可憐な少女のようななりをした二柱パイモンが大あくびをしながら体を起こした。
「うるさくてお昼寝もできないじゃねぇか。今日はそんな下らねぇことほざくために集まったんじゃねぇだろ。てめぇは黙って座ってろ」
自分の半分にも満たない華奢な体のパイモンに叱責されたプルソンは、反論するどころか目を伏せておとなしく座った。
どんな見目風貌であれ、魔界では序列が全てなのだ。
序列はそのまま魔力の強さを表す。
それは魔界大九柱でも、いや魔王たちの中でこそ顕著だった。
「……それでは本題に入ってもよいか」
カカシの正面から穏やかな声がかけられる。
カカシを含む全員の目が、この中で最も強大な魔王バアルに向けられた。
「カカシよ、そなたは九柱目の魔王の座に就きたくない、使者によるとそう言っておったそうだな」
バアルの言葉は静かだが、一つ一つに魔力が込められているかの如くカカシのむき出しになった肌をびりびりと震わせた。
「はい、その柱には私よりも相応しき者が魔界にいると思います」
「それはそなたの見解であり、我等とは異なるのう」
穏やかな拒絶に、カカシは黙って続きを待った。
評議会でも魔界大九柱でもカカシを魔王にという動きは、九柱だったダンタリオスが亡くなったとされてからずっと続いていたのだ。
それが今回、初めて大魔王サタンの名に於いて召喚された。
魔王の上に君臨し、魔界の全てを統治する大魔王サタンの名を出されては、さすがのカカシも無視することはできなかったのだ。もし逆らったら、いやたとえ不興を買っただけでも、一瞬で塵一つ残さず抹消されてしまうだろう。
大魔王サタンとはそういう絶対的存在だった――日頃は魔界にほとんど関与することはなくとも。
そのサタンの名を出したということは、何かしらの大きな動きがある。それは決してカカシの推薦する代替の魔王の名を聞くことなどではないはずだ。
カカシは珍しく緊張し、城で待つイルカを思い浮かべながら続きを待った。
「ときにカカシよ。そなたは階層の狭間にある氷炎の洞穴に、九尾の竜が封印されておることは知っとるな」
「……? はい、存じております」
思わぬ話題の転換に、カカシは緋色の双眸を見開いた。
「その九尾の竜の封印媒体にされた子、ナルトを連れて来よ。さすればそなたを魔王にするのは免じてやろう」
九尾の竜だけでなく、ナルトの名も出たことに他の七柱がざわめく。
九尾の竜はかつて魔界を大恐慌に陥れた古の竜だった。
魔界の主だった魔物と魔界大九柱が総力で当たっても倒すことは敵わず、当時の九柱の半分が倒れ魔界の三分の一が焦土と化した。そこで傍観していた大魔王サタンもようやく重い腰を上げ、その小指の骨の欠片を埋め込んだ赤子を媒体に封印したのだ。
その赤子はその時の四柱で、今は亡きミナトの子だった。
九尾の竜の災厄は数万年も前で、今ではもう昔話となっている。
その封印媒体の赤子と九柱に何の関係がと訝ったのは他の魔王も同じだったのか、今まで沈黙していた八柱ザガンが口を挟んだ。
「僭越ながらバアル殿、封印媒体の赤子を九尾から引き剥がしたら、またも九尾が目覚めてしまうのではございますまいか」
「これは大魔王サタン様の御意向だ。どうやら封印媒体の赤子、ナルトは九尾の中で少年に成長しておるらしい。そこでカカシが九柱を拒絶し続けるならば、御自らの骨の欠片を与えた子を九柱に据えるのも良かろうとの仰せ」
「なんと……!」
七柱たちに動揺が走った。
「ですが九尾の竜はどうするのです!」
七柱ヴィネの声に対し、バアルは事も無げに返答を寄越す。
「それよ。元々カカシが九柱を拒絶せねば済む話なれば、この一件はカカシに任せようかと思ってのう」
そして再びカカシに目を向けると、
「もしそなたがこれを受諾せねば、代わりの者を立てねばならんのう。……確かイルカといったか、彼の者を推薦してみようかの。イルカとやらには、九尾の件はちと手に余るのではないかな」
したたかな笑みを浮かべるバアルの言葉に、カカシの背に戦慄が走った。
「お待ち下さい! イルカは魔物に生まれ変わったばかり、しかも元は人間で……」
「そうじゃな。それにかような者が推薦されたとあっては、魔界の者共も黙ってはおらぬだろうな。元人間の子が大魔王サタン様の御下命を受けるくらいならば我こそと逸る粗忽者も出てくるであろうの」
カカシは唇をきつく噛みしめた。
イルカが推薦されたとなれば、イルカを亡き者にして我こそという浅はかな輩が現れ、また自分が誕生した時のような事態を引き起こしてしまう。特にカカシを目の敵にしているベルゼブブやその配下は黙っていないだろう。
だが九尾の竜からナルトを引き剥がしたら、当然の結果として竜が目覚める。その再封印をもバアルは暗にカカシに命じているのだ。それはいくら魔王に匹敵するカカシとはいえ、到底独力でできることではない。
そんなカカシの動揺を、バアルは温度の感じられない黄金色の目で見下ろした。
「なに、案ずることはない。九尾から引きずり出したナルトを、成長した暁に九柱に就ければよい話。それが嫌なら自ら九柱に就くことを考えよ。そなたなら四柱に迎えることも可能ぞ」
それだけ伝えるとバアルは立ち上がり、用件は済んだとばかりにスッとその姿を消した。
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