【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
↑new ↓old
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
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午後も遅い時間だというのに、上忍待機所は程よく賑わっている。
みんな元気そうで良いことだね、うんうん。
まぁでも? 俺ほど元気いっぱい幸せいっぱいじゃないとは思うけどね?
俺、すっごく素敵な彼がいるし。
男前で朗らかでおおらかで優しくて、怒ると恐いけど笑顔が可愛くて。
冬の縁側のあったかい日だまりとか、夏の陽射しに向かってしゃんと咲き誇るひまわりみたいな人だ。
『うみのイルカ』っていうんだけどね。
もう名前からして素敵だ。
海の無い木ノ葉に、うみのイルカ。
母なる海の如く深い愛情をもたらすべく遣わされた、俺の、俺だけの天使。
いやもう、本当に生きてて良かった。あの人の笑顔を見ていられるだけでも、側にいられるってだけでもその価値がある。
なのにまさかね、お付き合いできちゃうとか……っ!
その上、手を繋いで土手をのんびり帰ったり、一緒にご飯食べておいしいねって言い合ったり、おやすみなさいのチュウをしたり、その後「今日は泊まっていきませんか?」とか! ね!
あんなに爽やかで清潔感溢れる男前な人が、夜を匂わせるだけでなんとエロいことか。
いや、先生にエロいなどという俗語は似合わない。
淫靡。淫蕩。妖艶。魅力的で魅惑的でいて蠱惑的。
駄目だ、俺の乏しい語彙力じゃイルカ先生の持つものを語り尽くせない。今度もっとイチャイチャパラダイスを読み込まなくては。
それにしても、ここに集う全ての忍がイルカ先生の本当の魅力を知らないなんて、みんな可哀相だよねぇ。あんなに可愛くていやらしくてエッチになるのに。
あー、でも知ったら最後、絶対手放せなくなっちゃうもんな。やっぱり知らなくていい。全然いい。
「…………おい、その鬱陶しいニヤニヤをやめろ。それと、俺たちを憐れみの目で見るのもだ」
…………ハァーーーー。
アスマくん、分かるよ? うん、分かる。
俺のことが羨ましくてしょうがないんだよね?
イルカ先生とお付き合いできて、おまけにあんなことやこんなことしてるのが羨ましいんだよね?
ま、先生の魅力は教えてやんないけどね!
「お前ェが浮かれてるのは十分分かったから、一人で浮かれてくれ。その鬱陶しいニヤケ面を公共の場に持ち込むな」
「失礼だねぇアスマくん、自分が寂しい独り身だからって嫉妬しないでくれるかな」
するとアスマが備え付けのソファーが揺れるほどの勢いで立ち上がり、俺に人差し指を突き付けた。
元がヒグマみたいなガタイの奴だから、こうやって見下ろされるとなかなかの迫力だ。それでもイルカ先生の怒りの大噴火には到底敵わないけど。
「いいか、はっきり言っておく。お前ェが長年の片想いに終止符を打ってイルカと付き合えたのはめでてぇ。毎晩毎晩ヤりまくるのも構わねぇ。だがな、毎日毎日毎日毎日毎日毎日その鬱陶しいニヤケ面を晒してるのは話が別……何だよ」
「……………ってない」
「ぁあ?」
「そんなヤりまくってない。まだ一回だけだよ」
「は? だってお前ェ、付き合い出したのって、もう二ヶ月以上も前じゃ……」
「あのね、人間じゃない熊には理解しがたいと思うけど、二度目をお誘いするのってすっごくすっごく難しいの! 何しろエッチするのは人生で初めてだったんだから」
俺の声で、待機所にかつてない程の沈黙が落ちた。
ここがこんなにも静けさに包まれたことが、今まであっただろうか。
同時に妙な緊張感も孕んでいる気がする。
居並ぶ上忍・特上たちの視線が怖い。何か、信じられないものでも見たような。
それが全て俺に向かってるんだけど。
不意に動きがあった。
ゲンマが恐る恐る、なぜか挙手をして問い掛けてくる。
「あー、カカっさん、多分俺の勘違いかな~とは思うんすけどね。あの、カカっさんがまさかその……チェリーってことじゃないっすよね? イルカとヤるのが人生で初めて、ってことっすよね?」
「俺が人生で初めて、って意味だけど」
ひゅ、という息がゲンマの喉から漏れた。
同時にあちこちから「まさか!」「嘘だろおい」等の呟きが聞こえてくる。
何なのよいったい。俺が初めてエッチすることの、何がそんなに動揺するわけ?
すると急に数人がガタガタと慌ただしく立ち上がった。
「はたけ上忍がつい最近までどう、て……そんなの俺は絶対に信じない!」
「嫌っ! アタシもうこれ以上何も聞きたくないわっ」
なぜかみんな被害者のように、泣きながら待機所を飛び出していったけど。
「……何なのよ、あれ」
「ありゃお前ェの熱烈なファンって奴だ。気にすんな」
「木ノ葉の業師が実はチェリー君だったなんて、幻想が壊れるから聞きたくないんじゃないっすかね。まぁ、俺もちょっと意外だったっすけど。……で? 二度目をお誘いするのが難しいんでしたっけ?」
アスマのよく分からない慰めじみた呟きを押しのけて、ゲンマがズイッと体を寄せてくる。
咥えた千本が刺さりそうで思わず身を引くと、耳元で「ずいぶん楽しそうなお話してるじゃない?」「ねぇ? 悩みなら聞くわよ」と囁かれた。
――紅にアンコまで。
親切ぶってるけど、そんなに弾んだ声じゃ好奇心旺盛な野次馬根性が丸見えだっての。
「あのさ、他人の幻想はどうでもいいけど、木ノ葉の業師が童貞の何がそんなにいけないのよ。それに今はもう違うし」
アスマが深々とため息をつく。
「あのな…………非常に言いにくいんだが、業師は忍としての技量じゃねぇ。木ノ葉の『夜の』業師、つまりお前ェは寝技がすげぇって評されてたんだよ」
え、それはちょっとショックなんだけど。
俺のいろんな過大評価というか誇大妄想的な二つ名の事は何となく知ってたけど、まさか下半身方面だったなんて。
「待って、まさかイルカ先生もそう思ってた⁉」
アスマとゲンマが顔を見合わせる。
紅もアンコと肩を竦め合った。
「「だろうな」」
「「でしょうね」」
あ~~~そうか~~~そうだったのか~~~~~。
大切な初夜に向けて、何度も何度も閨房術(衆道編)とイチャイチャボーイズを熟読しといて本当に良かった!
イメージトレーニングも繰り返して、先生に変化させた影分身まで使ってひたすら練習した甲斐があった。
もし万が一にでも悲惨なことになってたら、イルカ先生をがっかりさせちゃうところだった。
おかげで初夜は恙無く済んだし、多分期待にも応えられてたと思うし、最高の夜になったけど。
まさかそのすぐ先に、こんな難題が待ち構えてるとは思ってもみなかった。
――そう。二度目のお誘いである。
俺には目標があった。
イルカ先生を魅惑的に蠱惑的にスマートかつセクシーにお誘いするという、次なる目標が。
「せっかくだから聞いちゃうけど、二度目ってどうやって誘えばいいの? いい加減もう手詰まりなんだよね……」
はぁ? というアンコのいかにも面倒臭そうな声は無視して、アスマに顔を向けかけるが動物である熊には難しい質問だろうと、この中で一番伊達男に見えるゲンマに振る。
「そんなの普通に誘えばいいんじゃないの?」
紅、お前は分かってない。
男とは哀しいほどロマンチックな生き物なのだよ。
「普通じゃイヤなの! だってイルカ先生との目眩くセカンドナイトだよ? スマートにエロティックに誘いたいじゃない」
あ、まただ。
また憐れみの目線が返ってくる。これだからチェリー君は……って、聞こえてるよ紅? これ見よがしな舌打ちもやめろアンコ。
「あー、そうっすね、えーっと……服か下着でもプレゼントして、それを脱がせたいって口説くとか」
「イルカは男よ? それに脱がせたいなんて言っても、自分で着替えられますよって言われるのがおちだわ」
「じゃあもっと分かりやすく直接的に、ボディータッチっすね。体にゆっくり触れながら、徐々に際どい所を攻めつつ甘く囁くとか」
「似たようなことはもう試したけど、ダメだった」
「それでもダメだったんすか⁉ じゃあ、その時何か変なことやらかしたんじゃないっすかね」
変なこと。
あの時はご飯の後、何となくテレビを見ながら二人とも寛いでいて。イルカ先生は座布団に胡坐をかいて、後ろに左手を突いていた。
ニュースを見ていた先生の右手が、無意識なのだろう、股間に伸びる。どこか痒いのかと思ったら、スウェットの上からもぞもぞと股間を弄り出した。
ああ、手持ち無沙汰でぼんやり弄ってるのね、よくあるある。ちんポジを何となく直したり、ただ意味もなく弄ったり、男なら誰でもやることだ。
でもイルカ先生は男だけど俺の性的対象で、つまり先生の股間も性的対象だ。そんなエッチな行為を目の前で見せられたら、誘われてるとしか思えない。
俺は先生の側ににじり寄ると、腕まくりをして露わになってる素肌にそっと触れた。筋肉の付いたがっしりとした腕から手首へ、そこから手の甲へするりと滑らせ、指を絡ませる。
そしてとびっきりの甘い声で耳元に囁きかけた。
「ちんポジ直すの、手伝おうか」
びっくりしたように振り返った先生の唇を重ね合わせ、そして熱い吐息も……
ブッッッフォォォオオオオ!
え、今の何⁉
俺の唇を吹き飛ばす勢いで噴き出されたのって、イルカ先生の吐息か?
あまりの勢いにびっくりして顔を離すと、イルカ先生がヒィヒィ笑ってる。
「ちん、ブフフフ……ポジ直すのをフヒヒヒッ、手伝っ、って、てつだハハハハハ」
ひっくり返って笑い転げる先生に、エッチな雰囲気など微塵もなく。
俺の繊細な心と息子は、獲物を前に撤退を余儀なくされたのだ。
「……って感じだったんだけど」
ちょっと、なんでみんな頭抱えてんのよ。
笑われるのもきついけど、その憐れみの目はやめてくれない? 素直に痛いんだけど。
「………………いいか、カカシ。ちんポジ直すの手伝おうか、だけは無い」
「ないわね」
「カカっさんがここまでセンスのないチェリーだったとは……」
そこまで言われること⁉
だってちんポジ直すのって、すごく親しくてもやらないしやらせないよね?
俺とイルカ先生の仲だからこそ成立する、ほら、動物同士のグルーミングみたいな感じで良くない? 良くないの⁉
「でもよ、手詰まりって言うくらいだから他にもいろいろ誘ったんだろ? ……いや、いい。聞きたくない」
「その調子じゃ、どうせ今までのお誘いとやらもイルカには伝わってないわよ」
好き放題に言われる中、頭を抱えたままだったゲンマがやけに思いつめたような顔を上げた。
「カカっさん、これは予想以上に難題っすね。もうめんどくせぇ……じゃなくて、変に凝らずもっとストレートに行きましょう」
「交尾しようとか?」
「動物かよ! あー、すいません。そうじゃなくて、普通に相手の目を見なが……」
俺を含む全員の動きが一瞬止まり、戦場の如く互いに目配せを交わし合う。
待機所の外から、今話題の人物の近づいてくる気配がしたのだ。
俺は可及的速やかに、だがさりげなくイチャパラを開いて目を落とした。
いつから手にしていたのか、アンコは団子をかじりながら紅の広げる雑誌を興味深そうに覗き込む。
ゲンマと熊は、最近ウワバミ横丁にできた居酒屋の話をしている。かれこれ十分間はその話題で盛り上がっていたかのように。
「失礼します。あれ、ずいぶん今日は閑散としてますね?」
「イルカ先生、もう終わった?」
「はい! お待たせしました。さぁ、帰りましょう」
いつの間にやら窓の外も暗くなっていた。
ゲンマのアドバイスは肝心な部分が聞けなかったけど、愛しのイルカ先生を待たせてまで優先させるような話じゃない。
ソファーから飛び上がると、いそいそと先生の隣に並んで待機所を出た。
さっきゲンマとアスマの言ってた居酒屋をイルカ先生が興味深そうにしてたので、ちょっと早いけど行くことになって、俺は内心ガッツポーズを決めていた。
お誘いに多少のアルコールは大変有効なはず。
場を誤魔化すためとはいえ、話題に出してくれてありがとう。お前らにも酒と恋愛で良い事がありますように。
ウワバミ横丁なんて酒呑みの聖地にあるけど、意外にも落ち着いた内装で品揃えも味もなかなか良い。
これならお誘いの雰囲気もスムーズに伝わるかもしれない。
何だっけ、ゲンマはやたらと普通に、ストレートにを繰り返してた気がする。
カウンターの上はあらかた飲み食いし尽くした。
あとは一言だけだ。
相手の目を見ながら、相手の、イルカ先生の、黒い鉱石のような目を……目に、
「どうしたんですか?」
「あのね、あの、し…っ、たいんだけどッッッ」
イルカ先生が俺を見つめている。
こてんと小首を傾けてちょっと怪訝そうにしていたその顔が、恥ずかしそうにパッと綻んだ。
――伝わった!
「しょんべんですか? どうぞ、いってらっしゃい」
「イッテキマス……」
ふらりと立ち上がるとトイレに向かう。
成り行き上トイレを済ませはしたが、手を洗って鏡を見たところで泣きそうになる。
ダメじゃない! 全然伝わってないじゃん!
いやでも今日こそ絶対にしたい。ヤりたい。目眩くセカンドナイトを! 俺は諦めない!
店を出ると、足は自然とイルカ先生のアパートに向かう。
いや途中までは同じ道だから当たり前なんだけど、気持ち的にはもう先生の部屋に向かってる。
ああ、でも二つ先の街灯の所で行き先は分かれる。
そこまでには何とかして、先生のアパートに行く理由を考えないと。
前回お邪魔した時に忘れ物をしちゃって?
先生のお布団でもう一回寝たいです?
今日は一人で寝たくないの?
いっそ任務で先生のお宅まで護衛するように言われてますとか?
「カカシさん、今日はずいぶんと上の空ですけど、どうしたんですか?」
「ひえっ、……と、任務で護衛! を……」
イルカ先生はハッと顔を引き締めると、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「そうでしたか、今日は大変だったんですね。お疲れのところお誘いしてすみません」
「違うの! イルカ先生と過ごすのはいつでも楽しいし幸せだよ! 本当だよ!」
「俺もです。へへっ」
可愛いなぁ。
その笑顔が本当に大好き。食べちゃいたい。
でもどう頑張っても伝わらない訳で。
「あ、そういえばカカシさん、こないだ忘れ物してったんですよね。今日渡そうと思ってたんですけど、お疲れなら次回に……」
「行く! 行きます! お邪魔します」
わぁ、嘘みたい。
こんな偶然ってある? 忘れ物って何かあったっけ。多分お誘いに失敗してがっくりきてたから気が付かなかったんだろうな。なんにせよこないだの俺、偉いぞ! バトンはしっかり受け取ったからね!
途端に気持ちがふわふわとして、足取りも軽やかに二つ先の街灯を右に曲がる。二人で。
二人で前後してアパートの階段を上り、二人で前後してドアから先生の部屋に入る。
「お邪魔します」
「どうぞ~。酔い覚ましにお茶かコーヒーでも飲みます? それとももう少し呑みますか?」
「あ、えっと……」
今から更に呑んだら緊張のあまりベロンベロンになりそうだけどコーヒーだとすぐ飲み終わって帰らなきゃならなくなるから酒の方が時間は稼げるけどどっちがいいだろうまたここでも難問が早く早く不自然にならない内に
「……コーヒーでお願い」
「はい、じゃあ座っててくださいね」
玉暖簾をカチャカチャと鳴らし、先生が台所に立つ。
俺は卓袱台の前に正座すると、隣の寝室に繋がる襖をちらりと窺った。
今日こそは最終的にあの扉の奥に招かれたい。いや、そんな受け身の気持ちじゃ駄目だ。俺が、ベッドにお誘いしたい。
決意の眼差しを襖に向けていると、またカチャカチャと音が鳴った。
「インスタントで申し訳ないんですけど」
「イルカ先生が俺にくれるものなら、何でも嬉しいよ」
「ふふ、ありがとうございます」
口布を下げて湯呑みに口を付けると、強い視線を感じる。
目だけそっちに向けると、先生が頬杖を付きながらにこにこと俺を眺めていた。
何となくいたたまれなくて何か話さなきゃと思ったけど、その前に先生が口を開く。
「カカシさん、本当に男前ですねぇ」
「……え? イルカ先生の方がかっこいいよ?」
「しかも綺麗で優しくて、時々可愛いです」
「イルカ先生の方が優しいし可愛いじゃない」
先生がまた、ふふっと笑う。
そして片手をすいと俺の顔に伸ばして、口元を擽るように撫でた。
「それでいて、こんなエッチなもの隠してるんだもんなぁ」
ぞわ、と口元から全身が粟立つ。
「イルカ先生、酔ってる?」
「うーん、酔ってるのかなぁ。酔ってるって言った方がいいですか?」
え、どっちだろう。
酔ってないみたいに見えるけど、本当はけっこう酔ってるのかも? 急にそんなこと言い出すくらいだし、もう早く寝たいから帰ってくれってこと?
「あー、コーヒー美味しかったです。それじゃ……」
「したくないですか?」
何を?
おかげさまでトイレはさっき行ったし、あとは何だ?
先生の手は相変わらず俺のほくろをゆるゆると撫でている。
指先から伝わる熱が。
「あ、そうか、忘れ物?」
先生が今度はくすくすと笑い出した。
「そうでしたね。忘れ物、してったんですよね」
指先がすっと離れ、その熱を惜しんでいると先生が立ち上がった。
そしてさっき俺が眺めていた襖をすぱんと開ける。
首だけ振り返って、にこにことしてるんだけど、その目が。
「カカシさん、次の約束を忘れていきましたよ。それで、どうします?」
「どう、って……?」
みっともないくらい声が掠れる。
俺はふらふらと誘われるように立ち上がった。
イルカ先生の顔が、不意にひどく思いつめたものに変わる。
「したくないですか? 俺はカカシさんとしたいです」
一足飛びに先生を抱き寄せ、その勢いのままベッドに押し倒す。
「したいです! ずうっとしたかった! イルカ先生好き好き! だいす」
き、はイルカ先生の口の中に吸い込まれた。
頭を抱えるように両手でしっかりと押さえられ、髪をくしゃくしゃとかき混ぜられる。
ぶちゅ、と一際大きな音を立ててキスしてくれると、顔をちょっと離した先生がにかりと笑った。
「あー、良かった。俺も大好きですよ! だからいっぱいしましょう!」
「はいっ!」
いいお返事ですね、と褒めてくれたから、俺もぶちゅっとキスを返した。
それから俺たち二人の希望を叶えるべく、いっぱいいっぱいした。
みんな元気そうで良いことだね、うんうん。
まぁでも? 俺ほど元気いっぱい幸せいっぱいじゃないとは思うけどね?
俺、すっごく素敵な彼がいるし。
男前で朗らかでおおらかで優しくて、怒ると恐いけど笑顔が可愛くて。
冬の縁側のあったかい日だまりとか、夏の陽射しに向かってしゃんと咲き誇るひまわりみたいな人だ。
『うみのイルカ』っていうんだけどね。
もう名前からして素敵だ。
海の無い木ノ葉に、うみのイルカ。
母なる海の如く深い愛情をもたらすべく遣わされた、俺の、俺だけの天使。
いやもう、本当に生きてて良かった。あの人の笑顔を見ていられるだけでも、側にいられるってだけでもその価値がある。
なのにまさかね、お付き合いできちゃうとか……っ!
その上、手を繋いで土手をのんびり帰ったり、一緒にご飯食べておいしいねって言い合ったり、おやすみなさいのチュウをしたり、その後「今日は泊まっていきませんか?」とか! ね!
あんなに爽やかで清潔感溢れる男前な人が、夜を匂わせるだけでなんとエロいことか。
いや、先生にエロいなどという俗語は似合わない。
淫靡。淫蕩。妖艶。魅力的で魅惑的でいて蠱惑的。
駄目だ、俺の乏しい語彙力じゃイルカ先生の持つものを語り尽くせない。今度もっとイチャイチャパラダイスを読み込まなくては。
それにしても、ここに集う全ての忍がイルカ先生の本当の魅力を知らないなんて、みんな可哀相だよねぇ。あんなに可愛くていやらしくてエッチになるのに。
あー、でも知ったら最後、絶対手放せなくなっちゃうもんな。やっぱり知らなくていい。全然いい。
「…………おい、その鬱陶しいニヤニヤをやめろ。それと、俺たちを憐れみの目で見るのもだ」
…………ハァーーーー。
アスマくん、分かるよ? うん、分かる。
俺のことが羨ましくてしょうがないんだよね?
イルカ先生とお付き合いできて、おまけにあんなことやこんなことしてるのが羨ましいんだよね?
ま、先生の魅力は教えてやんないけどね!
「お前ェが浮かれてるのは十分分かったから、一人で浮かれてくれ。その鬱陶しいニヤケ面を公共の場に持ち込むな」
「失礼だねぇアスマくん、自分が寂しい独り身だからって嫉妬しないでくれるかな」
するとアスマが備え付けのソファーが揺れるほどの勢いで立ち上がり、俺に人差し指を突き付けた。
元がヒグマみたいなガタイの奴だから、こうやって見下ろされるとなかなかの迫力だ。それでもイルカ先生の怒りの大噴火には到底敵わないけど。
「いいか、はっきり言っておく。お前ェが長年の片想いに終止符を打ってイルカと付き合えたのはめでてぇ。毎晩毎晩ヤりまくるのも構わねぇ。だがな、毎日毎日毎日毎日毎日毎日その鬱陶しいニヤケ面を晒してるのは話が別……何だよ」
「……………ってない」
「ぁあ?」
「そんなヤりまくってない。まだ一回だけだよ」
「は? だってお前ェ、付き合い出したのって、もう二ヶ月以上も前じゃ……」
「あのね、人間じゃない熊には理解しがたいと思うけど、二度目をお誘いするのってすっごくすっごく難しいの! 何しろエッチするのは人生で初めてだったんだから」
俺の声で、待機所にかつてない程の沈黙が落ちた。
ここがこんなにも静けさに包まれたことが、今まであっただろうか。
同時に妙な緊張感も孕んでいる気がする。
居並ぶ上忍・特上たちの視線が怖い。何か、信じられないものでも見たような。
それが全て俺に向かってるんだけど。
不意に動きがあった。
ゲンマが恐る恐る、なぜか挙手をして問い掛けてくる。
「あー、カカっさん、多分俺の勘違いかな~とは思うんすけどね。あの、カカっさんがまさかその……チェリーってことじゃないっすよね? イルカとヤるのが人生で初めて、ってことっすよね?」
「俺が人生で初めて、って意味だけど」
ひゅ、という息がゲンマの喉から漏れた。
同時にあちこちから「まさか!」「嘘だろおい」等の呟きが聞こえてくる。
何なのよいったい。俺が初めてエッチすることの、何がそんなに動揺するわけ?
すると急に数人がガタガタと慌ただしく立ち上がった。
「はたけ上忍がつい最近までどう、て……そんなの俺は絶対に信じない!」
「嫌っ! アタシもうこれ以上何も聞きたくないわっ」
なぜかみんな被害者のように、泣きながら待機所を飛び出していったけど。
「……何なのよ、あれ」
「ありゃお前ェの熱烈なファンって奴だ。気にすんな」
「木ノ葉の業師が実はチェリー君だったなんて、幻想が壊れるから聞きたくないんじゃないっすかね。まぁ、俺もちょっと意外だったっすけど。……で? 二度目をお誘いするのが難しいんでしたっけ?」
アスマのよく分からない慰めじみた呟きを押しのけて、ゲンマがズイッと体を寄せてくる。
咥えた千本が刺さりそうで思わず身を引くと、耳元で「ずいぶん楽しそうなお話してるじゃない?」「ねぇ? 悩みなら聞くわよ」と囁かれた。
――紅にアンコまで。
親切ぶってるけど、そんなに弾んだ声じゃ好奇心旺盛な野次馬根性が丸見えだっての。
「あのさ、他人の幻想はどうでもいいけど、木ノ葉の業師が童貞の何がそんなにいけないのよ。それに今はもう違うし」
アスマが深々とため息をつく。
「あのな…………非常に言いにくいんだが、業師は忍としての技量じゃねぇ。木ノ葉の『夜の』業師、つまりお前ェは寝技がすげぇって評されてたんだよ」
え、それはちょっとショックなんだけど。
俺のいろんな過大評価というか誇大妄想的な二つ名の事は何となく知ってたけど、まさか下半身方面だったなんて。
「待って、まさかイルカ先生もそう思ってた⁉」
アスマとゲンマが顔を見合わせる。
紅もアンコと肩を竦め合った。
「「だろうな」」
「「でしょうね」」
あ~~~そうか~~~そうだったのか~~~~~。
大切な初夜に向けて、何度も何度も閨房術(衆道編)とイチャイチャボーイズを熟読しといて本当に良かった!
イメージトレーニングも繰り返して、先生に変化させた影分身まで使ってひたすら練習した甲斐があった。
もし万が一にでも悲惨なことになってたら、イルカ先生をがっかりさせちゃうところだった。
おかげで初夜は恙無く済んだし、多分期待にも応えられてたと思うし、最高の夜になったけど。
まさかそのすぐ先に、こんな難題が待ち構えてるとは思ってもみなかった。
――そう。二度目のお誘いである。
俺には目標があった。
イルカ先生を魅惑的に蠱惑的にスマートかつセクシーにお誘いするという、次なる目標が。
「せっかくだから聞いちゃうけど、二度目ってどうやって誘えばいいの? いい加減もう手詰まりなんだよね……」
はぁ? というアンコのいかにも面倒臭そうな声は無視して、アスマに顔を向けかけるが動物である熊には難しい質問だろうと、この中で一番伊達男に見えるゲンマに振る。
「そんなの普通に誘えばいいんじゃないの?」
紅、お前は分かってない。
男とは哀しいほどロマンチックな生き物なのだよ。
「普通じゃイヤなの! だってイルカ先生との目眩くセカンドナイトだよ? スマートにエロティックに誘いたいじゃない」
あ、まただ。
また憐れみの目線が返ってくる。これだからチェリー君は……って、聞こえてるよ紅? これ見よがしな舌打ちもやめろアンコ。
「あー、そうっすね、えーっと……服か下着でもプレゼントして、それを脱がせたいって口説くとか」
「イルカは男よ? それに脱がせたいなんて言っても、自分で着替えられますよって言われるのがおちだわ」
「じゃあもっと分かりやすく直接的に、ボディータッチっすね。体にゆっくり触れながら、徐々に際どい所を攻めつつ甘く囁くとか」
「似たようなことはもう試したけど、ダメだった」
「それでもダメだったんすか⁉ じゃあ、その時何か変なことやらかしたんじゃないっすかね」
変なこと。
あの時はご飯の後、何となくテレビを見ながら二人とも寛いでいて。イルカ先生は座布団に胡坐をかいて、後ろに左手を突いていた。
ニュースを見ていた先生の右手が、無意識なのだろう、股間に伸びる。どこか痒いのかと思ったら、スウェットの上からもぞもぞと股間を弄り出した。
ああ、手持ち無沙汰でぼんやり弄ってるのね、よくあるある。ちんポジを何となく直したり、ただ意味もなく弄ったり、男なら誰でもやることだ。
でもイルカ先生は男だけど俺の性的対象で、つまり先生の股間も性的対象だ。そんなエッチな行為を目の前で見せられたら、誘われてるとしか思えない。
俺は先生の側ににじり寄ると、腕まくりをして露わになってる素肌にそっと触れた。筋肉の付いたがっしりとした腕から手首へ、そこから手の甲へするりと滑らせ、指を絡ませる。
そしてとびっきりの甘い声で耳元に囁きかけた。
「ちんポジ直すの、手伝おうか」
びっくりしたように振り返った先生の唇を重ね合わせ、そして熱い吐息も……
ブッッッフォォォオオオオ!
え、今の何⁉
俺の唇を吹き飛ばす勢いで噴き出されたのって、イルカ先生の吐息か?
あまりの勢いにびっくりして顔を離すと、イルカ先生がヒィヒィ笑ってる。
「ちん、ブフフフ……ポジ直すのをフヒヒヒッ、手伝っ、って、てつだハハハハハ」
ひっくり返って笑い転げる先生に、エッチな雰囲気など微塵もなく。
俺の繊細な心と息子は、獲物を前に撤退を余儀なくされたのだ。
「……って感じだったんだけど」
ちょっと、なんでみんな頭抱えてんのよ。
笑われるのもきついけど、その憐れみの目はやめてくれない? 素直に痛いんだけど。
「………………いいか、カカシ。ちんポジ直すの手伝おうか、だけは無い」
「ないわね」
「カカっさんがここまでセンスのないチェリーだったとは……」
そこまで言われること⁉
だってちんポジ直すのって、すごく親しくてもやらないしやらせないよね?
俺とイルカ先生の仲だからこそ成立する、ほら、動物同士のグルーミングみたいな感じで良くない? 良くないの⁉
「でもよ、手詰まりって言うくらいだから他にもいろいろ誘ったんだろ? ……いや、いい。聞きたくない」
「その調子じゃ、どうせ今までのお誘いとやらもイルカには伝わってないわよ」
好き放題に言われる中、頭を抱えたままだったゲンマがやけに思いつめたような顔を上げた。
「カカっさん、これは予想以上に難題っすね。もうめんどくせぇ……じゃなくて、変に凝らずもっとストレートに行きましょう」
「交尾しようとか?」
「動物かよ! あー、すいません。そうじゃなくて、普通に相手の目を見なが……」
俺を含む全員の動きが一瞬止まり、戦場の如く互いに目配せを交わし合う。
待機所の外から、今話題の人物の近づいてくる気配がしたのだ。
俺は可及的速やかに、だがさりげなくイチャパラを開いて目を落とした。
いつから手にしていたのか、アンコは団子をかじりながら紅の広げる雑誌を興味深そうに覗き込む。
ゲンマと熊は、最近ウワバミ横丁にできた居酒屋の話をしている。かれこれ十分間はその話題で盛り上がっていたかのように。
「失礼します。あれ、ずいぶん今日は閑散としてますね?」
「イルカ先生、もう終わった?」
「はい! お待たせしました。さぁ、帰りましょう」
いつの間にやら窓の外も暗くなっていた。
ゲンマのアドバイスは肝心な部分が聞けなかったけど、愛しのイルカ先生を待たせてまで優先させるような話じゃない。
ソファーから飛び上がると、いそいそと先生の隣に並んで待機所を出た。
さっきゲンマとアスマの言ってた居酒屋をイルカ先生が興味深そうにしてたので、ちょっと早いけど行くことになって、俺は内心ガッツポーズを決めていた。
お誘いに多少のアルコールは大変有効なはず。
場を誤魔化すためとはいえ、話題に出してくれてありがとう。お前らにも酒と恋愛で良い事がありますように。
ウワバミ横丁なんて酒呑みの聖地にあるけど、意外にも落ち着いた内装で品揃えも味もなかなか良い。
これならお誘いの雰囲気もスムーズに伝わるかもしれない。
何だっけ、ゲンマはやたらと普通に、ストレートにを繰り返してた気がする。
カウンターの上はあらかた飲み食いし尽くした。
あとは一言だけだ。
相手の目を見ながら、相手の、イルカ先生の、黒い鉱石のような目を……目に、
「どうしたんですか?」
「あのね、あの、し…っ、たいんだけどッッッ」
イルカ先生が俺を見つめている。
こてんと小首を傾けてちょっと怪訝そうにしていたその顔が、恥ずかしそうにパッと綻んだ。
――伝わった!
「しょんべんですか? どうぞ、いってらっしゃい」
「イッテキマス……」
ふらりと立ち上がるとトイレに向かう。
成り行き上トイレを済ませはしたが、手を洗って鏡を見たところで泣きそうになる。
ダメじゃない! 全然伝わってないじゃん!
いやでも今日こそ絶対にしたい。ヤりたい。目眩くセカンドナイトを! 俺は諦めない!
店を出ると、足は自然とイルカ先生のアパートに向かう。
いや途中までは同じ道だから当たり前なんだけど、気持ち的にはもう先生の部屋に向かってる。
ああ、でも二つ先の街灯の所で行き先は分かれる。
そこまでには何とかして、先生のアパートに行く理由を考えないと。
前回お邪魔した時に忘れ物をしちゃって?
先生のお布団でもう一回寝たいです?
今日は一人で寝たくないの?
いっそ任務で先生のお宅まで護衛するように言われてますとか?
「カカシさん、今日はずいぶんと上の空ですけど、どうしたんですか?」
「ひえっ、……と、任務で護衛! を……」
イルカ先生はハッと顔を引き締めると、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「そうでしたか、今日は大変だったんですね。お疲れのところお誘いしてすみません」
「違うの! イルカ先生と過ごすのはいつでも楽しいし幸せだよ! 本当だよ!」
「俺もです。へへっ」
可愛いなぁ。
その笑顔が本当に大好き。食べちゃいたい。
でもどう頑張っても伝わらない訳で。
「あ、そういえばカカシさん、こないだ忘れ物してったんですよね。今日渡そうと思ってたんですけど、お疲れなら次回に……」
「行く! 行きます! お邪魔します」
わぁ、嘘みたい。
こんな偶然ってある? 忘れ物って何かあったっけ。多分お誘いに失敗してがっくりきてたから気が付かなかったんだろうな。なんにせよこないだの俺、偉いぞ! バトンはしっかり受け取ったからね!
途端に気持ちがふわふわとして、足取りも軽やかに二つ先の街灯を右に曲がる。二人で。
二人で前後してアパートの階段を上り、二人で前後してドアから先生の部屋に入る。
「お邪魔します」
「どうぞ~。酔い覚ましにお茶かコーヒーでも飲みます? それとももう少し呑みますか?」
「あ、えっと……」
今から更に呑んだら緊張のあまりベロンベロンになりそうだけどコーヒーだとすぐ飲み終わって帰らなきゃならなくなるから酒の方が時間は稼げるけどどっちがいいだろうまたここでも難問が早く早く不自然にならない内に
「……コーヒーでお願い」
「はい、じゃあ座っててくださいね」
玉暖簾をカチャカチャと鳴らし、先生が台所に立つ。
俺は卓袱台の前に正座すると、隣の寝室に繋がる襖をちらりと窺った。
今日こそは最終的にあの扉の奥に招かれたい。いや、そんな受け身の気持ちじゃ駄目だ。俺が、ベッドにお誘いしたい。
決意の眼差しを襖に向けていると、またカチャカチャと音が鳴った。
「インスタントで申し訳ないんですけど」
「イルカ先生が俺にくれるものなら、何でも嬉しいよ」
「ふふ、ありがとうございます」
口布を下げて湯呑みに口を付けると、強い視線を感じる。
目だけそっちに向けると、先生が頬杖を付きながらにこにこと俺を眺めていた。
何となくいたたまれなくて何か話さなきゃと思ったけど、その前に先生が口を開く。
「カカシさん、本当に男前ですねぇ」
「……え? イルカ先生の方がかっこいいよ?」
「しかも綺麗で優しくて、時々可愛いです」
「イルカ先生の方が優しいし可愛いじゃない」
先生がまた、ふふっと笑う。
そして片手をすいと俺の顔に伸ばして、口元を擽るように撫でた。
「それでいて、こんなエッチなもの隠してるんだもんなぁ」
ぞわ、と口元から全身が粟立つ。
「イルカ先生、酔ってる?」
「うーん、酔ってるのかなぁ。酔ってるって言った方がいいですか?」
え、どっちだろう。
酔ってないみたいに見えるけど、本当はけっこう酔ってるのかも? 急にそんなこと言い出すくらいだし、もう早く寝たいから帰ってくれってこと?
「あー、コーヒー美味しかったです。それじゃ……」
「したくないですか?」
何を?
おかげさまでトイレはさっき行ったし、あとは何だ?
先生の手は相変わらず俺のほくろをゆるゆると撫でている。
指先から伝わる熱が。
「あ、そうか、忘れ物?」
先生が今度はくすくすと笑い出した。
「そうでしたね。忘れ物、してったんですよね」
指先がすっと離れ、その熱を惜しんでいると先生が立ち上がった。
そしてさっき俺が眺めていた襖をすぱんと開ける。
首だけ振り返って、にこにことしてるんだけど、その目が。
「カカシさん、次の約束を忘れていきましたよ。それで、どうします?」
「どう、って……?」
みっともないくらい声が掠れる。
俺はふらふらと誘われるように立ち上がった。
イルカ先生の顔が、不意にひどく思いつめたものに変わる。
「したくないですか? 俺はカカシさんとしたいです」
一足飛びに先生を抱き寄せ、その勢いのままベッドに押し倒す。
「したいです! ずうっとしたかった! イルカ先生好き好き! だいす」
き、はイルカ先生の口の中に吸い込まれた。
頭を抱えるように両手でしっかりと押さえられ、髪をくしゃくしゃとかき混ぜられる。
ぶちゅ、と一際大きな音を立ててキスしてくれると、顔をちょっと離した先生がにかりと笑った。
「あー、良かった。俺も大好きですよ! だからいっぱいしましょう!」
「はいっ!」
いいお返事ですね、と褒めてくれたから、俺もぶちゅっとキスを返した。
それから俺たち二人の希望を叶えるべく、いっぱいいっぱいした。