【Caution!】
全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
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火の国にある木の葉の里は、雪など滅多に降らない。
それでもさすがに今日みたいな日は降るんじゃないかと思うくらい冷え込む十二月の半ば過ぎ、レジの側に置いた石油ストーブに背中を向けて腰を炙っていると、入り口をカラリと開ける音がした。
「こんばんは! うおお、あったけぇ!」
このハキハキとよく通る声は。
「あれ、イルカちゃんじゃないか」
「辰見のおばちゃん久しぶり! 今日はホントに寒いね、腰は平気?」
仕事帰りなのか、忍服に鞄をかけてマフラーをしたイルカちゃんが、鼻の頭を真っ赤にして店の奥まで入ってきた。
「ほら、ここはもっとあったかいよ。こっち来てあったまりな」
「おばちゃん、ありがと!」
イルカちゃんがあたしの斜め後ろに立って、ストーブに両手をかざした。つい最近まであたしの肩くらいだったのに、今じゃ見上げてもてっぺんが見えないくらい大きくなっちゃって。男の子ってどうしてこんなに大きくなるのが早いんだろうねぇ。
ストーブの上のヤカンを取り上げて二人分のお茶を煎れようとすると、「俺がやるよ」とイルカちゃんが急須と茶筒と湯呑みを後ろの棚から取り出して煎れてくれた。
「はぁ、あったまる~」
お茶請けに相模屋の塩饅頭を出すと、イルカちゃんは大きく開けた口に放り込んで一口で食べてしまった。
「あああ、あんこが沁みる~! へへ、今日は昼メシ食ったっきりだから有り難いよ、おばちゃん」
忍者学校の先生だってのに、にかっと笑う顔はわんぱく坊主だった頃から変わってないねぇ。
「それで? 今日はどうしたの?」
忍者さんになってからずっと忙しそうにしてるから、きっと今日も何か欲しい物があるからうちに来たんだろう。この前来た時は子供用の布団を一組だったけど。
そう聞くと、イルカちゃんは急に落ち付きなくきょろきょろと店の中を見回した。
「あー、あのさ、あれ。半纏。前に俺が買ったのと似たようなやつ、もう一個欲しいんだけどさ。何かいいのある?」
半纏は確か、先生になって初めての冬にボーナスで買ってたはず。まだそんなにくたびれてないと思うけど、うっかり焦がしでもしたのかしら。
「前のと似たようなのねぇ。柄は違っちゃうけどいいかい?」
「うん、あのさ、俺のじゃなくてその……プレゼントなんだよ。クリスマスの。何かそんな感じのがいいんだけど……」
イルカちゃんが下を向いて珍しくぼそぼそと喋る。
ははぁーん、そういうことね。
時々商店街で一緒にいるのを見かける、あの銀髪の忍者さんの半纏を買いに来たって訳ね。そういえば魚政さんや八百幸さんや米屋さんの奥さんたちが言ってた。イルカ先生が『いけめん』と付き合ってるって。
思わず顔が緩みそうになるけど、そうしたらイルカちゃんは恥ずかしくてうちを飛び出してっちゃうだろう。するとクリスマスプレゼントが買えなくて困るだろうから、ここは我慢しなきゃ。
「それならこっちに良いのがあるよ」
パジャマや枕の置いてある通路に連れ立って行くと、壁にかけてある紺色の無地の半纏を指した。
「綿じゃなくてダウン百パーセント、生地も絹の高級半纏だから、プレゼントにぴったりだよ」
イルカちゃんは目を真ん丸にして半纏を見上げてる。それからちょっと困ったような顔であたしを見下ろした。
「すっごくいいんだけど、値段もいいってやつ?」
今度は我慢しないで笑顔を向けた。
「そうねぇ、九百八十両だけど七百両でいいよ」
てっきり喜ぶかと思ったら、もっと困った顔になってしまった。七百両でも厳しいのかしら。年末年始に何かと物入りだからかもしれないと半額でいいって言おうとしたら、イルカちゃんは鼻の頭をポリポリと掻きながら頬っぺたを赤くした。
「あのさ、まけてくれるのは嬉しいんだけど、予算にはちょっと厳しいかなぁ。……俺さ、クリスマスプレゼントだからちゃんと定価で買いたいんだ。なんとなくだけどさ。変かな?」
あらまぁ、なんて可愛らしいことを言うのかしら。
恋人へのプレゼントを定価で買いたいってところが、いかにもイルカちゃんらしくて。きっと本当にあのいけめん忍者さんが大好きなのねぇ。
「それだったら、生地が絹じゃなくてナイロンのがあるよ。ダウンとフェザーが半分ずつだけど、あったかさはあんまり変わんないね。こっちだと五百八十両だよ」
あたしがハンガーから引っ張り出したのは、えんじ色に黒のチェック柄だった。
「えっと、紳士用のLでいいのよね」
そう言うとイルカちゃんがまた真っ赤になってしまう。
あらやだ、あたしったらお相手さんのことを知ってるってうっかり言っちゃった。
「あー、うん、そう。……へへっ」
イルカちゃんはあたしが知ってるって分かって開き直ったのか、「この色カカシさんに似合いそうだなぁ。あの人白いからなぁ」なんて呟いてる。
そうだ、八百幸さんの奥さんが案山子って名前を言ってたわ。畑の案山子さん。海のイルカちゃんと正反対だけど、逆だから惹かれ合うものなのかもしれない。ドラマでも映画でも定番だもの。
イルカちゃんは半纏をひっくり返したり袖を通したり、一通り確認するとあたしに差し出した。
「じゃあこれちょうだい。プレゼント用にってできる?」
「クリスマス用の包装紙はないけど、ギフト用の箱とリボンは付けられるよ」
「それでお願い。いいの見付かって良かったよ。おばちゃん、ありがとう!」
イルカちゃんはリボンの付いた大きな箱を抱えて、元気良く店を出てった。
それにしても、半纏がクリスマスプレゼントなんて良かったのかしら。案山子さんはずいぶんと古風な忍者さんなのね。イルカちゃんの勘違いじゃないといいけど。
ちょうど店を閉める時間だから、片付けないと。
さっきまで冷えてしょうがなかったのに、今はなんだかぽかぽかとしてる。イルカちゃんの嬉しそうな笑顔を思い出して、あたしまでにこにこしながらシャッターを下ろしに行った。
【以下略】
それでもさすがに今日みたいな日は降るんじゃないかと思うくらい冷え込む十二月の半ば過ぎ、レジの側に置いた石油ストーブに背中を向けて腰を炙っていると、入り口をカラリと開ける音がした。
「こんばんは! うおお、あったけぇ!」
このハキハキとよく通る声は。
「あれ、イルカちゃんじゃないか」
「辰見のおばちゃん久しぶり! 今日はホントに寒いね、腰は平気?」
仕事帰りなのか、忍服に鞄をかけてマフラーをしたイルカちゃんが、鼻の頭を真っ赤にして店の奥まで入ってきた。
「ほら、ここはもっとあったかいよ。こっち来てあったまりな」
「おばちゃん、ありがと!」
イルカちゃんがあたしの斜め後ろに立って、ストーブに両手をかざした。つい最近まであたしの肩くらいだったのに、今じゃ見上げてもてっぺんが見えないくらい大きくなっちゃって。男の子ってどうしてこんなに大きくなるのが早いんだろうねぇ。
ストーブの上のヤカンを取り上げて二人分のお茶を煎れようとすると、「俺がやるよ」とイルカちゃんが急須と茶筒と湯呑みを後ろの棚から取り出して煎れてくれた。
「はぁ、あったまる~」
お茶請けに相模屋の塩饅頭を出すと、イルカちゃんは大きく開けた口に放り込んで一口で食べてしまった。
「あああ、あんこが沁みる~! へへ、今日は昼メシ食ったっきりだから有り難いよ、おばちゃん」
忍者学校の先生だってのに、にかっと笑う顔はわんぱく坊主だった頃から変わってないねぇ。
「それで? 今日はどうしたの?」
忍者さんになってからずっと忙しそうにしてるから、きっと今日も何か欲しい物があるからうちに来たんだろう。この前来た時は子供用の布団を一組だったけど。
そう聞くと、イルカちゃんは急に落ち付きなくきょろきょろと店の中を見回した。
「あー、あのさ、あれ。半纏。前に俺が買ったのと似たようなやつ、もう一個欲しいんだけどさ。何かいいのある?」
半纏は確か、先生になって初めての冬にボーナスで買ってたはず。まだそんなにくたびれてないと思うけど、うっかり焦がしでもしたのかしら。
「前のと似たようなのねぇ。柄は違っちゃうけどいいかい?」
「うん、あのさ、俺のじゃなくてその……プレゼントなんだよ。クリスマスの。何かそんな感じのがいいんだけど……」
イルカちゃんが下を向いて珍しくぼそぼそと喋る。
ははぁーん、そういうことね。
時々商店街で一緒にいるのを見かける、あの銀髪の忍者さんの半纏を買いに来たって訳ね。そういえば魚政さんや八百幸さんや米屋さんの奥さんたちが言ってた。イルカ先生が『いけめん』と付き合ってるって。
思わず顔が緩みそうになるけど、そうしたらイルカちゃんは恥ずかしくてうちを飛び出してっちゃうだろう。するとクリスマスプレゼントが買えなくて困るだろうから、ここは我慢しなきゃ。
「それならこっちに良いのがあるよ」
パジャマや枕の置いてある通路に連れ立って行くと、壁にかけてある紺色の無地の半纏を指した。
「綿じゃなくてダウン百パーセント、生地も絹の高級半纏だから、プレゼントにぴったりだよ」
イルカちゃんは目を真ん丸にして半纏を見上げてる。それからちょっと困ったような顔であたしを見下ろした。
「すっごくいいんだけど、値段もいいってやつ?」
今度は我慢しないで笑顔を向けた。
「そうねぇ、九百八十両だけど七百両でいいよ」
てっきり喜ぶかと思ったら、もっと困った顔になってしまった。七百両でも厳しいのかしら。年末年始に何かと物入りだからかもしれないと半額でいいって言おうとしたら、イルカちゃんは鼻の頭をポリポリと掻きながら頬っぺたを赤くした。
「あのさ、まけてくれるのは嬉しいんだけど、予算にはちょっと厳しいかなぁ。……俺さ、クリスマスプレゼントだからちゃんと定価で買いたいんだ。なんとなくだけどさ。変かな?」
あらまぁ、なんて可愛らしいことを言うのかしら。
恋人へのプレゼントを定価で買いたいってところが、いかにもイルカちゃんらしくて。きっと本当にあのいけめん忍者さんが大好きなのねぇ。
「それだったら、生地が絹じゃなくてナイロンのがあるよ。ダウンとフェザーが半分ずつだけど、あったかさはあんまり変わんないね。こっちだと五百八十両だよ」
あたしがハンガーから引っ張り出したのは、えんじ色に黒のチェック柄だった。
「えっと、紳士用のLでいいのよね」
そう言うとイルカちゃんがまた真っ赤になってしまう。
あらやだ、あたしったらお相手さんのことを知ってるってうっかり言っちゃった。
「あー、うん、そう。……へへっ」
イルカちゃんはあたしが知ってるって分かって開き直ったのか、「この色カカシさんに似合いそうだなぁ。あの人白いからなぁ」なんて呟いてる。
そうだ、八百幸さんの奥さんが案山子って名前を言ってたわ。畑の案山子さん。海のイルカちゃんと正反対だけど、逆だから惹かれ合うものなのかもしれない。ドラマでも映画でも定番だもの。
イルカちゃんは半纏をひっくり返したり袖を通したり、一通り確認するとあたしに差し出した。
「じゃあこれちょうだい。プレゼント用にってできる?」
「クリスマス用の包装紙はないけど、ギフト用の箱とリボンは付けられるよ」
「それでお願い。いいの見付かって良かったよ。おばちゃん、ありがとう!」
イルカちゃんはリボンの付いた大きな箱を抱えて、元気良く店を出てった。
それにしても、半纏がクリスマスプレゼントなんて良かったのかしら。案山子さんはずいぶんと古風な忍者さんなのね。イルカちゃんの勘違いじゃないといいけど。
ちょうど店を閉める時間だから、片付けないと。
さっきまで冷えてしょうがなかったのに、今はなんだかぽかぽかとしてる。イルカちゃんの嬉しそうな笑顔を思い出して、あたしまでにこにこしながらシャッターを下ろしに行った。
【以下略】
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