【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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 カカシの要請で境界の洞穴に向かった顔ぶれが揃ったのは、それから五日後だった。用があると去っていったアスタロトからカカシに朗報があるから待っていてほしいと連絡があり、彼が戻るのを待っていたのだった。
 今回はナルトとイタチも加わり、なんとも賑やかな雰囲気で深刻さも薄れてはいたが、それはカカシの憂いの晴れた表情によるものも大きかった。
 居並ぶ皆に軽食と飲み物を給仕するサスケに、ナルトがちょっかいを出してイルカがそれを叱る。イタチもサスケの手伝いをしようとうろうろして、「兄さんは座っててくれ、下さい」と小声でたしなめられていた。
 その様子を微笑ましく見ていたテンゾウが、笑みを含んだ声でカカシに問いかけた。
「さて、駒は揃った訳ですが、どうなさいますか?」
「駒はないでしょ、ナルトも一人の立派な魔物だ」
 カカシがすぱりと咎めるのを見て、イルカは胸がいっぱいになる。
 ここ数日は何かとイルカの後をくっついて回るナルトと、それを大人げなく追い払おうとするカカシとの攻防戦ですっかりくたびれきっていたのだ。そうは言っても何だかんだと一緒にいることに馴染んできたのか、幻獣化してナルトとイルカを背に乗せて領地を案内してくれたり、魔界の現状や魔力の使い方を教えたりといろいろ面倒を見てくれていた。
 そして今、ナルトを封印媒体の少年ではなく、一人の魔物として認めるこの発言だ。ナルトにもそれが伝わったのだろう。それを聞いて背がしゃんと伸び、カカシの方に真面目な顔を向けた。
「結論から言うと、ナルトを魔界大九柱の会合に連れていく」
 カカシがぐるりと皆を見渡して宣言した。
 オビラプトゥールがナルトを見てピュウと口笛を吹く。
「おいおい、新しい魔王様の誕生か?」
「いや、そうはならない。九柱に就くのは別の者だ……というか、元の、って言ったらいいかな」
 カカシがアスタロトに目をやると、いくぶん疲れて見える彼が口を開いた。
「ダンタリオスを見付けたよ。竜の小僧の言ったことはあながち間違いじゃなかったね。女学生の姿で寄宿学校に潜んでいた」
「彼の変化を見抜けるとは……よくまぁ発見できましたね」
 テンゾウがいかにも感心した顔で賞賛すると、アスタロトは唇の両端をきゅっと持ち上げた。
「誰も探そうとしなかっただけのことだよ。まさか死を装ってまで九柱から降りたい者がいるなど、考えもしなかったのだろうね。実は以前から彼の死は不審に思ってて、ずっと探してたんだ。先日の竜の小僧が言ってた若い女の云々、あれのおかげで視点を変えられたからオビラプトゥールには感謝してるよ」
 珍しくアスタロトに名を呼ばれて謝意を示されたオビラプトゥールは、面映ゆそうに目を逸らした。
 ダンタリオスは並み居る魔王の中で最も弱かった。
 大九柱たる魔王の座は他の魔王からの推薦や指名もあるが、現魔王を倒してその座に就くことも魔界では認められている。上位の魔王に挑む身のほど知らずはいなくとも、九柱ならと挑む者は決して少なくなかった。
 一番容易いからと度重なる奇襲に疲れ果て、謀殺を恐れたダンタリオスは顔かたちを変えて自らの死亡を流布し雲隠れしていたのだった。
「今は私の城に閉じ込めてあるよ。彼を連れていけばカカシが九柱に就く必要はないだろうね」
 アスタロトの報告を聞いて、皆の肩の力が抜ける。
 カカシはこの集まりの直前にあらかじめ聞いていたのだろうが、それであの晴れやかな顔だったのかとイルカは合点がいった。
「でもナルトを大魔王サタン様に引き合わせるって命は残ってる。そこでイタチ、一つ頼みがある」
 カカシから指名されたイタチが、ずっと目で追っていたサスケから振り向いた。
 緋色の双眸同士が、カードテーブルを挟んでかち合う。
「イタチの一族は九尾の定期報告をしてたんだよね。ナルトの……封印媒体の少年の謁見を、父君からサタン様に直接お願いしてもらえないかな」
 イタチはカカシの目をじっと見返していたが、その顔が強張ったかと思うと、スッと目を伏せた。
 それはカカシのお願いではあったが、イタチは否応なく従わざるを得ない下命と捉えた。魔物は本来、本能的に上位の者に従うように生まれついているのだ。それを思うと爵位の上下なく集い、対等に会話をしているこの顔触れはイタチには不可思議極まりないものだった。その中に弟が違和感なく溶け込んでいることも。
 だがそれは、不思議と心和む光景だった。
「分かりました。必ずそうするよう、父に伝えましょう」
 イタチはあえて本能に逆らって、敬意を込めないただの丁寧語を使った――この集いにはそれが相応しい気がしたから。
「ん、よろしくね」
 それは間違っていなかったようで、カカシがにこりと微笑みかけた。




 それから各方面への連絡を済ませ、再び魔界大九柱の会合に召喚されるまで更に数日を要した。
 その間に、今までサスケの物を借りていたナルトの普段着や、大魔王サタンとの謁見を控えて仕立てさせていた衣装がようやく届けられた。イルカはそれを一つ一つ確かめながらクローゼットに吊るしていたが、一緒に届けられた豪奢な布類に首をひねる。
「なぁカカシ、このやたら綺麗な布は何だ?」
 ナルトと話していたカカシが振り向き、なぜかぱっと顔を赤らめた。
「あ、それはね、イルカの。人魚の方に幻獣化した時に、その布を胸から肩に流したら素敵かなって。ほら、イルカの肌によく似合うでしょ?」
 そう言ってしっとりとした透け感のあるオーロラ色に輝く布を、イルカの肩から胸へと斜めがけにする。
 それは、確かにイルカによく似合っていた。
 似合ってはいたが、イルカの胸をとことん隠したがるカカシの執念に、そして桜貝のブラの時といい男の自分を着飾らせたがるその感性に、イルカは言うべき言葉を見付けられなかった。
 満足そうに頷くカカシに向かってなんとか出てきた言葉は、先日の疑問だった。
「幻獣化した後ってさ、なんでみんなちゃんと服を着てるんだ?」
 不思議そうな顔をしたカカシが、あぁ、そっかと呟く。
「人型に戻る時に、服を着てる自分を強くイメージすればいいんだよ。俺たちは無意識にしてたことだけど、最初は難しいのかな。もう幻獣化はスッとできる?」
 言われてみれば、自力で幻獣化したことはまだなかった。幻獣化した自分をイメージすると自然にできるということだが、そもそも人間は姿を変えることなどないので、違和感の方が大きかった。
 イルカは人魚になった時の空中を泳ぐ滑らかな動きをイメージしてみようとしたが、間違って水龍の方になってしまったら部屋の調度品などを壊してしまいそうなので、後で大広間で試してみることにする。
「んで、俺はそのサタンさまにあいさつすればいいだけなのか?」
 ナルトが口を挟んできたので、カカシは飽きられる前にと慌てて謁見の説明を続けた。