【Caution!】

全年齢向きもR18もカオス仕様です。
★とキャプションを読んで、くれぐれも自己判断でお願い致します。
★エロし ★★いとエロし! ★★★いとかくいみじうエロし!!
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  アケミ美容室 ~春〜




 ナルト君と日向家のお嬢さんがとうとう祝言を挙げるってことで、里はめちゃくちゃ浮かれていた。
 うちみたいな毎日がマダムの女子会っていう美容室だと、話題はそればっかになる。
 今日も髪の一部をグリーンに染めに来てるミドリさんが、ヒナタさんは和装なのか洋装なのかを隣の椅子の桃さんとキャーキャー話してる。実はうちのママがナルト君のヘアメイクをするから知ってるんだけど、ママは知らんぷりして桃さんの髪を巻いている。お客さん同士で噂話をしてても、あたし達は事実以外はむやみやたらと喋っちゃダメよっていうのが昔からのママの口癖で、そっか、これはまだ秘密なのねってあたしも黙ってくの一のカレンさんの爪を磨いた。
 爪のケアの仕上げにオイルを垂らしてハンドマッサージをしてると、カレンさんがふと口を挟んだ。
「ナルト達の祝言なら、当然六代目も参列するのよね。じゃあイルカ先生は……」
 一瞬、あれだけ騒がしかった室内がしんと静まり返る。
 数年前までラブラブで商店街をうろうろしてたはたけさんとイルカ先生が、気付いたらイルカ先生一人になっていた。
 ここの商店街も大戦後の復興のバタバタで誰も気付かなかったけど、魚政のおじさんがイルカ先生に「今日は秋刀魚はいらねぇのか?」って聞いて「今日はいらないんです」じゃなくて「もういらないんです」と答えた時に、それは確定したんだと思う。
 ――二人は別れちゃったんだ、って。
 その場にちょうど居合わせてたママ以外にも何人かお客さんがいて、その話はあっという間に商店街で広がったんだった。もちろん美容室でもしばらく大騒ぎで。
 猿飛家の遠い親戚ってことが自慢のマダムが「やっぱり火影様になるのにお相手が男じゃまずいんだろうねぇ」なんて偉そうなことを言ってみんなに否定されまくってたけど、マダムがぷりぷりしながら帰った後は、みんなで「二人ともかわいそう」って言い合ってた。
 あたしもかわいそうだと思ったけど、特にはたけさんは傷付いただろうなってずっと思ってる。あんなにイルカ先生のことが大好きオーラを出しまくってたのに別れちゃうなんて。どっちから言い出したのか知らないけど。
 なんとなく、別れようって言えるのはイルカ先生の方な気がしてた。

「イルカ先生だって二人の恩師でしょ、そりゃ参列するわよ」

 沈黙を切り裂くように、真っ先に答えたのはミドリさんだった。
 ミドリさんは元忍で、今でもアカデミーの事務として働いてるからその辺も詳しいのかも。
「一緒に参列したら焼けぼっくいに火が付いて~なんてならないかしら」
「やだ、それありそうね!」
「でしょ? 人目を忍ぶ恋、それが火影様なんてステキ~!」
 みんな好き放題言い始めたけど、ホントは分かってるんだよね。
 あの真面目で誠実なはたけさんが、そんなことイルカ先生相手に絶対しないって。
「……二人とも本当はお互いのこと、大切だと思ってますよね。だってまだあんなに……」
 レイさんに髪を切ってもらいに来てる八百幸のユキちゃんが、ぽつりと呟いた。子供の頃からいつも静かにしてるユキちゃんが珍しいけど、それだけ気にかかってるんだろうな。ユキちゃんずっとイルカ先生のこと大好きだったもんね。
 小さな呟きを背中越しに聞いたあたしは、振り返って強く頷く。
 あたしは初めてはたけさんがアケミ美容室に来た時のことを思い出してた。みんなも同じだったみたいで、「そういえば火影様がここに来たのよねぇ」なんて懐かしそうにしてる。
「あの時は本当にびっくりしたわよ。まさかはたけ上忍がこんな美容室に来ると思ってなかったからねぇ!」
「ちょっと、こんなはないんじゃないの?」
「やだママごめんなさいね、そういう意味じゃないのよ」
「やぁね、分かってるわよ。私だって思ったもの」
 はたけさん達のことでキャッキャと盛り上がるママ達の声をぼんやり遠くに聞きながら、あたしは祝言当日のことを考えてた。
 みんなの言うような焼けぼっくいはなくても、何かはあるんじゃないかな。ちょっと目を交わすとか、ほんの少しでも何か。ううん、あってほしい。
 できれば焼けぼっくいとかそんなんじゃなくて、もう一度付き合う何かきっかけみたいな、そんな感じになってほしい。
 だって二人はホントに、本当に幸せそうだった。




 祝言の日はあっという間で、いろんな里からもいっぱい偉い人たちが集まってて、あたしたちは裏方だったけど支度が終わったらちょっと参列もさせてもらえて、盛大なお式はすっごく素敵だった。
 ママと家に帰って、着替えもしないでベッドにひっくり返る。
 イルカ先生もはたけさんもいたけど、二人ともびっくりするくらい普通だった。
 普通に並んで普通に話をして、ナルト君たちと一緒に普通に並んでお写真に収まってた。
 遠くから見ただけだったけど、二人とも普通に笑顔になっていた。
 それを見て、あたしも美容室ではしゃいでたみんなと同じだったって気付いた。あたしはきっと、二人がもっと切なそうに、溢れる想いに耐えられないみたいなドラマチックなシーンを期待してたんだ。
 実際の二人はホントに普通で、穏やかな笑顔で心からナルト君と日向家のお嬢さんを祝福してた。
 ――もう、戻ることはないのかな。
 二人ともちゃんと過去のことって割り切って、いつかそれぞれ違う人と付き合ったりしちゃうのかな。
 だけどそんな二人なんか想像できない。
 たぶん、
 たぶんだけど、まだお互いに気持ちが相手に向かってる気がする。忍者になって、あたし達よりも近くで二人を見てるユキちゃんだってそう言ってた。
 普通に見えるってそういうことじゃないのかな。イルカ先生は先生じゃない頃から知ってるけど、嫌いな人にあんな優しい笑顔を向けられるような器用な人じゃないし。それにあたしが知ってるはたけさんは、先生と付き合ってる頃だけだ。
 その時と同じに見えるってことは、変わってないって思ってもいいんじゃないかな。こんなのあたしの願望かな。
 大人の事情とか恋愛とかよく分からないけど。
 きっと、ううん、絶対絶対二人ともまだお互いのことを……。
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